蒼穹のぺうげおっと

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交響詩篇エウレカセブン DVD13巻 感想

2006-08-11 22:28:17 | エウレカセブン
交響詩篇エウレカセブンのDVDシリーズもついに最終巻。
ここでのDVDレビューもこれが最後。放送終了から5ヶ月、あっという間でした。

では改めてDVD13巻のショートレビューです。

■感動のジャケット


このDVD13巻のジャケットを初めて見たとき、もう何も言うこと無いな、と言うくらい感動しちゃいました。


砂浜で海を前に手をつないで立つ少年と少女。
それぞれの手にはリフボードではなく、サーフボード。

良く見るとエウレカに良く似た少女の背中には羽は無く、その代わりレントンに良く似た少年の背中にはあの羽が。

レントンとエウレカではない、けれどもレントンとエウレカに良く似た少年と少女。


丁度、この交響詩篇エウレカセブンが第4クールに突入した第40話「コズミック・トリガー」の感想で、こんなことを考えていて、


僕の個人的なラスト予想としては、1万年後に「海」に満たされたこの惑星で、エウレカとレントンの子孫とも思える二人がリフじゃなくて、サーフィンをやっている、そういうラストカットで締めて欲しいなぁ。
ゆえにこの時代の二人がどうなったか?というのは視聴者の想像に任せる、で、答えは1万年後、みたいなのでも嬉しいです。


まさにそんな光景がここに。・゜・(ノД`)・゜・。

もうこれだけで僕は満足です。
このジャケットを描いた吉田健一さん、最高です。

ありがとう。・゜・(ノД`)・゜・。
ありがとう。・゜・(ノД`)・゜・。
ありがとう。・゜・(ノД`)・゜・。

吉田健一さんもご自身のHP「gallo44」で、「絵の意味については,皆さんのご想像におまかせします」とあるように、もう存分に想像させて頂きました(笑)。

もうこれでレビュー終わってもいい。

……というくらい、すらばしいジャケットでした。
うん、最終巻にほんとに相応しい。


■本編ショート感想の前に(絶望病患者は…)

今回の13巻は怒涛の第47話~最終話までを含んでいるのですが、ここが物語りの謎解きの部分でもあったり、いろんなことがめまぐるしく起こる、まさに怒涛の展開でした。
ゆえに、僕自身もリアルタイムで(朝7時から)見ているときは、全部を理解するのはかなり難しかったんで、解釈に自信の持てない部分なんかも結構ありました。

第47話と第49話はまさにそういう感じで当時は結構???な部分もあったんですが、今DVDでゆっくりと見返してみて、だいぶ整理&理解できるようになりました。
改めて見ると、ああなるほど、こういうことが言いたかったのね、とか、このシーンの意味はこういうことだったのね、というのが満載されていたんですね。
説明不足じゃないか?と思っていた部分も、実はきちんと描かれていて、なるほど、そう読めばこれ以上の説明っていらないかもしれないな、みたいな。

いくつか前提もあるんですが、僕の場合、グレッグ・ベアの『ブラッド・ミュージック』を読んで大分理解が助かった感じがします。

例えば、第47話「アクペリエンス4」ではスカブコーラルの情報共有の仕方や、存在の有り方なんかが既にコーラリアンと化したダイアンから語られるのですが、これについてはまさに『ブラッド・ミュージック』で描かれた世界をそのままベースとしているので、こっちを読むとかなりすっきり理解できると思います。

簡単に書くと、コーラリアンには固体という概念が希薄で、基本的に全ての事象を情報化して処理する&情報化された内容は並列化されて経験・知識として共有される情報思念体みたいな感じなんですよね。
その並列化して共有化されるのをイメージ化したのがあの「図書館」なわけですね。

また第49話「シャウト・トゥ・ザ・トップ」では、デブリが大気圏外から落下してウィルやマーサをはじめとした絶望病患者を中心に破砕に巻き込まれていくシーンが描かれていましたが、リアルタイムではたぶんそうだろう、くらいの感じでしたが、改めて観て思うのは、やはりあのシーンはコーラリアン化する=もう一つの世界へ連れて行く、という表現になっていたんだと思います。

これは『ブラッド・ミュージック』では、色んな形で人間としての形状を一旦崩壊させられて、改めて情報化された状態に作り変えられていく(その光景は人間だけじゃなく都市全体規模で行われるので結構ショッキングなんですが)表現を、このエウレカセブンではデブリの落下による地球崩壊のように描くことで、実は絶望病患者をもう一つの世界へ連れて行く儀式になっていたんじゃないかなと思います。
#『ブラッド・ミュージック』もその過程がかなりインパクトあるので、それに対するインパクトとして「ディープインパクト的演出」になったんじゃないかなぁ。

