LOTUS BLUE DIARY

インテリアとリビングと手作りのお話

"BAGS" と "Tin Can Collection"展

2007-10-30 12:36:34 | クラフト
岐阜県高山市に二つの展示のために帰って参りました。

古くからの友人の経営する”カフェ フロール”で「BAGS」の展示と、
高山市文化会館で催された“マイコレクション展”に「Tin Can Collection」を展示しました。



”カフェ フロール”に於ける「BAGS」の様子です。

「夜会」をテーマに、古い布で夜会バッグを中心に12点の袋物と、Box14点を展示しました。
バッグを作るのに使用した布は、大正と昭和初期の日本の布やらスカーフ
イギリスのアンティークの布、プロヴァンスのデッドストックの布などです。
黒のモアレタフタの箱型バックには、亡くなったおばあちゃんの形見の
ブローチを飾りにしました。布は、若くして亡くなった友人がドレスを縫おうとして叶わなかった黒のタフタです。
大好きだった二人の美しい人を思い出しながら作った、夜会バッグです。
ハットボックスのような箱は、大切なバッグや襟巻、手袋などを
こんなふうにしまっておいたらいいですよ、という想いをこめて展示しました。
女性であること、装うことを楽しむために、気持ちを盛り上げるために
私の小さなバッグが脇役となってくれますように。
あくまでも主役は貴方なんですから、というのが私の言いたいところです。



左端。小さなペッタンコのバッグはテープを剥ぎ合わせて縫いました。
同じ色の刺しゅう糸をからげて、タッセルを作って下げました。
子供のころ、お出かけには必ず妹とおそろいで仕立ててもらった服を着て
手には小さなバッグを持っていたのを憶えています。
この小さなバッグは姉妹の小さな貴婦人に持ってもらいたくて作りました。

中心。古い日本の布ですが西洋への憧れが色濃くプリントに表れています。
宝石のような小さな布をどう生かそうかとバッグの形になじませながら仕立てました。
ビーズを柄に沿って刺し、フリンジでお化粧しました。

右端。イギリスのアンティークの布に革を合わせて仕立てたバッグです。
ペーズリープリントは、もともとインド更紗やペルシャの織物が発祥です。
日本の更紗も、インドから到来した彦根更紗を模したものだといわれています。
今回展示したバッグに使われた布は、和、洋とりまぜていますが
どちらもオリエントへの憧れや、エキゾチズムが盛り込まれた点が
西と東を結ぶ、今回の布選びの共通点になっているのだと思います。



文化会館に展示した、150個の缶です。
多くのコレクターの仲間に入れてもらい、自慢のガラクタを展示しました。
印籠、香合、豆皿など骨董価値のある他のコレクターの収集を楽しく拝見し、
交流を持つこともできた意義深い展示会でした。

私のジャンクなコレクションは意外にも大好評でした。
「また、次お願いします。」といわれましたが、
さらに100個集めて展示できるのは、一体何年後になるんでしょうか。

それはともかくとして、展示している本人が思いきり楽しんだ
二つの展示でございました。

カントリーのウィンターデコレーション

2007-10-22 12:48:51 | インテリア
最近、めっきり涼しくなってきました。朝、晩は寒いと感じることもあるぐらいです。



そろそろセターとか薄いコートの準備をしなきゃとか、
夏の帽子をしまってお気に入りの冬の帽子を出しとこう、なんていう気分になってきました。

私はおしゃれが大好きで、とくに冬が近づくと、去年のジャケットやコートに今年は何を合わそうかな
そうだ、新しく買ったバッグとマフラーをこんなふうに合わせてみよう、それともこんなのはどうかな、
などとファッションショーが始まってしまい狭い四畳半の部屋は、とっかえひっかえ引っ張り出した洋服で
すごいことになってしまいます。(とても衣替えというわけにはいきません。)
その様子を、息子の”しゅんけさん”は、毎年冷ややかな目で見ていて、
「出たっ。仙川のファッションリーダー。」と皮肉たっぷりにつぶやくのであります。

