とうちゃんのぷらぷら日記

アウトドア系の日記及びうんちく

続、忘れられぬ山

2014-09-20 20:43:17 | 山行
ほとんど道のないルートを踏破した日高の夏合宿は過酷なものだった。
八ノ沢カールから中札内の駅に無事にたどりついた時には
合宿をやり遂げた心地良い充実感と、
やっと緊張から解放され、安全な場所へとたどり着いた安ど感から
心底ほっとしていた。

私たちはその日、中札内の駅にステーションビバークと決め込んでいたので、
駅前で思い思いにくつろいでいた。
そんな我々に、地元の奥さんと思われる人が声を掛けてきた。

「あんたらなにやってるの」
「ぼくら、山から下りてきたところで、今日は駅に泊まろうかと思っているんです」

「行くところがないならうちに来て泊まっていきなさい。」
「いえいえ、とんでもないです。こんな汚いなりですから。」

「いいから」
「いいから」
「泊まってきなさい」

初対面のわれわれに、
しかも1週間も風呂にも入っていない、
浮浪者のような集団に、
家へ泊まっていけとはどういうことなのか。

それでも我々のことを簡単に説明すると、
それでは恐縮ですが、ごやっかいになりますということになった。

6人がザックを背負って
その奥さんの後ろをぞろぞろと付いていく。
ちょとへんな光景だ。

駅からほど近いその人の家に着くと
もっと驚いたことには、
「私はこれから、入院している家族の付き添いで病院へ行ってしまうから、
あんたら、勝手に風呂入って、
そこのお菓子でも食べてって。」

「今夜は帰らないから、朝になったら、勝手に出て行ってね。
鍵は掛けないから、そのままでいいよ。」
と言いうなり、さっさと病院へ行ってしまったことだ。

どういうことだろうか
入院している家族がいる、普通ではない事情の家庭なのに・・・・
しかもさっき会ったばかりの人間を自分の家に残して
出かけてしまうとは、
北海道の人は、心が広いとは聞いていたが
今もって驚く心の大きさなのだ。

あれから、30年以上が経つが
今でも北海道の人というのは、こんな感じなのだろうか。


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