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~頭を使ってではなく、カラダ(感性)で子育てしてみませんか~

脳の不思議と可能性

2016年01月02日 | エッセー
 脳の可能性を信じたい。
 神田橋譲治先生は、精神科の病気を心の病気としちゃうから見えなくなる。脳とカラダと心の三つが三角形でつながっていて、心がおかしくなったら、脳とカラダからアプローチしていくと、よくなっていくとおっしゃっている。
 福井大学子どものこころの発達研究センターの友田明美教授の虐待と脳の発達についての記事を読んで、脳のカラクリと心の成長の関係が見えてきた。
子どもの脳は、生まれた時から成長発達し続けている。そして、その発達にも脳の場所によって適齢期がある。もし、その時期に虐待を受けると、その部位がうまく発達できずいろいろと問題行動をおこしやすくなるらしい。
 虐待は、あまりにもつらすぎ現実から逃げて適応していくという防衛反応という脳を作り上げていく。まさに人間が人間関係の中で生きていくための大切なスキルの醸成を、皮肉なことに生きていくために適応した結果、奪ってしまいやすい。
 先生の調査の対象は、554人の大学生、1455人の一般人から『子ども時代に性的虐待を受け、他の種類の虐待は受けていない。』『親からの暴言を経験し、他の種類の虐待は受けていない。』『深刻な体罰を経験し、他の種類の虐待は受けていない。』で、対照群と脳の画像の違いで調べていったとのこと。その結果、虐待の種類によって、あるいは、虐待を受けた時期によって、脳の傷つく場所が異なっているということがわかったとのこと。
親が大声を上げたり、ののしったり、価値がないというようなことを言ったり・・・などの暴言を浴びた人は、ウエルニッケ野と呼ばれる聴覚性の言語中枢、つまり、会話するなどコミュニケーションのカギとなる領域の容積が平均14.1バイも増加していることがわかったという。増えるっていいことじゃない?って思っちゃうけれど、実は、この領域だけは、脳が成長する過程で植木屋さんみたいに茂りすぎた木の枝を刈りこまないといけないのだそう。それが、言葉の暴力を浴びた子どもは、うまく刈り込みができなくてすっきりせず、その結果、人の話を聞きとったり会話したりする際に、その分、余計な負荷がかかってしまうのだそう。暴言が脳の発達に影響する年齢は、4歳から12歳。
 体罰など、厳格な身体的虐待を受けた人たちは、右前頭前野内側部の容積が19.1%も少なかったそう。右前頭前野内側部は、感情や思考をコントロールし、犯罪の抑制力にかかわっているところ。さらに集中力・意思決定・共感などにかかわる右前帯状回も容積減少がみられた。物事を認知する働きをもつ左前頭前野背外側部も14.5%減少していた。
 虐待の程度がさらに深刻だったり、複数の虐待が起きている場合は、もっと脳の奥の海馬や扁桃体などに障害を引き起こし、感情のまひや解離、フラッシュバックとも関係してくる。
 親のDVを目撃して育った人は、視覚野の容積が平均16%減少しているにもかかわらず、血流は7.1%増加していて、これは、この部位が過敏過活動になっていることを示す。
親のDVでも、意外だったのは、身体的暴力を目撃した場合より、言葉の暴力を目撃してきた人の方が、脳のダメージが大きかったということ。ふと、夫婦げんかって大丈夫なのかなぁって心配になってしまった。お互い負けてなければいいのかなぁ?
 虐待を受けた人の感覚情報をもとにした自分の身体マップがあると言われるけつせん部や痛み・不安・恐怖などの体験や食べ物や薬物への衝動にも関する島皮質が非常に密になっていて、情報が伝わりやすくなっていて、一方で、意思決定や共感などにかかわる前帯状回からの神経はスカスカになっているという。
 そういう脳で生きていくって、大変苦しいことだろうと想像する。生きている・・・ただ、それだけで、息苦しい。いつも、心が楽になりたいって思っているんじゃないだろうか・・・。溺れかけている。すがるものがあればすがりたい・・・。浮き輪があったら、きっと、しがみついて放さない。・・・きっと。
 そんな脳になっている人に、心とか意志の力で治しなさいというのは酷なことかもしれない。視力の落ちた人に意志の力で視力を回復しなさいと言っているようなものだ。視力の落ちた人はメガネがある。でも、脳のある部分が15%少ない人にメガネみたいなものがあるかというとない。もっとも、視力も近くをみたり遠くを見たりなどのトレーニングによりメガネがなくても見えるようになるので、脳も何かトレーニングする方法があるんじゃないだろうか。
 意思決定や共感やコミュニケーション能力をアップさせる何か・・・・。

