LOTUS BLUE DIARY

インテリアとリビングと手作りのお話

ミモザの日と、オーベルジュ

2016-03-08 21:42:11 | フラワーアレンジメント
ご存じでしたか、きょうは「ミモザの日」です。

きょう、オーベルジュとなってリニューアルオープンする”ペンション飛騨の森”の、フラワーアレンジメントを仰せつかって、この時期、花屋さんでひときわ明るさを放つ”ミモザ”を真っ先に選びました。

春を呼び込むように、フロントのカウンターに、たわわの”ミモザ”を活けました。



”ペンション飛騨の森”は、岐阜県高山市街から車で約10分ほどの木々に囲まれた静かな場所に佇む隠れ宿です。



薪ストーブでくつろぐことのできるラウンジには、外の自然を取り入れるような感じに、中くらいの”モクレン”の枝をあしらいました。



テーブルには、”キフジ”と”ゼンマイ”。



”ペンション飛騨の森”は、ご夫婦で永く営業されている歴史あるペンションですが、この度、娘さんご夫婦が加わって、本格イタリアンの食べられるオーベルジュに様変わりします。

客室は、これまでのカントリー調からガラリと変わって、若々しく、カジュアルで、洗練された、シンプルモダンなスタイルとなります。

客室すべてに、「花ではなく、枝を活けてほしい。」というのが、シェフである娘さんのご主人のご要望です。

「マットな黒」が効き色となったインテリアの客室。



お部屋のイメージに合わせ、マットでストレートなフラワーベースに、”キイチゴ”を一枝活けました。

一つの花器に、一種類というのが、私は好きです。

二種類だったら、この様に、大小のベースに一種類づつ活けます。



”キイチゴ”と”ゼンマイ”。

少し鏡に映りこむ位置に”ネコヤナギ”の枝。



この時期にしか見かけることのない”ゼンマイ”が、今回、私のツボでした。



そして、珍しいとお花屋さんがおっしゃる”キフジ”も気に入りました。



あっさりとした、そっけないくらいの活け方だけど、一つの枝の姿を、ただストレートに見せたくて、他のものとミックスしたくないのです。

生命力の強い枝、芽を吹いて、今にも咲こうとするエネルギーに満ちている様子は、次世代オーナーご夫婦の印象とも重なり合います。

熱心に、私の活ける花を「見たい。」とおっしゃってくださった、シェフに申し上げました。

「花あしらいと料理は同じだと思います。食材を選ぶように、花を選び、料理にふさわしい器を選ぶように、花器を選ぶのだと思うんです。」

シェフの作るお料理の写真を見て、シェフの料理の考え方は、私の花あしらいの感覚と、どこか共通するものがあるという気がしました。

職種が違っても、感覚とか目指すものが同じということはよくあります。

それだから、仕事は面白いのです。

癒しの空間、自然との調和が名物の宿に、素晴らしいお料理が加わり、お花を添えることで、さらなるおもてなしの心が、お客様に伝わりますように。

多くのお客様に喜んでいただけるオーベルジュになってくださいますように、お祈りしています。



ペンション飛騨の森

岐阜県高山市新宮町 3349-1

http://www.hidanomori.jp/











夏草の力

2015-08-17 06:15:29 | フラワーアレンジメント
昨日、8月16日、高山市飛騨の里でウェディングパーティーが行われました。

飛騨の里は、合掌造りなどの農家40余棟を移築して作られた集落博物館です。
会場となったのは、国の重要文化財となっている田口家です。



私は、会場のフラワーアレンジの仕事を仰せつかりました。

立食の大きな丸いテーブル4つ。



じりじりと暑い夏に、ひときわ元気なすすき、向日葵。



今が旬の女郎花、ほおずき。



アレンジの隠しテーマは、太陽と月です。

和でも洋でもないアレンジ、ただ花の咲く姿をストレートに現した活け方をしたいと思いました。

たくさんの料理が乗ったビュッフェ台。



4尺高のパンパスグラスを30本。
デザインの無い無色のストレートなシリンダーに、一種類の草のみです。

14台の座卓。

高さを抑えて活けました。









新郎新婦の座る高砂。



立ち上がった面白い形の花器は、メインらしい盛り盛りのアレンジが可能です。

これらの花器は、コツコツと集めた昭和中期の古道具です。
活けるのに剣山を必要とする、いまどき流行らない古臭い形です。
それぞれ個性のある形ですが、この癖のある形が不思議と花の姿の邪魔にならず、正統的な形のアレンジが決まります。

