LOTUS BLUE DIARY

インテリアとリビングと手作りのお話

北欧の家具

2007-06-25 14:50:11 | インテリア
今インテリア、家具業界は北欧ブームです。
 ハンス・ウェグナー、ボー・エ・モーエンセン、フィン・ユール他、北欧は優れた家具デザイナーを生んでいます。
 産業に乏しい割に木工が盛んであった。海に囲まれていて、高度な船大工の技術が古くから発達していた。マイスター制度というものがあり、優れた家具デザイナーを育む土壌にあった。などが巨匠と呼ばれるデザイナーを生みだすのに役立ったといわれています。

良質な木造注文住宅を手掛ける群馬県のハウスメーカーである斉藤林業さんは、早くから北欧の家具に着目していらっしゃいました。
 日本の風土に合う北欧の家具を提案したい、斉藤林業の考える北欧スタイルとインテリアを発信したいというコンセプトに乗っ取って新たにショールームが作られたのは去年のことでした。
(こちらが、かっこいい北欧的外観の斉藤林業デザインセンターです。)

ショールームのコーディネートを仰せつかり、私が浮きたつ気持ちで家具のラインナップをはじめたということは言うまでもありません。
家具を選ぶのにあたり、いくつか考慮しなければならない点がありました。
 まず、家具をデザイナーのネームバリューで選ぶのではなく、あくまで家を主体とし、いってみればニュートラルな家具を選ぶこと。
 合成素材やプライウッドではない木製の椅子が好ましいということ。
 なにより現実的に買いやすい価格帯のものでなくてはならない。などがその条件です。

私が選んだ椅子はアールトとナンナ・ディツェルの椅子です。
 同シリーズのテーブルが比較的に安価だったということと、プライウッドの椅子よりもゆったりと大き目なことが決め手となり
アールトのウェビングテープの椅子を選びました。
 ナンナ・ディツェルの椅子はKitaniで製造されているものです。
日本びいきだったディツェル女史がKitaniさんとの共同開発でなるたけ安価にという考えで製造されています。
 テーブルはディツェル女史の監修のもとKitaniさんによるデザインです。
4脚の椅子を、赤、黒、ベージュ、ブラウンと4色変えてみました。
 どの色もかわいい色で、女性らしい優しいラインとよく合ってると思います。
 (この時ナンナ・ディツェルは存命だったのですが、今は亡き人となってしまいました。)


ソファーを選ぶ段になって悩みました。
 北欧の良いソファーはどれも大変高価だからです。
その時思い出しました。天童木工がブルーノ・マットソンの椅子を製造していることを。
3人掛けでもこれなら買える値段です。
 なんでも天童木工さんのマットソンチェアーは、マットソンさんが来日し工場を視察した際にその技術と製品のクオリティーを認め、
立ち話のうちに契約を結ぶ運びとなった、といういきさつを持っているのだそうです。

外国の本などで見るマットソンチェアーはほとんど(というより100%)淡色の生成りの張布です。(おそらく生成りがマットソン好みなのでしょう。)
 しかし私はあえて黒の張布にしました。
もしかしたらマットソン先生に怒られるかもしれない、と思ったんですが木の床、白い壁のナチュラルトーンの中に空間を引き締める利き色が欲しかったのと、
ファミリーの使用に耐えうるよう汚れを配慮しての選択だったんです。(マットソン先生ごめんなさい。)

ところが納品してみたら、このマットソンチェアーが一番人気でした。
 オープン以来何脚もの注文を受けました。
おそらくお客様はブルーノ・マットソンをご存じないと思います。 
 ネームバリューやブランド志向的発想ではなく、そのもの自体をかっこいい、家に合ってる、座り心地がいいといって、
大枚をはたいて買ってくださったのだと思います。(マットソン先生もきっと喜んでいます。)

木の家に合った椅子、永い使用に耐える良い椅子、その椅子に座ることで安らぎと幸福とを感じることのできる美しい椅子。
 そんな椅子を提案できるよう、椅子を愛し椅子を勉強し続けたい。キザかもしれませんが椅子のソムリエになりたい、と私は思っています。