ファッションとインテリアは、わたしにとってはまったく同じ時限の問題で、
どちらも生活の一部であり、常に自分らしいものであってほしい譲れない大問題です。

冬が近づくと、気分はいきなりアウトドアからインドアへと変わります。
一生懸命になっていた庭が落ち着いて、秋の花が終われば
あとは越冬対策を考えておけば、一年の庭仕事も終了といった感があります。
いよいよインテリアも冬仕度です。

今回は、以前仕事で撮影したチラッっと冬らしさの漂う,カントリーインテリアの
いろんなシーンのカットを見ていただきたいと思います。




左上。ティーシーンも、正統派イングリッシュスタイルのケーキスタンドでなく、
アイアンの素朴なケーキスタンドにすると、ぐっとカントリー色が高まります。
温かみのあるカップソーサーにチャイをいれてコーディネートしました。
常緑のハゴロモジャスミンの蔓草は、撮影のあしらいとしてよく使います。
縦長に三角形のすそ広がりの構図を作るのに役立ってくれました。

右上。ヨーロッパの田舎では、来る冬のために保存食をこしらえます。
ビンにいれた保存食を、パントリーやジェリーボードの中にしまっておくのですが
長く置いておくとホコリがかぶるので、レースドイリーのジャグカバーをビンに残らず被せておきます。
ドイリーは飾りではなくてほこりよけという用途目的を持った必需品です。
ジャグカバーのドイリーには、ビーズが編みこんであり、ぶら下がって重りになっています。
カントリーのキッチンに合うように、オリーブオイルやビネガーのボトルも
昔からのデザインのものを選んだり、あしらいにクルミを数個ころがしたりしています。

左下。カントリーと言えどもパーティーなど、特別の時にはこんなふうにワインボトルを飾ると
ぐっと華やいだ雰囲気になります。
ワイングラスのすそには同じくガラスビーズのグラスマーカーをつけていますが、
こちらは飾りというより誰のグラスだかわからなくならないようにするための
パーティー用のアクセサリーです。(それぞれ色の違うビーズが写真でお解りいただけるでしょうか。)

右下。カントリーのクリスマスデコレーションには、毎年力が入ります。
なるべく、イミテーションのクリスマスツリーやガーランドを使いたくないというのが私のこだわるところです。
ところが以前、室内にトウヒの鉢をクリスマスツリーとして置いた時
室内の乾燥によって、葉っぱがどんどん落ちてたまったものではありませんでした。
もともと寒い場所が大好きな植物ですから、インドアには適していないと知りました。
そこで、私がよくやるのはドライになった”ホーリー”(柊)、や”ヒムロスギ”の枝を
大きく小さくベースに生けるという手法です。
ちょうどクリスマスカラーのブリキのフラワーベースが見つかったので、
ドライの”ヒムロスギ”と赤い実の”山帰来”を生け、すこしだけオーナメントを飾りました。

ポップコーンとクランベリーを針と糸で長-くつなげて、ガーランドを作りました。
このガーランドは”アメリカン・カントリー”の本の中の写真で見かけたのですが、
アメリカの家庭ではおなじみの飾りのようです。
ポップコーンの白は“雪”を、クランベリーの赤は”血”を表すというもので、
キリスト教的な意味を持っているのだそうですが、
手軽で簡単に作れるガーランドなどでぜひ作ってみてください。

クランベリーはイミテーションの赤い実を使えば大丈夫、ポップコーンをときどきかじりながら
どんどん長いガーランドをつくるのがロータスブルーの恒例のクリスマス支度となっています。

これらのカットは、”イングランドカントリーハウス”さんのためにスタイリングしたもので、
写真8枚のカードセットで販売しています。

11月3日には、栃木県小山市にある”Rose Cottage”というギャラリー展示場で
永井美奈子によるトークショー「カントリ-スタイルインテリアの楽しみ方」が開催されます。

