LOTUS BLUE DIARY

インテリアとリビングと手作りのお話

スリーレッグ・シェルチェア-(CH07)と、シェーカーチェアー(J-39)

2008-12-08 13:33:29 | インテリア
仙台市の”ソネケン”さん(曽根建業)のお家をコーディネートして参りました。

”ソネケン”さんは、社名を”ソネケン”とリニューアルし、モデルハウス、ギャラリー、社屋を同時に建設されました。
この一大プロジェクトに際し、それぞれの棟に導入する家具のセレクトと
室内装飾全般を仰せつかり、夏から着手していたお仕事を納めて参りました。

”ソネケン”さんのモデルハウスには、
”スリーレッグ・シェルチェアー”と”シェーカーチェアー”を導入しました。

こちらがダイニングルームに据えられた”シェーカーチェアー”の様子です。



”ソネケン”さんのお家は、シンプルモダンでありながら温かみのある良質な木造注文住宅です。
テイストでいうなら”和モダン”といったところで、建具の格子や障子などのディテールに
和の家の美しさを存分に感じることのできる家です。

ダイニングと隣り合った琉球畳の和室には、美しい塗り壁と床、雪見障子の窓が見えます。
日本の家とはこのように、洋室と和室が共存しています。
モダンではあっても、やはり畳の部屋が欲しいと思われるお客様が大半を占めています。
つながったそれぞれの部屋が不自然に見えないようにするために、
置き家具をどう選ぶかはとても重要な問題です。

ですので家具を選ぶ時というのは、その家具のクオリティーが
「一生使用するに耐える良いものであるかどうか。」ということと同じくらい、
家具のデザインがその家に「本当に合っているのかどうか。」がネックになる
と思っています。

北欧の名作椅子である”シェカーチェアー”(J-39)は、日本の家によく合う椅子だと私は思います。
畳の和室が隣にあっても、なんら不自然な感じがしないということを、何度かこの家具を扱ってみて知りました。

あえてテーブルコーディネートを、普段の和食を食べる感じにしてみましたがいかがでしょう。

和室と反対側の隣の部屋は、天井の高いリビングルームになっています。
こちらのお部屋には、"Hans J.Wegner"の”スリーレッグ・シェルチェア”(CH07)を入れました。



ダイニングとリビングの境の、大工さんの匠の技による美しい格子の建具が印象的です。



”スリーレッグ・シェルチェアー”に対する私のイメージは、
「ミッドセンチュリーの極み。」、「優美な曲線を持つ近未来的なデザインの椅子。」、
といったものです。
(”椅子のソムリエ”にもチラッっとご紹介しています。飛んでみて下さい。)

一方、”シェーカーチェアー”の身の上が”Danish Country”だとすれば、
この二つの椅子同志は「対極に位置する椅子なのではないか?」と最初思いました。
隣り合ったダイニングとリビングに、
それぞれ北欧の巨匠の二つの椅子を置こうとする時、
「コーディネートの失敗は、決して許されない。」と、私の実は引き締まります。

もしもチグハグなコーディネートをしたなら、「工務店さんに申し訳ない。」、
「こんな高額の椅子を・・・。」という思いと、
もしもお互いのデザインを踏みにじるようなことをしたら、
「草葉の蔭でウェグナー先生とモーエンセン先生が泣くのでは・・・。」
という思いです。

頭の中で、何度もイメージを作り、固めながら、
椅子の”塗色”、“張布”を決定し、それぞれの部屋に合わせて置く家具を吟味します。
”シェーカーチェアー”には、国内メーカー“飛騨産業”さんの”ソリッドテーブル”を合わせました。
無垢板の良質なテーブルは、クオリティー、意匠、共に
”シェーカーチェアー”にふさわしい家具です。
かたや”スリーレッグ・シェルチェアー”に合わせる、相手方の家具として
ソファーは、なるべくニュートラルなデザインのソファーを、ということで
"AIDEC"さんの"JUNO"を合わせました。

全体像が、「自然に見えるように。」ということと、
「家が良く見えますように。」ということを、常に頭に置いて仕事しています。

巨匠の椅子に負けないように。
家具を一切知らないお客様に、「この家、いいね。」「この家具が合ってるね。」
そして、「こんな暮らしがしてみたい。」と思っていただけたら。

いつもそんな思いで仕事しています。



ジャパニーズミッドセンチュリーなコーディネート

2008-12-05 10:56:35 | インテリア
和歌山県"KINO"さんの、"I様邸"をコーディネートして参りました。

"I様"は、ちょっとレトロなテイストがお好みのようでした。
新築のお家に”カリモク60”というシリーズの家具を購入されていました。
このシリーズは、その名のとうり1960年代にデザインされた椅子で、カリモクの人気商品にして代表的な、
ロングセラーなジャパニーズミッドセンチュリーの椅子です。



