Ruby の会

シニアライフ~能楽・ボランティア・旅行・食べ歩き・演劇などを綴っています

映画 「ファミリー・ツリー」

2012-06-12 | 映画・テレビ・演劇・芸能
 ハワイへ行く前に見たいと思った映画だった。だが、とうていそんな時間はなく、帰ってからも次々と行事続きで無理だった。諦めていたら、14日まで、と新聞で見た。だが、夜1回の上映だ。唯一、11日(月)だけ、朝9:45に上映するらしい。午前中ですむ、と思い一人で出かけた。
 ご夫婦が一組、私の他にもう一人の女性、計4名の観客だった。
 
 ハワイ・オアフ島で生まれ育った弁護士のマット・キング(ジョージ・クルーニー)は、妻と二人の娘たちと何不自由なく暮らしていた。カメハメハ大王の血を引く彼は、祖先から受け継いだ広大な原野を所有しており、それを売却し巨額の富を得るか自然を守るかの決断を迫られていた。
 そんな中、妻がボートの事故でこん睡状態に陥ってしまう。さらに妻には恋人がいて、離婚を考えていた事が発覚する。そればかりか娘が妻の浮気を知っていたと告白、マットは動揺する…。仕事一筋で家庭を顧みなかった彼は、子どもへの接し方からして戸惑う。
       
 
 母が眠りから覚めると信じている、まだ小学生の下の娘が、友だちを中傷するメールを皆に送ったと、母親から苦情を言われ謝りに行かねばならない。朝食にどうにか卵焼きを作ると、「卵キライ。パパ知らなかったの?」と見向きもされない。汚い言葉を使う娘にもショックを受ける。
 
 誰でも人生の中で、突然予想もつかない面倒な問題が立ちはだかり、決断を迫られ右往左往することがある。観客は、マットの立場に立ち一緒に迷い悩む。ジョージ・クルーニーは、苦悩しおろおろする父親、夫を見事に演じている。
 意識不明に陥った妻の生命維持装置を外すべきか否か。親戚と共有するカウアイ島の広大な一等地を開発業者に売却すべきか否か。マットは、母親と喧嘩し高校の寮に入った上の娘を連れ戻し、母親が生き返らないことを知らせる(プールで泳いでいてそのことを聞き悲しむ長女)。       
 二人の娘と、長女の友人と4人で、妻の不貞相手を探しまわる。その間、自分が所有する浜辺や森を訪ねる(長女は、ママがキャンプに連れて行ってくれた思い出を語る)。そして親子はだんだん心を通わせ、母の死を乗り越えようとするのだ…。
 
 最後のシーンで、父子3人が同じ毛布に足を突っ込みながら、黙って同じテレビ画面を眺めている。心がほんわか温かくなる場面だった。
 
 原題は”THE DESCENDANTS”、「子孫」とか「末裔」と言う意味だ。それを別の英語で「ファミリー・ツリー」(家系図、系譜)と言う邦題にしたのは、単にわかりやすいからなのだろう。オアフ島、マウイ島、カウアイ島の海や空、花々が美しい。プルメリアの花が匂って来るようだった。