波打ち際の考察

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波屋山人

2011-07-03 13:50:35 | Weblog
読売新聞の「時代の証言者」欄で邱永漢さんが半生を振り返っている。
邱永漢さんが今までに書かれていた本の内容と同じような記述が多い。
だけど、読売新聞は1千万部も発行されているから、邱永漢さんの人生をはじめて知る人は何百万人もいるだろう。
1924年3月生まれで87歳になっている邱永漢さんは、スイスで受けたアンチエイジング治療の効果もあり、今も元気に執筆、経営、調査などに従事している。

豊かな生活を楽しむお金持ちマインド、作家や実業家や評論家など自分の活動領域を広げていく創造力、窮地に陥っても動じないで活路を見出す態度、そんなところに以前から魅力を感じている。

邱永漢さんのことを、財テクに詳しい金の亡者だと思う人がいるかもしれないけど、それは違う。
金の亡者というのは態度的にも思考的にも余裕のない人がお金に飲み込まれてしまった姿だけど、ほんとうに豊かな人はお金とうまく付きあい、それを活用する。
邱永漢さんは、成金でもなければがめつい人でもない。悪趣味でもなければ小賢しくもない。お金より価値のあるものの存在も知っている。

ふところも頭脳もハートも、それなりにリッチな人だと言えるだろう。
そんな邱永漢さんの食エッセイは楽しい。
手元にあった2004年発行の『口奢りて久し』を開いてみると、4ページの食エッセイが50話載っている。
何十年もの邱永漢さんの経験の一端を知るだけで豊かな気分になれる。
世界にはおもしろく好奇心を刺激されることが多い。

何もやりたいことがない、夢も希望もないという人は邱永漢さんの本を読んでみればいい。
知らない世界、味わったことのない美食、考えたこともないビジネスチャンス、そんな話のどこかに触発されることがあるだろう。

『口奢りて久し』では台北の鼎泰豊(ディンタイフォンだと思うけど、本文中ではテンタイフオンとルビが振られていた)の小龍包が賞賛されていた。
たしかに台北の鼎泰豊の小龍包は風味豊かでおいしかったけど、一緒に注文した鳥ソバの味の薄さにおどろいたことも思い出した。
鼎泰豊では化学調味料を使っていないのかもしれない。
昨日、渋谷センター街の沖縄食堂やんばるで沖縄そばを食べたとき、なぜかダシの味よりも塩っぽさを感じるなと思ったら、食後に妙に舌に残る妙な感触があった。
きっと化学調味料(うまみ調味料と言うのか?)をたくさん使用しているのだろう。
化学調味料を入れるとうまみは強くなるけど、それを補強する味わいがなければ妙なバランスの料理になってしまう。

表面だけつくろって見栄えよくしている料理や人に違和感をおぼえる人は多い。
底の浅さや内容のなさ、バランスの悪さや人を欺こうとしている態度を見破る人は、ほんとうにおいしいものやほんとうに素晴らしい人と出会うことができるのではないだろうか。

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