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国語のおさらい:間違いはどちら?

2023-05-04 06:29:39 | 日記
カイロや懐炉

 毎週木曜日は国語をおさらいする日。
今週おさらいするのは、先日読んだ小説に出て来たある表現です。
日本語を勉強中のパラオの少年が発した設定で書かれた言い回しが、奇妙
奇天烈なんです。
日本人ならそんな表現はしませんよ、思わず添削してあげたくなりました。

 「待てば海路の日和あり」これは<たとえ時化が続いても、待っていれば
そのうち必ず航海に適した穏やかな天気になる。
だからじっくりと好機を待てというたとえ。>(コトバンク より)
日常会話の中に出てきても十分に意味は通じます。
 でも相手が必ずしも正しい認識をしてくれるとは限りません。
こんなへんてこ解釈もあるそうです。
<「待てばカイロの日和あり」待っていればいずれエジプトのカイロの様な
晴天に恵まれる、の意味。>
<「待てば懐炉の日和あり」待っていれば懐炉の様にぬくぬくした日が
きっと来る、のたとえ。>(モデルプレス より)
独創的なひらめきに感心してしまいます。
 Goo辞書には「待てば海路の響きあり」の誤用もあると書かれていました。
「待てば~」の進化形は探せばまだまだ見つかるかもしれません。

甘露の意味

 さて本題に戻りましょう。
パラオの少年が口にした間違った言い回しです。
そこに書かれていたのは「待てば甘露の日和あり」
読んだ瞬間に頭に浮かんだのは「物凄い誤植、校閲していて気付かなかった
のだろか」の驚きでした。
 「海路」とすべきところを似た語感の「甘露」にしてしまったのだと
確信したのです。
ところが、間違いを犯しているのは私でした。
 「待てば甘露の日和あり」はれっきとした正しい言い回し、だそうで。
意味するところは「海路」を使ったものと同様でじっくりと好機を待て。
「海路」も「甘露」も並行して使われていると書かれていました。
そんな事実があったのかと呆然自失です。

 <中国の伝説では甘露は王者の仁政に感じて天が降らせるという甘い
液のこと。>
仁政とは民に思いやりのある政治のことを指すそうで。
 つまり悪政の世の中も耐え忍んでいればやがて仁政を執る王が現れる、
希望を捨てるんじゃないって意味の様です。
 それがどうして海路になったかは<甘露の日和が実感としてとらえにくく、
海路にすることで日常生活と具体的に結び付けられることから、次第に
こちらが優勢になったものと思われる。>(コトバンク より)
 甘露は誤用どころか海路の生みの親だったとは驚きです。
でもこれをお読みの方にしてみれば、パラオの少年が知っていた言葉を、
70年近く日本人をしているオヤジが知らないことの方が驚きでしょうが。

コメント
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