Ruby の会

シニアライフ~能楽・ボランティア・旅行・食べ歩き・演劇などを綴っています

金沢 別会能~能「張良」

2019-04-14 | 能楽
 
金沢能楽会別会能 ’18(その2)
  4/1(日)、なはさんと蒼山会女子会(東京行きの)メンバー6名で金沢能楽会別会能を見に行った。「別会能」と言うのは、普段なかなか見ることのできない演目を上演する公演のこと。 👇......
 

  👆は、昨年の「金沢能楽会・別会能」のポスター。 なはさんと平米公民館・女子会と車2台で鑑賞に出かけた。

 👇は、今年の「別会能」のポスターだが、なはさんと二人で電車に乗って出かけた。 お能3曲はちょっときついかとも思ったがいずれも魅力的な内容で、全曲しっかりと鑑賞した。

  能楽堂で、高岡の知り合いに何人か会ったが、新幹線を利用して来られた方が結構おられ驚いた。 私たちは、あいの風とやま鉄道~シャトルバスと言うルートである。

 👇は、シャトルバス内のポスター。 運転士席の真後ろに吊り下げてあった。 まず「締太鼓」が目に止まり、よく見ると「小さな締太鼓づくり大家」とある。体験料600円とは、よほど小さなものだろう。棚飾りにかわいいかも。 さすが金沢ですね。 

 魅力的な演目の、まず一つ目のお能は「張良」。

 張 良(ちょう りょう)は、秦末期から前漢初期の政治家・軍司。 劉邦に仕えて多くの作戦の立案をし、劉邦の覇業を大きく助けたことで有名だ。ウイッキーには👇のような絵が載っていた。

 

 お謡を習い始めたばかりの頃、「鞍馬天狗」をお稽古していて、鞍馬山の大天狗が遮那王(牛若丸・後の義経)に兵法を教える場面があり、中国は秦の時代の終わり頃に張良が馬上の老翁(黄石公)が落とした沓を拾って履かせる故事が語られる。 その謡の中に、「いかに張良」とのセリフがあり、それが印象に残ったとは単純な理由だが、その故事が能になっていると言うのだからさぞ面白かろうと楽しみにしていた。

 能では、沓は川を流されて行き、そこへ竜神が現れ、張良は竜神と闘う。そこでお囃子は「早笛」が入り、立ち回りのような激しい動きが続き、ワクワクした。 沓を落とす場面はどうするのかしら?と思っていたら、後見の方が、後ろからポンと沓を投げ、前に放り出すのだ。わかりやすく楽しいお能だった。

 シテ(老翁・黄石公):渡邊荀之助 ワキ(張良):北島公之 
 ツレ(竜神):佐野弘宜
 間狂言:炭光太郎
 大鼓:飯嶋六之佐 小鼓:住駒俊介 太鼓:徳田宗久 笛:高島敏彦
 地謡:広島克栄 他


能 締め太鼓

2019-04-01 | 能楽

   3/28(木)、蒼山会のお浚い会が終わり、最初の「能楽お囃子の会」(平米公民館)のお稽古日。 4月の「芙蓉会」、5月の「能楽会」、「一河会」に向けての、太鼓と謡の練習が始まる。

 太鼓の上田先生が、いつものようにお稽古用の太鼓を二つ下げて入ってこられた。 お稽古を始める前に、毎回太鼓を2個締めてくださるのだ。 弟子が6人に増えたので、二人ずつ練習をする。 締め太鼓は毎回締め直さなければならず、これが大仕事。 男性の力でないと締められず、箱からの出し入れと調べ緒を解くお手伝いくらいしかできない。

 👇 調べ緒を締めておられる先生。

 

 

 👇 太鼓を前にして、先生の前に正座しているKOさん。 膝の前の太鼓は、なんとヤフオクで買った太鼓だそうだ。 左奥に見えるケースと台も込みで、なんと16,000円! みんなビックリ!! 先生まで驚いておられた。 その安い値段にもビックリだが、熱意と行動力に驚いたのだ。 私など撥を買ったのさえ、習い始めて何年も後。 ずっと手で膝を打ち、箸でテーブルを叩き、練習していたものだ。 高価で買えない楽器と思い込んでいた。 オークションとは! 若い人は違うな~。

 皆、がぜんやる気が湧いてきた様子。


第39回「蒼山会 謡曲・能楽発表会」

2019-03-23 | 能楽
 
第38回「蒼山会 謡曲・能楽発表会」&能楽堂存続署名活動 
  リタイア後3年目頃に平米公民館の「能楽お囃子の会」で謡と太鼓を習い始めたので、かれこれ14,5年継続していることになる。「蒼山会」はお謡の山崎健先生が主宰される会で、いつも3月......
 