人数に限りがございますが、興味のおありの方は”イングランドカントリーハウス”までお問い合わせ下さい。


イングランドカントリーハウス " Rose Cottage"

栃木県小山市西城南3-12-9

Tel:0285-31-0075 Fax:0285-31-0085

庭のその後

2007-10-18 14:55:52 | ガーデニング
十月も半ばに入ると、庭はめっきり秋らしくなります。

きょうは、庭がその後どうなったかをご報告します。
以前の庭の記事で、勝手に生えてニョキーと大きくなった木のことを書きました。
宝石のような小さな実をたくさんつけて、七月には近所の子供たちに食べてもらったり、
そよそよと細い枝が揺れて私の目をたのしませてくれていたその木は、
九月の台風の時、ポッキリと折れてしまいました。



ちょうどブロック塀に何度もぶち当たって、無残にもこのように
折れてしまったんだと思います。ぶら下げていたバードフィーダーを、
折れた枝の上に乗っけました。
これはこれで、なかなかかわいいな、と思っています。



夏の間に、ぐんぐん成長した3種類のつる植物はうまい具合に窓辺を飾ってくれました。
左から、勝手に生えてきたつる植物をキッチンの窓に誘因しました。
真ん中は、、春先に植えたハゴロモジャスミンです。
トイレの外壁にラティスを取り付け、トイレの小窓までうまく這わせることに成功しました。
来春には、きっといいにおいの小さな花が咲くことでしょう。
右は、バスルームの窓辺に伸びたカロライナジャスミンです。
台風で折れた例の木は、枝を切ってこんなふうに支柱として使います。



五月、六月と数百の粒を実らせた、人気のラズベリーは落葉して
残り数粒の赤い実を、いまだ健気につけています。
こぼれ種から、いっぱいあかちゃんが出てきました。元気な葉っぱの様子です。
赤いチェリ-セージは、年に数度咲きます。
いまちょうど真っ盛りです。
甘い蜜を求め、セージの周りをハチがぶんぶん忙しそうに飛びかいます。
白のチェリーセージの小さな花は、玄関先をかざってお客様を迎えてくれています。
私は、基本的にはモノトーンの庭が好きなようです。



収穫した、自慢のベリーで念願のベリータルトができました。
友人の水彩画家で家庭料理研究家の林真理さんが、タルトを焼いてくださったのです。
タルトに乗っけたベリーは、ブラックベリー、ラズベリー、ブルーベリーの3種です。
小さなミントの葉っぱを飾れば、真理&美奈子の合作のベリ-ベリ-タルトの完成です。
え?味はどうでしたかって?
それはもちろん、庭の恵みによって、そして真理さんの腕によって
抜群のおいしさでございましたよ。

Blue & White

2007-10-12 18:05:28 | インテリア
青い色のお皿(Blue&white)が好きです。

和、洋、漢 混ぜこぜで、気に入ったものを少しだけ持っています。
忙しい時はつい即席料理だったり、お漬物も自分ではなかなか作れなくて
スーパーで買ったりしがちですが盛り付け方と器選びで結構ごちそうに見えるので
お皿ってあなどれないな、と思っています。



文字の入ったお皿と、野菜の絵のお皿は特にお気に入りでよく使います。
麻の葉の刺し子のランチョンマットは自分でちくちく刺して作りました。
何枚か作ろうと思ったんですが1枚で断念し、カップボードの中で
お皿敷きとして使っています。


 
私は文字の入ったものが好きなようです。
こちらは景徳鎮の大きなお皿で、中国の文字の”寿”の意味の字が
一文字真ん中に、周りはぐるりといろんな字体の“寿”の字が
いっぱい並んでいるのが気に入りました。渋谷の中国のインテリア雑貨の
お店で買い求めたものです。(たしか2000円くらいでした。)