これがラストでニルヴァーシュが「半分は連れて行く」と言っていた言葉につながるんですね。きっと。


■本編ショート感想の前に(デューイは…)

で、デューイなんですが、やっぱり彼の行動は途中から世界を巻き込んだ壮大な自殺だったと僕は確信しております。
紛い物に対する自分のコンプレックスと、いざ頂上に立ってみて見えた景色と、これまで辿ってきた地球の有様への憤慨を自分の境遇とダブらせた結果、絶望を見てしまった、それが狂気へと傾倒してしまった、未来をみることができなくなってしまった、それがデューイ・ノヴァクだったんじゃないかと。

ラストの自殺劇は非常に手が込んでいて、リアルタイムで見ているときは本当に分かりづらかったところもあったんですが、ホランドの死亡フラグ的に利用されていたCFS(コンパク・フィードバック・システム)が、実はこの(世界の)自殺のトリガーになっていた、という壮大な囮効果だったんですね。

自分が死ねば、世界も死ぬ。自分が死を選ぶということ=地球に引導を渡すということ。
これをやるために、デューイは自身にコンパクドライブを外科手術を行って埋め込んだんですね。たぶん。

一応、分かっている人も多いと思いますが、シンプルに仕掛けを紐解くと…。

まず、オラトリオNo.8で、指令クラスターを破壊します。
基本的に指令クラスターが無くなった時点で、スカブコーラルは統制を失って、一気にクダンの限界が引き起こされるはずなんですが、スカブコーラルも生き残るためにすぐにはクダンの限界に至らない。地球なくなるし。

つまりスカブコーラルは指令クラスターが無くても、なんとか生きている状態にあるわけですね。

だからデューイとしては「トドメ」を刺さないといけない。
では、どうやって?

スカブコーラルは、これ僕の持論なんですけど、やっぱり他の星をテラフォーミングするために人類が開発した(全ての事象を情報化して処理する)ナノマシンだと思うんですけど、人類が創ったものだから、破壊する方法も考えることが出来るんじゃないかと思うんですね。
たぶん箱舟(移民船)の中の賢人会が保管していた太古の知識の中にはオラトリオNo.8のように、今の人類では再現できないテクノロジーがあったんじゃないですかね。
それらを解析して出来たのが「自壊プログラム」=自壊ウィルス。
全てを情報化するだけに、自壊するためのプログラムを読み込ませれば、スカブコーラル自体(全体)が崩壊する、並列化して共有するがために、そういう現象が起きる、つまりそれこそが本当の「トドメ」、というわけですね。

でも、問題はあって、じゃあ「どうやってそのプログラムを指令クラスターに読み込ませるか?」ということになるんですよね。

既存の指令クラスターを崩壊させ、スカブコーラルが新たな代理指令クラスターを必要とする、そのチャンスを狙っていたわけですね。

ここからは本編の通りですが、スカブコーラル側は爆心地の最も近くにいた同士=エウレカ(そしてデューイとしては保険としてアネモネ)とニルヴァーシュを媒介として、指令クラスターに指名する&レントンたちも自分たちが指令クラスターになって、この崩壊を止める!!という形になっていましたよね?

これがデューイの狙い通りというわけなんですね。

エウレカとアネモネの首輪に仕込まれていたのが自壊プログラム。

その発動条件はデューイの心肺が停止したとき。
#CFSでリモートコントロール的に発動するってわけですね。
#TB303や909が使ったCFSはこれをやるための壮大なブラフだった(笑)。

ここで代理の指令クラスターから「自壊せよ」という指令が発せられ、並列化されたコーラリアンは全て「自壊」する、そしてそのときに全てのスカブコーラルが目覚めて、それをトリガーにクダンの限界を引き起こして地球も消滅。
#スカブコーラルが知性を持ったナノマシンであれば、地球が内包できる知的生命体の総数を一瞬で超えてしまう=地球はそれを抱えきれず崩壊(パンク)、という理屈です。

結果としては、エウレカが耐えて、そしてレントンが迎えに行くことによって、それは回避されるわけですが、最終話では地球は完全に崩壊の一歩手前まで来ていたわけなんですね~。おお、危ない、危ない。

・・・まあ、そう考えると、デューイのこの計画は非常に細いロープの上を全速力で駆け抜けるくらいの綱渡りだったわけですが、彼の企みというか賭けはほぼ成立してしまったんですよね。
けれども、そこで勝ち逃げにならなかったのは、世界がどうとか、コーラリアンがどうとか、そういうのを全て忘れて、ただ大好きな女の子と一緒にいたいと強く願った、二人の未来を強く願った少年と、それを信じた少女によってこれまた細いロープの上で大逆転をかましたからなんですよね。

うんうん。

とまあ、えらく長くなっちゃいましたけど、47話~49話までのリアルタイムでは整理しきれなかった部分を自分なりに解釈するとこんな感じでした。
時間が経ってみると整理できることってあるんだなぁ、とこれまたしみじみ。


■本編ショートレビュー

うわ、ここまでくるのに凄い時間かかった(笑)。
さて、ショートレビューです。
ちなみに、第48話~第50話まではDVD用に効果音なんかを再録音してるんですよ!!

