Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

リンダとの再会

2011-01-11 12:43:06 | 年末年始のPARIS
ホテルへ戻り荷物を置くとリンダとの約束の時間が迫っていた。

お土産に日本的な物で出発前に買った雑貨類、
それと最近は海外にいる人のプレゼントに今まで自分が集めてきた手持ちの日本の作家物の陶器で、
相手の雰囲気に合った物を持参している。
今回リンダにあげた器も京都の工房の作品で20年近く家の飾り棚に置いてあった物だ。
持っていた物を人に差し上げるのは失礼、買った物の方が礼儀にかなっていると以前は思っていたが、
今は慌ててお土産用に買った物よりも自分が大切にしてきた物、そして日本に来た人に壊れ物のお土産は、
相手の負担になると思うが、こちらが持っていく分にはむしろ気持ちがこもるし、
日本の自分のお気に入りの器が海外の人に使ってもらえると思うと嬉しい。
壊れないように厳重にラッピングして機内持ち込みで持ってきた。
そしてもちろん海外ではまだ購入できないK子M士君のサイン入りCDも。
リンダは12/26がお誕生日だったのでお土産だけでなく、バースデイプレゼントも兼ねている。

そろそろ約束の時間なのでロビーに降りて行こうとすると部屋の電話がなった。
今、地下鉄を降りたところ、10分位遅れると言う。
こちらの人は時間にアバウトなイメージがあるが彼女はいつも正確だ。
10分後にロビーに降りて行き、夫は外で煙草を吸い始める。
私はフロントの前の椅子に座り「友達を待っているのよ。」などと話している。

外を見ているとダッシュでやってきたリンダは夫とすぐにお互いが分かって、
話しがはずんでいる。「私、facebookとかで見たのと同じだった?」なんて会話が聞こえてくる。
そして二人はホテルの中へと入ってきた。
リンダとニューオリンズ以来、一年半振りの再会。
感無量で言葉もない。
着いてから何をしていたかを仏語で彼女が聞くので、話し始めるが時々文法に詰まると、
その都度、フロントマンが背後から仏語教師の如く正しい言葉をそっと小声で伝えてくれる。
「リンダ、英語にしよう。その方がお互いに楽だから(笑)」

「これから何をしたい?」と聞かれて、話もしたいし、
一緒にどこかに出かけるのも良し、と迷っていると、
翌々日は午後からリンダの家に行き、家族と一緒に過ごすことになっているので、
この日はリンダお薦めの観光スポット巡りということになる。

ホテル前にバス停があるので、リンダはフロントの人にバスの番号を確認してくれる。
42番のバスに三人で乗り込む。
海外から来た人をどうやって案内してあげればよいのかなぁと思うことがあるが、
何しろ一緒にバスに乗るだけでもう充分楽しい。
目的地までの間、お互い会わない間に起こった出来事の話、
あるいはほとんど女子高生のような「ねぇねぇ、エリックの今度のアルバム、どの曲が一番好き?」
なんて会話も。

コンコルド広場、ルーブルの入り口(まともに観ると二週間昼夜掛かるとのことなのでさわりだけ)
を抜けてシャンゼリゼ通りへ。
クリスマスから年末にかけての露店が並んでいる。
イルミネーションが美しい。
人気のマカロンのお店、ルイ・ヴィトンの大型店舗には外まで並ぶ人がいる。
しかし、寒い。
東京の寒さとは種類が違う。顔や頭が冷たくなり鼻が出てくる。手もかじかんで手袋は必須だ。

凱旋門の近くまで来て、コーヒーショップに入ることにする。
何気なく入ったように見えたがこのお店は今、お洒落で人気のある場所と後で知った。
そこをリンダは選んでくれたらしい。
いかにものフランス風のカフェは今時、観光客のみで現地では目新しくないのだろう。
リンダと私はショコラ・ショウ、夫はカプチーノ。
「今晩はどうするの?」と聞かれて、夫が「シャンゼリゼの夜明かし、エッフェル塔のライトアップを見たいから、
また夜、ここに戻ってくるつもり。」
と言うと「それならバッグは持たないで。コートのポケットにお財布も入れないで。
コートの中に全部入れてボタンを掛けてね。もの凄い混雑になってパリには悪い人もいるから。」

リンダとシャンゼリゼの地下鉄の駅で別れたのが、6時半頃。
人はどんどん増えてきている。
車の量も増えてきて渋滞している。
ホテルまで地下鉄を乗り換えて戻ることにする。
大晦日と元旦、正確に何時から何時までかはわからないが、
電車の料金は無料になり、地下鉄の入り口はフリーパス。
とにかく来た時よりもみるみる人が多くなってきているのを見て、
私は夜遅くにもう一度来るのはちょっとなぁと思い始めた。

ホテルの近くの駅で降りたのに真っ暗だと様子が違う。
迷ってしまって行ったり来たり。
そういう観光客が多いとみえて地図を広げたりしている人を数人見かけた。
寒さとお手洗いに行きたいのとで切羽詰まってきた。
カフェに入って何かを飲み化粧室を借り、そこでホテルの場所も聞いて戻ろうという私の意見は反映されず、
面倒だからタクシーに乗ってしまおうという夫の決断が勝った。
タクシーに乗ると「そのホテル、後方50メートル位なんだけど、ここ一通だから、一回りして戻るけど、
それでもいい?」とにかく寒かったんで何でもいいから、行ってくれということになり、
タクシーは200メートルほど迂回してホテルの正面に着く。基本料金を払って下車。

フロントでは若いヨーロッパ人のカップルが、これから花火を見たいし夜明かしの雰囲気を楽しみたいので、
どこに行ったら良いかと聞いている。
フロントの人はシャンゼリゼでもエッフェル塔前でもと話している。
「食事とかできる場所あるのかな?」と尋ねると「わからない。」
「それなら空いているピッツェリアかカフェでも捜すかな。」と二人は出掛けて行った。

「私達も夜のイベントに行ってみようかと思っているんだけれど。」と聞くと、
「シャンゼリゼがいいですよ。」
「その界隈で食事はできるかしら?」
「9時までにお店に入れば時間が過ぎてもお店にいられます。それ以降の時間だと入店できないと思います。
それに予約がとても取りづらくなっているから、好きなレストラン、食べ物の種類を言って下さい。
今、予約をいれますから。」と受話器を取り上げた。
「まだわからないから、少し考えたい。」と断り部屋に戻る。

部屋に戻ると一日歩き回った疲れも出てきた。
夫も「やっぱりシャンゼリゼはやめる。」と言いだしてくれたのでホッとする。
今回、30年振りとは言えども私は4回目、夫にとっては初パリだったので、
できるだけ夫のしたいことを一緒にするようにしようと思っていたのだ。

ホテルの隣にあるレストランで食事をしようと階下に降りて行く。
フロントの人に「隣で食べようと思っているんだけれど、どう?」
と聞くと「隣だけは行ってはいけない。5分も歩けばいいレストランがいくらでもある。」
「いいレストランってどこ?」
「隣以外ならどこでもだいじょうぶ。何しろ美味しくないのにやたら高いんだ。」
そこまで言われたら隣には入れない。
少し先まで歩いて比較的混雑しているレストランを選んで軽い食事をして、
その日は早めに休むことにした。