青年の船では、いろんな体験をした。中でもニュージーランドで行なわれた初めてのホームスティは、思い出深い
日本人メンバー約260人の内、半分の団員はオーストラリアでホームスティを済ませていた為、私達は、後半のホームスティということでニュージランド第2の都市オークランドで、1泊2日を過ごした
私と一緒に過ごした金丸君は、S電力に勤務するスポーツマン。体が動物的だったので私がつけたニックネームは、金丸ならぬアニマル。爽やかな好青年である。
お世話になったホストファミリーのグレイムさん宅は、奥さんのロニーとヘイマシュ(9歳の男の子)、カトリーナ(7歳の女の子)の四人家族。なだらかな小高い丘を登りきったところに、グレイムさんのお宅はあった。
堀ゴタツのようなリビングが印象的だった。グレイムさんは、日本でいうところの大工さん。ライトバンタイプの車に沢山の仕事道具を積んでいた。
初めは早い英語にとまどったが、目の表情や雰囲気でお互いの気持ちがわかるようになった。片語の英語ながら、夜遅くまで話は尽きず、まるで家族同様に過ごせたた事が今でも思い出される。
家族が一つの生活単位であり、自然と一緒に生きているという印象を受けた。どこへいくのも、家族単位のようだった。特に私達が過ごしたオークランドという街は、ヨットが車と同じように普及していた。きっと、家族揃って過ごしているんだろうと思う
滞在2日目。グレイムさんとオークランド市内の動物園で遊んだ。施設を去るとき、グレイムさんから、「ゴーイング・シップ」とおっしゃったので、船に帰る準備をしている私達に、「いいえシップ(船)ではなくて、シープ(羊)ですよ」と笑いながら、言葉を聞きまちがえた私達を羊牧場へと案内してくれたグレイムさん一家が、今でも想い出される
(日本丸をバックに記念撮影)
船がオークランドの港を離れる日、グレイムさん一家が見送りに来てくださった。ありがたかった。そして、船へ電報が届く。
「SAYONARA OUR NEW FRIEND FROM HAMISH KATORINA RONNIE AND GRAEME」
今でも大切にしまってある。