波打ち際の考察

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波屋山人

東国原知事の表現よりも、記者の表現のほうが攻撃的

2008-01-21 21:27:09 | Weblog
東国原知事は多くの人に注目されているから、新聞もよく取り上げる。
だけど東国原知事について批判的な記事を書くと、ブログや掲示板で大ブーイングが湧き上がることもあるから、記者の人にとってはおもしろくないだろう。

週刊誌はミニコミ、ネットがマスコミ」という言葉があるけど、そのうち新聞もミニコミ化するかもしれない。
その前段階として、情報発信サイトのさらなるアクセス数増加・新聞のさらなる発行部数低下、新聞社の通信社化が進むだろう。
すでに新聞や雑誌はこの数年大きく影響力を低下させ、もうメディア界の中心で何かを叫んでも以前ほどの影響力はない。
弱くなった新聞やテレビが大きくなった新マスコミに叩かれたりもするような、未知の時代にもう突入しはじめているかもしれない。

毎日新聞は宮崎県で約3万部発行されているようだけど、この数字はもしかしたら知事のブログ「新そのまんま日記」ほどの影響力もないかもしれない。

・都道府県別発行部数一覧
http://facta.co.jp/article/200707008.html


いろんな意見もあるだろうけど、私は、東国原知事は誠実に命を懸けてがんばっていると感じる。東国原知事の表情に、決心のようなものを感じる宮崎県民も多いでしょう。
まあ、ほんとうに東国原知事を目の敵のように思っている人も多いとは思いますが、献身的にがんばっているうちは、少し見守ってあげてもいいのではないでしょうか。

知事の足を引っ張るのはいつでもできます。でも知事をおだて上げても引き倒しても、地方がより良くなるわけでもありません。
記者さんも、ぜひ地方を抜本的に改革し特色ある地方自治体を存続させていくために、何か提案を行ってはいかがでしょうか。

知事のことがおもしろくなくても、建設的なことを言うことはできるはず。それができない記者はクリエイティブじゃない足引っ張り屋、批判者気取りのネガティブな人、と読者に思われてしまうかもしれません。
知事の問題点を見つけ出そうと努力された記者は、今後どんなクリエイティブな提案をされるでしょうか。

記者という権力者を、一般人はよく見ています。
記者の中尾祐児さんは「私も東国原氏に1票を投じた「目撃者」の一人として、監視の目を向け続けたい」と1年前に書かれていますが、記者も監視されている立場かもしれません。
https://my-mai.mainichi.co.jp/mymai/modules/weblog_eye103/details.php?blog_id=304

毎日新聞の1/20の記事では「県政批判の新聞投稿をした男性は、日記風ホームページ(ブログ)で知事から激しく“攻撃”された」と書かれています。
だけど、東国原知事のブログを見ると、私には「批判者は許さん」というような、傲慢な、異論を許さない態度は読み取れません。事実に反すると思うことについて、誠実に説明を試みようとしていると感じます。
「なぜこれだけ何度も何度も分かりやすく説明しても、言うことが伝わらないのだろう、違った意味に解釈するなんて、何か悪意でもあるのだろうか。非常に残念だ」というような意識が、「あいた口がふさがらない」「全く意味不明である」などの文面に出てしまうのかもしれません。

記者の人たちは、知事が愕然とするような失礼なことを多くやってきました。それでも知事はできるかぎり我慢して誠実に対応してきました。
そうことを意識することも無く反省も無く、旧態依然の姿勢で知事に向かっていると、一般人は見ていますよ、記者たちの背中を。
しっかりと前を見て背筋を伸ばし、毅然と発言する知事の視線の先にいる、記者たちの冴えない後姿を。自分のことを棚にあげて人のことだけ追及するような声色を。

毎日新聞の「そのまんま劇場:宮崎発・就任1年/下 危ういブログ反論」にはこんな表現があります。
http://mainichi.jp/seibu/seikei/news/20080121ddp041010003000c.html
「そのまんま劇場」
「批判者は悪者扱い」
「ブログに知事の攻撃的な言葉が並んだ」
「1500字以上にわたり“かみついた」
「ブログは批判者攻撃の『武器』となる」
などと書いているけど、まさしくこれが知事を攻撃していることになるのではないでしょうか。

知事は目立たなくてもいいから誠実に仕事を進めていこうとしているのに、一過性の流行だと認定するかのような「劇場」よばわり。
批判者を悪者扱いしているわけではないのに、恣意的に「悪者扱い」と烙印を押す。
意見を言って言い返されると人格まで否定しているように感じてしまうのは、論理的に議論するのに慣れていない人に多いけど、記者さんはそんな人ではないでしょう。
「悪者あつかい」「攻撃的な言葉」「かみついた」「批判者攻撃の武器」、そういった表現にはネガティブな、攻撃的な姿勢が感じられます。

「『あいた口がふさがらない』『全く意味不明である』。昨年5月31日。このブログに知事の攻撃的な言葉が並んだ」
記者はそう書くけど、ほんとうに攻撃的でしょうか。

知事の文章を見ると、うがった見方に対して知事がかっかりした様子を示しているだけのようにも見えます。1500字というのもなんとか仕組みを伝えようとする説明のためであって、かみついたり攻撃したりするのとは違うのではないでしょうか。

