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●中国は”幻の防空識別圏”設定した? 米軍が飛んだのだから、次は自衛隊の番
読売などは、中国政府が敷いた防空識別圏の設定に対し、米軍のB52爆撃機が、通告なしで中国の防空識別圏を飛行したのは、カーネギー国際平和財団のジェームズ・ショフ上級研究員(元国防総省上級顧問)の言葉を借り、「武力や脅しを背景に尖閣諸島上空を防空識別圏として設定するのは、これまでと異なる新しい状況だ。B52の飛行は、80%は米国自身のため、20%が日本のため」だと云う恩着せがましいコメントを引用しているが、チャンチャラ可笑しな記事である。カーネギー国際平和財団なんて云うのは共和党戦争屋勢力の一員であり、現オバマ民主党政権と対立軸を持つ、日米安保マフィアの片割れである。
中国人民解放軍は陸軍を中心とする、金食い虫の群れであり、中国共産党は如何にして、この肥大化した時代遅れの軍事組織を近代化しようと躍起になっているのが現状と認識すべきである。つまり、あんなに広大な防空識別圏をカバー出来るだけのレーダー網は整備されておらず、当分、中国政府が日本や米国に対し脅しを掛けても、意味がないくらい多くの軍事関係者が認識している事である。読売・産経は殊更に危機を煽り立てているが、5年程度は口先だけの話と思っておいても良いだろう。ヒラリー・クリントンが去ったオバマ政権においては、米中蜜月時代と云う認識は一昔前の観念で、今や、中露は米国にとって警戒すべき陣営になってきたようだ。
本来であれば、我が国が独立を果たすに適した国際環境が出来あがっているようなのだが、すべてを米国に依存する度合いが益々強まる安倍政権や霞が関官僚にとって、真の独立なんて厄介な荷物を背負う気はさらさらないわけで、またしても、日本は米国との距離感を正確に測るチャンスを逸するようである。今であれば、米国50%、中国30%、ロシア20%の按分外交が不可能ではない世界情勢であるにも関わらず、なお一層対米依存を強めようと云うのだから、話をする気にもならない。ホワイトハウスのアーネスト報道官は、尖閣諸島をめぐり日中が対立していることについて、外交的に解決すべきとの見解を示し、不必要に対立を煽る行為だとし、「こうした問題は脅しや対立を激化するような表現を通じて対処すべきではなく、外交的な解決が可能であり、そうすべきだ」等と言いながら、B52爆撃機を平気で、中国がプロパンガンダで宣言した防空識別圏内を飛び回るのだから、米軍の倍返しと言っても過言ではなく、どっちもどっちの話の話だ。絶対に中国のレーダー網が完成していないことを証明している行為だと言える。
習近平主席新指導部の主導で行われる中国人民解放軍の近代化と云うか現代化を三中全会決定で国防に関しては、軍制改革についてかなり踏み込んだ表現をしている。当然、人民解放軍の近代化、現代化は緒に就いたばかりで、パワーバランスを考えながら、ジワジワと進めるしかないのが現実で、おいそれと陸軍中心(ぶら下がっている軍人がわんさといる)の時代遅れ軍隊をパラダイムシフトさせるわけだから、手法を一歩間違えれば、軍のクーデターまで想像がつくわけで、空けてビックリの人民解放軍と云う事も十二分にあり得る。イラク戦争の時にも、イラク・フセイン大統領の幻の共和国防衛隊を精鋭揃いで、米軍も手を焼くだろう等と言われたが、もぬけの殻だった共和国防衛隊であった事実の記憶もある。中国の新指導部が考えている、人民解放軍の大改革については、以下のコラムを参考にして貰おう。参考コラムが真実を言い当てているかどうかは、なにせ中国のこと、参考までにしておこう(笑)。
≪ 習近平政権のきな臭い国防改革 防空識別圏の設定で局地紛争の可能性高まる
中国の国防をめぐるきな臭い話がいくつか続いている。今回は中国の軍事をめぐるゴシップを少々。
防空識別圏の設定で緊張高まる
日本で目下、中国の軍事をめぐるニュースとしてホットなのは東シナ海に防空識別圏(ADIZ)が設定されたことだろう。ADIZとは、国家が防衛上に設定した空域のことで、領空の外側に設けられた一種の緩衝空域だという。
この空域に国籍不明機が入れば領空侵犯される前に、国籍と飛行目的を確認し、警告を発して引き返せば撃墜されない。事前に飛行計画を出しておけば、スクランブルがかかることもない。各国の都合でそれぞれ設定するもので、別に領土、領海を限定するものではない。
中国はこれまで設定していなかった。ADIZを設定するのは航空安全上、防空上、重要なことなのだが、問題は中国のADIZが尖閣諸島上空を含む東シナ海まで含み、日中中間線のよりも日本側に張り出しているということにある。
中国の防空識別圏の最も東側は九州からわずか130キロ。日本の航空機が自国の領空を飛行すると、中国側が警告を発し、スクランブルをかけてくることもあるわけだ。尖閣上空でスクランブル合戦、みたいな事態も想定され、日中間は今以上に緊張感が増すことになる。
