5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

デトロイトの財政破産

2013-07-19 22:34:10 | 行政
「デトロイトが財政破産申告」というワシントンポストのメール速報を朝のPC画面で読んだ。速報なので詳細は書かれていない。午後の万歩では時差の加減でアップの早いBBCと、現地の夜ニュースのNBCナイトリーをポッドキャストで聴きながら情報を補充。

BBCは、「アメリカの製造業を代表する地域が苦境にあるということは、まさしくアメリカ中産階級の崩壊の象徴である」と格好よく纏めていたが、NBCも含めて、いずれ来るべきものが今来たといったニュアンスの報道の仕方で、さほどの緊迫感は感じない。

夜には、NHKのTVニュースがその概要を報道してくれた。

デトロイトは1950年代以来60年に渡った長期的停、慢性的財政難が続いている。市の抱える負債規模は180億ドル(1兆8000億円)を超え、アメリカの自治体の破綻としては史上最大。2009年のGM経営破たんで人口減少がさらに拡がり、GM復活後も周辺地域へスプロールアウトした労働者はデトロイトには戻らず、現在残った70万人は、この都市から出られない貧困層や年金高齢者たちばかりといった状態。

破産したGMと同様に巨額の借り入れ金でこれまで行政活動を維持してきたが、GMと違うのはデトロイト自体が車を生産販売できるわけではないということ、すなわち、借金は膨らみ、財政資金難から、救急車の出動が3分の1に減ったり、街灯の40%が点灯しなかったり、警察官の数は減らされて現場到着時間が1時間かかるなど治安がさらに悪くなって、都市生活には課題ばかりが圧し掛かっているようだ。

都心部の再開発エリアは美しいが、市街地に拡がる7000軒以上の空き家が麻薬犯罪の温床になるといった様々な社会問題を惹き起こす。

不況だった自動車産業が再生を目論んでリストラをした結果、工場はデトロイトから出て行き、自動車産業との係わりが低下、現在、自動車の業績が回復しても、市に落とされる税収は大幅に減ったという。かつての「自動車都市=デトロイト」は、最早、象徴的な意味合いでしかなくなっているのが現実だ。

自動車産業が抱えてきた課題の集積としてある「長期負債」の存在。社会保険費用などのレガシーコストが、住民が抜けた今もデトロイトの負担として残存し続ける。BBCのいう中産階級の崩壊とはこういった意味も含まれるのだろう。

このニュースを見聞きして、トヨタ自動車と愛知県(名古屋市)との関係にも似たような危うさがあるのかも知れぬと思った。

グローバル化する世界、アセンブリーとしての自動車産業には、もはや国内に固定した域内で製造を継続する意味は無くなったのだろう。いつしか、トヨタの工場が愛知県内には皆無といった時代がやってくるかもしれない。

デトロイトはこれで「フレッシュスタート」が出来るという言い方をするようだ。まずは7000軒の無住住宅をどうやって都市ルネッサンスに結びつけるのか。愛知県や名古屋市の行政としては、デトロイト市の「21世紀的都市再生」のやり方を注目してみる必要がありそうだ。










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