イームズの椅子

2007-06-19 21:59:51 | イームズ
自宅とは別に、ボロボロのアパートを借りて仕事場にしています。
 椅子が好きで、ついつい買ってしまうんですが、仕事場を借りてからというもの
まだ置けるんじゃない、なんていう具合に椅子が増えていきます。
 本当に、お金とスペースに余裕があったら欲しいと思う椅子は数しれず・・・。


しかし、量産で低価格のうちに製造されたミッドセンチュリーのチェアー、
イームズ サイドシェルチェアーは買いやすい値段です。

ちょっとがんばれば買える。1脚あっても、ちがう色のがまた買いたくなる。
2脚おなじのがあってもスタッキングベースなら積み重ねて置いとける。
ベースの違うのがまた欲しくなる。
などが、イームズをついつい買ってしまう理由です。

母に言わせると、「なーにこの椅子。硬くて楽じゃないなー。駅の椅子みたいやに。」
ということですが、そこのところは 
「なーに、おんなじ色のシートパッドというやつがちゃーんと売ってるのよ。」
と返す私です。(モダニカさんで買えますよ。)

3脚イームズを持っていますが、3つとも1950年代のオリジナルです。
 現行品にはない色と (オリーブと、オイスターとかいうベージュ、写真のブラックです。)、
キズキズのFRPのテクスチャーが何ともいえず好きなんです。

 写真のイームズは、やっと見つけたウォールナットの木製ベースで私の一番のお気に入りです。
チラリと見えるカラフルな床は仕事場のキッチンです。
家具のイメージにあわせ50年代のポップな雰囲気にしていることがわかっていただけるでしょうか。
 
はじめに椅子ありき。椅子に合わせて次々インテリアをそろえていく、
みたいなアプローチがあっていいんじゃないかと常日頃思っています。

私など、つぎにどの椅子を買おうかと考えるのが至福の時となっていますし
椅子を励みに仕事しているといっても過言ではない、というようなところがあります。

そのくらい、椅子とは私の心をとらえて離さない、かっこいい私の相棒なのです。
 
 これから時々椅子のお話をしていきたい、と思っています。
 北欧の椅子、ミッドセンチュリーの椅子、日本の椅子などなど大好きな椅子がこれから登場しますので、
楽しみにしていてくださいね。

柿の葉ずしをつくりました。

2007-06-13 11:10:25 | ガーデニング
庭に一本の柿の木があります。
 その柿の木に、一昨年はじめて3個の柿の実がなりました。
 実がなるまで私は、それが柿の木であると知りませんでした。
  
 「この木、柿の木だったんだー。」
 それまで柿なんて一度もなってなかったのに...。
 桃、栗三年、柿八年といいますが、一昨年が柿の木の八年目だったんでしょうかねー。(謎です。)

 それからというもの、私は柿が気になって気になってしかたありません。
 甘い柿なんだろうか、それとも渋柿なのかな? いつ食べられるんだろう?
 ところが、柿は3個ともポトリポトリと全部落っこちてしまったのです...。(ショック。)

そこで去年は、はりきりました。
 3粒よりもっとたくさん実がなりさえすれば、1個ぐらい食べられるかもしれない。
 たくさん実がなるようにするには、下の枝を切り落とさなくてはいけない、
 ということを園芸屋さんに教わり、そのとうりやってみました。

その効果はあったんです。
 去年の秋には、8個の柿がなりました。
 「やった。」このうち何個かは、きっと食べられるだろう。楽しみ、楽しみ フフッ。

しかしその期待はまた裏切られ、8個の柿はまたもや全部落っこちてしまいました。
 カラスさんにやられたんだろうか...。1個ぐらい食べられると思ってたのに。(涙)

どなたか柿の木に詳しい方、柿はどうやったら収穫に成功するのか教えてくださいませんか。

しかし、このぐらいでめげる永井ではありません。
 今年もまた、はりきって枝を切り落としました。(リベンジか、はたまた三度めの正直ってやつです。)
 枝を切り落として、ハタと思いました。なんかもったいない。
 そうだ、葉っぱで柿の葉ずしを作っちゃおう。
 もしかしたら、また柿は食べられないかもしれない、だったらせめて柿の葉だけでもと考えたのでございます。(エコロジストならぬエコノミスト永井です。)
 
