世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●アベノミクスの大誤算 異次元金融緩和の” ツケ ”を一番多く払う国は円安日本

2014年02月27日 | 日記
日本経済撃墜 -恐怖の政策逆噴射-
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●アベノミクスの大誤算 異次元金融緩和の” ツケ ”を一番多く払う国は円安日本

 昨日からの思考の続きになるが、わが国のデフレ脱却の経済政策が正しいものであったのかどうか、改めて考えさせられる昨今である。円高がわが国製造業の国際競争力をスポイルしていると云う多くの経済学者の言説が、永久不滅の真実であるかのようにマスメディアで喧伝されたのは、ほんの少し前のことである。しかし、国の対策は20年以上無策だった為、民間企業は自力で、この円高に対する対策を講じていた。その結果、日本の輸出製造業においては、市場により接近した現地生産システムが講じられた。

 このような流れは、グローバル経済においては必然的流れであり、現地生産の経営方針は、必ずしも為替の“円高”だけが海外生産の要因ではなかった。組み立てなどの単純な作業を現地化することは、輸送コストの観点からもメリットが認められるし、顧客である地域の雇用を提供すると云う、“ウィン・ウィン”で貿易摩擦を生まない意味で、現地生産は欠かせない経営方針であったと思われる。おそらく、主たる輸出企業の心地よいドル為替相場は、90円前後だったと推量できる。その意味で、現在の102円前後の円安状況は、思わぬ副作用を生み出す結果を惹起している。マスメディアのプロパガンダ報道の行き過ぎと、経済団体首脳らの妄言に踊らされた帰結である。

 この経済団体の老人達と東大話法の腐れきった学者の罠に、安倍政権と黒田日銀が見事に嵌りこんだ図式に見えて来る。外国人投資家は、「アベノミクス」だとおだて上げ、日本政府と日銀に、円安為替誘導を唆したのである。唆す方も悪いが、その唆しに踊らされた日本の経済エリートこそ、最悪の人間達である。誰も、誰一人、現在の過度な円安状況を放置し、あたら国家の富を、たかが僅かな製造業を救うつもりで、逆に悪化させている現実に目を覆っている。“過ちを改むるに憚ることなかれ”孔子の教えも、馬の耳に念仏になっている。

 筆者のひねくれたモノの見方だが、2014年の消費増税を決定するために、幻の景気浮揚状況を作り上げなければならなかった、些末な事情でアベノミクスは始められた側面がある。その結果、輸入価格の上昇により、GDPはまさしく伸びた。笑わせるが、GDPが成長したおかげで、国家の富が国外に流出すると云う、本末転倒が起きているのが現状だ。市場原理主義的言説を弄する輩は、いまだに「規制改革こそ、経済浮揚の一丁目一番地」と捲し立てるが、規制改革が経済浮揚の決め手などではない。これ以上、円安状況が継続すれば、日本は唯一の経済国家である債権大国と云う地位から追い落とされるのである。債権大国の称号のなくなった日本など、世界最悪の老人国家と云う醜態だけが晒されるのは必定だ。

 昨日のコラムでも言及したように、今や貿易赤字国であり、経常赤字国家として、恒常的になりつつあるのだ。アベノミクスの大誤算を、素直に認め、異次元の金融緩和政策を店仕舞いしないことには、収拾は殆ど不可能な状況にまで追い込まれている。新興宗教のような竹中平蔵の妄言につき合っていたら、本当に奈落の底で心中するようなものである。あのような“むくつけき小男”と心中とは、あまりと言えばあまりではないか(笑)。それこそ、“過ちを改むるに憚ることなかれ”である、素直に大誤算を緊急に修正するのがお国の為である。これをもって、国益という。

 円高不況が元凶だと言い立てた言説が、実はまったくの的外れであったことは、既に証明済みである。逆に円安による大不況の方が、どれほど怖いか、考えただけで背筋が寒くなる。唯一の取柄、債権大国からの凋落。内需主導の国家が、僅かな輸出製造業を再生させようと、“角を矯めて牛殺す”の典型的狂気の円安誘導政策なのである。詳細の数値は別にして、ざっくり見ても、日本のGDPへの寄与率は、内需が80%を超えているのだ。つまり、純粋に外需でGDPに寄与している率は10%前後になる。つまり、10%前後を優遇するために、80%以上の内需に不必要な負荷を掛けるわけである。正常な神経の持ち主には選択不可能な経済政策である。

 オバマがTPPでアジア回帰だと喚いていたのは、昨日のようだが、今まさにオバマの口から“TPPだ!”と云う言葉は封印された。何故かと云えば、急遽の言い逃れで、オバマは外需に言及したに過ぎないことが、次第に見えてきた。そもそも、アメリカの経済は典型的な内需国家であり、GDPの90%以上が内需に頼っているのだ。まぁ消費生活が大好きな国民性だから、その傾向も頷けるが、財政は常に逼迫するわけでもある。その上、中国や日本に国債を購入してもらって、息をしているのが米国経済なのである。ところが、マクロ経済の面白いところだが、この贅沢三昧の米国経済が世界一の経済大国だと云うのだから、勤勉が何なのか、倫理道徳的に考えると、間尺に合わない感覚になる(笑)。

 しかし、賢いオバマは、内需主導国家が、無理をして外需を伸ばす政策の誤謬に気づき、早速、FRBとの連携で金融緩和政策の緊縮に乗り出していると云うわけだ。世界金融勢力は、アメリカが降りるのであれば、次は日本がマネー供給を行う責務があると囃し立て、無尽蔵のマネー供給基地にさせようとして、黒田と安倍を褒めそやした。ドイツ、中国、韓国などはGDPに占める外需の割合が40%前後の国と同等の観念で、経済政策を行うことは、絶対的自殺行為である。

 ついでに、一言付け加えておくなら、原発停止により、火力発電等の稼働が顕著で、原油や天然ガスの輸入が増大して、貿易収支を悪化せていると云う言説も、嘘っぱちである。LED照明など省エネ等々の要因もあるが、2013年をピークに、燃料輸入数量は減少している。貿易赤字を引き起こしている原因の多くは、為替の円安政策である。小泉純一郎、細川護煕らが主張する再生可能エネルギーへのシフトで、内需は現在の80%から90%以上にまで跳ね上げる可能性があり、極めて世論を語っていた。まぁ貿易立国と云う記憶から抜け出せない、お馬鹿な国民が多数を占める以上、奈落を見て、負債大国になるのも、悪くはないだろう。最低でも、FRBに右習えするのが、唯一の救済の道である。

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