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天保異聞 妖奇士 説十四 「胡蝶舞(こちょうまい)」

2007-01-26 00:34:27 | 天保異聞 妖奇士
このままでは危うく3週空き、という危機的状態を迎えそうなので、短くとも残します、残しますとも、自分のために(備忘録かよ)。



わたしの行きたいところ……。


そうさ


それは無理




あそこに行きたいのか?


どうしてそう思うんだ?


さあなぁ、なんだかそんな目をしているからさ
ここじゃねぇ、どこか
全く別のどこかへ行っちまいたいって


行くなよ


あそこが地獄だか極楽だか知らねえが
ここにも楽しいもんはいくらでもあるんだぜ



そうは思えない


~中略~


不思議だ
あなたの言葉を聴いていると
なんだか信じてみたい気持ちに



そうかい


この会話の流れって非常に重要というか、ひょっとするとここはある意味この物語のラストに直結する要素がぎっしり詰まってるんじゃないかって思えるんですよ。

どこにでも、誰にでもある、ここではないどこかへ行きたい衝動。
それをこの作品では「異界」であったり「異国」として表現しているのですが、それは極端に表現することでテーマを目立たせるための手法であって、実はその衝動というのは普通に生活している我々の中にも多々あると思うんです。逃げたい、という衝動まで含めて。

それでも人は生きていかないといけない、この場所で。

というのがこれまでに何度か示された作中の答えになっているわけですが、恐らくそれにもう一つプラスされるのが、人への愛であったり、人への優しさであったりする、ここにいてもいいんだ、もしくは、ここにいて欲しい、という答えに落ち着くんじゃないかな、と今回のこの二人の会話を見て思ったんですよね。


引き止める人がいて、その人は相手にここにいて欲しいと思っている、思われている。
そのとき自分もそうなら……。

という展開のとき、これまでネガティブにもここで生きていかないといけないんだ、それでも生きていかないといけないんだ、という答えから、それでもここで生きたいんだ、それでもここで頑張りたいんだ、というポジティブな表現になっていく、そんな気がするんですね。

何となくこの長い物語の最後に、アトルがここではないどこかに行きたい、という気持ちから、ここで生きてみたい、ここで生きていきたい、と思えるようになったとき、それがこの物語の最終回なんじゃないだろうか、と思ったりしました。

やっぱりそこには優しさであったり、愛であったり、そういう温かさが欲しいところです。


それに対して今回は、皮肉にも愛憎劇の様相を呈している部分もあり、アンチテーゼか?とも思わせます。

さあ、これがお得意のミスリードと出るか、それともさらに捻りをきかせてくるか、今から続きを見たいと思います。

つか、さいぞう、君にもロマンスがあることを心からお祈りしております(笑)。

天保異聞 妖奇士 一 (完全限定生産)



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