当然日本は、強く抗議し、ADIZ設定を取り消すよう要求している。これは韓国のADIZとも重なっており、中韓がともに主権を主張する離於島(中国名は蘇岩礁)上空が含まれている。日本と対立を深め中国にすり寄っている韓国ですらこれには「遺憾」と表明した。
米国もケリー国務長官が「東シナ海の現状を一方的に変えようとする行動」と非難し、ヘーゲル国防長官も「日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用される という米国の長年の政策を再確認する」と中国側を牽制した。中国は米国の態度に「日本の冒険的な行為を助長するような誤ったシグナルの発信をやめるべき だ」と反論している。
ちなみに日本は北方領土や竹島上空をADIZに設定していない。領空・領土とは関係ないという建前があるし、施政権の執行できない領土の問題について平和的に解決をはかる道筋を保留するための配慮である。
中国は日本が実効支配をしている尖閣諸島の上をADIZに設定したわけだから、尖閣問題について平和的解決をはかる意志がない、というふうに受け止められる。日中間に局地紛争が起きる可能性が今までより格段に高くなったという現実を日本も認識すべきだ。
その関連で言えば、在日本中国大使館が在日中国人(僑民)に対して、自主的に所在登録するよう通知したのも、おそらくは日中間有事を想定したものと思われている。大使館のウェブサイトにはこうある。 「海外僑民に領事保護を提供することは中国在外大使館領事館の重要な職責である。重大突発緊急事件発生時に、適時に僑民と連絡をとり協力助力を提供し、最大限の僑民の安全と利益を保護するため、大使館は僑民の自主的登録を即日展開することを決定した…」
防空識別圏の設定のタイミングと兼ね合わせると、この「重大突発緊急事件」というのは、尖閣有事であると考えるのが普通だろう。
人民解放軍の国軍化
こういった動きは、私は習近平政権がこのほど打ち出した三中全会(党中央委員会第三回全体会議)の決定が反映されていると考えている。三中全会決定で国防に関しては、軍制改革についてかなり踏み込んだ表現があった。
「党の指揮を聞く、戦いに勝てる、風紀優良な人民軍隊をしっかり建設し、新たな形勢の下の強軍目標とし、国防と軍隊の突出した矛盾と問題解決に努力し、 軍事理論を発展させ、軍事戦略指導を強化し、新しい軍事戦略方針を完全なものとし、中国の特色ある現代軍事力体系を構築する」
国防と軍隊の突出した矛盾とは何か、というのははっきり書かれていないが、これまでの経緯から考えると、国軍化問題ではないか、と思う。つまり、解放軍が共産党の軍とするか、国家の軍とするかというテーマである。
事実上、国防を担う国軍としての機能を持つ解放軍の統帥権は共産党の中央軍事委主席にある党の軍である。党の軍という性格の変質を絶対譲りたくない保守派が存在する。
だが一方、国軍化すれば、党の政治と切り離した軍事プロフェッショナル集団として高度化できる。軍の現代化を望む若い将校たちは国軍化支持者が多いとも聞く。具体的に決定の文言を見ると、以下のような文章がある。
「軍隊体制の編制調整改革の深化、指導管理体制の改革、軍事委総部の指導機関職能配置及び機構設置を優化し、軍兵各種指導管理体制を改善する。軍事委の 聯合作戦指揮機構と戦区聯合作戦指揮体制を健全化し、聯合作戦訓練と保障体制を改革する。新型作戦力指導体制を改善する。情報化建設の集中統括を強化す る。武装警察部隊力構成と指揮管理体制を優化する。軍隊規模構成を優化し、軍兵、官兵、部隊と機関の比率を改善し非戦闘部門とその人員を削減する。多方面 の安全需要と作戦任務に向けた部隊編成を改革する。軍隊院校の改革、軍隊院校の教育の健全化、部隊訓練の実施、軍事職業教育の三位一体の新型軍事人材教育 システムを改善する…」
「軍民融合の深い発展を推進する。あらゆる面で軍民融合の発展的統一指導を推進し、軍における協調、需給に対する接収、資源享受メカニズムを建設する。 健全な国防工業体系をつくり、国防科技共同イノベーション体制を改善し、国防科学研究生産管理と武器装備購買体制メカニズムを改革する。優勢な民営企業に 軍事科学研究生産、メンテナンス領域に参入させる。国民教育による軍事人材育成政策制度を改革改善する。軍隊の保障社会化領域を開拓する。国防教育改革を 深化させ、国防動員体制メカニズムを健全化させ、平時徴用および戦時動員法規メカニズムを改善する。予備兵役体制改革を深化させる。防海防空管理体制メカ ニズムを順番に整理調整する…」
小難しい表現だが、要するに軍制改革を行い、予備兵役体制や戦時動員法などの国防総動員体制を整え、有事に本格的に備えた「能打仗勝(戦に勝てる)」解放軍にする、ということである。
