私的図書館

本好き人の365日

 ゲド戦記 補足

2003-06-14 08:13:00 | ゲド戦記
前回、アーシュラ・K・ル=グウィンの「ゲド戦記」をご紹介しましたが、二日後、本屋でとんでもないものを発見してしまいました。

「アースシーの風 ゲド戦記Ⅴ」

帯には「待望の最新作」の文字。
奥付を見ると、今年の3月に第一版が刊行されている。

し、知らんかった。
だって、第四巻に「最後の書」って書いてあったんだもん。

イヤ、嬉しいですよ。店頭でその本を見つけた時、驚愕と共に、(また読める!)という歓喜の感動で、立ち尽くしてしまいましたから。

第三巻での戦いで、魔法の力を失ったゲドは、第二巻で救い出された闇の主の巫女、テナーと共に、故郷ゴント島で普通の人間として生きていくことを決意します。そこにいたるまでのゲドと、テナーの等身大の女性としての葛藤を軸に、竜と人間の関わりを描いた第四巻。確かに、すべての謎が説明されたわけじゃなかったけれど、誰もがこれで完結だと思ったはず。

今、第五巻のページをめくっています。

…お、おもしろい。

第四巻から十一年もたってからの刊行とはとても思えない。
さらに、来年(2004年)にはゲド戦記の外伝ともいうべき短編集「TALES FROM EARTHSEA」が読める予定だとか。

どうしたんだル=グウィン?
こんなに嬉しいニュースが続いていいの?

…それもなんで紹介した二日後に?
一週間前だったら、もう少し書き様があったのに。

と言うわけで、番外的に補足を付けるしだいとなりました。
さらに今月(六月)発売の白泉社の雑誌、月刊「MOE(モエ)」七月号の紙上に、完結記念「偉大な魔法使いゲドの世界」と題した「ゲド戦記」の特集記事が載っています。作者のル=グウィン氏からのメッセージもありますので、興味のある方はこちらも読んでみてはいかがでしょう。そう、第五巻で「ゲド戦記」は完結してしまうらしいのです。しかし、もう私は信じません。たとえどんな結末を迎えるにしても、アースシーの世界は、姿を変え、別の物語となって、私達の前に現れることでしょう。

私達が竜と魔法の物語を待ち望む限り。

では、「MOE」の魔法図書館で取り上げられていた、有名なファンタジーの一節を借りて、今回はお別れです。

「あなたの最後の望みが、あなたを導いてくれます。それをなくしてはだめよ!」









アーシュラ・K・ル=グウィン  著
清水 真砂子  訳
岩波書店