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災害ボランティア活動、2年間の気付きと歩み

2015年12月22日 04時55分48秒 | まちを良くする活動

(以下の文章は、(一社)産業カウンセラー協会宮崎地区交流会で発表した災害ボランティアの活動報告です。)

災害ボランティア活動は、災害時における産業カウンセラーの資質を活用した被災者支援を目的に、行政ならびに様々な団体との連携をしながら活動を目指すもの。一方、この活動は2013年の交流会から生まれた自主グループであり、九州支部内で最初の災害ボランティア活動グループという期待も担っている。

 前回交流会では、産業カウンセラー協会の元関西支部長から「災害とこころ」の基調講演を受け、分科会で継続的に学ぼうという意見が出され、その後の活動に繋がった。しかし、災害への取り組みは初めてのことで、暗中模索の中で活動を進めてきましたが、身近に前例がなかったことが結果的に、良い結果が出せた。

3つの例を上げたい。まず、定期的な会議について。参加者は多忙な方が多いので、定例会を2月に1回とした。しかし、1回会議を休むと4ヶ月の空白ができ、次に参加し辛いということを耳にした。そのために、会議案の事前配付や、議事録の早期配付を心がけた。今後は、月に1回の開催や毎回セミナーを入れることなどを検討中である。


(KJ法をつかって意見を可視化)

次に、どんな活動を進めようかと考えた時、活動の原点を大切にしようと、「被災者の気持ちを想像する」「災害ボランティアとしてこんなことができたらいいな」という、メンバーの意見をカードに書いてもらい時間をかけて1枚づつ整理し参加者で共有した。これが今、参加者の絆を深めていく土台になっている。

3つ目は、災害について知らないことが多く、防災士の資格取得をしながら学んでいこうと取り組んた。この取り組みは、非常に得るものがあった。

たとえば、宮崎市消防署管内(宮崎市内と国富町、綾町のエリア)に9台の救急車が配置されており、救急車が現場に駆けつけるまで平均9分かかるといわれている。しかし、この9分間の時間が、大切な人の生命を左右する。よって応急手当の大切さを知った。


(DIG研修風景)

DIGと言われる机上訓練を行った。現在の宮崎市内の地図に、大正・昭和時代の地図を重ねて、防災マップをつくろうというもの。そこでわかったのは、いくつかの沼地が住宅地に変わっていること。台風な河川の増水などで浸水した場所の境目となる場所に神社が建っていることを知った。改めて先人の知恵を、身を以て理解した。

現在、この活動グループには22名の登録会員がおり、2016年1月には2回目の全会員を対象とした研修会の実施、3月に2回目の例会(総会)を迎えるところまでたどり着くことができた。長いようで短かった2年間余りだった。

さて、これまでの活動で学んだことや気づいたことを紹介したい。3つのポイントに絞って紹介したい。

1、それは「自分の命は自分で守る」という意識。

実際、災害が起き、ボランティアにでかけようと思っても、自分がケガをして動けなかったり、家族から「止めてお父さん、家族のことが先でしょ!」なんて言われたら、笑うに笑えない。まずは、災害ボランティアに自分がお世話にならないように備えること。防災士の研修では、「自分の命は自分で守ってください」ということを学んた。当然のことだが、改めて考えてみると、新たな自覚がでてきた。必ず、自分が生き残って支援するという覚悟ができた。それは自分の中にある「いのちのパワー」に気付いた瞬間。そのためにも、防災意識の高めること、家具の固定など身の回りの整備、家族の命を守れるように災害への心構えや離れ離れになった際の集合場所や連絡方法を決めた。

2、災害の認識について

「災」「害」は、自然災害だけではないことを知った。事件、事故、パワハラ、その人にとってそれが災害と受け止められるものは災害。そのように考えると、現実には、多くの災害が身の回りに存在する。
30年程前になるが、同僚をキャンプでの水害事故で亡くしたことが、関係者のこころの傷に今も尚、残っている。助けられなかったのだろうかと・・。
身近な「災」や「害」について、理解し、寄り添い、適切な支援やリファー(紹介)をすることができることが大切だと感じる。産業カウンセラーとして、自分の知識やこころを磨きたいと意識が変わり、モチベーションが上った。

話は少し脱線するが、詩人の想像力について。「地球の裏側で起きた事件の当事者の気持ちを描くことができる」ということを聞いたことがある。私は詩人ではないが、想像力を鍛えることはできると思う。それは、言葉や仕草、表情の変化の向こう側にある想いを「観て」て「察する」ことだと思う。今年10月にサワコの朝で、コロッケさんが話していた言葉が印象的だった。少年時代から右耳が聞こえにくくなっているコロッケさんは、「目で聞く、耳で観る」ことを大切にしているそうだ。目で観て、耳で聞くが通常ですが、その逆。耳で聞いて音を想像する。目を閉じて耳だけで観る。私達産業カウンセラーに示唆を与えている言葉だと思った。      

3、具体的な支援はふたつある。

被災した日からの時間の流れによって、支援の方法が違う。被災直後の被災時の苦しみを知る(例:自宅や家族の被災、知り合いの被災、眠れない、衛生的な問題、困った隣人)に寄り添う支援。以前、PFA研修(こころの応急処置)で、グランディングという技法を学んだ。散らかったもの片付けや掃除などの肉体的支援をしながら、「傾聴」を足していく支援が考えられる。「片付けをしながら、○○が見えますか?お名前が言えますか?膝を軽く叩いて」などの行為で、落ち着いてもらうことができると聞いた

ふたつ目の支援は、被災時、生活が落ち着いてからの支援。被災後の自身の健康問題、人間関係や将来設計など、苦しんでいる被災者の悩みは多岐に亘る。そこに、産業カウンセラーで学んだ傾聴のスキルが活用できると思う。


(全国会員研修会イン沖縄の様子)

他県の取り組みの事例紹介。今年5月の全国会員研修会イン沖縄で、災害ボランティアの学習会に参加した。中部支部(名古屋)では2012年専門家を呼び、公開講座を実施している。PFAの有資格者が誕生。中部の国土交通省に呼びかけ、ライフライン企業、学識経験者を対象に防災・減災に取り組む、中部圏戦略会議の立ち上げに参画し、災害支援の中核を一翼担っていることを知った。産業カウンセラーとして、できることは何か。ここ宮崎で自分達の身の丈にあった支援は何か?考えながら、支援出来る力を身につけていきたいと強く思った。

最後にこれからの活動の課題と展望について。災害は、いつ襲ってくるかわからない。あまりゆっくりしてはいられないのだが、ひとつは人材育成。それに対して、災害対応の為、知識向上と技術の研鑽することで対応したい。

次に、ボランティア活動の体制づくり。それには、定例会にて継続的に運営方法を検討する予定だ。たとえば、夏休みにラジオ体操のカードのイメージ。参加したらカードに捺印。これと同じように、支援に必要な講座に参加することで基礎的な知識を習得し、災害ボランティア登録を完了。

災害支援要請の際には、登録した方に希望をお伺いして、参加要請を願うというような仕組みづくりをしたい。そのためには、登録会員を増やすことだが大切である。分母が多ければ、無理なく継続的な支援が可能となる。それは、直接現場で支援に当たれる方ばかりでなく、支援のアイデアを出す方、連絡係など事務局的な役割を担う方など後方支援も必要であるため、参加者を増やすことが課題である。

難問山積ではあるが、根気強くひとつひとつの課題をクリアしていきたい。


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