コブシの花の咲くころは

平日の静かな山を気ままに歩いた記録です

久しぶりの富士北麓

2021-08-27 13:41:39 | 登山



続けて猛暑の低山歩きは萎えるので、なるなるさんを誘って
涼しい富士北麓をノンビリ歩いてきました。

初秋に咲くヒメミヤマウズラなどがもう咲き初めていると思います。










平日ですが林道沿いは、この時期キノコ狩りの車が多く止まっています。
林道の路肩でも点々とヒメミヤマウズラを見かけましたが
やはり雰囲気のよい、しっとりした森の中の方が良いです。

















探す花ではなく、広い森の中に点々と咲いています。

2~3株だけですと、その株に集中して撮影しますが
いくらでも咲いているので背景の景色とか咲き具合とか
自分が気に入った株だけにカメラを向けることになりました。

苔の中に咲くヒメミヤマウズラは可愛らしく、花が大きく開かない
控えめな感じが気に入っていて、随分と前から訪れています。





























10年くらい前の記憶を思い返してみても
自生している花の数は以前とあまり変わらない感じがします。
むしろ場所によっては増えているかな・・・・と思うくらいです。

近年はどの山域も食害が酷くで消えていく花が多い中、以前と変わらず
咲き続けている自生地は着生ラン以外はほとんどありません。
何か理由があるのでは・・・・・と思います。

富士山麓も食害が酷くて、林床に残って咲いているのは鹿が好まない
植物だけですが、ヒメミヤマウズラは鹿が好む好まないという理由でなく
葉がロゼット状態で地面に張り付いていたり、苔の中に潜っていたりして
いるので、たぶん鹿がうまく食べることができないからではないか
と思っています。

同じく比較的まだ見かけるヒトツボクロも同じような感じです。

八ヶ岳のホテイランも花はかじられていますが、葉は無事なことが多く
あまり自生数は減っていない印象です。

ただ自然林の森だと、食害末期状態になると樹の皮は剥ぎとられ
低木までも食べつくされてしまい、森自体が乾燥化して衰退し
林床の植物も消えてしまいますが、ここは幸い植林帯の森ですので
何とか同じ環境を維持しているのかもしれません。











ヒメミヤマウズラはシュスラン属の中でも
葉の模様が特に美しいです。










花を付けていない株も多く、美しい葉だけの群落は
いたる所でみられました。










トラキチランも終盤でしたが何とか花が見られました。




















このあたりは少し乾燥化してきた感じもします。



この後は寄生火山に登ったり、樹海を探索したり・・・・
以前はよく歩いた精進湖登山道も歩いてみました。

精進湖登山道と周辺の樹海の森を歩いてみると、もう以前の面影はなく
乾燥化と食害が進んだ森になってしまった感じでした。









以前は点在していたコアツモリソウの自生地は消えてなくなり
登山道沿いにはバライチゴ、キッコウハグマ、がやたら目立って
樹海の中はアセビだけという、ずいぶんと寂しい森に変わっていました。

唯一ミヤマウズラが以前と変わらない感じで多く咲いています。

これはヒメミヤマウズラと同じ理由ではないかと思います。









やはり葉は美しいですね。









このミヤマウズラの葉はベニシュスランと
見間違えるくらい似ています。

以前、房総でシュスラン属どうしの交配種のような葉を見たことがありますが
どうも場所によって模様の変異が多いだけかもしれません。

富士山麓のミヤマウズラとヒメミヤマウズラは住み分けしていて
混じり合って花が咲いている場所は見たことがありませんので
たぶん交配種はいないでしょうね。



先週とは違い涼しく快適でしたので、なるなるさんと時間を忘れて
夕方まで歩くことができました。
林道沿いにはワレモコウ、ナデシコも咲いていてススキの穂も
伸びて、もうすっかり秋の雰囲気です。