アレンジは全部で23か所。
使った花器は40個。
全てお貸出しです。
多くのテーブルにあてがうのに、一升瓶やらインスタントコーヒーの空き瓶に障子紙を切って巻いた花器を現場でにわかに仕立てました。
一升瓶は丈の高い草をまっすぐに活けることが可能です。
花器代の節約のつもりが、思わぬ功を奏しました。

花屋さんにオーダーする花以外に、朝市でたくさんの花を安く買いました。
毎日通る散歩道で目星を付けておいて、近所の畑から野草をごっそり分けてもらいました。
すすき、水引、雪柳、かえで、ペパーミントの花、それからへくそかずらの蔓。

マーケットは、前日まで何があるかわかりませんでしたし、野草を取るタイミングもありました。
花を活けるという仕事は、ほぼ即興と言っていいと思います。

そして、花の量より草の量が圧倒的に多い。

活けてみてわかりました。

主は花であっても、草が無ければ花が活きない。

夏草の力に助けられ、夏草の力を思い知った仕事でございました。








朝市の花

2011-07-14 07:57:41 | フラワーアレンジメント
うちのほど近くの「陣屋前朝市」には、一年中採れたての新鮮野菜が並びますが、
花の盛んな時期はまるでお花のマーケットのようです。

「あじさい」がありはしないかと思って、朝早く出かけていくと、
ありました、色とりどりのあじさいが。



「ひまわり」も、もう出ていました。



いっしょに並んだ「ケイトウ」と「ヒペリカム」は、
「ひまわり」と相性バッチリだと思いました。
同じ時期に咲く花同志というのは、コンビネーションがいいんでしょうかね。

いろんな花がブーケになって売られています。



素敵なアレンジ。
このまま生けたいくらいです。



みているだけで元気になりそうな黄色の「デイジー」。

「ダリア」もありました。

こちらは「スターチス」。


「スターチス」は、かんたんにドライフラワーになります。

おばさんが、「カイガラソウ」の葉っぱをおとしていらっしゃいました。
枯れないうちにドライフラワーにされるんだそうです。



さすが、ドライフラワーにするタイミングを熟知していらっしゃいますね。

こちらは「ユリ」です。



朝市では、これらの花が一本、もしくはひと束100円という驚くべき安さで売られています。



私が買った「あじさい」は、このボリュームで300円でした。

昔から早起きは三文の徳と云いますが、
ほんと得した気分です。



さっそく窓辺に飾りました。
涼しげでビジュアルな涼効果バツグンだと思いませんか。

今日も暑くなりそうですが、がんばって乗り切りましょう!!



栴檀をふんだんに

2010-12-07 08:38:59 | フラワーアレンジメント
佐原のカフェ”しえと”さんに、「栴檀」(せんだん)を生けて参りました。



この時期、花屋さんにはチラチラ実ものの枝が入荷しますが、
「栴檀」を見たのは初めてでした。

「なんてかっこいい枝なんだろう。」と、一目惚れし、
ぜひとも、”しえと”に大きく生けたくて
独占買いしてしまい、仙川から千葉まで
担いで持って行きました。

「栴檀は双葉より芳し。」という格言があります。
香木は、芽生えた時からすでによい香りを放つ、というところから
才知の優れた人は、幼少のときからすでに並はずれた素質を表わすことのたとえなのだそうです。
栴檀は白檀の異名です。

実のたわわな様子がビジュアル的に気に入り、
衝動買いしたこの枝が、かの有名な香木だったとは、知りませんでした。
そう言われてみれば、生木の状態でも芳しい香りがしたような・・・。

香りも姿も、どことなく高貴な雰囲気の枝でした。




野の花を、あっさり生けて。

2010-06-28 21:19:01 | フラワーアレンジメント
光と風設計社さんのおうちに、メインで飾る花は
たいてい調達して持っていくのですが、
そのほかは、庭の植栽の枝を切って使わせていただいたり、
空き地に咲いた野生の草花を摘んで生けたり、
その場で何とかしています。

壁の色が、淡い若草色の和室(前回のおうちの)に、
庭で採った花の付いた枝を生けました。



ラベンダー色の壁は、トイレです。

空き地に咲いていた花が、ピッタリの色だったので
摘んで生けました。



キッチンのカウンターには、アンティークのソーダの瓶を三つ。
緑の瓶には、草色の花を生けました。



メインの花以外は、こんなふうに
野の花を、あっさり生けています。

秋の花と籠

2009-10-08 12:06:02 | フラワーアレンジメント
秋の花を摘んで活けました。



秋田森のテラスとその周辺で採った
ススキ、アザミ、タデその他名前もわからない雑草を集めて。
大きな花器の代わりに、キノコ狩りなどに使う「背負子籠」(しょいこかご)の
中に小さなアルミバケツ(塗装用の)を仕込んで、そこに花を活けます。

