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絵本と児童文学

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デパートでの読み聞かせはどうだったか

2006-05-27 10:05:51 | 絵本と児童文学
 8日(月)のデパートでおこなわれた世界絵本展では、子どもへの読み聞かせをしました。絵本ナビは株式会社なのだが、事務局長という肩書きの30歳代の金○秀×氏が、30分ほどしたのです。
 わたしは気づかれず、かつ不審者と思われないように距離をとって聞いたのでした。

 不特定な子どもや親を相手にしている体験からか、子どもや親といった対象への話しかけには力を注いでいました。その相互応答型の感覚は、十分感じ取ることができました。しかしそれは、絵本の言葉と内容を伝えるというよりは、説明にウエイトが置かれているようでした。子どもに受け入れられねばとの思いで、反応が気になっていたのでしょう。とくに対象の子どもが2、3歳児ぐらいだったから、ということもあります。
 ところでなぜ説明的かというと、ストリーの内容に即した語りではなく、それとは無関係に途中で止めて、子どもに話しかけていました。これではむしろストリーの世界に入り込めません。
 それに声を登場者にそって区別をしないため、ゾウとして出した声がそのうちカメになったりするので、子どもは混乱しただろうと推察しました。これは声をどう出すかということに、意識がいっていなかったようでした。
 登場者のキャラクターにそった声をつくって出さなければならない、ということを意味しているわけではありません。登場者の会話の際にそのキャラクターになってみる、その他のストリーの進める言葉ぐらいの、気持ちの切り替えぐらいは必要ではないか、ということです。
 それにこのような読み聞かせの場合、プログラムビルディングが重要ですが、それも構想されているようには思われませんでした。
 絵本の作品に対しての深い解釈、そして不特定を相手にする場合大道芸的に対象者を「つかむ」表現・演技もあったほうがよいのです。ある期間でも子どもを対象にした仕事の経験をしていないようので、無理からぬことを思いました。
 相互応答型の感覚があるのを中核にあるので、読み聞かせの技は磨かれていくことでしょう。相互応答感覚は語りで重要であり、体験を重ねて獲得していくしかありません。

 このように綴りましたが、批判のための批判をしたわけではなく、この事例から読み聞かせに必要な事柄を、読み取ってもらいたいためです。それは同時にわたしの読み聞かせの技を磨くことの参考にしているのでもあります。こんな機会を逃さず、子どもの立場になりきって聞いては、自分の学習にしています。
 学生や親向けの講座の際の親の読み聞かせを聞いて、その人の良さを引き出すアドバイスをすることがありますが、それは自分自身を向上させるためにおこなっていることです。

絵本とキャラクターグッズ

2006-05-21 15:22:42 | 絵本と児童文学
 雨が続いたし、やっと晴れた昨日は強風でした。今日は薫風で湿度の低い五月晴れ。初夏にふさわしい陽気でした。
 例年ならこの時期は6月より気温が高い日が多く、中学校ではプールを始める学校もあるぐらいです。今年は天候不順のため、そんなわけにはいかないようです。
 樹木は初夏らしく、葉が大きく緑が濃くなってきました。わたしの生活圏で自然を感じられる、テニススクールのコートの周りのたくさんの高木の、ガマズミが白い花をつけました。
 わが家のヤマボウシが白い花が盛りです。この樹は、街路樹に使われることが多くなっている外来種のハナミズキ(アメリカヤマボウシ)と同じミズキ科です。白い花は、花弁ではなく、総苞片というそうです。

 8日(月)に近くのデパートに行ったら、世界絵本展をやっていました。「展」という名を冠していたのに惹かれて、ついでながら立ち寄って見ました。デパートの催しもの会場ということからか、そこは絵本ナビという会社による20あまりの絵本とそのキャラクターグッズの展示・販売が中心でした。
 わたしにとっては、最近の絵本事情のある側面を見るよい機会として、興味深く60分ぐらいついやしたのでした。
 展示例は「ラチとらいおん」「どろんこハリー」「エルマーのぼうけん」「はらぺこあおむし」「マドレーヌー」「あらしのよるに」「リサとガスバール」などでした。他に日本のもので、まだあまり行き渡っていそうもないものが、展示されて驚いたのでした。
 欲しいと思うものもあったし、何かの話題の折に例示したいものもありました。しかし買えませんでした。とにかく値段が高価でした。キャラクタをあしらったバック、コースター、人形、カップ、その他の雑貨、ビデオなどです。
 メモを取りたくてボールペンを買いましたが、マドレーヌがあしらっていたもので682円でした。通常のものの4倍ぐらいの値段でしょうか。はらぺこあおむしの人形で握った手に入りそうな大きさのものやコースターが、1000円ぐらいでした。
 パテント料も含んだ商品化するからくりと販売数等想像してみたが、それにしても高すぎるというのが実感でした。「ボウケンジャー」などテレビキャラクターものより、子どもによい文化財だと思うが、このようなものを購入できる家庭はそんなに多くはないだろうと思ったのでした。それにグッズの購買対象が、子どもではなく大人であるとも思ったのでした。

 さらに、絵本がキャラクターグッズの商品と結び付けて市場を作っていることを目の当たりにして、考えさせられたのでした。現代社会は商品という形で人びとの手に渡るのはいうまでもないのだが、本来の子どもの文化財としての絵本にとどまらず、派生して商品の価値を付加させ市場を拡大する商戦略環境の中に絵本がある現実を、リアルに見る必要があると思ったものでした。
 そういえばすごい売り上げを誇っている絵本作家は、乳児向けのしかけ絵本の技法を商標登録して、その技法はその作家の占有物としました。またある出版社が出した乳児向けの絵本が、先に出版されている作品と類似していると、裁判になっています。他に売り上げのランキングなど、絵本の世界も生臭い話が増えてきています。
 しかし300万部を超える最大の発行部数で、40年以上親しまれている『ぐりとぐら』キャラクターグッズはありませんでした。作者がキャラクーグッズにすることを拒んでいるからです。『ぐりとぐら』にある歌は、20曲ぐらい作られています。あえて著作権を主張せず、みんなの文化であるという考えだと思われます。
 また、絵本から派生して商品を作るのではなく、キャラクターグッズ商品と同時に絵本を作る、あるいはキャラクタを先行させて絵本を作るということもおきてきているでしょう。「ダヤン」「しばわんこ」といった絵本が浮かんだのでした。
 メディアミックス、あるいはコンテンツ産業という環境に、絵本もおかれているということです。
 ところで絵本ナビは、ネットでの絵本とそれにかかわるグッズの販売をしている会社です。おそらく商品開発等のコンサルタントもしているのでしょう。参加者メンバーという形も取っており、2千人を擁しています。