字の周りに”こうもり”の文様がありますが、中国ではこうもりは
「福」の象徴として良く使われる文様です。(ちょっと気持ち悪いですか。)



中華料理をよそうのには、やはり中国のお皿がいいと前々から思っていたので
はりきって”ニラ団子”を作りました。
ちょいと生地が厚くなってしまい皮が”スイトン”のようになってしまったんですが、
そこは手作りのご愛敬というものです。



Willow Patternのお皿を少しだけ持っています。
もともとはイギリスのいくつかの窯で焼かれていました。
日本でもレプリカが作られ、今も製造しています。
時々、下北沢のアンティークショップで日本製Willowを見かけます。

実はWillowのお皿には、ロマンチックなストーリーが描かれています。

”Khoon Shee”という名の美しい娘には”Chang”という名の恋人がおりました。
ところが、二人は身分が違うため一緒になることを強く反対されていたのでございます。
どうしても一緒になりたいと、二人は駆け落ちを決意します。
船に乗って島の”Pagoda”へと逃げていきました。(絵皿の左上に見えるちいさな塔の屋根のお家です。)
「逃がしてはなるものか。」と三人の官が追いかけます。(橋の上を巻物などを手にしながら追っかけています。)
しかし”Pagoda”は焼き打ちに会い、二人は死んでしまうのです。
神様は不憫に思い二人を二羽の鳩にしました。
この世で一緒になれなかった二人は、二羽の鳩になって
Willowのお皿の上で永遠に飛び続けるのでありました。(Leslie Bockol:Willow Wareより。)
というのがWillowに込められたLegendです。


Willowのテーブルウェアーはイギリスの一般家庭で使われていました。
ティム・バートンの映画”スリーピー・ホロウ”の中でも使われていましたよ。



同じく古くからのイギリスの窯”Burleigh社”の「Asiatic Pheasants」(アジアの雉子)のカップ&ソーサーを
20年以上ずっと愛用しています。
イングリッシュティーを楽しむ時はこのC&Sと決めています。
器とおなじパターンのBurleigh社のティータオルを見つけたので
ペアで使っています。

たくさん食器を持っているわけではないんですが、
伝統的な器は(私のは決して高級品ではありません。)飽きが来ないのです。
同じものを大切にして使っていますし、これからもずーっと使い続けるだろうと思っています。



大切なお皿を迂闊にも割ってしまうときがあります。
そんなときは割れたお皿を庭の飾りにすることにしています。
”Burleigh”のお気に入りのお皿は、器の役目を終わり
青いお花の脇でしっかりお庭のアクセントになってくれています。

秋の佐原

2007-10-08 19:39:41 | フラワーアレンジメント
佐原の”カフェしえと”に秋の花を生けてきました。

あらかじめ秋の花があるかどうか下調べしておいて、コンポート3個に秋の草花と実をかぼちゃと供に
お供え物のようにアレンジしました。
ここに年5回、春、夏、秋、クリスマス、お正月と季節のフラワーアレンジメントをするのが私の楽しみです。



3年前、”カフェしえと”さんからお仕事の依頼を頂いた時、
お店の施工途中でご相談を受けました。
「この畳のスペースを、どうしたものでしょう。」と
畳のスペースを客席にしたほうが良いのかどうか迷っておられました。
充分に客席があったので「できれば客席にしないで、
畳のまま大きく花をディスプレーするスペースにされてはいかがでしょう。」とご提案し、
あえて客席を設けないで、贅沢に花を生ける空間として残すことにしました。

畳の間に家具を選ぶにあたって、私の頭にはぱっと”李朝の家具”
が思い浮かびました。
日本の古い水屋たんすは高さがあるのですが、李朝のボードには低いものがあり
ちょうど置き床のようになって花を飾るのにぴったりではないかとひらめいていたのです。
幸運にも調布の”森のギャラリー”で程よい大きさの李朝の古いボードを見つけることができました。