籠は地元のホームセンターで1100円で手に入れました。



こちらの籠はちょっと高級ですが、
立派な籠に負けないくらい、いい実物の枝が見つかりました。

ガマズミと野バラの実の枝を活けるのに、
籠の中に7本のワインボトルを仕込んでいます。
それぞれの枝を一本一本ボトルに刺したものを
籠の中にアレンジするように置いていくと、
枝がバラけないでうまく構成することができます。

籠とビンの組み合わせというのは我ながらいい考えだったと思っています。
なにより素朴な野の花が籠と相性がいいのは言うまでもありません。

十五夜にちなんで活けた二つの秋の花のアレンジでした。

アリウム と ゴールデンスティック

2009-05-16 12:46:17 | フラワーアレンジメント
和歌山県の"Kino"のギャラリーに花を生けて参りました。

なるべく日持ちの良いように、枝物をいつも基本に生けています。
今回選んだ枝物は、”ドラゴン柳”です。
”ドラゴン柳”のクネクネした枝の形に合わせて、
選んだ花は”アリウム”です。



”アリウム”はまっすぐのものと、人工的に曲げたものとがありますが
私はどちらも好きで、よく生けています。
前にも書いていますが、”アリウム”はネギの一種で、
茎を切るとプーンとネギの香りがします。

”ドラゴン柳”と”アリウム”でクネクネ同志のアレンジになりました。
枝や長い切り花を生けるのに、口の広い花器だと
四方八方に枝がバラけてしまいますが、
そんな時は花器の口に三又の枝をカットしたものをかまして
枝が倒れないようにします。
(”こうぞ”の晒した枝をカットしたのを何本か仕込んであるのがお解りでしょうか。)

もうひとつの花は、口の細い花器に
”ゴールデンスティック”と”スチールグラス”を生けたものです。



まっすぐの草とスティック状の花は、口の細い花器に単純に生けるのが
もっとも自然で無理のない感じだと思っています。

今回は、「クネクネ」と「まっすぐ」の二つの花あしらいとなりました。

”山帰来”と”とうがらし”のクリスマスリース

2008-12-03 12:40:39 | フラワーアレンジメント
毎年クリスマスの一か月前ぐらいになると、
千葉県佐原の”カフェしえと“さんに呼ばれて
クリスマスの飾りを作りに行きます。

今年の飾りは、直径80cmの大きなリースです。



多くの色を使いたくなかったので、葉っぱのグリーンと、
実ものの赤の2色に抑えました。
バックには、実ものと同じ色のダークレッドの光沢のある
美しい織り柄のある布を垂らしました。
同じ色のサテンの布でボーを作り、リースに結びます。
クリスマスレッドとしては、ピュアな赤よりも
このくらい深い赤がふさわしいと思います。

ベースとなるリースはイミテーションですが、
ドライの”ひいらぎ”、”山帰来”、”とうがらし”はイミテーションでないものを使っています。
リースの花材には、なるべくイミテーションは使いたくない
というのが、私の考えです。

カフェで作業をしていると、いつもお客様が声をかけて下さいますが、
この時は「”とうがらし”なんて変わってますね。」と言われました。

欧米では、クリスマスリースの花材として、わりとポピュラーに
”とうがらし”が使われます。
いろんな赤い花材のなかでも、”とうがらし”の赤はもっともビビッドなので
私は大好きです。

一年のうちのこの時期だけ、スーパーで枝付きの”とうがらし”が売っています。
(漬物のシーズンだからでしょうか。)
スーパーの”とうがらし”は、花材屋さんで売っているのより安いので
私はよくまとめ買いします。
この間の婚礼の“お祝いの花あしらい”にも、スーパーで買った”とうがらし”が役立ってくれました。

そういえば、この間"niwa coya"さんで飲んだ”ホットジンジャー”には
とうがらし”が入っているそうです。
体がポカポカ温まる”ホットジンジャー”は、生姜ととうがらしの
ダブルの相乗効果があったんですね。
(その他には、クローブとジュニパーベリーも入っているそうです。)
クリスマスシーズンの温かい飲み物として、
それから風邪予防にもなりそうな”ホットジンジャー”を
うちでも真似て作ってみようかなと思います。

