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流石に、サンは勿論、その場に居合わせた重臣たち、皆が緊張しました。
「イ・ソン」
なんと・・・、英祖は混乱していたのです。
目の前に跪いているのが、孫のサンではなく、息子のソンだと。
英祖の怒りは、息子に対するモノに変わっていってしまったのです。
「私は父上ではありません、サンですお祖父さま
」
涙ながらに叫ぶサンに、英祖は愕然とした表情になりました。
左議政と、英祖が呼びました。
「世子じゃないのか」
英祖の目は、現左議政ではなく、前左議政を見ていました。それを見ても、混乱しているのが誰の目にも明らかでした。
前左議政はおずおずと進み出て答えました。
「世子様ではなく、世孫様です。」
英祖・・・自分の意識が混乱して事態を正確に把握できていない事を突きつけられました。
パニックになりました。
これでは、王としての任務を遂行することは出来ないと思いました。どうすればよいのだと思いました。
その辺りの感覚は正確で、正常でした。
「朝鮮の王として最後の決断をお下しになってください。たとえ死罪の命でも、ご決断に従います。」
サンが言いました。
サンは、英祖に王として最後まで立派であってほしいと思っているのです。
その時、王妃が入って来ました。ドギムも一緒です。
王妃は、『金縢之詞』のことを口にしましたが、英祖は全く覚えていませんでした。
王妃が、ドギムに在りかを説明させようとしたとき、いきなりチョ尚宮が入って来ました。
そして、ドギムの言う事は全て嘘だと言い張り、何としてもドギムをその場から連れ出そうとしたのです。
皆が、意味が分からずあっけにとられていると、突然雷が鳴り響きました。
英祖がそれに驚いたのを見て、ドギムはチョ尚宮の手を振りほどき、サンの傍に跪きました。
ドギムはまるで見て来たように、金縢之詞を記したその日のことを話し始めました。
思悼世子が息を引き取ったと知らせを受けるや否や、英祖は文書を記し、玉璽を押し、ある場所に隠した・・・と。
ドギムは必死に英祖に語り掛けました。
徐々に英祖の記憶が戻り始めました。
そして、ついに、思いだしたのです。
玉座の後ろに立っている屏風。
それを破り、中から英祖が取り出した文書。
しっかりと玉璽が押されていました。
愛する息子を失った父親の嘆きが書かれていました。
息子の命を奪う引き換えに、必ず孫のサンを王位につけると約束した文書でした。
サンは父の愛情を痛いほど感じました。
英祖はファワン翁主を呼びました。
そして、玉璽をファワン翁主の手でサンに渡すよう命じたのです。
それが、この場にいる重臣たち皆が納得する方法だと考えたのです。
ファワン翁主は泣き崩れました。
プライド、サンへの憎しみ、父英祖への愛情、様々な感情ゆえでしょう。
英祖は、宣言しました。
「今、この時より、世孫に玉璽を渡す。私は休むことにする。」
ファワン翁主は泣き、震えながら、玉璽をサンに渡しました。
もう、そうするしかありませんでした。
サン、ようやくの即位の時です。
でもまだ正式な王ではないようですね。東宮として、軍を含む、英祖の全ての権限を代行する・・・、そんな感じです。
チョ尚宮、広寒宮の長を降りる時が来たと感じました。
あとを、ウォレに託しました。
チョ尚宮は捕まりました。
サンを狙った一件の捜査が完了し、チョ尚宮が首謀者だという結論が出たのです。
英祖はチョ尚宮を流罪にしました。
目の前で死ぬのを見たくはなかったのです。
しかし、チョ尚宮には、その情けが刺さりました。プライドが傷つきました。
チョ尚宮は、英祖の目の前で小刀を胸に突きたてました。
それが、自分のプライドを守る唯一の方法だったのでしょう。
慌ただしく目まぐるしい一日の終わりに、サンは離れに行きました。
同じ気持ちだったら、必ずドギムもそこにいると思ったのです。
ドギムはサンを待っていました。
サンは心を決めました。
しかし、今はまだ余裕がありません。
「私の想いは今度伝える。お前の思いも今度聞こう。」
今度~っ
フギョムがサンに跪いて頼みました。
自分の命を差し出す代わりに、ファワン翁主を助けてくれと。
サンにはフギョムを殺す気は全くありませんでした。
養子の縁を切れば、もはや子ではないのだから、庶民に戻れと言いました。
しかし、フギョムはファワン翁主との縁切りをするつもりはありませんでした。ファワン翁主に心からの恩義を感じているからです。
フギョムは、ファワン翁主に丁寧にクンジョルをしました。
ファワン翁主が、亡き夫と自分が似ていると言ってくれたことが、最高の喜びになりました。
この恩は、来世でお返しします・・・とフギョムは言い、ファワン翁主の元を去りました。
英祖は内官や医師たちすべてを下がらせ、サンと二人だけになりました。
お前に残す言葉がある・・・と英祖は言いました。
「一つは、王としての言葉だ。望もうと望まないに関わらず、誰かの命を奪う事になる。すべきことをせよ。それがお前が耐えねばならぬ運命だ。もう一つは祖父としての言葉だ。この祖父を許してくれ。過ちを犯したが、それでも常に最善を尽くした。それゆえ、もう許してくれ。」
サンよ・・・これからはお前がこの朝鮮の王だ。
そして、空を見つめて言いました。
見たろ?と。
「余は約束を果たした。満足であろう。」
英祖の目には、息子ソンの姿が見えていました。
英祖は、サンの肩に寄りかかって、息を引き取りました。
お祖父様・・・とサン。
もう、どんなに恨み言を言っても、怒ってくれる人はいません。
泣けた~っ
パク尚宮も亡くなりました。
一口に宮女と言っても、ヨンビンとチョ尚宮、そしてパク尚宮の生涯は全く違うものになりました。
ドギムは、改めて思いました。
人にどう思われようと、望み通りに生きられれば幸せな筈だと。
そして、自分はギョンヒやボギョン、ヨンヒと共に喜びも悲しみも分かち合いながら穏やかに暮らしたいと思いました。
英祖が居なくなった今、自分が新しい天となった・・・とサンは思いました。
しかし、浮かれる気持ちは全く無かったようです。
ただひたすらに怖くて不安でした。
その中で、王としての覚悟が芽生えて来ました。
全ての責任は自分が取る事になると。
即位したサンは、毎日大忙しのスケジュールをこなしていました。
なかなかドギムとゆっくり話す事も出来ません。
3年の服喪期間が過ぎました。
お前を傍に起きたいとサンがドギムに言いました。側室にしたいと。
時間を与えるから、考えてほしいとサンは言いました。
「お前と家族になりたい。」