この場所には、いつも季節の花が生けられます。
フラワーアレンジメントは今や”カフェしえと”の名物となっていて、
お客様の中には「お花を見るのをいつも楽しみにしています。」
と言って下さる方もいらっしゃいます。(冥利につきるお言葉です。)

その時しか入手できない、刹那の花を存分に生ける事がかなえられる
私こそ幸せ者だといつも思っています。



”カフェしえと”では、おいしいコーヒーやファーストフラッシュの紅茶、
ラベンダーほうじ茶などが楽しめます。
飛騨牛のビーフシチューやカレーのランチの他にスイーツも充実しています。
嶺岡豆腐という甘い豆腐の味は格別です。
いまの時期は”栗のセミフレッド”という冷たい栗のデザートが一押しです。



中庭をはさんで蔵を見ることができます。
左が大きい蔵、右が小さな味噌蔵です。(味噌蔵は現在客席にする計画中。)



土間から客席を眺めた様子です。
シンプルな家具とミニマルな照明が大人っぽい落ち着いた空間を作りだしています。

いつも花を生け終わった後、お茶を飲みながらボーっと庭を眺め
都会の忙しい生活をしばし忘れてゆったりとした時間に浸ります。
やがて「おっと、そろそろ帰らなきゃ。」と重い腰を上げ
最終のバスで東京へと帰ります。
「またこの次、ここに花を生けにこられますように。」と後ろ髪をひかれながら・・・。

佐原の”カフェしえと”は私にとって最高の和みの場所なのです。

 
 ・カフェしえと

   千葉県香取市佐原イー3382-3
            tel,fax 0478-55-8808

  営業時間 AM 11:00~PM 5:00   定休日  水曜日

佐原では、10月12日、13日、14日と秋祭りが催されます。
年2回の祭りの時、佐原はたくさんの観光客でいっそう賑わいます。

詳しい情報は 水郷佐原観光協会 tel 0478-52-6675 までどうぞ。

THONET と COR の新作

2007-10-03 10:53:14 | インテリア
先日,AIDECさんからパーティーの招待状を頂きました。
前回のパーティー(七夕の頃)は”AIDEC MODERN”の新作披露でしたが、
今回は”THONET(トーネット)”と”COR(コア)”の新作が見られるということで
これは見逃すわけにはいかないとばかり、行って参りました。

THONETは19世紀から曲木椅子を製造している世界に名だたるメーカーです。
創設者ミヒャエル・トーネットは「曲木椅子の父(Father of Bent wood)」
といわれる人物で、もっともスタンダードで定番となっている“14番”の椅子は
きっと誰しもどこかでみたことがあるに違いないというぐらい
あまりにも有名な椅子です。
 THONET "14番”

ミヒャエル・トーネットは、ブナの無垢材に熱を加え(蒸すことにより)、
軟らかくした状態で治具(雄と雌の型になった固定具)にかけて曲げる
という技術を開発し、曲木椅子を製品化することに成功しました。
こうして曲げたいくつかの部材は、ビスで組んで椅子となり
輸送の際はバラバラにした状態(ノックダウン式)にすることが可能なため
運賃を大幅に軽減することができました。

少ない材料で軽くて丈夫な椅子を作るということが曲木によってでき
経費も削減できたわけですから、トーネットの椅子はたちまち大衆の椅子として広まりました。
いまでは曲木椅子の原型、カフェ椅子の定番としていたるところで使われ、
他のメーカーからもトーネットスタイルの椅子が多く製造されています。

では、木とはどのくらい曲がるかお目にかけたいと思います。


結び目になった脚は、正真正銘一本の材からなるものです。
まさに驚異としか言いようがありません。

実は去年のAIDECさんのパーティーで、ミヒャエル・トーネットの末裔である
フィリップ・トーネット氏にお会いしたとき、
私はこの椅子のことを ”It's miracle.  So funny. Like a comic.”と
フィリップさんに向かって言ってしまったのです。(なんて怖いもの知らずなんでしょう。)
そのことを憶えていてくださって「ああ。あの時の。」なんて言っていただきました。