虐待などのストレスをうけると、修理するためにコルチゾールと言うホルモンが分泌されるが、あまりにも多量に分泌されるため、逆に、脳の神経細胞が変形したり破壊されてしまう。特に、ダメージを受けるのが、海馬とのこと。くりかえしのストレス体験によってストレスに弱い脳になっていく。つまり、ちょっとしたストレスでも反応してしまうようになる。
 成人してからのアルコール・薬物依存や、うつ病、摂食障害、自傷、自殺企図などの精神的な原因の少なくとも一部は、脳の発達段階で負荷がかかることと関係があるとのこと。
そして、小さい頃受けた虐待の影響は、思春期を過ぎたころから現れてくるという。


ADHDの子どもや虐待などにより愛着障害を抱えた子どもたちは『やる気になるにくい』のだという。その背景には、脳のドーパミン機能の低下があるとのこと。ドーパミンと覚せい剤は化学構造が似ている。ドーパミンは快感を得るための物質というように言われてきたが、『一心不乱に何かにかりたてられている状態を快楽とはいえないのではないだろうか・・・。私たちが気持ちよさを感じているときって、むしろ、ぼ~っとしているのではないだろうか・・・。』ということで、ドーパミンとは、いいことが起きそうな予感・いいものを手に入れるぞという高揚感・何が起きたのか確認すべき事態…などのもくへの対応のために分泌されるのではないか…と言うように考えられるようになってきたとのこと。
 薬物やアルコールなど依存性物質は脳内に入ると、この大切なドーパミン分泌システムを乗っ取ってしまう。

こうして、薬物やアルコールを実際は目標もないのに、ただ駆り立てられているような状態が起きる。
 トラウマの影響を受けやすい扁桃体や海馬はドーパミン分泌の調整を司り、意思決定にかかわる前頭前野もトラウマによって傷つきやすいため、小さい頃のトラウマは、依存症への距離がぐっと縮まってしまうらしい。

 実は、アルコールはコカインやモルヒネに比べると分子がとても小さいため、脳の隙間からどこへでも入っていく。また、アルコールだけは受容体がない。アルコールの主な作用点は、扁桃体。扁桃体からは全く正反対の物質が2種類分泌される。神経細胞の活動を強めるアクセルとブレーキの役割を担う。アルコールは、アクセルの働きを弱め、ブレーキを強める。その結果、不安や恐怖などが抑えられ、鎮静、催眠といった効果が現れる。

 らしい。

 このようなことから、依存のベースにあるのは、快楽を求めてというよりも、苦しさを覆い隠して見ないようにすることで、生きるということを継続させるための適応行動かもしれない。

 私の住む町の男性はアルコール摂取量が他の町よりかなり多い。毎日、焼酎を3合以上飲む人の割合が多い。多分、アルコール依存症の人も多いんじゃないかなぁ?その背景には、小さい時の脳の発達段階で何らかの負荷がかかっていた可能性があるのかなぁ?

 ところで、薬物やアルコールが脳内から消えていくのと同時にコルチゾール分泌が促されるが、このコルチゾールそのものに、不安や抑うつを引き起こす効果があるという。つまり、いったん気持ちよくなっても、そのあとで気分を落ち込ませるしくみが脳内で働いてしまうという哀しさがアルコールなどを常習をするとセットになってしまう。だんだん、しらふでは落ち込んで飲まずにはいられなくなってしまう。負のスパイラル・悪循環・・・・。
 回復への道は険しい。
 回復よいうと元に戻ること。でも、戻るべき幸せな記憶のない人はどうしたらいいのだろう?信頼できる人と出会う中で、新しい記憶できていくことがとても大切だという。だから、断酒会とかダルクとかそんな場所につながることが、回復の第一歩。

 理想的な家庭というものがどんなものかよくわからない。きっと、穏やかな空気と意見を尊重される空気とお父さんお母さんが協力し合って生きているって感じの家庭かな?
 そんな家庭ってそうあるもんじゃない。だから、きっと、私たちの脳は大なり小なりどこか萎縮してるんじゃないかなぁ?ただ、生活に支障が出るくらいの依存症になっていないだけで・・・。

 だからこそ、人という字が示すように、支え合って生きることで体感できる共感する喜びが、脳の滋養になって、どうにか、まっとうにいきてゆけるのかもしれない。
 
 
 
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