   👆は、昨年の「蒼山会」のブログです。 今年もほぼ同じ番組表だったのだが、「子ども能楽教室」の子供たちの仕舞の地謡がなかなか覚えられず苦労をした。 素謡の曲数も多く、年齢のせいかもしれないがやはり練習不足からだろう。

  👇は番組表の表紙。 第39回と言うことは、来年は40回記念大会になるのかなあ。

  さて、あちこちで声をかけた方々が見に来てくださり、なはさん、姫さんのほかに、山〇さん、城端から河〇さんも来てくださった。 いくつか紹介します。👇は、M子さんの仕舞「花月」。 舞と謡で能の一部を表現します。

  👇は素謡「春日竜神」。 明恵上人の渡唐にまつわるお話。 平米公民館の「能楽お囃子教室」に昨年から入られたKOさんの初お役です。

  👇 連調連管「船弁慶」。平知盛の幽霊が現れる場面です。

 👇 NOさんの仕舞「玉鬘」。 玉鬘は「源氏物語」の夕顔と頭中将の娘、苦しみ嘆くさまを表します。 

  👇 MAさんの仕舞「実盛」。 斎藤別当実盛が、加賀国篠原で木曽義仲軍に討たれた場面を再現する仕舞。錦の直垂を身にまとった実盛の幽霊が、髪を黒く染めて出陣したこと、最期の戦に臨んで錦の直垂を平宗盛から賜ったこと、手塚太郎と死闘の末に討ち取られたことなどを語ります。その場面を彷彿とさせる舞でした。 今年の蒼山会謡積巡りは、篠原を訪ねます。

 👇 この日、嘱託披露をされたTOさんの連吟「砧」。

  他に、大鼓独鼓「羽衣」、一管「鞨鼓」などプロの先生方の舞台が続いた。 直会の後クタクタになって帰宅。 翌日も疲労困憊だった。 毎年回復が遅くなる。 写真は何枚か姫さんからいただきました。


素謡「翁」~宝生流教授嘱託会高岡支部 五十周年記念大会

2019-02-20 | 能楽

  2/17(日〉高岡市青年の家能舞台で「宝生流教授嘱託会高岡支部 五十周年記念大会」の総会と謡曲大会があった。私とは無関係の会、と思っていたが、今年は50周年と言うので特別番組と聞き出かけた。私の謡のお師匠の山崎健先生が「翁」の素謡を謡われるというのだ。暖かいいいお天気の日、外出も気持ちがいい。 👇 玄関の大看板。

  👇 能楽堂の入り口の祝賀の盛花。

  👇 能舞台。ちょうど素謡「阿漕」が終わった頃。その後「朝長」、「絵馬」を聴く。

  👇 最後の舞囃子「高砂」と素謡「翁」。

  👇 休憩の間、前席の方の持っておられる「翁」謡本をお借りして眺める。以前、SAさんからいただいた全本の中にも見当たらなかっのだ。

 シテ「とうとう たらりたらりら、たらりあがりららりどう」

 地 「ちりやたらりたらりら。たらりあがりららりどう」  と訳の分からない呪文のような言葉ではじまる。もちろん無本だ。撮影も録音も禁止と思い、遠慮した。

 最後は、金森良充先生の立ち方、車伸代先生のワキ、山崎健先生他の地謡で、舞囃子「高砂」。お囃子は大鼓が松本一郎先生、小鼓が上田美雪先生、太鼓が上田博先生、笛が瀬賀尚義先生。ワキの待謡 ♪高砂や 此の浦船に帆を挙げて…♪ から始まり、神舞3段の見ごたえ、聴きごたえのある舞囃子だった。

 👇は、退場の場面。

 大変満足した気持ちで帰途についた。


私の張り扇(はりおうぎ)