こちらが”カリモク60”(ロクマル)の、”Kチェアー”と呼ばれる椅子がセットされた様子です。

木をふんだんに使った“Kino"さんのお家には、今まで
あらゆるテイストの家具を導入しました。
“和モダン”、”カントリーモダン”、“北欧の家具”、”クラフト調の家具”、
そしてあるときはイームズの椅子で”ミッドセンチュリーモダン”、
またアントチェアーで“北欧ミッドセンチュリーモダン”といったところです。

このたび”カリモク60”が、”Kino”のお家に入ると、
何とも言えず「懐かしい。」、そして「温かい。」インテリアになりました。
ダイニングとリビングを兼ねるように、ダイニングテーブルの高さを
特注にして、うまく合わせていらっしゃいます。
”I様”が選んでいらっしゃった、、昭和のレトロな感じのダイニングの照明も
この家具によく合っています。

ダイニングのもうひとつの中心的な存在である”薪ストーブ”とのコンビネーションも
素敵にミスマッチしていて、より「温かい。」感じを醸し出しています。

冬場は、ストーブ側には椅子を置かないで、ストーブを眺めるように
椅子を置くようにされるようです。



さて、このテーブルにはどんなコーディネートが合うかなと考え、
"Duralex"の耐熱ガラスのカップソーサーを合わせることにしました。
家具と同じ、1960年頃の製造であるということと
椅子の張布の”モケットグリーン”と同じ色味だったので、
「きっと、合う。」に違いないと思って、手持ちのものをお貸出しして撮影しました。
同じくアンバー色のガラスの花器に小さく花を生け、
"Bunaco"の、なんとなく形がミッドセンチュリーっぽいトレーに
青いリンゴを盛って、効き色のグリーンを強調しました。



このカップソサーは、友人の“きえつくん”に戴いたもので、
大切にしているお気に入りです。
コーヒーではなく、紅茶が良く合うカップソーサーだなと思い、
もっぱらレモンティーを入れて飲んでいる器です。
(きえつくん、このカップ大切にしていますよ。)

レトロな椅子と、薪ストーブと、Duralexのカップソーサーで
懐かしくも温かいシーンの撮影となりました。

”山帰来”と”とうがらし”のクリスマスリース

2008-12-03 12:40:39 | フラワーアレンジメント
毎年クリスマスの一か月前ぐらいになると、
千葉県佐原の”カフェしえと“さんに呼ばれて
クリスマスの飾りを作りに行きます。

今年の飾りは、直径80cmの大きなリースです。



多くの色を使いたくなかったので、葉っぱのグリーンと、
実ものの赤の2色に抑えました。
バックには、実ものと同じ色のダークレッドの光沢のある
美しい織り柄のある布を垂らしました。
同じ色のサテンの布でボーを作り、リースに結びます。
クリスマスレッドとしては、ピュアな赤よりも
このくらい深い赤がふさわしいと思います。

ベースとなるリースはイミテーションですが、
ドライの”ひいらぎ”、”山帰来”、”とうがらし”はイミテーションでないものを使っています。
リースの花材には、なるべくイミテーションは使いたくない
というのが、私の考えです。

カフェで作業をしていると、いつもお客様が声をかけて下さいますが、
この時は「”とうがらし”なんて変わってますね。」と言われました。

欧米では、クリスマスリースの花材として、わりとポピュラーに
”とうがらし”が使われます。
いろんな赤い花材のなかでも、”とうがらし”の赤はもっともビビッドなので
私は大好きです。

一年のうちのこの時期だけ、スーパーで枝付きの”とうがらし”が売っています。
(漬物のシーズンだからでしょうか。)
スーパーの”とうがらし”は、花材屋さんで売っているのより安いので
私はよくまとめ買いします。
この間の婚礼の“お祝いの花あしらい”にも、スーパーで買った”とうがらし”が役立ってくれました。

そういえば、この間"niwa coya"さんで飲んだ”ホットジンジャー”には
とうがらし”が入っているそうです。
体がポカポカ温まる”ホットジンジャー”は、生姜ととうがらしの
ダブルの相乗効果があったんですね。
(その他には、クローブとジュニパーベリーも入っているそうです。)
クリスマスシーズンの温かい飲み物として、
それから風邪予防にもなりそうな”ホットジンジャー”を
うちでも真似て作ってみようかなと思います。

話がすっかりそれてしまいました。

かんたんに手に入る素材で、クリスマスの飾りやら、ホットドリンクやら
いろいろ手作りしてみると楽しいですよ、ということが言いたかったのです。

忙しかった仕事がひと段落して、ちょっと落ち着いたので、
これからクリスマスとお正月に向けて
家でなにかにと手仕事してみたいな、と思っているところです。


祝箸の水引と、胡麻塩包みと、ナプキンフォールディング

2008-12-02 12:46:34 | クラフト
婚礼を和式でやりたい、という新婦の立っての希望で
披露宴の料理は和式に乗っ取って、銘々にお膳で出されました。

