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身近な生き物:ブリのご臨終

2022-02-09 06:29:59 | 日記
高級魚が身近に

 先日のトンガの大噴火の後、紙面に気になる見出しがありました。
<津波原因か 養殖ブリ大量死>、記事を抜粋します。
 <鹿児島県種子島の港で19日までに、養殖されていたブリの稚魚約7万~
8万匹が死んでいるのが見つかった。
魚は昨年12月頃仕入れ、漁港に4月頃運ぶ予定だった。
被害額は最大約3千万円に上る恐れがある。>
 それ程近くも無い火山の噴火でどうして稚魚が死んだのか、謎です。
その原因を記事ではこう推察しています。
 <津波でいけすの網に押し付けられたり魚同士が接触し合ったりして衰弱死
したとみられる。>(信濃毎日新聞 より)
 そう書かれていましたがどうにも腑に落ちません。
海の魚が波に押されたくらいで死んでしまうとは。
死んでいったブリたちもそんな説明では納得しないでしょう。

 水曜日は身近な生き物を扱う日なのにブリとは。
確かに海を泳ぐブリは身近な生き物ではありません。
でも養殖のブリとなれば話は別、養殖のお陰で高値だったブリも回転寿司で手軽に
食べられる魚になりました。
言ってみれば「身近になった生き物」です。
 こんなデーターがあります。
<平成30年に水揚げされた天然物のブリは99600トン。
一方養殖ブリは138900トン。
全国一番が鹿児島で46500トン。>(農林水産省 より)
 この養殖分が無ければ、ブリはいまだに縁遠い高級魚に違いありません。

次々と生まれる病気

 養殖ブリに襲い掛かる敵は先ずは赤潮。
<2019年9月5日に鹿児島県八代海で赤潮が発生、2年魚を中心に5万尾が
弊紙。>(みなと新聞 より)
 続いて病気。
<ウイルス、細菌、真菌、原虫の感染による感染症、寄生虫による寄生虫症。
水質への環境不順応、環境悪化による生理障害、餌料の欠陥による栄養性障害、
内分泌異常などの多くの病気。
次々と新しい魚病が発生している。>(J-Stage より)
 赤潮に病気、様々な障害が養殖ブリを襲います。
でもこれらはどれも因果関係がはっきりとしたもの、その意味では津波とは別です。
 繰り返しになりますが海を泳ぐ魚が波で死ぬのがどうにも理解できません。
悩める私に、専門家がこう解説してくれました。

 <噴火の後鹿児島では潮位が0.7m程上昇した。
外洋と港湾内の潮位の差で速い潮の流れが起き、海中のいけすの網が水面近くまで
吹き上げられることで魚同士や網にこすれて激しく痛み衰弱死に繋がった。>
(朝日新聞DIGITAL より)
おろし金に大根を強く押し付けてこする惨状が漸く目に浮かんできました。

 苦しみ悶えるブリは、自分を死の瀬戸際に追い詰める力に驚きました。
まさか遠い国で噴火した火山がもたらした波のせいとも知らず、やがて命が尽き
たのでした。
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