コブシの花の咲くころは

平日の静かな山を気ままに歩いた記録です

トサノクロムヨウラン

2021-07-28 20:07:52 | 登山


先週の獅子が鼻公園周辺は標高が300mに満たない里山で
茶畑や竹藪、杉林に照葉の森が混じり合った典型的な里山の森でした。
少しジメジメした所にはハナミョウガが多く、どこか房総ような雰囲気もします。
林床を眺めても花がない時期ですが、薄暗い林床を眺めていると、枯れ枝のような
クロムヨウランが見えてきました。

















途中から花が咲いている株もいたのでトサノクロムヨウランということです。










花の開花には少し早い感じでしたが、目が慣れてくると
中心が美しい青紫色の花を見る事ができました。

綺麗に開花したトサノクロムヨウランを見たのは初めてです。










随分と前になりますが、房総の森でまとまった株を見つけたので
花を楽しみにしていましたが、開花した花を見ることはありませんでした。
その頃は、クロムヨウラン、トサノクロムヨウランの区別は無かったような気がします。
その年の状況によって咲いたり、咲かなかったり・・・・・そんな感じかなと思っていました。
ただ何年かして、たまたま再訪した時は、少し開きかけた株も見ることができました。

山深い場所でなく、むしろ鎮守の森や郊外の谷戸、公園などでも出会うことが多いので
あえて暑い夏何度も見にいかなくても、そのうちナツエビネを探している時にでも
何処かで出会うだろうと思ってました。

しかし、どうもタイミングが合わないのか
綺麗に開花した花に出会う事がありませんでした。
















晩夏の薄暗い林床に咲くナツエビネと色合いは似ていますね。


・・・・・見れば見るほど美しい!

この花を見に来たわけではないので、なんだか得した気分です。











今回は久しぶりに一度も訪れたことがない山域の探索でした。
やはり出かける前までは不安もあって何度も地図を眺めたり、グーグルアースで
道やコンビニなどを確認したりして、ネットでいろいろ調べたりして行きました。

コロナ禍ということもあり、ついつい行きなれた山域ばかり行くことが多くなっていましたが
思い切って新しい山域へと行ってみると、ドキドキしたり、嬉しい出会いもあったりして良い刺激になりました。














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再び富士山麓へ

2021-07-23 18:58:16 | 登山



獅子が鼻公園では早朝の涼しい時間帯から歩き出したのですが、1時間もしないうちにもう汗だくになってしまい
この先が思いやられる感じでしたが、幸い思っていたより早く花が見つかったので
寄り道しながら午後は涼しい富士山へ移動しました。
というか、この猛暑では富士山以外に探索する
ような山域はないだろうと思いました。

途中のアスファルトの上では車の車外温度が35度を超えていましたが
標高が高い富士山麓へ移動すると、木陰では涼しい風が通り別世界です。













ブナの樹が混じる落ち着いた森を行きます。

汗を拭うこともなく体もすっかりクールダウンできたので樹々を見上げながらノンビリ行きます。

この樹はダイモンジソウが着生しています。








小さなキバナノショウキランも見かけました。









苔でフカフカな樹々を見ていくと、途中からフガクスズムシソウが着生していました。











目線の位置にも・・・・

やはり着生ランの季節、このあたりから少しギアを上げて探索開始。
前回より比較的標高が高い場所を目指します。













標高を上げたので、このあたりのフガクスズムシソウは丁度見頃な感じです。

ここはフガクスズムシソウの左下に昨年に咲いたツリシュスランのガラが付いています。









きっと上の方にも居るだろいうと双眼鏡で探すと枝の分かれ目に着生していました。










フガクスズムシソウとツリシュスランは同居していることが多い感じがします。
昨年までは、ツリシュスランは滅多に出会わない希少なランだと思っていましたが
今回も別の場所ですが何ヶ所かで見つけることができました。


ただ普通に見上げて見るだけでは目はいってきませんが、探し慣れてきたのか
前回よりも花芽が更に伸びてきたので裸眼で見えてくるようになりました。



ここはシルエットでわかります。










この樹にも居ました。


















もう蕾も膨らみはじめ花茎が先端から曲がりはじめている株もいます。

樹の上の着生しやすい枝の分かれ目や少し段差や凹みができた所に多く着生するものだと
思っていましたが、そうでない所にも多く着生していました。












ここも同居しています。











今日も数多くの樹を隙間なく見上げてきましたがヒナチドリやフジチドリの花は見つかりませんでした。




前回は蕾だった所は咲き初めていました。










ツリシュスランも目線の位置や足元にもいたので
いつかそんな場所に出会えればと思っています。







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ムカデラン

2021-07-21 15:19:13 | 登山


遠州森町のサイトを見ると、獅子が鼻公園の岩場にはムカデランが自生していると書いてあります。
見たことが無い着生ランですので、以前から機会があれば行って探してみようと思っていました。

