Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

金子三勇士ランチタイムコンサート@トッパンホール 8/3

2011-08-06 23:28:35 | ピアニスト 金子三勇士
それはまるで獲物を捕らえるハンターのようだった。
金子三勇士はピアノに挑みかかるようにしてリスト「スペイン狂詩曲」の演奏を始めた。

この曲は今まで、東京音大付属高校の卒業公演(金子三勇士18才)、
カワイ楽器コンサートサロンにてのリサイタル(19才)、シャネルネクサスホール(20才)
そして今年の1月に青葉台フィリアホールと4度聴いてきているはずなのに、
全く同じ曲とは思えない。
その都度、スケールが大きくなってきていることに驚かされてはきたが、
今回はより力強く、真っ向から曲へと向き合っている。

トッパンホール、開演は12時15分より開場は11時45分。
開場時間の15分ほど前に着くと既に長蛇の列ができていて、
最後尾に案内される。

このリサイタルは無料、7月初めに受け付け開始とあり、
受け付け数日後に電話したところ、既にすべて予約済み。
当日、10時に発券される50枚の券があると聞き、
当日券を取るために並ぶつもりでいたところ、
都合でキャンセルされた方から譲っていただくことができた。
400席が予約開始後ほどなく埋まってしまうとは、
このところの金子三勇士の人気上昇振りに驚くと共に嬉しい限りだ。

席は後方中央。
昨年のハロウィンでの金子三勇士デビューコンサート、
自分は前方に座っていたが、後方に座られた方達は、
どのような印象を持たれたのかと若干の杞憂があった。
8/3、このホールはどの位置に座っても、視界、音響共に、
充分に満足できるということが確認できた。
ここのところ、7/23、7/30と金子三勇士の演奏を聴いてきたが、
ここのホールには温かみのある響きがある。

リスト「コンソレーション第3番」
コンサートで披露されるのが初めての曲。
英語、仏語共に訳は「慰め」
先ほどの「スペイン狂詩曲」とはうって変わり、
あくまでも調べは優雅で、金子三勇士とピアノは友好関係の中にある。
この日は猛暑が始まる前の涼しい午前中から
夕方には天候が一転して雷雨となった。
嵐の前の静けさを予感させるような曲だ。

リスト「メフィストワルツ第1番」
ショパンが曲に先入観を持たれたくないとの思いからタイトルを付けることを好まなかった、
と伝えられているが、対してリストの曲のタイトルには興味をそそられるものが多い。
「巡礼の年 オーベルマンの谷」」しかり、"Danse Macabre"「死の舞踏」など。
それぞれ文学作品からインスパイヤーされて作曲されたとされる。
この作品中の『メフィスト』とはゲーテではなくレノ―の「ファウスト」をもとに書かれたとのこと。
先ほどの「コンソレーション」とは対照的な作品。

ランチタイムコンサート、定刻通りに始まり終わる。
終了と同時に席を立ち、会場を離れる人もいて、
まさしく近くの職場からランチタイムを利用して駆け付けた観客もいたようだ。
一つ、残念だったことは最初に携帯を切るようにと案内があっても良かったと思う。

初めて聴いた金子三勇士の「コンソレーション」と「メフィストワルツ」
個人的にはたいへん満足で「スペイン狂詩曲」と共に
この三曲が入ったNEWアルバムの発売が望まれる。
演奏が終わってホールの入口に立った時、何か不思議な感覚に捉われた。
ここに来るのは昨年の10月末に行なわれた「金子三勇士デビューコンサート」以来。
あれから既に9ヶ月が経ち、
金子三勇士はクラシック音楽界へと着実な歩みを重ねていることに感慨深い思いだった。