LOTUS BLUE DIARY

インテリアとリビングと手作りのお話

新しいもの と 古いもの

2009-03-28 08:42:33 | インテリア
前回に引き続き、"Kino"のお家のことを書きます。

新築の木造注文住宅の、真新しい様々なマテリアル
”木”、”壁土”、”紙(障子や建具の)”に対比するように、
今回アクセントとして「古いもの」を少し取り入れて装飾してみました。

大きな吹き抜けの玄関に、古い”キリム”と“壺”をあしらいました。



ボード類が一切無い、すっきりとしたホールが玄関らしくなりました。
”キリム”は大抵、50~60年ほど経っているのですが
痛みも退色も少なく堅牢で、職人技による手仕事の確かさと
なにより新しいものには無い、年代を経た重厚さと深みとがあります。



”キリム”も“壺”もエスニックなものですが、
とくにアジアンテイストに偏った感じにはならずに
「和」の空間にすんなりとなじんでいるように思います。

典型的な和室の床には、古い”帯”を掛け軸代わりに飾りました。



かなり古い帯で痛みもありましたが、トラディショナルな”松”の柄行きが
断然気に入って、骨董市で買っていたものです。
”帯”に合わせ、竹の花入れと敷物を置き”みずき”を生けました。

この家は、古いお家を取り壊して建てたものです。
お家は取り壊しても、建具や障子、欄間などを
新築の家のどこかに生かして使ってほしい、というのが施主様のリクエストででした。

見ると、施主様の望みはちゃんと叶えられていました。



古い建具が、吹き抜けの梁下に組み込まれていました。



和室には、古い欄間がピッタリとはまっていました。

現代では再現の難しい、大工の技によるこうした建築のディテールは
真新しい家の中の魅力的なアクセントとなっています。

新しいものの中に、古いものを入れ込んでいくというのは、
料理のスパイスのように「効く」もんだな、と思った楽しいお仕事でした。


蔵のような家

2009-03-23 09:31:16 | インテリア
和歌山県の"Kino"のお家をコーディネートして参りました。

伝統的な日本式の品格の高い家です。
家の中に入るとすぐに土間があります。
なんだか「蔵みたいですね。」というのが、部屋の第一印象です。



壁に格子状に木を組んであるのは、施主さんがこの部屋を
コレクションのアートを展示するギャラリーにしたいという意向を受けての設計です。
やがてこの壁には、おびただしいアート作品が展示されます。

撮影のために、岐阜県の工房家具メーカー”雉子舎”の
”モーリーベンチ”を置きました。
蔵を思わせるようなこの土間に、ガッシリとした木のベンチはピッタリでした。

ベンチには、キリムのクッションを二つ置き
センタテーブルには無地の帯をランナーのように敷きました。
自然素材の”木”、”塗り壁”、”テラコッタタイルの床”というワントーンのインテリアに、
布で色を入れアクセントにしたかったからです。



リビングには飛騨産業の”森のことば”のセンターテーブルを置いて
床座の提案をしてみました。
”吹き抜け”の天井がより高く感じられます。

大きな蔵のような部屋でアートと一緒に住まう家です。
施主様は、「コレクター冥利に尽きる。」といった感じに
この家に対してご満悦の様子でした。

さて、引き渡し後どんなふうにアート作品が展示されるのでしょうか。
「ぜひ、お見せ下さいね。」と、コレクターの施主様にお願いしておきました。


スノーフレイク と ゆきやなぎ

2009-03-19 13:55:50 | ガーデニング
確定申告を終えてから、すっ飛ぶように出張に行って戻って参りました。

忙しいさなかに、庭に毎年のように咲く花の
最初の一輪が咲いているのを見つけました。

”スノーフレーク”という花です。



たしか去年の今頃も、一番に咲いた”スノーフレーク”をご紹介したと思います。
大した手入れは一切していないのですが、
毎年約束したように春を知らせるように咲く花です。

同じように毎年咲くもうひとつの花が“ゆきやなぎ”です。



冬枯れしていた庭に最初に咲く小さな花たちは、咲き始めるとどんどん花をつけます。
4日間の出張から帰ってきたら、こんなに花が増えていました。



いっぱい垂れ下った”スノーフレーク”と、



真白に雪が降ったみたいに咲き増えた”ゆきやなぎ”です。

がんばって咲く二つの花は、私に勇気を与えてくれます。
確定申告も済んだし、息子は大学を無事に卒業しました。
(これで、一応子育ては終了したことになります。)

「ひとつ新しい気持ちでがんばろうかなあ。」としみじみ思う春です。

園学ギャラリー

2009-03-09 09:28:21 | インテリア
毎週末通っている”森のテラス”では、現在
「園学ギャラリー」という小さなギャラリーを作っているところです。
造園家の、故“野沢清”氏の、蔵書、スケッチ、図面などを展示するスペースです。