 
そしてまた図々しい記念撮影にも快く応じて下さいました。

左手に写っているのは、新作ですが椅子ではなくて”ソリ”です。
ソリを引っ張っているのは、エーロ・アールニオの”パピー”です。
椅子ではなくソリを新作として作ってしまう、
しかも他社の製品と一緒にお披露目するとは・・・。
さすが一本曲木の結び目椅子まで作ってしまう
かなりの心意気の企業ですね。おみそれしました。

THONET は、曲木以外にカンチレバー(金属パイプを曲げた)の椅子も作っています。

ミース・ファン・デルローエ、マルセル・ブロイヤー、マルト・スタムなど
バウハウスのデザイナーの椅子を作り続けています。
 Mart Stam "S 43"

マルト・スタムの”S43"は、私の大好きな椅子です。(ずっと狙っています。)

あらゆものをそぎ落とした潔いデザインと、たしかなクオリティー、
100kgの人が座っても大丈夫な強度だといいます。(恐るべしカンチレバー。)
それに、私が買いたいと思うぐらいですから
がんばれば買える良心的な価格であるということを付け加えておきましょう。

 Studio Vertijet”LAVA"

最後にCORの新作”LAVA"をご紹介します。

”LAVA"とは、溶岩という意味だそうです。
この大胆なオブジェのようなフォルムを見たときはびっくりしました。
「変わってるー。というか、こんなソファー見たことありません。」
というのが私のコメントです。
このソファーは、座って寛ぐというより寝ころんでしまいたくなる
不思議な魅力を持っているな、と思ってしまいました。

なんでも、限りなくフロアーライフに近い形で寛げるように、
床に座ってもたれかかることも「あり」、というコンセプトというので頷きました。
フロアマットも作られています。(厚さ5cm)

ゴロ寝好きの日本人には、たまらないソファーかもしれません。

ぜひ実物をごらんになって頂きたい、そしてぜひ座って頂きたいと思う
素晴らしい椅子がAIDECさんにはたくさんありますよ。


AIDEC 東京ショールーム
 
 港区南青山2-24-15  青山タワービル
 
PHONE:03-5772-6660


紀州木の家

2007-10-01 12:26:11 | インテリア
9月は西脇の家から始まり、飛騨高山、和歌山県和歌山市と
キャラバンのように現場、展示会、また現場と旅をしてきました。

旅の締めくくりは、和歌山市のKINO(紀州木の家協同組合)さんの施工による
”M邸”を仕上げて参りました。
KINOの得意とするのは、紀州材をふんだんに使った「気持のいい家造り」です。

コンパクトでありながら、開放感のある間取は、
ダイニングをゆったりと構え、あえてリビングは作らない
庭はこじんまりとしておいて、大き目のデッキを設ける
2階は主寝室と広い多目的スペースのみというものです。
限られた敷地のうちで様々の工夫と配慮のなされた良心的な設計です。



施主でいらっしゃるMさんは、アウトドア好きで
カヌーまで手作りしておられるというご夫婦です。
”M邸”のコーディネートは、自然志向の住まい手を意識し
ナチュラルで素朴なインテリアをこころがけました。

引き渡し前の数日間をお借りして
家具のセッティング、コーディネート、写真撮影をすませ
その後に2日間完成見学会を催しました。
この方法は、工務店さんが展示場を持たずしても家を多くの人に
見ていただくことができる効率のいいやりかたです。
あらかじめ外観の写真を撮っておいてチラシとDMを配布し、
セッティングに2日、撮影の日を1日取り、
一度に事例写真(ホームページやリーフレット用の宣伝写真)を撮る、
見学会を催すのです。(なんて頭がいい方法なんでしょう。)