第47話「アクペリエンス・4」
ついに語られる1万年前から現在に至るまでの謎と経緯、そして人類とスカブコーラルの関係性。
スカブコーラルが抱えていたのは「1万年の孤独」だった。
謎が明かされる一方で、少年の心も1年の旅を経て大きく成長していました。
第1話で早くこの町を出たいと言っていた少年が、エウレカを連れて、みんなに自分の育った町を見て欲しいと言う。
諦めるな、信じていれば願いは叶うと教えてくれた姉さんが諦めそうになっている今、それを少年が叱咤し、諦めないと誓う。
大きく張っていた伏線は世界観だけじゃなく、人間関係にも収束してきていた、実はそっちも見所なんですね。

第48話「バレエ・メカニック」
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
。・゜・(ノД`)・゜・。
もう一つの「モーニング・グローリー」。暗い闇を抜けて、ここにも朝日が差し込んだ、超・感動の一話。必見!!
個人的にベスト5に入るエピソード、もう何も言いません。とにかくこれは見てください。
アネモネのモノローグから、モーニング・グローリーの再演、そして白銀のType The END。
号泣必至です。

第49話「シャウト・トゥ・ザ・トップ」
#感想は最終話と一緒になってます。
世界の命運をかけた兄弟喧嘩がここに決着。でも決着したらもっと大変なことに!!
仕掛けは大掛かりで難解ですが、落ち着いて整理すれば大丈夫。
つか、注目すべきは超・驚愕の作画!!
これは凄い!!
近年のバトルシーンでこれほど手描きで凄いシーンは中々見れませんよ。
特にTB303がビットとの空中戦から銀河号へ突入するシーンなんかは何度もコマ送りで見てしまったほどに。
こ・れ・が・本当に最終話一話前の作画のクオリティーなのか!!と思わずにはいられません。


第50話「星に願いを」
感動の大団円。「俺の隣にはエウレカが必要なんだ!!」の思いがほとばしる最終話。
大ピンチのどん底状態から主題歌「sakura」がかかって希望に灯が点り、そして「虹」でクライマックスへ向かっていく、この展開にはドキドキしっぱなし。
最終話、大好きです。
溢れる思いは全て10000字にして感想にぶち込みました。コメント総数も120を超えてこのブログの新記録へ。
みんなで支えて頂いたエウレカセブン感想もここに終結です。
ちなみに、この第50話は結構絵の修正が入ってますよ。
3人の子供たちが呼びかける大きなコンパクドライブがエウレカとレントンに反応するシーンは必見。ただ光るだけじゃなく、ハートマークが飛び散ります。
あと、エウレカが指令クラスターになるところの黒い球体も全面的に描き直し入ってます。
この辺も必見ですよ。


さあ、これでDVDレビューも終了。
以降、エウレカセブンでこれ以上の記事を書くことがあるかどうかは分かりませんが、自分自身エウレカセブンに関する記事を書くのが楽しくて仕方ありませんでした。
時を忘れるほどにキーボードを叩いていました。

京田監督や吉田健一さんのコメントをみるに、遣り残したことはたくさんあるし、全部に満足はいっていない、と仰ってますが、一ファンとしては監督はじめ、制作に携わった皆様には是非とも胸を張っていただきたい。

求めるものや、感じ方は人によって違うと思います。
けれども、僕個人としては近年稀に見る素晴らしい作品だったと思うし、試行錯誤してきた部分含めて僕は大好きだと、胸を張って言いましょう。
30代中盤の方々がメインを張って文字通り引っ張った作品は、若さと勢いがあったと思うし、それはそれで僕らのちょい上の世代の人がこれだけ情熱的に仕事をしているのは励みになりました。

この場を借りて、制作に関わった皆様にはお礼が言いたいです。
ありがとうございました。

そして、このエウレカセブンの感想にコメントくれた皆様、そして読んでくれた皆様。
皆さんに支えられて70以上の記事を書くことができました。
改めて御礼申し上げます。

これからも頑張るんで、よろしくです。

オシマイ!!

交響詩篇エウレカセブン DVD13巻