今年に入って13人目だって。
去年が28人。
はしか(麻しん)の日本での罹患者数。
はしかウイルスの型が、外来から持ち運ばれた型。渡航先がインドとかインドネシアなど。海外渡航歴のない方も発症している。今、世界で2種類の型が増えてきており、ヨーロッパでも発症しているという。
かって、日本は、はしかの感染源という汚名をつけられ、はしか撲滅宣言をめざしていた。そして、10年ほど前に、日本でのはしかの発生が0人となったという歴史がある。
コロナが終息し、海外からの観光客も増え、インドネシアなど東南アジアに渡航する人も増えてきた。
自然の成り行きだと思う。
はしかの潜伏期間は10日から12日。
初め、38度くらいの熱が出て、咳・くしゃみ・鼻水などの症状がある。そして、口の粘膜にコプリック斑という白い斑点ができるのが特徴。
2~4日で、いったん熱が下がったかと思いきや、今度は39度の高熱が出て、その次に,ぱーーーっと赤く小さな湿疹が顔から全身の末端に向かって出現していく。
そして、1週間くらいで治癒していく。
1000人に一人中耳炎になり、1000人に一人脳炎になる。それが怖いとニュースは伝えている。
30年前、私がお産した助産院の待合室に、平井先生?という小児科医の本が置いてあった。
何気に読んでみたら、子どものかかる感染症の必要悪説というか存在意義なる興味深いお話が書かれてあって、衝撃を受けた。
それまでは、ごく普通に赤ちゃんを産んだら、予防接種を受けるものと思っていた。でも、その本を読んで、予防接種とか子どものかかる感染症に対する価値観が180度変わってしまった。
その本には、後天免疫という考え方について書かれてあった。
子どもがはしかにかかる意味というか。
幼児が、はしかいかかるとより呼吸器が丈夫になる。おたふくにかかると男の子はより男らしく、女の子はより女らしくなる・・・など。今、記憶しているのはその2点。
赤ちゃんは、生まれてから、はしかウイルスを利用して、つまり、はしかにかかることで、かかりきることで、りっぱな後天免疫を獲得する。はしかウイルスは、ヒトの免疫強化のために存在するというようなことが書かれてあった。つまり、はしかウイルスは赤ちゃんとセットなのだそう。それにしては、やや強すぎるウイルスなので、心せよ・・・みたいな。甘く観てはいけないのだ。
こじらせてはいけない。
こじらせる一番の原因は、解熱剤。
『はしかは風に吹かすな』
という言い伝えは、『嫁に秋ナスは食わすな』とか『小さく産んで大きく育てよ。』『戌の日に腹帯を巻く』『産後3週間は粗食』などと同じように、おばあちゃんの知恵として言い伝えられてきた。
はしかは、一度熱が出て2~4日で下がって、再度、高熱が出たと思ったとたん、小さな発疹が全身に広がっていって治癒に向かう。
発疹をしっかり出させないと脳炎とかになるのだ。
発疹をしっかり出させないから脳炎になるのだ。
39度以上の高熱が出るか出ないかが、発疹を外に出せるか、内にこもらせて重症化するかの要と言える。高熱を出させるために、部屋をあったかくする。汗をたっぷりかくから、水分もしっかり補給する。
なのに、はしかになると1000人に一人脳炎なるから、怖いからというようなニュアンスで、不安がらせる。
解熱剤とか身体を冷やす方向にケアすると、発疹が外に出なくて、くすぶって、腎臓とか脳とかの内臓に出てしまう。
とにもかくにも、温めて、水分補給して、湿疹がしっかり外にで出切るようにケアをすることがめちゃくちゃ大事。
はしかは風に吹かすなということは、冷やすな温めろということ。
部屋を温めて、2歳児ならリットルちびちび水を飲ませる。
発疹が出切ったら、もう大丈夫。
少し昔、医大の若先生が、はしかの患者さんを診たことがなかったために、解熱剤を出されて、脳炎になったという話を耳にしたことがある。最近の先生は、はしかを診たことがない。
私も、息子たちにはしかにかからせたかったけれど、なかなか流行らなくて、定期予防接種(無料で接種できる)のギリギリまで待って、そのギリギリで流行って、はしかにかかってもらったという記憶がある。
まず、三男が保育園ルートでかかって、そりゃ、大変だった。本人も大変だけど、看病する私もへとへと。で、やっと治ったかなと思った矢先に、今度は次男がかかって、トータル約1か月の看病でヘロヘロに。ばぁばの支援をもらいながらも仕事しながらだから、それはそれはしんどかった。
長男は流行らなかったので、仕方なく予防接種を受けていたけれど、高熱が出た。でも、発疹は出なかった。まぁ、はしかの免許更新はできたんじゃないかと思う。
昔は、はしかは、時々流行ることで、すでに、かかった人やワクチン接種した人も免疫の免許更新が出来て、終生免疫を獲得することができた。
でも、今は流行らない。
息子たちも、今、どれくらい抗体価があるか不明だ。
昔は、1回の予防接種でどうにかなった。
でも、流行らないから、2回接種になった。
1回だと抗体は15年くらいしか持たないと言われている。
本当は、高校生くらいで2回目を接種した方がいいけれど、小学校に上がると接種率がガクッと下がるので、国は、年長さんで2回目を接種する仕組みを作った。
その子たちの免疫が、流行らない場合、どれくらい持つのかはまだ、わからない。今、30歳くらいの人たちは、2回目を高校生くらいで接種しているので、結構、免疫が担保されてる可能性が高いかもしれない。
3回目接種が定期化される可能性もある。
ただ、昔、どこかで見た記憶がある。
はしかウイルスも好き嫌いがあるのだそう。
若く新鮮できれいな血液を好む。
つまり、老化して汚い血液は好まないらしいって話。
だから、更年期過ぎたり、加齢臭の漂う年齢の人間には、もしかしたら、感染させていただけないかもしれないというお話。
昨日のニュースで、61歳の男性が、怖いという理由で、はしかの予防接種を受けていらした・・・。
今回の流行で一番注意すべきは、1歳前の乳児だ。
麻しん風疹ワクチンは、強いワクチンなので(副反応が強く出やすいワクチンなので)、乳児には接種できない。お母さんがワクチン世代だとお母さんから赤ちゃんに胎盤を通してプレゼントされる抗体も低い。
よって、乳児やその周辺の大人は、海外の方との接触を控えるか、その方がはしかのワクチンを受けているかなどの確認をするなどの配慮はした方がよいと思う。
昔昔、はしかにかかる子ってだいたい1歳半以降であった。1歳半くらいの体力がないと重症化するからだ。
それまでは、お母さんがしっかりはしかにかかっていたし、時々流行することで、免許更新できていたので、はしかの抗体価も高く、妊娠中、胎盤を通して、しっかり、免疫が赤ちゃんに伝わって、赤ちゃんは守られていた。1歳半頃になって、それまで、いろんな軽めの感染症にかかって、基礎免疫がついた頃、体力もついた頃、そして、ママからもらったはしかの免疫が低下する頃、いい塩梅で、はしかウイルスに感染し、赤ちゃんの基礎免疫が集大成するという自然の摂理が働いていた。