 
たった2日間の展示ですからあれこれ家具を買うことはできません。
かといって家具のない展示場というのは、ゴーストタウンのようになってしまい
生活感が一切感じられないものとなってしまいます。
そこでKINOさんはどうしたかといいますと、
1・ギャラリー(展示場)に常設している家具、調度品を持ちこむ。
  それに加えて、手持ちの(自宅&実家の)家具を運び入れる。
2・地元の家具屋さん、輸入の木のおもちゃ屋さんとタイアップして(お店の宣伝
  のためのリーフレットなどを置く)商品をお借りする。
3・施主さんの持っていらっしゃる自慢の品(カヌーとアウトドア用品)を
  貸していただく。
というものです。残念ながらカヌーの写真は撮影のタイミング上、
私は撮ることができませんでしたが、KINOのホームページでやがて見られますので
その時までお待ち下さい。(現在KINOホームページリニューアル中です。)

KINOさんの素晴らしい点は、キッチン、水廻りまでフルオーダーできるというところです。
木造注文住宅であっても、キッチンはメーカーのものを導入している工務店さんが
多い中で、適正価格でお客様の要望を満たしたキッチンを制作しているところは
実は数少ないというのが現状です。
注文住宅であれば、一番にフルオーダーしたいのは主婦にとって
まずキッチンではないでしょうか。
ポリカーボネートの扉(引き戸)のカップボードや、無垢のカウンター、棚板、
コンロ脇のスパイスラックなど、木の家にふさわしい良心的な収納が、
この家には備わっています。



2階は、広々とした多目的スペースです。
都会的なモダンな家具ではなく、素朴な家具を置きたい。
お子さんが小さいうちは、家族の集うフリーなスペースとして、
そしてやがて子供部屋が必要になったら子供部屋として(プライバシーの無い)、
またお子さんが独立されたら、夫婦2人の趣味のスペースとなるよう
かぎりなくフレキシブルな造りです。(M家のお子さんは、どう転んでも非行に走らない気がします。)

コーディネートのテーマは、民族楽器を弾いたり空の星をながめる部屋です。
チェアーは、ウッドユウライクカンパニーの”スターウォッチングチェアー”と、
雉子舎工房の”モーリーチェアー”です。
工房家具メーカーさんとしてクオリティーの高い2社の椅子に合わせ、
床には、良質のキリムを合わせました。
木の床に、木の家具を置く場合キリムはよいアクセントになってくれます。



書斎コーナーは、誰でもいつでも使える
誰の指定席でもないデスクコーナーです。(やはりプライバシーはありません。)
このデスクコーナーで、近い将来ご主人がパソコンに向かう傍ら
お子さんが宿題をする光景が見られるように思います。
 


主寝室と収納部分にもふんだんに無垢の木が使われています。
このベッドルームは不思議に落ち着く、よく眠れそうな寝室です。
「どこかアジアのリゾートみたいだね。」と、
撮影の時カメラマンのY氏が言いました。
どうしてなんでしょう、きっと木の力だと思います。



お母様の寝室のために和室が1部屋設けられています。

この部屋には、箱膳2台と小座布団を置きました。
箱膳というのは、若い人はご存じ無いでしょうが、
箱の蓋を裏返せば膳になり、使わない時は食器を収納して箱になるという
普段使いの古くからの日本の優れものの道具です。
まず、家具代を抑えるという点からも
家具を置かず広く部屋を使えるという点においても
ぜひ見直したい道具のひとつです。

このときのフードコーディネートは、
”枝豆の混ぜご飯とコンビニのトン汁、野菜の小鉢”による
一汁一菜(?)のプチ懐石料理(?)でした。

限られた日程、限られた予算の中、、
最低の条件による最大の効果をもたらさなければならないという
私にとってのミッションのような、楽しいお仕事でありました。