著者から多額の費用を出させて小部数の本を発行する、自費出版系出版社の問題が注目されてしばらく経った。
少し静かな状況になったので、私なりの感想も少し述べてみたい。
以前新風舎の松崎社長には1度だけお会いしたことがあるように思う。
私の尊敬する人は高校時代から付き合いがあったらしい。
昨年10月、朝日新聞にも取り上げられて評価されていると思ったら急降下。
今年7月、新風舎は裁判にも訴えられてしまった。
・新風舎訴状
http://ourbooks.web.fc2.com/act/act010.html
新風舎の商法に批判が集まるのも無理はないけど、本を出した人にもある程度の責任はある。
出版業界では新風舎から本を出しているからといって作家扱いされることはない。
むしろ、知り合いが新風舎から本を出そうとしていると知ったら、「共同出版はやめておいたほうがいい」と忠告するだろう。
目立たないけどもっと良心的な自費出版をやっている出版社はいくらでもある。
だいいち、出版社から引き合いがこないようなものを出版しても、出版する意味はほとんどない。
世の中の人々から反応してもらえる最低限のレベル、表現に値する作品というレベルに達していないものは、本になるべきではないし、本の形にしたとしても評価を得ることはできない。
売れない本がほとんど書店に並ぶことなく、返品されて断裁されていることも出版関係の人なら知っている。資源が無駄になっている。
出版したからといって本を書店に流通させることは難しいし、返品を倉庫に置いておくのも倉庫料が負担になる。それは出版に関わる者の基礎知識。
それを知らないで出版するというのは、認識が不足している。
毎日2~300冊ものの新刊書が刊行されるけど、物理的にも、ほんの一部の本しか書店の店頭に並べられない。
ある程度の流通が見込める本は取次会社が配本してくれるけど、取次会社が売れないと判断した本は本屋にすら配られない。
そういった背景もあり、新風舎は「営業活動をやる」とは言っているけど「長期にわたって全国の書店に本を並べる」とは言っていないはず。
訴状には下記のような記述もあるけど、これに関して言えば、執筆者が出版界の常識も知らず、自分の都合に合わせていいように解釈した、と思われてもしかたがない面もある。残念ながら、原告の全面勝利ということにはならないだろう。
<<<<<被告は、実際は被告が一方的に書店に送付した紹介文ないしファックスによる営業活動しか行わず、その営業活動の結果、ファックス等を受信した書店から注文があって初めて書店の店頭に書籍が陳列されるにすぎない、すなわち書店から注文がなけれは書籍は1冊も店頭に陳列されない可能性があったにもかかわらず、これらの事実を故意に原告らに告げず、パンフレット、広告、説明文書及び担当者の説明により、原告らに対し、被告と出版契約をすれば、被告の営業活動により書籍が書店の店頭に陳列されると原告らに誤信させて本件各契約を締結させているのである。>>>
本を作ることは多くの人を巻き込み、費用もかかるけど、ブログを書いたりサイトを運営するのはあまり費用も必要としない。
現在、自費出版に応募している人の多くはあまりWebを活用していない様子。もっとWebで表現する人が増えると自費出版は注目されなくなるかもしれない。
個人でブログを書いたりサイトを作るのは好きにすればいいかと思う。
質の高い表現者にはかなりの確率でサイトを見た編集者からアプローチがある。
たしかに、有名なサイトの内容を本にしても意外に売れないこともある。「きっこの日記」はそこそこ売れたけど、第2弾の「きっこの日記2」はその3分の1程度しか売れていない。
どちらの本も、櫻井よしことか阿川佐知子といった、横山きっこさん(AYさん?)が嫌ってそうな人の聞いたこともない近刊本よりも売れていない。
それでも、十分利益が上がるだけの売上はある。世の中に商品として通用していると言える。
本を出す人はいったい何を求めているのでしょうか。
目立ちたい?
認めてもらいたい?
形に残したい?