2019-02-15 | 能楽

 何年か前に安〇さんから張り盤と張り扇をいただいた。その頃ご主人が謡のお稽古をしておられ、先輩からもらった品を更に私にくださったのだ。そのMr.安〇も数年前にお亡くなりになった。長い間使わずにしまってあり、友達との誕生会(ルビー会)の出し物に使うくらいだった。が、最近時々使うようになった。と言うのは、お笛や太鼓のお稽古に付き合ったりするようになったから。

 ウィッキによれば、「張扇(はりおうぎ、はりせん)は能楽や講談、落語(上方落語)などの日本の芸能において、ものをたたいて音を立てるためにつくられた専用の扇子のことをいう。能楽・落語では「はりおうぎ」、講談では「はりせん」ということが多い。」そうだ。
 👇の写真と説明は、ネットからだが…

  • 通常の扇子を二つに割り、全体に紙を巻き、さらに上から皮もしくは紙で化粧貼りをした上で、要のあたりに持手をつける。二本一対で用い、両手にそれぞれを持って、欅製などの拍子板(張盤:はりばん)を打つ。

 👇のように鹿皮を糸で縫い付けてある。ほとんど手作りだそうだ。私の張り扇は2本とも先端の糸がほぐれ、中から紙が出てきていた。ガムテープでグルグル巻きつけて応急手当をしていたが、すぐに剥がれるしみっともない。 

 昨日、14日の太鼓のお稽古の間にお笛の先生に修理の仕方とそんなお店はないか、を聞いてみた。先生はご自分の張り扇を見せてくださり、糸で縫いにくいので「テーピングテープ」で張り合わせている、と仰った。「テーピングテープって?」と私が聞くと、傍のÝOさんが「絆創膏でいいんだよ」と言われる。それでもピンと来ない私。でも、とにかくやってみます、と言った。

 お稽古が終わり帰りがけに、「わし、やってきてあげるよ」とYOさん。「え~っ」と驚きながらも預けた。帰宅途中にあちこちに寄り、夕方家に入ると電話だ。「モシモシ、今仕上がったよ。今から持って行くから」とYOさん。
 次回のお稽古日まで、と思っていたのにこんなに早く…。しかもこんなにきれいに…。感謝 感激である。 良い音!その晩、さっそく練習してみました。

  


能楽お稽古始め

2019-01-12 | 能楽

 

 👇は、昨年の「能楽お稽古始め」の様子です。雪が積もっていたのですね~。

 
「能楽お稽古始め」と大雪
 1/11(木)は、平米公民館の「能楽お囃子の会」のお稽古始め。4,5日前から謡は何の曲を練習するかなどと、メールやラインや電話で連絡が飛び交っていた。なんせ、謡、仕舞、笛、太鼓と......
 

 今年は、10日(木)が平米公民館の「能楽お囃子教室」の初稽古だった。先生方3人と弟子が10人、総勢13名の賑やかさである。同時に3部屋を使用して、笛、仕舞、太鼓とお謡と分かれてお稽古をする。最後は合同です。

 今年度も、2月の高岡能楽会、3月 蒼山会、4月 芙蓉会、5月 一河会と2度目の高岡能楽会、6月 龍尚会…と、前半だけでも月1~2度の舞台がある。演目もいろいろ。その練習がスタートする日だ。
 今年は積雪が少なく、道中が助かる。👇は、途中の街中の家々。山茶花の咲くお庭。

 👇 昨夜の雪がうっすらと積もる庭木。

 👇 お持ち寄りのお菓子。YAさんが毎年干し柿を持って来てくださる。

 👇 MAさんも恒例の「放生若狭屋」のかりんと饅頭を持ってこられた。「揚げたてだからすぐ食べてね」と。

 👇 今年最初の発表会、高岡能楽会の定時総会と謡曲大会の番組表である。
   2月10日(日)に開かれる。

 


お囃子のお稽古10日間続く…

2019-01-09 | 能楽

 大晦日の夜、「稽古収め」。と称してキッチンで笛と太鼓のお稽古をした。以来、今日1/9日まで10日間一度も休まず続けている。

 最初はただの気まぐれから、2日目は「1日で止めるのも口惜しい」と、3日目はなんとなく続き気分で、4日目は「三日坊主も嫌だね」という具合に、今日まで来た。

 早笛、舞働、中の舞、「船弁慶」の舞働、を順序はその時次第であまりきちんと決めずに。時間も長かったり、短かったり、その時次第である。あまり細かく決めずにしているのが継続できる理由かも。