話がすっかりそれてしまいました。

かんたんに手に入る素材で、クリスマスの飾りやら、ホットドリンクやら
いろいろ手作りしてみると楽しいですよ、ということが言いたかったのです。

忙しかった仕事がひと段落して、ちょっと落ち着いたので、
これからクリスマスとお正月に向けて
家でなにかにと手仕事してみたいな、と思っているところです。


お祝いの花あしらい その3

2008-12-01 09:16:54 | フラワーアレンジメント
出張に行っていたので間が空いてしまいましたが、
まだご紹介足りないので引き続き”お祝いの花あしらい その3”をご紹介します。

”花”ではなく、“野菜”を生けたら、
意外に野菜のアレンジというのは花以上に生命力に溢れたものになりました。
基本的に「食べられる物というのは、ビジュアル的に力がある。」
と、認識した私です。

そこで、お客様をお迎えする“玄関花”をどうしようかという時、
やはり”食べ物”でいきましょう、ということで
”お米と豆”を飾ることにいたしました。



秋田で採れたお米と豆を、赤の塗りの重箱にこんもりと盛りました。
同じく、赤に金の縁取りのあるお膳に白磁の花器を据えて
稲穂をスッと生けました。
裾には、赤い実と金銀の水引の余り(箸袋の水引を作ったときに余ったもの)を
あしらいました。
これだけではまだ少し淋しいと思い、金と銀の和紙で
”夫婦鶴”を折りました。
(こちらは折り羽鶴という名の鶴で、ベースがフラットになる折り方です。)

下駄箱の上に赤い毛氈を敷いたら、たちまち玄関がおめでたい感じになりました。
(ちょっと床の間に移動して撮影しました。)
アレンジのテーマは”五穀豊穣”です。

秋田で採れた収穫物は、すべてオーガニックで安心かつ安全です。
さらに、お米は天日干しによるものです。
大地の恵みそのもので、「“森テラ”らしいアレンジができたね。」と
スタッフみんなで自画自賛しました。
そしてなおかつ「このままもう一回、お正月にも飾っちゃおうか。」などと
すでにお正月花に流用することをもくろんでいる
ちゃっかりものの永井でございました。

お祝いの花あしらい その2

2008-11-26 22:11:13 | フラワーアレンジメント
引き続き、婚礼のために生けたお花をご紹介したいと思います。

白いテーブルクロスを敷きつめたテーブルの上に、何箇所かテーブル花をあしらいました。
テーブル花の原則は、料理の妨げになるような香りの強い花は避けるということと、
あまり背の高いものでない方がいいということです。

背を低く生けるのに適したアルミの扇方の花器を見つけたので、購入しました。
さて、このすてきな花器にどんな花を生けましょうかと
”森テラブライダル事業部”(?)の作戦会議です。

どうせだったら、生け終わった後に有効活用できるものがいいんじゃないの。
いっそのこと野菜を生けるのはどう?というのが、山田先生の大胆なご意見です。
「え、野菜ですか・・・。おもしろいかも。」
ということで、花ではなくて野菜を生けてテーブル花のアレンジを作ることになりました。



オリーブの葉をベースにしてグリーンアスパラを立てて、
ぶどう、ピーマン、パプリカ、ブロッコリー、紫キャベツ、橘、プチトマトなどの野菜を
ワイヤーでどんどん突き刺して、てんこ盛りの野菜のテーブル花が完成しました。
このアレンジは、式の前日に森のテラスの番人の浅井さんがアレンジ担当として、
張り切って生けてくれたものです。
(その日不在だった私は、浅井さんと前もってシュミレーションしていて
後は任せた、と出張へと行っていたのです。)

新郎新婦のテーブルには、すこし高さのある花が必要でしたので
三方に野菜を盛るようにしました。
なんだかお供え物のようになりました。
浅井さんがクルッと巻いた水引が効いています。
(アレンジの後ろにかかっているのは、手作りの”なーんちゃって金屏風”です。)



野菜のアレンジというのは、花よりも力があります。
なんといっても元気な感じじゃありませんか。
それに、生け終わったら食べられるというのがいいですよね。

結婚式の次の日、新郎と新婦が会場の片付けにやってきました。
お礼かたがた、残ったお酒を引き取るために。
そして思い出したように言いました。
「そうそう、あの野菜もらってもいい?」

もちろんですとも、と野菜を抜き取って持ち帰ってもらいました。
かくしておめでたい野菜は、新婚家庭の食卓のおかずとなって、
お二人のおなかの中へと消えたのでありました。