猛暑の都心へ帰るのが嫌になってしまいました。






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霧雨の(ヒルだらけ)房総丘陵 ~ ナツエビネ

2021-08-20 18:33:55 | 登山

天気は何処もよくない予報でしたが
房総方面は雨量も1mm程度でしたので、ナツエビネが咲きはじめた房総丘陵へ。

あえて山深い自生地を目指します。










スタートからヤマビルが多く、常に足元を気にしながら行きます。










小雨程度なら照葉の森は天然のアーケードですので
濡れることもありません。

林床の花は食害もあって何もなく、以前はコクラン、コバノギボウシ、ウバウリなど
それなりに咲いていましたが、今はシュウブンソウだけが目立ちます。










岩場を回り込む時、上を方を見るとムギランが多く着生していました。
















遠目ながらバルブがあるのが何となくわかります。

冬になったら斜面を回り込んで、他にも何かいないか確認してみます。

花はないのですが、雨に濡れた羊歯や苔が新緑のように輝いて美しいです。
眺めているだけで心安らぐ風景ですが、ヒルがいるのでどうしても落ち着かないです。



















泥だらけになって到着したナツエビネの自生地。

苔むした倒木に何株も着生していて、お気に入りの花風景なのですが
何度見回しても、花芽は黒く枯れていて一株も花を咲かせていませんでした。














気候変動による寄生バエの影響でしょうか・・・・

途中の稜線でもコナラなどのナラ枯れが目だっていました。
風の通らない沢沿いの自生地は特に影響を受ける印象です。





・-・-・-・-・-・-・-・-・-





奥まった林道沿いにもナツエビネはいますので
帰りに寄り道して撮影してきました。
















風通しの良い林床では綺麗に咲いていました。

食害で花芽を食べられない限り、毎年こんな感じに開花します。





















いつ見ても野生のランとは思えない美しさ・・・・・

それだけに、毎年苦労して山奥へと足を運ぶことが多いのですが
咲かない年が多くなってきました。


ここは車を置いた場所からも見える斜面に咲いているので、
油断してロングスパッツを付けないで撮影していたら
ほんのわずかな時間で3か所もヒルにやられてしまった・・・・( 泣 )

前回のカシノキランの時も帰りに寄った所で4か所・・・・・
この時はしっかり吸血されたので、なかなか血が止まらなくて困った・・・・( 大泣 ) 
以前はヒルがいない場所だったので、ここでも油断してしまいました。
ヒルがいるいないに関係なく、濡れた場所では
最低限ロングスパッツを付けるのが鉄則です。
もう一度、自分に言い聞かせなければ・・・・


もう冬以外に房総丘陵を安心して歩くことができる所は皆無に近い状態に
なってしまいました。今の所、鹿野山周辺、南房総の一部くらいです。
そういった場所も時間の問題だと思います。





ちなみに、ヒルに吸血されると帰ってからシャワーで
荒いながしている時もまた血が流れてきますが、翌日の症状は少し痒い程度ですので
ステロイドを2~3日ほど塗って終わりです。

ただ跡はしばらく消えないで残ります。・・・・・1~2週間くらい・・・・

・・・・・吸血された翌日は、こんな感じ・・・・・周りが真っ赤になります。
少し痒いのですが、何か用事をしていると忘れてしまう程度です。









毛虫の毛、ブヨ、何か不明な虫・・・・・
毎年、初夏~初秋にかけて被害に合っていますが
そういった場所を趣味で探索しているので半分諦めています。

特にブヨは毒を入れるので、後で腫れて痒みも酷いので、今年はイカリシン15%の
虫除けスプレーを使用してみましたが、効果の程はよくわかりませんです。

それに比べて、ヤマビルの症状は軽いですので、それほど神経質になることは
ないのですが、見た目気持ちが悪く血が止まらないので厄介です。

今年の夏は雨が多いので要注意です。





コメント (5)
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ツリシュスラン ~ 富士山麓

2021-08-12 17:49:11 | 登山


心配していた台風も去って、早朝に到着する頃には青空が広がってきました。










都心の気温は夜明け前でも車外温度が30度ありましたが、ここ富士山麓は20度を下回っていて
信じられないくらいの気温の差にビックリ。 (*_*)