以前は房総にも居るのでは?と思い、岩場や樹の上を常に意識して歩いていた時期もあったし
西に自生するヒナランがいる奥久慈の岩場にも、もしかしたら・・・・
という思いで毎回気にかけていましたが、見つかることはありませんでした。

これはやはり西へと行かなければ無理そうだと思い、ようやく行って見ることにしました。
真夏に咲くムカデランなら冬でも葉は残っているので、本当なら冬に探しておいて
花が咲く夏場に、そこへ花を見に行くだけにするのがベストですが
経験と気力で明方から探せば何とかなるかな・・・・


この手の着生ランはマメヅタランと同じ、まずほ垂直に切り立った岩場近くを探せば
良いと思うので、地図を見ながら何ヶ所か目星をつけて周辺を探してみます。
森町のサイトには乾燥した岩場と書いてあったので、イワヒバやシダの多い日陰ではなく
比較的日当たりが良さそうな場所から探してみました。
きっとマメヅタランと似た環境かもしれません。


少し明るくなりかけた早朝、ヒグラシの大合唱を聞きながら出発。
この時期の探索は富士山麓でも大汗でしたので、せいぜい半日かな・・・

初めての場所で見たことが無い着生ラン・・・・この暑さ・・・・最初は少し悲観的でしたが
岩場に登って周辺を眺めてみたら、双眼鏡を取り出す必要もなく、あっさりと見つかりました。
理由は簡単、周りの切り立った岩場の上部のほとんどをビッシリとムカデランが着生しているのです。






























奥久慈のマメヅタランに匹敵する大群落ですが、ぱっと見た感じ花が目に入って来ません。
珊瑚の白化のように枯れて白くみえるのは着生根だけでなく、茎も多く枯れているように見えます。
誰かのブログに獅子が鼻のムカデランは乾燥化で衰退してきている・・・・・と書いてあった記事を
読んだことがありました。
双眼鏡でよく見ると、元気な株もいて小さな花がポツポツと確認できました。
























初めて見る私には、多少衰退気味でも何でも出会えただけで十分です。

周辺の岩場の様子からザイルで降りるのは難しい感じがします。
腹ばいになって、つま先を岩に絡ませ、腕を伸ばして何とか・・・・・
横からは三点支持で何とか片手を伸ばして・・・・・・

取りあえず何枚か撮影してみました。























少ないながらも花が咲いています。

小さいけどピンク色が綺麗で同じ様な岩場に咲くマメヅタラン、ムギランとは全然印象が異なり
なんとも可愛らしい着生ランです。

岩場の淵の方のイワヒバなどがいる、少し日陰の方にはイキイキした感じの株も見られました。
































これだけの大群落があれば、他にも必ず自生している場所はあると思いますが
今回はここまでとしました。ここは冬に再訪して探した方が賢明です。
その方が落ち着いてユックリ探せます。なんせ今日の暑さは半端でなく
集中力を失い意識もモウロウとしてきそうです。

もう少し半日蔭の岩場、樹々に隠れた岩場などにもいる感じがします。
もしかしたら樹の上の方にも住んでいるかも・・・・・

この静岡県西部、今までは日帰りで探索するには少し遠い感じがしていました。
しかし、新東名高速道路ができたおかげで東京インターから2時間15分くらいで
近くのインターに着き、自宅からですと3時間少々で駐車場に到着できそうです。

行きなれていなかっただけで、感覚的に奥久慈周辺と同じくらいの距離感です。
これなら日帰り探索も問題ありません。まだ土地勘はありませんが、新しい探索地ができました。


午後は涼しい富士山に移動します・・・・・・・・つづく。










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夏の権現岳へ

2021-07-16 18:36:53 | 登山



寒気が居座る不安定な天気でしたが、標高の高い山を歩きたいと思い
なるなるさん(Kさんのハンドルネームです)を誘って今日は八ヶ岳の権現岳へ・・・・
都心からのアプローチの良さから秋から冬は何度も登ってきましたが
夏の権現岳は初めてです。前回は撤退して花散策になりましたので
今回は何とか山頂まで行きたいのですが、カミナリがちょっと心配です。