だけど、新風舎から出す人はしたたかさが足りない人が多いのかもしれない。
きちんと判断しないと、新風舎から本を出す人は、もうけ話に手を出してだまされたり、そそのかされて高価な健康食品に手を出したり、何かの餌食になってしまう。
ある程度のしたたかさや判断力がないと、一定レベル以上の表現活動を行うことも難しいかと思います。
気をつけていただければと思います。
■参考
出版素人ビジネスで儲ける「新風舎」の被害者にならないために
http://www.mynewsjapan.com/kobetsu.jsp?sn=579
文芸社・新風舎の盛衰と自費出版(1)協力・共同型出版への批判と疑問
http://www.janjan.jp/media/0610/0610243334/1.php
文芸社・新風舎の盛衰と自費出版(2)「契約」締結の重要チェックポイント
http://www.janjan.jp/media/0610/0610243336/1.php
文芸社・新風社の盛衰と自費出版(3)自費出版を装った「協力・共同型出版」に横行する水増し請求
http://www.janjan.jp/media/0610/0610243338/1.php
文芸社・新風舎の盛衰と自費出版(4)騙しの構図
http://www.janjan.jp/media/0610/0610243340/1.php
文芸社・新風舎の盛衰と自費出版(5)過熱する賞ビジネス
http://www.janjan.jp/media/0610/0610243342/1.php
新風舎で働いていた人があるサイトに寄稿した文の要旨(原文は削除されています)
↓
ある編プロで、新風舎の賞の選考補助や賞の不合格者へのコメント書きをしていた。
新風舎の賞はほとんど応募規定がないので、実にくだらない作品ばかりが送られて来る。
第27回新風舎出版賞では約6500作品が集まった。
一番驚いたのは、刑務所、精神病院からの作品が多いということ。
新風舎の体育会系のノリにもついていけなかった。
賞に漏れた人にはコメントを送るが、このコメント書きと校正をした。
これもまた規定がある。「批評はしない。良い面だけをコメントとして残せ」「次作に期待します、といった一文は書いてはいけない」など。
これを送られた人はうれしくて、額にいれて飾ったりしてる人もいるらしい。
コメントはB5に250字くらいの文章で書くが、一作につき400円で素人のライター数十人に書かせている。
新風舎のコンテスト事業部というところでこのような作業は行われるが、この事業部の社員は本というものがどのようにできるのか全く知らない。
女性、匿名希望
少し静かな状況になったので、私なりの感想も少し述べてみたい。
以前新風舎の松崎社長には1度だけお会いしたことがあるように思う。
私の尊敬する人は高校時代から付き合いがあったらしい。
昨年10月、朝日新聞にも取り上げられて評価されていると思ったら急降下。
今年7月、新風舎は裁判にも訴えられてしまった。
・新風舎訴状
http://ourbooks.web.fc2.com/act/act010.html
新風舎の商法に批判が集まるのも無理はないけど、本を出した人にもある程度の責任はある。
出版業界では新風舎から本を出しているからといって作家扱いされることはない。
むしろ、知り合いが新風舎から本を出そうとしていると知ったら、「共同出版はやめておいたほうがいい」と忠告するだろう。
目立たないけどもっと良心的な自費出版をやっている出版社はいくらでもある。
だいいち、出版社から引き合いがこないようなものを出版しても、出版する意味はほとんどない。
世の中の人々から反応してもらえる最低限のレベル、表現に値する作品というレベルに達していないものは、本になるべきではないし、本の形にしたとしても評価を得ることはできない。
売れない本がほとんど書店に並ぶことなく、返品されて断裁されていることも出版関係の人なら知っている。資源が無駄になっている。
出版したからといって本を書店に流通させることは難しいし、返品を倉庫に置いておくのも倉庫料が負担になる。それは出版に関わる者の基礎知識。
それを知らないで出版するというのは、認識が不足している。
毎日2~300冊ものの新刊書が刊行されるけど、物理的にも、ほんの一部の本しか書店の店頭に並べられない。