 👇は、お笛と「早笛」の唱歌(しょうが)。

  👇 太鼓の張り板と張り扇。


龍尚会・忘年会

2018-12-23 | 能楽
 
お茶教室忘年会~今年は「わはく」で
 お茶教室忘年会~3度目の「まほら」 今年はなぜか忘年会が増えました。1年があまりにも早く過ぎ、まだ忘れたくないよ~と言う気持ちの表れかな? 茶々姫先生のお茶教室で......
 

  今年は、👆のようなお茶教室の忘年会がなく、代わりにお笛の会「龍尚会」の忘年会に招かれました。以前からようこ姫さんのブログで紹介されたり、話に聞いたりしてしていて、楽しそうだな~と思っていたので私はもちろん、平米の上田先生の太鼓組一同は感激しまた張り切っておりました。

 12/22(土)2時より、会場は「米島モーターズ」のご自宅・能舞台です。年に数回、申し合わせに呼ばれるお部屋。季節柄、お庭には立派な雪吊りが整っていました。  

 来た人から順に始まると言うことで、すぐに居囃子「竹生島」が始まりました。太鼓はSIちゃん、これは「早笛」「働き」のお囃子です。居囃子というのは「舞留め」とも言い、お囃子の後の謡がないこと、もちろん舞がないので立ち方もおられません。囃子方として、短くなるので気楽です。
 そのうち「西王母」(中の舞)の番になり、私が太鼓を打ちました。👇は、NOさんの太鼓で「竹生島」。笛と太鼓の他にも、小鼓、大皷がおられますがその都度交代しておられます。地謡の方たちは廊下に並ばれます。日の差す暖かい日でよかったです。

 👇は、「竹生島」。

  私も初めて神舞を打たせてもらいました。曲名は「養老」。とても早いリズムなので手が動くかどうか? 👇は、それぞれ準備中。

  👇 連調連管「下がり羽」です。ようこ姫さんの姿も見えます。

  👇 最後の舞台。舞囃子「高砂」です。

 

 この後、忘年会の宴会でした。オードブルに刺身、そして奥様の手料理、煮しめ、ゆべしなど盛りだくさんです。味付けも美味しく、お喋りもはずんであっという間に時間が過ぎました。
 これで今年のお稽古納めとなりました。能楽を楽しんだ後、宴を催し、美味しいご馳走とお酒、お喋り、なんとまあ贅沢な集いでしょう。


金沢定例能(12月)~「岩船」&「通小町」

2018-12-06 | 能楽

  👇は、今年の金沢能楽会の定例能のポスターである。毎年「蒼山会」の総会でいただく。今年は4月の別会能だけ観に行ったが、毎月第一日曜の定例能はなかなか日が合わず一度も観られず年末になった。先生から券を頂いたまま一枚も使わず勿体ないな~と思っていたら、娘夫婦が行こうかと言う。そのうちマークの都合が悪くなり、娘と私となはさんと3人で行くことになった。
 12/2日、晴れた日曜日。あいの風電車に乗った。お能2番、連吟、狂言一番の番組だが、午前から出るのもつらかったので、お能を「通小町」に絞り、正午の電車に乗った。

 金沢駅に着くと運よく、シャトルバスが出るところ。能楽堂に着くと、最初の能「岩船」が始まったところだった。折りたたみいすが並ぶほどの満席。しばらく立っていたが、目をこらすとあちこちにポツポツ空席がある。そこへばらばらに座った。

 能「岩船」は筋らしい筋もなく、ただめでたさを寿ぐという曲。娘はお笛を、私は太鼓のお稽古でよく習う曲(舞働きの部分)で親しみ深い。
 前段で宝の市に玉を持った童子(前シテ)が現れ、これを帝に捧げたいと言い、後段では竜神が現れて天下泰平を寿ぐ。