7時半に天女山の駐車場に到着すると、他に車はなく今日は貸し切りでした。
厳冬期でも貸し切りはマレですが、午後から雷雨の予報だからなのか
それとも再びコロナの感染者が増えてきているからか・・・・
どちらにせよ、今日も静かな山歩きができそうです。


前三ツ頭の急登になるまでは、気持ちのいい高原散策気分です。
カッコウの鳴き声を聞きながらノンビリ行きます。








草むらに点々とエゾスズランが咲いていました。

















途中からはイブキジャコウソウが多く、歩いていると香りが漂ってきます。
匂いで鹿が食べないのでしょうね、丹沢ですとマツカゼソウですが
青臭いマツカゼソウに比べて、ハーブのタイムと同じイブキジャコウソウは
とても清涼感があってさわやかな香りがします。

















天気は曇りで、富士山は見えません。
小雨程度なら今日は山頂を目指そうと思います。







花の少ない笹の急登を終えると視界も開けて花も多くなってきます。







  





ヨツバシオガマ、タカネグンナイフウロ

岩陰には私好みのイトイ。











草むらや密生した笹の中にコハクランを点々と見ます。
あまり良い環境とはいえない感じです。
昨年に富士山で苔蒸してシットリした針葉樹林の森で点々と葉を見ましたが
乾燥気味のここでは増えていくのは厳しそうです。












霧が深くなってきたと思ったら雨が降り出してきました。










しばらくすると雨は止んできましたが、今日はこんな感じの不安定な天気だろうと思います。

このあたりは陽ざしが当たり、冬山でも晴れて風が無いと汗をかいて暑いくらいですので
今日は暑さ対策をして飲み物も多めに持参してきましたが、こんな天気ですので
とても涼しく、風が抜けると肌寒いくらいです。展望はありませんが
花を見ながら行くなら丁度良い気温でした。








コメツガの新芽が綺麗です。毎年これくらい伸びて成長していくのですね。












前三ツ頭に着くと一時青空が広がり、夏山にきたな~という景色が見られました。
















バイケイソウも花が咲いて、ハクサンチドリの中にニョホウチドリも一株だけ咲いていました。

今年はあまり花が咲かなかったのかもしれません。











標高が上がるとキバナノコマノツメもまだ咲いていて
マイズルソウ、ゴゼンタチバナ、コケモモ・・・・・
花も増えてきました。










これはミドリゴゼンタチバナと言うのかな・・・・










ハクサンシャクナゲの道を三ツ頭へ
















ガンコウランとウラシマツツジ、緑が美しいです。

秋に来た時はウラシマツツジが真っ赤に紅葉していました。


三ツ頭に到着。








周辺の岩の隙間にはチシマギキョウが多く群生しています。








久しぶりに見たチシマギキョウ、青い花というのはどこか高貴な感じがします。
岩の隙間や周辺に群生していました。ただ花はこれからで、ほとんどがまだ蕾です。

小さなランばかり見ていると、葉っぱに対して大きな花を付ける高山植物は
とても見ごたえがあります。









ここで観音平から周回してきた青年に会いました。
権現岳は花が綺麗に咲いていたそうです。
クロユリ、コマクサ・・・・・何年も見ていないので楽しみですが
どうも天気が・・・・・

赤岳の山頂部はずっと雲に覆われ、権現岳も時折雲の隙間から見えるくらいです。













遠くで雷鳴が聞こえるので雨雲レーダーを見ると、やはりこの後は雷雲が近くを通過していきます。



山頂までは1時間くらいですが、稜線でカミナリとの遭遇は逃げ場がなく
昔は随分と怖い思いもしてきたので、今回はここまで・・・・とします。







なるなるさん、残念ですがまた来ましょうね。


・-・-・-・-・-・-・-


やはり帰る途中からカミナリ雲が近づき、ずっとゴロゴロ鳴っていました。
幸い土砂降りには会わなかったので花を探したり見たりしながら
ゆっくり帰ることができました。

車に戻ったら、もう夕方5時過ぎていて時間の感覚がまったく
わかりませんでした。

花の様子ですが、どうも今年は裏年なのかもしれません。
これから咲く高山植物は変わりないかと思います。

綺麗に咲いていたのはハクサンシャクナゲぐらいでしょうか・・・・

唯一ヤマトキソウだけは丁度タイミングよく見頃の綺麗な花が見られました。
先が少し開くだけですが、葉ッパとのバランスが絶妙です。











山頂までは行けませんでしたが、気温が落ち着いていたので
花を見ながら静かな山歩きができました。

梅雨も明けて夏山シーズンになりましたが、外国からの登山者もいないし
コロナ禍で例年より人出は少ないかと思います。
行けるなら久しぶりにアルプスの稜線を歩きたいな・・・・・と思ってはいますが
2回目のワクチン接種も終わるので、しばらく様子見かな・・・・