先週の房総の沢では息苦しさを感じるほどの暑さでしたので、スタートから気分爽快です。
今日は咲きはじめたツリシュスランの花を見ながら、山麓を一日歩こうと思います。
花芽は100株以上はありましたので、どんな花景色が見られるか
とても楽しみです。

今まで何度も歩き回って探しても、ツリシュスランに出会うことは少なく
昨年にようやく目線近くに3株着生していた樹に出会いました。

ツリシュスランは花芽が出ないと見つけ出すことが非常に難しく
裸眼はもちろんですが、双眼鏡で流して見ているだけでは葉だけの株を
見つけ出すことは無理で、花芽が伸びてきてやっと見つけることができます。

そして今年はその花芽がとても多く、今まで見ることが無かった森でも
何ヶ所も花芽が出来て着生しているのを確認していました。


天気は良さそうですが、歩きはじめると時々霧が流れてきて森を包んでいきます。









昨年は3株咲いていた樹ですが、今年は前回数えたら38株くらい・・・・
正確に数えればもう少し多く咲いていると思います。


霧が晴れてきました。


























こんなに咲いている花景色はネットでも見たことがないです。

この花景色、今年だけ限定の景色かもしれない・・・・・・

そんな気もしたので、しばらくの間🍙を食べながら眺め・・・・・
飽きることなく何枚も、いろんな方向から撮影しました。























下の方から咲き初めています。





















・-・-・-・-・-・-・-・




台風の影響で林床には折れた枝や葉などがいっぱい散らかっています。
これはシナノキの花、昨年はブナの青い果実が多く落ちていましたが今年はまったく見ませんでした。

・・・・・・・樹々を見上げながら森の奥へ









標高が上がるとイワギボウシがもう咲き初めています。
苔の緑に薄紫が映えます。










ヒナチドリがまだ咲いている!












枝の隙間から・・・・

















ここも花をいっぱい付けています。

房総に咲くシュスランも今はこんなに寄り添って咲いていません。
苔やノキシノブと一緒に咲く様子は着生ランならではの景色です。

















先週は可愛らしいカシノキランを見たし、樹々を覆うマメヅタランも素晴らしい景色ですが

このツリシュスランの花景色はまたどこか別格な感じがします。

ワビ・サビの・・・・品がある美しさというか・・・・・・

・・・・・あくまでも私的な思いですが・・・・


ここは目線の位置に・・・・










よく見ると細かい毛があります。










少し上の株は、葉や花茎が見えないのでツメレンゲのように見えます。




































最初に花芽を確認した時には見えなかった株も多く
更に目線を上げると枝の上の方にも着生していたり、隠れていたり・・・
予想以上に多くの花を見る事ができました。まだ着生している樹もありますが
これだけ見れれば十分です。ツリシュスラン以外の着生植物もいろいろ見られました。


マツノハマンネングサは丁度咲いていました。










樹に着生するキンレイカ











アオベンケイ











オシャクジデンダ













一度にこれだけ多くの花が咲いたので、来年からしばらくは見られないのではと思います。
他のシュスランの種類はわかりませんが、ベニシュスランもそんな感じです。
株や葉の大きさに似合わない大きく立派な花を付けるので
充電期間が長くなるのも仕方ありませんね。


林道にはナガバノコウヤボウキが咲いていました。
8月中旬だというのに、もう秋雨前線が横たわり
秋が早く来そうな気もします。









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ホンゴウソウ

2021-08-07 12:43:36 | 登山


カシノキランが咲く渓谷を探索した後
周辺の森にはホンゴウソウの自生地があることを以前に教えてもらったので
丁度咲きはじめた時期だろうと思い探してみることに・・・・・・