 私たちが座った頃、舞台には帝の臣下の一行(ワキ、ワキヅレ)がすでに座っておられ、彼らは摂州住吉の浦に宝の市を開き、高麗唐土の宝を買ひとるべしとの帝の命を受けて、住吉へと向かう途中である。
 そこへ童子姿の前シテが現れる。童子面をかぶり、長い黒髪を垂らし、手には大きな玉を持っている。臣下たちは童子の姿を不思議に思いつつ、その手に持っている玉はどんな玉なのかと聞く。童子は天下泰平を寿ぐ徴として、これを帝に捧げるために持参したのだという。そして、市の盛んな様子をほめそこをめざして多くの船が集まってくるさまを寿ぐ。そのうち岩船がやってくると告げる。岩船が宝の船であることは、臣下たちも良く知っている。そこで何故そのような船が市に来るのかと聞くと、童子は自分こそはあの天の探女(あめのさぐめ)なのであり、いまこの代の太平を祝うために、岩船を招き寄せたのだと答え、嵐とともに天上に去っていく。

 ≪来序中入≫ 間狂言が岩船の故事を改めて紹介したあと、龍神に扮した後シテが現れる。龍神は天の探女に岩船を引かせながら、自分は勇壮な舞を舞って、天下泰平を寿ぎ、めでたしめでたしとなる。

地「久方の。天のが岩船を。とめし神代の。幾久し。
後シテ早笛「我はまた下界に住んで。神を敬ひ君を守る。秋津島根の。龍神なり。
地「或は神代の嘉例をうつし。
シテ「又は治まる御代に出でて。
地「宝の御船を守護し奉り勅もをもしや勅もをもしや此岩船。

舞働

地「宝をよする波の鼓。拍子を揃へてえいや/\えいさらえいさ。
シテ「引けや岩船。
地「天の探女か。
シテ「波の腰鼓。
地「ていたうの拍子を打つなりやさゞら波経めぐりて住吉の松の風吹きよせよえいさ。えいさらえいさと。おすや唐艪の。おすや唐艪の潮の満ちくる浪に乗つて。八大龍王は海上に飛行し御船の綱手を手にくりからまき。汐にひかれ波に乗つて。長居もめでたき住吉の岸に。宝の御船を着け納め。数も数万の捧物。運び入るゝや心の如く。金銀珠玉は降り満ちて。山の如くに津守の浦に。君を守りの神は千代まで栄ふる御代とぞ。なりにける。

 私たちがお稽古で練習するのは、♪我はまた下界に住んで~♪で始まる中入り後の後段である。どちらかと言えば易しい曲と思っていた。ところが、龍神の登場からもう、観客席から「おう~」と言う声が漏れ、シテと地謡の掛け合い、舞働の舞…その緩急と言うかリズムと言うか、体がウキウキ、ワクワクして来る高揚感を味わった。「岩船」がこんなに面白いお能だったとは! 茂人さんは声もよく通り、切れのある所作が素晴らしかった。

 シテ:渡邊茂人 ワキ:平木豊男 ワキヅレ:北島公之
 間狂言:山田譲二
 大皷:飯嶋六之佐 小鼓:多田順子 太鼓:大橋紀美 笛:矢郷由香子
 地謡:藪 俊彦 他

 お目当てだった、2番目の能「通小町」は、ご存知小野小町のもとへ深草の少将が百夜通いをして最後の日に死んだ伝説による物語。少将の霊が死後も小野小町の成仏を妨げることを描く。後段に登場するシテ(深草少将)は深刻な感情に憑かれた様子で、百夜忍び通った様を再現して見せる。シテと地謡が穏やかに、しかし恨みを含めた心持で謡う最後の場面が心に響いた。

 シテ:渡邊荀之助 ツレ(小野小町):藪克徳 ワキ:苗加登久治
 大皷:飯嶋六之佐 小鼓:住駒俊介 笛:江野泉
 地謡:佐野由於 他

 タクシーが上手くつかまり、金沢駅に直行。早く着いたので駅構内「不室屋カフェ」でひと休みをして帰りの電車に乗った。

 👇 煎茶と生麩饅頭。

 👇 生麩胡麻ぜんざいと生麩の佃煮。


伸謡会’18

2018-11-29 | 能楽

 今年度最後の舞台が「伸謡会」だった。連調連管が「西王母」、舞囃子が「加茂」の2曲だけの舞台で気持は楽なのだが、「加茂」が3回目で、かなり前の1回目は大失敗、3年前の2回目はちょっと心残りがあり、3回目こそとの強い思い入れがあった。