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梅雨時の富士山麓  ~ ツリシュスラン

2021-07-09 19:27:38 | 登山


~前回の続きになります。








苔蒸した樹々を一本一本双眼鏡で見上げながら標高を上げていきます。

倒木も見事にふかふかグリーンにコーティングされています。








北八ヶ岳の森も苔が美しいのですが、コメツガ、シラビソなどの針葉樹の森です。
富士山麓にはブナ、ミズナラやカエデも多く、苔やシノブが多く着生していて
貴重な着生ランも住んでいる、とても多様性のある森だと思います。

この時期、ブナやミズナラを見上げると所々でツルアジサイの花が見られます。






初秋のイワギボウシ、秋のダイモンジソウ・・・・
食害で林床の花はありませんが、樹々に着生する花が楽しめます。

ブナの樹の周辺には果実のガラがビッシリと積るようにありました。
昨年は豊作だったのですね。









小さいのが幸いして食害から逃れたハコネラン、アリドオシラン。















アリドオシランはまだ蕾でした。

米粒程度の大きさですが、苔の緑の中ですと白い蕾がそれなりに見えてきます。










なだらかに見える富士山麓ですが、中に入ると地形は複雑で時々GPSで位置を確認しながら行きます。
基本は登っているので、迷ったらそこから下って行けばそのうち何処かの車道に出るだろうと
安易に考えていると深い迷路にハマります。


この樹は昨年の秋に探索していた時、フガクスズムシソウの葉がまだ残っていたので
撮影して帰ってからパソコンのモニターで明度を上げ拡大して、細部もよく見ていたら
ツリシュスランの葉が多く着生してるのが確認できました。





















昨年は一株も咲かなかったようですが
今年は何株も花芽が見えます。 (^^ 


目線近くのフガクスズムシソウは少なくなってしまいましたが
よく見て行くとシノブの隙間に住んでいたり、双眼鏡レベルで見上げて見る枝には
ワサワサと住んでいます。

また種が下に落ちて、いつか目線の近くで見られる時がくれば・・・・・

















何か着生していそうな樹を見つけては双眼鏡で順番にゆっくり眺めていきます。

ツリシュスランは花が終わってからでも花殻が目立つので
昨年の秋に場所を変えて2度ほど探し歩いてみましたが、まったく花殻は見つかりませんでした。
パソコンのモニターで株があるのを確認できたくらいで、花殻や花芽がない株を
見上げて見るだけでは見つけるのが非常に難しいことがわかりました。

今日は丁度花芽が伸びている時期ですので、どこかで花芽を付けた株に出会わないかな~と
あまり期待はしていなかったのですが、立ち止まって見上げていくと、けっこう高い確率で花芽を付けた
ツリシュスランが目に入ってきました。


なかなかすぐには見えてきませんが、同じ樹を違う角度から何度も見ていくと
少し垂れ下がってきたツリシュスランの花芽が見えてきます。



















ここは双眼鏡で見る前にすぐ気が付きました。(^^











背伸びすれば届く位置にいました。










上の方にも点々と株があって、花芽を付けた株も見えます。









ようやく双眼鏡を使わないで、ゆっくりと観察できます。








花芽を付けた株を見ていると、
たぶんすぐ上の方の花芽のない株達と苔の中でつながっていて、同じ一つの株なのだと思います。


ベニシュスランは花を咲かせるとその株は衰退して
また2~3年後に成長して花芽を付けますが、ツリシュスランもそんな感じなのかな・・・・・




この樹には花芽を29本確認しました。きっとまだ見落としていると思います。
花が咲いた景色を想像すると、なんだかドキドキしてきます。































比較的低い位置に着生していた株を眺めていた時
何気なく下を見たら・・・・・

足もとにもいた。 (*_*;

ツリシュスランはさすがに足元にはいないだろうと思っていたので
ビックリです!









周りに葉は見当たりません。
こうして花を咲かせる株だけの時もあるようです。
長い間、養分わ蓄えていたのでしょうか・・・・・












今回は凄いコラボも見る事ができました。










数えていませんでしたが、少なくとも50株以上は花芽を見たと思います。

もともと多くの株が住んでいる森なのだと思います。
気候の影響なのか昨年はまったく花芽を付けない年で
今年はその反対の当たり年なのでしょう。










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