「投稿による指摘には、『マスコミの前で予算削減の正当性を訴えるのは、情報操作していると思われる』ともある。これに至っては、あいた口が塞がらない。全く、意味不明である」
(新そのまんま日記2007/05/31)
http://www.zunou.jp/higashi/diary.php?num=1377&year=2007&month=05


また、記者は横澤彪氏(元フジテレビ、元吉本興業)の「『たけし軍団』は『世の中に嫌われること』を演じていた。この時に染みついた本能で、発言がついつい出るのだろう」とか
上杉隆氏の「『批判者は許さん』という姿勢は、長い目で見ると県民の支持を失うことになるだろう」
というコメントが的を射ていると思って掲載したのでしょうか。
知事にとってはきっと的外れな意見で、きっとがっかりしていると思います。

私が東国原知事だったらこう言いたい。
「べつに嫌われ役を演じていたわけではありません。
批判の言論を封殺することなんかしたくもありません。
精一杯誠実に説明させていただいているつもりです。
それでも誤解を招く?じゃあどうすれば誤解を招かないですむのか教えてくれませんか。
これ以上丁寧に説明するのは本当に限界に近い。どうすれば、もっときちんと伝えることができますか。教えていただけるのならほんとうにひたむきに勉強させてもらいます。
別に流行を作り出して流れに乗っていこうなんて思っていません。そんな政治がほんとうに県民、地方の人間にとってよい結果を産むとは思っていません。政党がどうのとか利権がどうのとか人気がどうのとか、ほんとうにそういうレベルで取り組んでいるのではないんです。
1年余り前、持続可能な地方自治体の構造をマニフェストで示しました。そこに向かって行く方法を考え、手順を必死に実行しています。その意識を県民の人とも共有するために、地道な計画や行動も、ありのままに報道してもらえればうれしいけど、なぜマスコミは表面的なところだけ取り上げて、私の意図が伝わっていないあなたたち流の解釈を放送するのですか。
もちろんマスコミはいいかげんなところもあるけど、こんなにひどいとは思わなかった。残念でなりません。
きちんと言っている意味を把握した上での批判や議論は大歓迎ですが、言っていることを曲解した上での報道にはほんとうにがっかりします。誤解を解くにも大きなエネルギーが必要となります。
自信をなくすこともありますが、理解して応援してくれる方々の思いと声援が、私を支えてくれています」


私は、宮崎県やその他の地方自治体がよりよくなるためには、一過性の流行や雰囲気に流されないように、まず自分自身がきちんとものごとの仕組みを把握しようと努力し、他人まかせの姿勢を克服することが大切かと思います。
そのために、新聞の記事を疑い、記者の発言を意識することはよいトレーニングになると思います。
ま、あんまりえらそうなこと言えないんですけどね。私も読解力は不足してるし。恐縮です。


<参考>毎日新聞 2008/01/20
http://mainichi.jp/photo/news/20080121k0000m040078000c.html
■東国原知事:就任1年、宮崎PR効果抜群 言動に危うさも

「どげんかせんといかん」。この言葉で登場した宮崎県の東国原英夫(そのまんま東)知事(50)が、初当選から21日で丸1年を迎えた。時に物議を醸す言動などが相乗効果となり、「宮崎ブーム」が続いている。【中尾祐児、種市房子】

 宮崎市から直線距離で約500キロ離れた、大阪市中央区の高島屋大阪店。1月16日から始まった宮崎県物産展の開幕直後、歓声がわき起こった。東国原知事の姿があった。

 同市西成区の主婦、又野和子さん(70)は「タレント時代は軽い感じで好きやなかったけど、今は一生懸命な姿がかっこええ」。

 知事がいた時間はわずか10分。にもかかわらず、同店によると、昨年1月に実施された物産展初日と比べ、売上高は1.5倍にはね上がった。

 官製談合事件で前知事が逮捕され泥沼化した県政に降り立った「無党派の星」。活発なテレビ出演、トップセールスなどで「宮崎」の注目度は抜群に高まった。

 4月から9カ月で、県庁には観光客ら約26万8500人が押し寄せた。知事就任後、受けたテレビや雑誌などの取材は約530本。電通九州は、就任1週間のテレビなどのPR効果を165億円とはじき出している。

 タレント時代は「一流」とは言えず、写真週刊誌襲撃事件などを起こした「たけし軍団」の“お騒がせ芸人”。ブームの背景について、知事自身は「メディアに作り上げてもらった」と話す。

 しかし、知事をウオッチし続ける電通九州の井上知弘宮崎営業所長は断言する。「『地方自治の代弁者』として今後も注目度は高いはず。大学で学び直し、努力して復活した『ジャパニーズドリーム』を体現しているんですから」

 一方で、知事の言動に危うさを指摘する声もある。

 「定例記者会見は必要ないのでは」「徴兵制があってしかるべきだ」など知事の多くの問題発言について、横澤彪(たけし)・鎌倉女子大教授(メディア論)は「『たけし軍団』は『世の中に嫌われること』を演じていた。この時に染みついた本能で、発言がついつい出るのだろう」。

 県政批判の新聞投稿をした男性は、日記風ホームページ(ブログ)で知事から激しく“攻撃”された。メディア論に詳しいジャーナリストの上杉隆氏は「『批判者は許さん』という姿勢は、長い目で見ると県民の支持を失うことになるだろう」と懸念する。

毎日新聞 2008年1月20日 21時00分 (最終更新時間 1月20日 23時40分)


コメント (1)
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