施工がほぼ終わり、家具の設置と展示物の陳列の段になって
オーナーからご依頼を受け、コーディネートをお手伝いさせていただきました。

もともとは、物置だった二部屋をリフォームしたのですが、
一部屋は2畳、もう一部屋は3畳足らずの小部屋です。



立つと頭をぶつけそうだった物置の床をぶち抜いてレベルを下げ、
半地下のようになった「穴倉」のような小部屋がこちらです。

正面の壁一面に棚を造作しギッシリと本が並べられました。
向かって左の壁は、コンクリートの打ちっぱなしそのまま、
右の壁は塗り壁となっています。
テラコッタの床は、タイルを綾に敷いています。

この部屋には、モダンな家具よりも古い家具のほうが合うのではないかと思い、
イギリスのアンティークの椅子と机をご提案しました。



こちらは、その部屋の手前の2畳の部屋です。

図面を閲覧できるように大きなデスクを造作しました。
デスクの下には図面が収納できるようになっています。
この部屋の見どころの展示物は、壁のパネルにピンナップされた
”野沢清“先生の“版画による年賀状”です。
お人柄が偲ばれるような、温かく素朴な版画作品は、
ぜひ実物を見ていただきたいと思う傑作ぞろいです。

この部屋には、すこしモダンな家具がいいということで
アンティークではなく、国内製の椅子を置くことにしました。
奥の椅子は“pino chair”、手前は“剣持勇スタッキングスツール”。
どちらも昭和のデザインの、レトロモダンな椅子です。

カウンターデスクのあるお部屋は、セミオープンで開放的なイメージの、
奥の「穴倉」のような部屋は、籠ってゆっくり本を読んでいただけるような、
それぞれに面白い部屋になりました。
(空間について、より詳しくは“森のテラス 番人日記”をご覧ください。)

正式オープンは6月後半ですが、すでに公開しています。
よろしかったら、ぜひ見にいらして下さい。

パッチワークのピンクッション

2009-03-06 10:17:17 | クラフト
なんだかやたらと縫物がしたくって、
久しぶりにパッチワークしました。

2センチもない小さなピースをはいで、
直径7センチと4センチのコロンとしたピンクッションを
作りました。



茶系の方は、1940年代のアメリカの布、
ブルー系の方は、昭和の初め頃の更紗に
一部新しい布を加えて作りました。

小さいのの一つには、スペイン製のレザー(仙川商店街の”なかや”手芸店で見つけた)と、
アンティークボタン(niwa-coyaさんで買ったもの)を付けて、
腕に付けられるようにしました。

このピンクッションのデザインは、20年ほど前
アメリカのカントリーの雑誌に載っていた古いピンクッションの写真を見て
そっくりリメイクしたものです。
正方形と正三角形の布で接いでいますが、
布がバイヤス方向に伸びることによって、形が半球形になるという
驚きの造形です。

アンティークのアメリカンパッチワークキルトを見ると、
昔のアメリカ女性というのはなんて図形に強いんだろうと思います。
四角、三角、ひし形、六角形と、ありとあらゆる形のピースを
何百枚とはいで、何十種類もの美しいパターンを考案したのですから。
パッチワークキルトは、平面ですが、このピンクッションは立体というところが面白く、
パッチワーク離れしてしまった今も、また作ってみたいとつい思ってしまうのです。

小さいピースをはぎ合わせるときには、ずれないテクニックがあります。
四枚のピースの辺の四つの頂点を、クロスするように
糸を渡すのです。(文章ではちょっとわからないですかね。)

ピンクッションの底には、厚紙が入っていて安定するようになっています。
中の綿には、ウールの毛糸を入れるか削ったロウソクを一緒に入れると
針が錆びないので、ぜひご参考になさっ下さい。

ピンクッションにはお友達が必要だと思ったので、
niwa-coyaさんで買ったフェザーの形をしたアンティークのまち針を刺しました。
ちょうちょの形をしているのは、まち針ではなくてフランス製のボタンです。
丸いボタンは中国製です。

それから余ったほんの少しの布で、指抜きも作りました。

こんなふうに針を手にして小さな布細工を作るのが、私は大好きで
ありとあらゆるストレスを忘れることのできる一番の癒しとなっています。


古裂のお雛様

2009-03-03 10:35:43 | クラフト
ここ数日、チクチクとお針仕事をしていました。

3月3日の「雛まつり」に間に合うように、
お雛様を作っていたのです。

古い裂を使って、手のひらに二つ乗る
小さなお雛様ができました。



骨董市などで買い貯めていた布の中から、
あえて地味な布を選んで作りました。
地味な布のほうが、かえってかわいいお雛様になるような気がしたものですから。

敷き布は、ちょっと華やかな「朱」の入ったものにしました。
端に糸をからげて房を作って縫いつけました。

息子に見せたら「おにぎりみたい。」と言われました。
なるほど、そういう見方もあるのかな・・・。

このお雛様は、岐阜県高山市のギャラリーカフェ「おぎ傳」に飾られます。

高山市では、旧暦にちなんで”4月3日”が「雛まつり」なのです。
梅も、桃も、桜もひと月遅れて咲くような高山です。

地味な小さなお雛様を、「いってらっしゃい。」と春遅い高山へと送り出しました。