大使館の在日中国人登録に関する通知は、国防総動員体制に関わるものだろう。中国にはすでに国家総動員法というものがあり、戦時となれば在外中国人をも 動員できることになっている。ADIZ設定も、三中全会決定を読めば、「防海防空管理体制メカニズムの整理調整」という表現で盛り込まれていた。
七大軍区を撤廃し軍を現代化
軍制改革については具体的なことはあまり出ていないが、改革の目的の1つが、軍の指揮権の整理であることは決定の文言からうかがえる。軍制改革の中身に ついては、香港の軍事評論家、馬鼎盛氏が「七大軍区を撤去し、中央軍事委および、(新たにつくる中国版NSCともいうべき)国家安全委員会が直接統帥指揮権をもつ野戦軍集団軍にとってかえる」という予測を示している。
いわく「世界最大規模の常備軍を平和時にあわせて大幅削減する。たとえ局部戦争が勃発しても、軍民融合を発展深化させた新軍事体制で柔軟に対処する」
七大軍区は毛沢東時代に、敵を国内に引きずりこんで殲滅する戦法のために考えられた陸軍が主役の軍制であり、一方、今の中国が直面する危機である対外的 な局地紛争に最初に対応するのは空海軍およびミサイル部隊である。大軍区制は時代にあわず無駄が多い。そこをスリム化して、軍を現代化し、より立体的戦闘 に適した実践力のある軍制に切り替える。
具体的には、陸・海・空、戦略ミサイル部隊、武装警察を傘下に収めた4つくらいの戦略区から構成されるという案が、胡錦濤時代から浮かんでは消えていた。
ちなみに中国の今の七大軍区制は、瀋陽軍区、北京軍区、済南軍区、南京軍区、広州軍区、成都軍区、蘭州軍区に別れている。この軍区は時代によって増えたり減ったりしているが、建国当初の軍区は、軍区ごとに司令員(指揮統率)と政治委員を持つ軍閥的な存在だった。
小平が第一次天安門事件で全職務を剥奪されて失脚したとき、広州軍区に逃げ込んで庇護されたが、つまりは毛沢東ですら広州軍区には手が出せない独立性があったということだ。
昨今は解放軍の機械化、情報化が進むとともに、軍区にまたがる演習や空海軍との合同演習も増えたが、その場合の指揮系統というのはずいぶん複雑なようである。
最高指揮権は当然中央軍事委にあるが、たとえば中国海軍の駆逐艦が海上自衛隊哨戒機に射撃管制レーダーの照準を合わせた事件は、駆逐艦艦長の独断行為であったという。本当なら、欧米や日本とは比べものにならないほど指揮系統が雑であるということだ。
また、元重慶市党委書記の薄熙来が失脚した背景に、成都軍区と組んでクーデターを起こそうとしたという話もあった。北朝鮮の核実験時、瀋陽軍区の機材の北朝鮮への横流し疑惑も流れた。そのぐらい大軍区制というのは党中央のコントロールの効きにくいものなのかもしれない。
馬氏によれば「大軍区体制は陸軍が幅を聞かせてきた時代の歴史的遺物であり、この数百億の軍費を海軍や戦略ミサイル部隊や空軍に転用すれば、完全に軍制改革の深化という三中全会精神に合致する。同時に国家安全委員会の成立主旨とも矛盾なく進む」というわけだ。
ちなみに国家安全委員会については以前紹介した通り中国版NSCという見方でいいと思う。 軍総参謀部、総政治部と武装警察、公安、安全部、外交部、党の対外宣伝部門の代表をメンバーに入れ込み、習近平国家主席の直属とする。縦割り組織の横の 連携をとり、国内外の治安維持、諜報防諜などへの取り組みを的確に行うとともに、治安維持権力を習近平総書記が一手に掌握することになる。
中央政法委員書記が政治局常務委を外れることで権力の強さがワンランク下がった分、それに代わる軍から警察権力、外交、宣伝、諜報に至るまでを包括的に 掌握するのが国家安全委員会で、中央軍事委と並列して軍の運用にもかかわれば、軍の動きを外交部が知らずに定例記者会見で恥をかく、ということも無くなる かもしれない。
対外強硬姿勢を見せなければ求心力を保てない
軍制改革も国家総動員体制の改善も国家安全委員会の設立も習政権の強権化を進める方向にあると見えるのだが、どうだろう。
国防改革については実のところまだ謎であるし、これがどういう意味を持つのかを見定めるにはもっと材料が欲しい。だが、習政権がこういう軍事国家志向の 動きを見せている背景には、国内の不安定化がギリギリの段階にまで来ているということではないだろうか。対外強硬姿勢を見せなければ党の求心力を保てない ということではないだろうか。
しかし、経済改革をやろうとすれば外資の導入を含め周辺国との安定的な関係は不可欠だ。こんな形で周辺国を刺激していては、せっかくの三中全会で盛り込 んだ改革もうまくはいくまい。経済がうまくいかねばさらに国内不安定化が進む。習政権は負のスパイラルに陥っているように見える。 ≫(日経PBnet:アジア・国際 ―中国新聞趣聞~チャイナ・ゴシップス:福島香織)
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