まず酢飯を作り、茹でえびとほぐした焼きしゃけ。
 彩に、なんかスライスしてかわいい野菜をということで、きゅうりとオクラ。
 押し寿司の型に絵を描く感覚で、酢飯と具を詰めてギューと押します。
 できたてを、大きめの柿の葉に包んで楊枝で止めれば、
 形はいまいちながら手作り柿の葉ずしの完成です。

ちょうどお昼時、突然現れた5歳と7歳のお友達(これから時々登場する予定です。)と一緒に、庭でお昼ごはんを食べることにしました。
 
「いただきまーす。」
 ほおばると、ほんのり柿の葉の香りがしてなかなかオツです。
「葉っぱのおすし、おいしいね。」「これ柿の葉っぱなんだよ。」
 なんていいながら、いろんな思いの詰まったおすしをたいらげる永井なのでした。


白いインテリア

2007-06-05 11:33:03 | インテリア
去年のことですが、北海道の工務店さんからインテリアギャラり-を作りたいので
 コーディネートをやってほしいという内容のお仕事をいただきました。

コンサル(住宅に特化した)のM氏、グラフィックデザイナーでありプロデューサーのK氏と3人、飛行機で千歳空港へ、
それから地下鉄と在来線に乗り継いで、降り立った駅は”東室蘭”という小さな駅でした。

本当にこんな田舎(失礼)で、インテリアギャラリーを作るつもりなの?というのがその時の正直な気持ちです。
 
社長さんにお会いして、またびっくり。
 えー、この方が社長さんなの? と思ってしまうぐらい若く、イケメンの都会的雰囲気のかた。
 ところが、話をしだすとどことなくチラホラと北海道のイントネーションというギャップです。
 なんでも、前社長(お父様)が急死され、若いご長男が現社長に就任されたという事情があったようです。

 「本当は、工務店じゃなくキャバクラがやりたかったんさー。」 と軽く言ってしまうそのノリに
 なんだか面白い仕事になりそうっ、と直感しました。
 その直感は大あたり。 「工務店がやってるとは思えない、なんのお店だかわかんない店にしたい。」(M氏)
 というのがコンセプトです。

何度かミーティングを重ねるうち、思い切りかっこよくコンセプチュアルなお店にしたいと盛り上がり、
いっそのこと真白なインテリアにしてしまおうと話は進みました。

 30代の若い世代をターゲットにした、モダンでシンプルな家造り。
 若い人が買える価格帯の、カジュアルな家具ということでミッドセンチュリーを中心にした「白い」家具選びがスタートしました。

 イームズと アルネ ヤコブセン、国内デザイナー 西堀晋の KAKU(AIDEC),日本の重鎮 柳宗理 のバタフライスツール、
同じく天童木工の リングスツール(東京オリンピックの年に、5輪をイメージしてつくられた)、
 アールトのプライウッドの椅子(座はメラミンの白)、アクセントに北欧のミカドチェアーを加えたあたりが私らしいセレクトだったと思います。

 「1ギャラリーに、1脚の椅子。 社長、いい椅子を1脚入れましょう、人が一生に1脚買えるかどうかっていう椅子を...。」
という考えでヤコブセンの真赤なエッグチェアー(K氏一押し、後に社長を洗脳)を大奮発して導入しました。(ゴージャスです。)

 広い空間を遮りたくなかったので、物販のラックは「ワイヤーにしませんか?」(永井)、
「キッチンは、スタジアムのようにレベルを上げましょうよ。」(K氏)、などアイデアが飛び交います。
 あーでもない。こーでもないとメジャーを手に、現場を測っては図面に落とし込み、出来上がった空間は
広いけれどメリハリのあるものになりました。

 「なーんか、東京の青山みてーだなー。」(若手男子社員のI氏)
 「いいえー。こんな広いお店、青山にはなかなか無いっしょ―。(北海道だからですっ。)」(半分北海道人になっている永井)

 「お客さん、いっぱい来てくれるといいなー。だけどオープンまで隠しとこー。」(社長)
 というわけで、ガラス張りの窓全面を、オープンまでシートで隠しておくことにしました。

 そのうち、町の噂になりました。「あの店、何屋さん?」
 だれしも工務店とは思いませんよねー。
 やりましたな社長、思惑どうりでしたのう。

  白いギャラリー One-by-Oneはその後大繁盛のようです。
 遠く離れた東京から、北海道の若社長へエールを送る永井なのです。