ある程度の流通が見込める本は取次会社が配本してくれるけど、取次会社が売れないと判断した本は本屋にすら配られない。
そういった背景もあり、新風舎は「営業活動をやる」とは言っているけど「長期にわたって全国の書店に本を並べる」とは言っていないはず。
訴状には下記のような記述もあるけど、これに関して言えば、執筆者が出版界の常識も知らず、自分の都合に合わせていいように解釈した、と思われてもしかたがない面もある。残念ながら、原告の全面勝利ということにはならないだろう。
<<<<<被告は、実際は被告が一方的に書店に送付した紹介文ないしファックスによる営業活動しか行わず、その営業活動の結果、ファックス等を受信した書店から注文があって初めて書店の店頭に書籍が陳列されるにすぎない、すなわち書店から注文がなけれは書籍は1冊も店頭に陳列されない可能性があったにもかかわらず、これらの事実を故意に原告らに告げず、パンフレット、広告、説明文書及び担当者の説明により、原告らに対し、被告と出版契約をすれば、被告の営業活動により書籍が書店の店頭に陳列されると原告らに誤信させて本件各契約を締結させているのである。>>>
本を作ることは多くの人を巻き込み、費用もかかるけど、ブログを書いたりサイトを運営するのはあまり費用も必要としない。
現在、自費出版に応募している人の多くはあまりWebを活用していない様子。もっとWebで表現する人が増えると自費出版は注目されなくなるかもしれない。
個人でブログを書いたりサイトを作るのは好きにすればいいかと思う。
質の高い表現者にはかなりの確率でサイトを見た編集者からアプローチがある。
たしかに、有名なサイトの内容を本にしても意外に売れないこともある。「きっこの日記」はそこそこ売れたけど、第2弾の「きっこの日記2」はその3分の1程度しか売れていない。
どちらの本も、櫻井よしことか阿川佐知子といった、横山きっこさん(AYさん?)が嫌ってそうな人の聞いたこともない近刊本よりも売れていない。
それでも、十分利益が上がるだけの売上はある。世の中に商品として通用していると言える。
本を出す人はいったい何を求めているのでしょうか。
目立ちたい?
認めてもらいたい?
形に残したい?
だけど、新風舎から出す人はしたたかさが足りない人が多いのかもしれない。
きちんと判断しないと、新風舎から本を出す人は、もうけ話に手を出してだまされたり、そそのかされて高価な健康食品に手を出したり、何かの餌食になってしまう。
ある程度のしたたかさや判断力がないと、一定レベル以上の表現活動を行うことも難しいかと思います。
気をつけていただければと思います。
■参考
出版素人ビジネスで儲ける「新風舎」の被害者にならないために
http://www.mynewsjapan.com/kobetsu.jsp?sn=579
文芸社・新風舎の盛衰と自費出版(1)協力・共同型出版への批判と疑問
http://www.janjan.jp/media/0610/0610243334/1.php
文芸社・新風舎の盛衰と自費出版(2)「契約」締結の重要チェックポイント
http://www.janjan.jp/media/0610/0610243336/1.php
文芸社・新風社の盛衰と自費出版(3)自費出版を装った「協力・共同型出版」に横行する水増し請求
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文芸社・新風舎の盛衰と自費出版(4)騙しの構図
http://www.janjan.jp/media/0610/0610243340/1.php
文芸社・新風舎の盛衰と自費出版(5)過熱する賞ビジネス
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新風舎で働いていた人があるサイトに寄稿した文の要旨(原文は削除されています)
↓
ある編プロで、新風舎の賞の選考補助や賞の不合格者へのコメント書きをしていた。
新風舎の賞はほとんど応募規定がないので、実にくだらない作品ばかりが送られて来る。
第27回新風舎出版賞では約6500作品が集まった。
一番驚いたのは、刑務所、精神病院からの作品が多いということ。
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