クモランは果実を付けていました。
果実を付けた株が何とも可愛らしいので花が咲いた景色を見てみたかった・・・・・










ミヤマウズラは花芽を伸ばしています。
シュスランの種類も開花が早そうな感じがします。










湿り気のある地面をゆっくり眺めながら探していくと
ヒナノシャクジョウが点々と見つかりました。










この花は夏の房総を歩くと所々で見かけていましたが
ホンゴウソウはまだ見たことがあありません。

きっとこんな感じの所に一緒に自生しているのだろうと
しゃがみ込んで周りの地面付近をよく見回していくと
すぐ足元に点々と自生している株が見えてみました。






















丸い果実のようなのが雌花のようで
雄花らしい花も少し見かけます。上の方のツボミは雄花のようです。
地表付近に目線がなれてきたら周辺には点々と自生していることがわかりました。
日射しが当たるような明るい所にも自生していました。

ホンゴウソウは全体の色が土の色と馴染んでしまう濃いエンジ色をしているので
歩きながら探しても見つかりません。着生ランとは反対で目線を落して
地面スレスレを眺めていくと見えてきます。

写真映えする緑の苔に咲いている株を見つけました。














案外ここ以外にも自生地は多いのかもしれません。
花期が長いようですので、ナツエビネを見に来た時にまた探してみようと思います。











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カシノキラン

2021-08-04 18:21:01 | 登山



猛暑が続く夏ですが、今年もアルプスは遠くて行けそうにありません。

一泊二日でジャンダルムを歩く健脚者のレポを羨ましく見ても、今の自分には遠い世界ですので

せめて夏に咲くカシノキランでも見ながら周辺を歩こうと暑い房総へ・・・・

少し離れた日陰の駐車スペースを探して車を止めスタート。
止めやすくても日射しの当たる場所ですと、戻ってからが大変です。
一山超えて渓谷へと降りていきます。











毎年カシノキランはヒメハルゼミの合唱を聞きながら大汗かきかき
山間部の尾根を歩いていましたが、今回は渓谷に咲く花を見たくて沢沿いを中心に歩きました。










タマアジサイの蕾も弾けて咲き初めています。

花は涼し気ですが、タマアジサイは湿り気のある道を通行不能な藪にする張本人です。










沢沿いは見た目に涼し気ですが、風がなく蒸し風呂状態。

一度全身が汗で濡れないと落ち着かない感じがします。
それなら最初に水で濡らしてから、よく絞った服を最初から着た方がよいのかな~と
いつも考えながら歩いています。

そろそろ本気で空調服も考えようかな・・・・

汗をぬぐいながら・・・・・・羊歯や苔の緑に救われます。
沢沿いにはハナミョウガ、ツチアケビの果実など・・・



















薄暗い渓谷ですと、花が咲いていてもカシノキランは目に入って来ません。
葉の影に隠れるように咲くので下から見上げながら探していきます。
苔むした樹々から目線を外さないように、じっくりと眺めていくと
レンズの焦点が合うように見えてきます。









































目が慣れてくると、先ほどまでは何も見えなかったはずの樹々にも
不思議なくらいカシノキランの姿が見えてきます。




























細いツルにも多く着いています。

















細いツルにも着生していたかと思うと、それほど苔などが付いていない
大きな樹にも点々と着生していたりします。










この樹はアカメガシワかと思いますが、ぐるり100株くらいは着いています。
カシノキランというだけに樫の木には確かに着生している確率が高いけど
照葉の森全体に占める樫ノ木の割合も多いです。
カエデ、カゴノキ、アカメガシワ・・・・・・条件が良けれどんな樹にも着生しています。





高い位置の枝を見上げて見ると、カエデの葉っぱが茂っているのしか見えませんですが
枝のシルエットが凸凹しているので、双眼鏡で見て確認すると
ワサワサとカシノキランの楽園となっています。
























これだけ着生していれば、カヤランなら何株か落ちていそうですが
カシノキランはしっかり絡んで着生していて
枝が折れない限り、なかなか落ちてこない感じです。


カゴノキに着生している株は赤い模様がなく綺麗なレモンイエローの花です。




















目線の位置にも見つけたので、笑い顔も撮影できました。













沢沿いの林床には、これから咲くナツエビネが花芽を伸ばしています。












・・・・・ヒグラシが鳴く晩夏にもう一度来なければ・・・・

花が咲く頃には、少し秋の気配を感じるようになっていると良いなと思います。






コメント (2)
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