ヤフーのニュースである。
【ブログ】結婚が消える時―米国の「結婚格差」事情
ウォール・ストリート・ジャーナル 12月21日(火)10時18分配信
バージニア大学のナショナル・マリッジ・プロジェクト(NMP)
が最近発表したリポート「結婚が消える時:ミドル・アメリカの結婚
からの撤退」は、高学歴と中程度の学歴を持つ米国人の間で生じ
ている「結婚格差」の問題を探っている。
(このリポート以前には、タイム誌とピュー・リサーチ・センターに
よる共同調査が行われ、40%近くの米国人が結婚は古いと考えて
いるとの結果が示された。)
NMPの調査結果のなかでも最も驚かされるのは、高学歴(大学
卒業)の米国人の間で結婚制度がますます盤石になっていると
思われるのに対し、中程度の学歴(高校卒業)者は「結婚に対
する信頼を失い」、結婚の「結びつきの質が低下」している、と
プロジェクト・ディレクターのW・ブラッドフォード・ウィルコックス
教授は言う。
非嫡出子や離婚の比率は、高卒よりも大卒の方が少ない。
では、未婚者にとって何が問題なのか?
ウィルコックス教授によると、出産と結婚の「交差」が問題なのだ
という。
近年、平均結婚年齢はじりじりと上昇を続けているが、出産年齢は
そうではない。
非嫡出子が増える一方で、未婚カップルは同棲を解消するかもしれ
ない――この状況について、ウィルコックス教授は「子どもにとって
危険な状態となり得る」と指摘する。
昔、結婚と子供を設けることは、大人の仲間入りを意味していた。
しかし、今や結婚は、教育の目標やキャリアを形成した後に得る
「頂点のようなもの」だと教授は言う。
リポートによると、結婚前に同棲する女性は全般的に増えている。
しかし、高学歴女性の55%は避妊を行っており、中学歴(35%)、
低学歴(19%)よりその比率は高い。
一方、中程度の学歴の世帯は、高学歴よりも非嫡出子を設ける
比率がかなり高まる。
2000年代後半、高学歴者の非嫡出子の比率はわずか6%だったのに
対し、中程度の学歴の母親から非嫡出子が生まれた比率は44%、
低学歴は54%だった。
また、両親とともに暮らしている14歳の女の子の割合は、高学歴の
母親を持つ場合が81%に対し、中程度の学歴では58%、低学歴
では52%だった。
リポートには、国立健康統計センターと総合社会動向調査の統計が
利用されている。
多くの評論家がこういった調査結果の意味についてすでに論じ、結婚
制度の存続性や「文化戦争(culture war)」に対する影響について
分析している。
(ニューヨーク・タイムズのコラムニストは、「高学歴のアメリカ人は、
文化的にはリベラルながらも古き良きアメリカを象徴する理想的な
核家族で暮らす。
一方、ミドル・アメリカは伝統的な価値を守りつつも、思うようにはいか
ない」と書いている)
最近のニューヨーク・タイムズの記事によると、フランスでは、結婚を
避け、シビル・ユニオン(連帯市民協約)を選ぶ若いカップルが増えて
いる。
読者はこのような流れをどう考えるか。
以上。
「読者はこのような流れをどう考えるか。」
ということであるが、先進国では、発展途上国からの
追い上げで、一部の勝ち組以外は、発展途上国なみの
生活へと、生活レベルが地盤沈下していっている現状
である。
今までのブログで使った資料の使い回しであるが、
最初にこの問題に気づいたのは、アメリカを代表する
りベラル派の経済学者ロバート・B・ライシュだった。
いまから20年も前に、ライシュは『ザ・ワーク・オブ・
ネーションズ』(ダイヤモンド社)で、グローバル化に
よる格差社会の到来が不可避であることを宣告した。
ライシュはグローバリゼーションによって、アメリカ人の
仕事がシンボリック・アナリスト・サービス、インパースン・
サービス、ルーティン・プロダクション・サービスに三極化
すると述べた。
でもこれを聞いても、なんのことか理解できるひとはほとんど
いないだろう。
ルーティン・プロダクション・サービスというのは、製造業の
労働者のことだ。
工場に出かけて決められた仕事をするだけなら、世界じゅう
どこでもできる。
だから彼らは、グローバル化による企業の海外進出によって
またたくまに仕事を失っていく。
インパースン・サービスは、銀行の窓口係やブティックの
売り子、飲食店の接客係のような対面で顧客サービスをする
ひとたちだ。
こうした単純労働は移民でもすぐに習得できるので、内なる
国際化によって既得権は失われてしまう。
ラインュの推計ではルーティン・プロダクション・サービスと
イソパースン・サービスに従事するアメリカ人は全労働人口の
八割に及び、このひとたちは〝ふたつの国際化〟によって貧困層
に転落していく。
とあったように、
「ルーティン・プロダクション・サービスとイソパースン・サー
ビスに従事するアメリカ人は全労働人口の八割に及び、このひと
たちは〝ふたつの国際化〟によって貧困層に転落していく。」
ということである。
したがって、シンボリック・アナリスト・サービスに従事できる
者で、勝ち組と確定的となった者以外、結婚なんて恐ろしくて
できないのではなかろうか。
釈徹宗氏は「現代社会は普通に暮らしているとモノや情報が過剰に
入ってきて自分の存在が大きくなりがちで、理想の自分と現実の
自分のギャップに悩んでしまう」と言ったが、
貧困層に転落していく八割の人々は、手に届かぬ「自由と平等」
の理念と現実とのギャップに、懊悩しているうちに、人生が
終わってしまうのではなかろうか。
そういう現実にあって、結婚が消える時―米国の「結婚格差」事情
という報告は、当然の帰結ではなかろうか。
ヤフーのニュースに「不況直撃、親と同居が増加 30代後半男性
は4割に」というのがあったが、日本の非婚率は向上するばかり、
そして、少子化は進行する。
週間現代の12月25日号で、「縮む日本『人口半減社会』あなたの
会社はどうなる?」という特集があり、これからのわずか50年で、
人口が50%程度の減少を見せる県が16にも上ることがわかる。
というのがある。
アメリカは移民社会なので、人口減少は考えにくいが、日本の
場合は、恐ろしいことが待ち構えている。
結婚が消える時―米国の「結婚格差」事情で、言われる問題
よりも、日本の差し迫る問題の方がもっと危機的なことでは
なかろうか?