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国語のおさらい:弘法は筆を誤らない

2022-01-06 06:29:39 | 日記
タリとナリ

 毎週木曜日は国語のおさらいの日。
去年の暮れに小説を読んでいたら見慣れぬ熟語が出てきました。
 知識がないので、読めない書けない分からない漢字は星の数ほどある毎度の話。
驚きはしませんが、還暦を過ぎても読めないのはいい気分ではありません。
辞書をひっくり返して読み方と意味を調べました。
それが今週取り上げる「滂沱」です。

 小説には<滂沱の涙>と書かれていました。
辞書を引くと<涙があとからあとから流れ落ちる様子だ。>(新明解国語辞典 より)
とあります。
 また別の解説では<①雨が激しく降るさま ②涙がとめどなく流れるさま 
③激しく流れ落ちるさま>(コトバンク より)ともありました。
 <「滂」は水が盛んに流れる様子、「沱」は水が流れ続ける様子や涙が落ちる
様子を表す。
ふたつで熟語の意味合いを示している。>
どちらも液体が流れ続けることに関係がありそうです。

 水や涙は日常生活で馴染みが深いものですが、文字にした途端かけ離れた存在
になります。
滂沱なんてまず見かけません。
その理由はこう解説されていました。
 <滂沱は「タリ活用形容動詞」だから。>
なぬ?
タリ活用形容動詞?
なんのこと?
 <文語の形容動詞には〇〇ナリと〇〇タリの二通りがある。
滂沱はタリに分類され終止形で「涙、滂沱たり」、連体形で「滂沱たる涙」の
使われ方をする。>
 良く分からないけれど、決まりきった場面でしか使わないし使えない、そう
理解しました。

意外過ぎる対義語

 それでは液体が流れればどんな場合でも滂沱を使ってよろしいか?
その問いにはこんな解説がありました。
 <基本的な意味として雨や川や涙や汗が激しく流れ続ける様子を表すので、
一時的なものには用いない。
小雨が降り続く、豪雨に一時襲われる、静かに涙を流す、大声を出して泣いたが
すぐに止んだ、などの場面で使うのは間違い。>
 ちなみに対義語は<カンカン照り、涙ひとつ見せない、汗ひとつかかない>
(言葉の意味を深る より)と書かれていました。
 滂沱の涙はどこか近寄りがたい厳粛な響きを感じさせますが、対する語と
なると何ともあっけらかんとした表現で、凄すぎるギャップに驚きます。

 ところで小説には<滂沱の涙>とあったけれど、もしやこれは間違いでは
ないだろか。
「感涙の涙」みたいな重複表現に思えるけれど。
弘法も筆の誤りと言うから、年の初めからいきなり専門家のミスに気付いて
しまったかな、オレ。
 そう思って調べたらありました、解答が。
<滂沱の涙は重複表現に該当する。
しかし誤用とは言い切れない。
この表現は定型的な言い回しとして認められている。>(引用は全て TRAnS.BIZ より)
 だろうな、納得です。


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