 ちょうど娘夫婦が来日10日目頃で見に来てくれ、なはさんも早くから見に来てくださった。
 「伸謡会」は車伸代先生の会、第36回目の謡曲大会である。仕舞や舞囃子が多いので、私たち太鼓方はそれぞれ舞囃子を打たせてもらった。後で写真を追加することにして、ひとまずなはさんが撮ってくださった私の出番だけアップします。

 👇 連調連管「西王母」。

  👇 舞囃子「加茂」。

  

 写真を見ると完璧なのだが、舞働きが終わったところでちょっとしたハプニングがあり止まってしまった。完璧な「加茂」を目指していつかまた打たせてもらおう。
 他の曲は太鼓方を中心に。

 👇 「海人」

 👇 「羽衣」

 👇 「右近」

 👇 「融」

 👇 「唐船」


能楽ワークショップ~博労小学校

2018-11-17 | 能楽

 11/15(木)平米公民館の「能楽お囃子教室」の日だった。翌日が博労小学校の「能楽ふれあい教室」の日で、パフォーマンスだけの予定だったのがワークショップもすることになり、助手が必要との話が出た。そんな時はMAさんとMEちゃんがいつもは参加されるが、急なことで先生も遠慮がち…。私の校下でもあり体も空いていたのでお手伝いすることにした。

 16日(金)午後、博労小学校体育館で6年生の児童が対象である。👇は、舞囃子「船弁慶」の演技。 

 

 👇は、体験学習のためのスペース。楽器が並べられ、ござが敷かれていた。太鼓は撥で打てば音がすぐに出るので、他の楽器に比べて親しみやすい。右、左のリズム、撥の高さなどを教えるのにコツが必要。

 👇は、博労小学校HPより:

 11月16日に「こども能楽ふれあい教室」がありました。能についての説明の後、舞囃子「船弁慶」を鑑賞しました。それから、ワークショップ形式で体験学習をしました。体験したものは、①仕舞 ②謡 ③大鼓 ④小鼓 ⑤笛・能管 ⑥太鼓の6つです。その中から一人2つを選択して体験しました。子どもたちは、お面をすると視界が狭まる感覚や、鼓を鳴らす難しさなどを体感することができました。

 👇 山崎先生の「お能のおはなし」:
 「お能を観たことのある人?」  「お能はいつ頃始まったと思いますか?」と聞きながら、「船弁慶」の物語を話される。

 👇 面(おもて)をつける体験。

 👇 大皷の先生より:

 👇 小鼓は音は出たかな?

 👇 当日のパンフレット:

 途中で、隣の「ばくろ想い出館」を覗いたりして楽しく過ごした。


掛けもちの舞台

2018-11-13 | 能楽

   11/10(土)は、ボランティア広場の掛け持ちだったが、11日(日)は場所を変えての掛け持ちだった。午前中は「青年の家文化祭」、午後は県文化ホールでの「高岡市芸術祭」だ。幸いにも朝から晴れ、暖かい一日だった。お笛や謡の方たちは近いので徒歩で移動された。私たち太鼓組は、太鼓があるので先生の車とタクシーで移動した。

 朝一番に「青年の家」へ。慌てたわけでもないのにボッとしていたか、長じゅばんを忘れ、上田美雪先生に着物の襟に襟芯をガムテープで貼り付けると言う早業で当座をしのぐことができた。1日そのままで誰にも気づかれず…。機転が利いて手際よく、本当に尊敬します…。
 演目は、両舞台とも連調連管「鞍馬天狗」。文化ホールでは芸術祭のオープニングだったので翌日の新聞に掲載された。高岡ケーブルテレビで26日(月)から、一日4回放映されます。

 例年なら、「青年の家文化祭」ではお茶室に入ったり他の展示を見学したりする。芸術祭でも、合唱や日舞、バレーや詩吟などを鑑賞するのだが掛け持ち舞台でとても疲れ、すぐに解散した。
 私は、市美術館地下の市民ギャラリーへ。たくちゃん所属の「葛の会」洋画展をゆっくりと鑑賞して来た。今回は大作を一人2点ずつ出しておられた。