新郎新婦の友人の、料理のプロ&セミプロの腕を振るった料理に合わせ
祝箸を、「いっちょ作ってみるか。」と制作を買って出た私です。
古式ゆかしく、伝承の折形で祝箸の箸袋を折ることにしました。
紅白の和紙で箸袋を折り上げ、金銀の水引で”あわび結び”の飾りを結びました。

箸袋のサイズにゲージを作って、25個の“あわび結び”を結んでいく過程がこちらです。



一つ一つ、丁寧に心をこめて結びます。
全部の形が均一になるよう、連なった状態で確認しながら。



紅白の和紙を折った箸袋に、水引を履かせると
なんと立派な祝箸ができたじゃありませんか。
二十数膳もの箸袋を完璧に仕上げたぞ、という
感慨と達成感に浸りながら、思わず記念撮影。

ところが、このあとたいへんな失敗に気がついたのです。
「しまった、金と銀が逆じゃん。」
冷や汗で一瞬背中が寒くなります。
取り返しがつかないと思いきや、水引はクルリと裏に返せば
なんのことはなく金と銀が逆になりました。
「よかったー、リバーシブルで。」

今度こそ、完璧な”あわび結びの水引の祝箸”が完成し
ホッと胸をなでおろす私。

お次は、引き出物の赤飯に添える胡麻塩の包みを60個作らなければなりません。

助っ人の”niwa coya”さんのふみよさんと、たかこちゃんに
包み方と”縁紅紙”を渡して折ってもらうことになり、大助かり。



こちらの包みは、伝承の折形の“胡麻塩包み”と呼ばれるもので、
胡麻塩専用の包み方です。
(以前ご紹介した、私が著した”くらしの折り紙”という本に
この包み方と、そのほかに粉の包み方二種類が掲載されています。)

”胡麻塩包み”の折り方はいたって簡単です。
こうしてお赤飯を贈るときに、南天といっしょに添えると
ふぜいがあり、きっと喜ばれるにちがいありません。
ぜひ試していただきたい折形です。

お次にご紹介しますのは、ナプキンです。



純白のテーブルクロスと、純白のナプキンを用意しました。
ナプキンは、50cm角がフォーマルです。
折り方を、”ファン”(扇)にしようか、”クラウン”(王冠)にしようか
迷いましたが、こちらの折り方が和風のテーブルコーディネートに
一番合う気がしたのでこれに決めました。

”リリー”(ゆり)、という折り方です。

”折る”という行為は、不思議ですね
和と洋どちらにも存在するんですが、どちらもきちんとした
”ハレ”のためのものだという気がします。

「折り目正しい。」という言葉がありますが、
ぴっちりとまっさらの紙の角を合わせ、
あるいはきちんとアイロンをかけたナプキンの角を合わせて”折る”
という行為は、背筋がピンとする気持ちのいい仕事でした。

途中、冷や汗もののミスがありましたけど、なんとかかんとか
ご両人とご親族に喜んでいただけるような
晴れの日にふさわしいコーディネートができました。

お祝いの花あしらい その3

2008-12-01 09:16:54 | フラワーアレンジメント
出張に行っていたので間が空いてしまいましたが、
まだご紹介足りないので引き続き”お祝いの花あしらい その3”をご紹介します。

”花”ではなく、“野菜”を生けたら、
意外に野菜のアレンジというのは花以上に生命力に溢れたものになりました。
基本的に「食べられる物というのは、ビジュアル的に力がある。」
と、認識した私です。

そこで、お客様をお迎えする“玄関花”をどうしようかという時、
やはり”食べ物”でいきましょう、ということで
”お米と豆”を飾ることにいたしました。



秋田で採れたお米と豆を、赤の塗りの重箱にこんもりと盛りました。
同じく、赤に金の縁取りのあるお膳に白磁の花器を据えて
稲穂をスッと生けました。
裾には、赤い実と金銀の水引の余り(箸袋の水引を作ったときに余ったもの)を
あしらいました。
これだけではまだ少し淋しいと思い、金と銀の和紙で
”夫婦鶴”を折りました。
(こちらは折り羽鶴という名の鶴で、ベースがフラットになる折り方です。)

下駄箱の上に赤い毛氈を敷いたら、たちまち玄関がおめでたい感じになりました。
(ちょっと床の間に移動して撮影しました。)
アレンジのテーマは”五穀豊穣”です。

秋田で採れた収穫物は、すべてオーガニックで安心かつ安全です。
さらに、お米は天日干しによるものです。
大地の恵みそのもので、「“森テラ”らしいアレンジができたね。」と
スタッフみんなで自画自賛しました。
そしてなおかつ「このままもう一回、お正月にも飾っちゃおうか。」などと
すでにお正月花に流用することをもくろんでいる
ちゃっかりものの永井でございました。