先日も書いたが、娘が認知症に係わる本を次々に図書館から借りてくる。前回紹介したのは、50代の娘が80代の実母と一緒に暮らす10数年の体験談だった。
今回紹介するのは、50代でアルツハイマー型認知症と診断されて退職、その後も一人暮らしを続けながら、認知症本人の体験を伝えるためにさまざまな活動を行っている男性、佐藤さんの貴重な体験談である。
まず「おわりに」から、佐藤さんの大切な言葉を書いてみます。
「人間の価値は、『これができる』『あれができる』ということで決まるのではありません。もし有用性で価値が決まるのなら、人生は絶望的です。なぜなら、人は年をとると、できることが少なくなるからです。人は、何ができなくても、それ自体尊いものです。役に立たなくても、自分尊い存在だと信じましょう。
失った機能を嘆くのではなく、残された能力に感謝して、それを最大限に生かすこと。
自分の無限の可能性を信じて、失敗をおそれず、これからも生きていきます。…」
もう少し詳しい説明を次回追加します。
佐藤さんは退職後も、一人暮らしを続けたいという強い希望から日常生活でできないことを克服するためいろいろな工夫をします。
食事の時間帯がわからない。
今日が何日かわからない。
昨日もらった書類をおぼえていない。
出かけると部屋の鍵をどこにおいたかわからない。
よく行く店に行くのに迷う。 などなど、数多くあるできなくなった事に対する対策を書いておられます。
パソコンで日記をつける。
グーグルカレンダーに予定を書き込む。
携帯電話のアラームをセットして予定を忘れないようにする。
物を失くさないよう必ず定位置に置く。
生活上の不便を工夫した対策で乗り越えながら、できないことを悩まず、無理をせず楽しいことをやって過ごす。高齢になり、認知症になるかわからない私たちにも当てはまることばかり。
最後に、本人へ、家族へ、医師へ、看護・介護者へ、地域の人へ、行政へ、すべての人へ佐藤さんからのメッセージが大変参考になります。
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