上野の“東京都美術館”において、「アーツ&クラフツ展」が開催中です。
同展は、19世紀後半にイギリスで興った「アーツ&クラフツ」の広がりを
ウィリアム・モリスのイギリス、ウィーン工房のヨーロッパ、
そして民芸運動の日本というように、国ごとの作品280点を一挙に展示するというものです。
30年来の”ウィリアム・モリス好き”の私としては、
決して見逃してはならない展示です。
モリスの作品を見ることが第一目的で、出かけて参りました。
こちらは、「いちご泥棒」という名がつけられたインテリアファブリックです。
モリスの一連の仕事のなかで最も称賛を博したのが、
これらのインテリアファブリック及び壁紙のデザインです。
「ウィローボー」「コンプトン」「フルーツ」などの代表的な壁紙は
現在も作られていて、いまなお多くの人に愛されています。
会場でひときわ私の心をとらえたのが、大きな刺繍壁掛け「蓮」です。
大きな青い蓮(ロータスブルー)と唐草の織りなす大胆な構図と、糸の美しい色。
この大きな作品が、一針一針手仕事によって仕上げられているのだと思うと、
気の遠くなるような思いです。
ウィリアム・モリスの妻ジェーンは、刺繍家としてモリスのデザインするカーテンや掛け布に刺繍を施し、
作品を芸術の域にまで高める手助けをしました。
モリスとジェーンの出会いは運命的なものでした。
貧しい馬丁の娘だった”ジェーン・バーデン”は、そのエキゾチックな美貌によって
ラファエル前派の画家たちを魅了し、絵のモデルを務め彼らのミューズ的存在となって崇められていました。
当時ラファエル前派の中心的人物だった”ダンテ・ガブリエル・ロゼッティ”と知り合って絵画に専念していたモリスは、
ジェーンを見るやたちまち恋に落ちます。
貧富の差が不釣り合いといわれながら、二人は周りの反対を押し切って結婚します。
モリスにとっては、神秘的な美しい女性が自身の芸術活動をインスパイヤーさせる存在として必要であり、
ジェーンにとっては、経済的困難から脱却するために、モリスとの結婚が必要でした。
ところが、真にジェーンが愛していたのはモリスではなく
ダンテ・ガブリエルロゼッティその人でした。
モリスは、すべてを知った上でジェーンと結婚し、結婚後もロゼッティとの関係を援助します。
彼にとってジェーンが決して離したくない女性であるとすれば、
ロゼッティもまた生涯の友として、二人といない人物だったのです。
ケルムスコットマナーという名の美しい荘園邸宅の別荘では、
三人の共同生活が営まれました。
この館での「地上の楽園」的生活は、
奇妙な三角関係の上に、おびただしい芸術活動が繰り広げられるという
尋常でないものだったと想像します。
ケルムスコットマナーにあるジェーンのベッドルームには
ロゼッティによるジェーンの肖像が飾られています。
壁紙は、モリスのデザイン”ウィローボー”です。
それぞれの稀有な、美しくも切ない人生に、ついグルグルと思いを馳せながら、
彼らの残した珠玉の作品の数々に、どこまでも心惹かれてしまう私です。
同展は、19世紀後半にイギリスで興った「アーツ&クラフツ」の広がりを
ウィリアム・モリスのイギリス、ウィーン工房のヨーロッパ、
そして民芸運動の日本というように、国ごとの作品280点を一挙に展示するというものです。
30年来の”ウィリアム・モリス好き”の私としては、
決して見逃してはならない展示です。
モリスの作品を見ることが第一目的で、出かけて参りました。
こちらは、「いちご泥棒」という名がつけられたインテリアファブリックです。
モリスの一連の仕事のなかで最も称賛を博したのが、
これらのインテリアファブリック及び壁紙のデザインです。
「ウィローボー」「コンプトン」「フルーツ」などの代表的な壁紙は
現在も作られていて、いまなお多くの人に愛されています。
会場でひときわ私の心をとらえたのが、大きな刺繍壁掛け「蓮」です。
大きな青い蓮(ロータスブルー)と唐草の織りなす大胆な構図と、糸の美しい色。
この大きな作品が、一針一針手仕事によって仕上げられているのだと思うと、
気の遠くなるような思いです。
ウィリアム・モリスの妻ジェーンは、刺繍家としてモリスのデザインするカーテンや掛け布に刺繍を施し、
作品を芸術の域にまで高める手助けをしました。
モリスとジェーンの出会いは運命的なものでした。
貧しい馬丁の娘だった”ジェーン・バーデン”は、そのエキゾチックな美貌によって
ラファエル前派の画家たちを魅了し、絵のモデルを務め彼らのミューズ的存在となって崇められていました。
当時ラファエル前派の中心的人物だった”ダンテ・ガブリエル・ロゼッティ”と知り合って絵画に専念していたモリスは、
ジェーンを見るやたちまち恋に落ちます。
貧富の差が不釣り合いといわれながら、二人は周りの反対を押し切って結婚します。
モリスにとっては、神秘的な美しい女性が自身の芸術活動をインスパイヤーさせる存在として必要であり、
ジェーンにとっては、経済的困難から脱却するために、モリスとの結婚が必要でした。
ところが、真にジェーンが愛していたのはモリスではなく
ダンテ・ガブリエルロゼッティその人でした。
モリスは、すべてを知った上でジェーンと結婚し、結婚後もロゼッティとの関係を援助します。
彼にとってジェーンが決して離したくない女性であるとすれば、
ロゼッティもまた生涯の友として、二人といない人物だったのです。
ケルムスコットマナーという名の美しい荘園邸宅の別荘では、
三人の共同生活が営まれました。
この館での「地上の楽園」的生活は、
奇妙な三角関係の上に、おびただしい芸術活動が繰り広げられるという
尋常でないものだったと想像します。
ケルムスコットマナーにあるジェーンのベッドルームには
ロゼッティによるジェーンの肖像が飾られています。
壁紙は、モリスのデザイン”ウィローボー”です。
それぞれの稀有な、美しくも切ない人生に、ついグルグルと思いを馳せながら、
彼らの残した珠玉の作品の数々に、どこまでも心惹かれてしまう私です。