 👇 越谷なつみ先生の「春に」。

  

 👇 たくちゃんの「グリーンガーデン」

 👇 同じく「グリーンアイ」


三派能楽鑑賞大会~能「弱法師(よろぼし)」&能楽ちびっこ教室

2018-09-20 | 能楽

  👇は、昨年の「三派合同能楽鑑賞大会」の様子です。表紙のお能は「三輪」です。

 
三派能楽大会’17~能「三輪」
  9月17日(日)、今年も高岡文化ホールで、宝生・観世・和泉流の「三派合同能楽鑑賞大会」が開かれた。 👇は、番組の表紙。能「三輪」の写真である。 私たち蒼山会は、第一部の......
 

 今年は、9/16(日)高岡文化ホールで「和泉・宝生・観世流・三派合同能楽鑑賞大会」が開かれた。なはさんが朝から見に来てくださり、「能楽ちびっこ教室」の発表を撮ってくださったので紹介します。

 連調連管「竹生島」から始まりました。笛と太鼓と謡のアンサンブルです。蒼山会女子部は地謡につきました。

  👇 仕舞「絃上」

  👇 仕舞「西王母」

  👇 仕舞「海人」

  👇 「鶴亀」

 👇 「羽衣」。

  👇 「経政」。

  次に、第二部の能「弱法師(よろぼし)」を紹介します。その前に、私の謡の先生、山崎健先生が「弱法師~鑑賞の手引き」を作ってくださったので、それをもとに紹介します。シテやワキの所作の説明や、会話の現代語版など、とてもわかり易く面白いのです。

 ワキ(俊徳丸の父・左衛門之尉通俊)舞台へ出て常座にて謡う)
 「かように候ものは……
  -私は高安の里に住む通俊と言う者です。子どもを持っていたのですがある人(継母か?)の讒言(他人を陥れる悪口)を信じて家から追い出してしまいました。それを後悔し善行の為、施行(参拝者などに施し物をする)をしようと天王寺へやって参りました。……

 と言うように話が進みます。父に追い出され悲しみのあまり盲目になった俊徳丸がよろよろと天王寺に辿り着き、柱にぶつかりながら舞台に出ます。
 シテとワキ~俊徳丸と父~の会話は…

 ワキ(父):おや、いつもやって来る乞食の弱法師も来たようだ。
 シテ(俊徳丸):いやですね、また私の事を弱法師と呼ばれる、でも盲目でよろよろと歩く片輪の私では仕方ないことですよね。

 最後に父子とわかり、手を取り合って故郷、高安の里に帰って行くまでの物語です。お互いに父子とわからず交わす会話、父が我が子と気づきながらも人前では恥ずかしかろうと、夕暮れになってから名乗る時の会話がほのぼのと素敵です。
 「手引き」は、A4版の紙の裏表にプリントされ、お能が初めての人にもわかりやすい解説になっています。クリ、サシ、クセ、イロエ、ロンキなどの言葉も出ますが詳しい説明はありません。次のお稽古の時に先生に聞いてみたいと思います。

 私も「弱法師」は謡のお稽古はしたけど、お能を観るのは初めて。ボロボロの衣装を着て悲しい面をつけた姿をイメージしていました。が、面はとても美しい女性のよう。「弱法師面」と言い、「弱法師」だけで使う特殊な面だそうです。(「頼政面」もありますね)👇は、ネットから。 

 ネットには、眉間にしわを寄せた悲し気な面もあるとわかりました。演者が選ばられるのでしょうか? 👇は、今年の番組表の表紙ですが、皺を寄せた弱々しい面に黒っぽい装束、見るからに哀れさを誘います。


 が、この日の装束は、弱法師がうす紫(小豆色がかった)の水衣、白地に黒い線の模様の厚板。父は緑と白の青海波のような模様の素襖上下。それぞれがあっさりとした淡色系でバランスがとれていました。金森秀祥先生の弱法師は、よろよろしながらも凛々しく、美しく、そして慎ましやかで高貴の出をうかがわせるものがにじみ出ているようでした。

 シテ:金森秀祥 ワキ:北島公之 間狂言:荒井亮吉
 大皷:飯嶋六之佐 小鼓:住駒幸英 笛:瀬賀尚義
 地謡:大坪喜美雄 他

 終演後、姫さん、杉〇さんとお茶をし感想を語り合いました。姫さんとはなんと3日間連続のデートでしたね。良き師、良き友を持ち能楽のお稽古も楽しみです。膝、声…をいたわり、もう少し続けたいものです。


「能楽ちびっこ教室・舞囃子”鞍馬天狗”」~三派能楽鑑賞大会

2018-09-16 | 能楽

 👇は、昨年の私のブログです。「能楽ちびっこ教室」の子どもたちの仕舞の地謡を受け持つようになったのは数年前から。短い曲だし、先生が横におられるので安心して参加していた。今年は、連調連管の地謡と、一般の部の蒼山会素謡「小督」の地謡(無本)を入れると、なんと5曲も暗記せねばならず苦労した。

 
能楽ちびっこ教室 & お茶教室
 9/9(土)は予想していたように立て込んだ一日となった。が、予想ほどに詰まっておらずゆったりした日程となり嬉しかった。 朝、「青年の家」の「ちびっこ能楽教室」にチョコっと顔を......
 

 👇は、自分の出番が終わり、舞囃子「鞍馬天狗」を観客席から鑑賞した時の写真です。小鼓に上田美雪先生、大皷に車伸代先生、地謡の地頭に松原さんが加わっておられるが、子どもたちだけで舞囃子を演奏できるようになったのはほんの数年前から。中学生や高校生になると部活動や勉強との両立が難しくなるからか、一旦休止する子ども達が多く、新年度また新たにちびっこ弟子たちを迎え指導しておられます。それぞれ後見についておられる指導の先生方は、山崎健先生(謡、仕舞)、瀬賀尚義先生(笛)、上田博先生(太鼓)である。 

 👇 舞とお囃子のみなさん。

 👇 舞姿がきれいですね~。

 👇 座っても立っても形がくずれません。

 👇 地謡の〇〇くん、思わず扇子を撥代わりに振り上げました。「鞍馬天狗」の太鼓はお兄ちゃんが打っているので、きっと真似をしてみたかったのね。


三派能楽鑑賞大会’18

2018-09-06 | 能楽

 8月末に高岡薪能を無事に終えた後、翌週のお稽古はお休み。上京して美術館を訪ね、同窓会に出席して来た。その後、親類の葬儀やお付き合いが続きあたふたしているうちに「三派能楽大会」が近づいていた。仕舞の地謡も含め、暗記物が5曲もあるのだ。

 そして9月最初のお稽古日である6日(木)、朝からメールや電話があった。8月、9月の眼科と歯科の予約を都合でキャンセルしていたので予約をし直したり、なんか慌ただしく午前中を過ごしているうちに、どこで狂ったか、時計を勝手に一時間遅らせたみたい。この日はSIさんが欠席だったので、「早めに行き、テーブルや座布団を並べなくちゃ、そろそろ12時半だから家を出よう」と思っていると電話がなった。太鼓のYOさんの声、「どうしたが? 稽古、忘れとるがじゃないが?」 「え?今から出るよ」と時計を見たら、なんともう1時半だった。どこで時間が飛んだのだろう?

 こんな間違いは初めて! いよいよ私もこんなミスを犯すようになったか~。未だに不思議です…。

 👇は、プログラム表紙。能は「弱法師(よろぼし)」。

  👇は、番組。

宝生流・観世流・和泉流 三派合同 第32回能楽鑑賞大会
日時 9月16日(日) 開演 (第一部) 9:30 、(第二部) 13:30 
会場 富山県高岡文化センター 大ホール
第一部 会員による公演 (高岡市生涯学習センター「能楽講座」受講生も)
第二部 狂言(和泉流)『簸屑(ひくず)』 能村祐丞 清水宗治 炭 哲男
  能(宝生流)『弱法師(よろぼし)』金森秀祥 殿田謙吉
 

舞囃子(観世流)『西王母』 小西弘通、『桜川』 波多野晋、
        『野守』 松浦信一郎

  舞囃子(宝生流)『船弁慶』 佐野由於、『融』大坪喜美雄 他
入場料 (指定席)前売 4,500円(当日 500円高)、(自由席)前売 3,500円
(当日 500円高)、小中学生(自由席のみ)1,000円(前売当日同額)