インドで作家業

ベンガル湾と犀川をこよなく愛するプリー⇔金沢往還作家、李耶シャンカール(モハンティ三智江)の公式ブログ

イミグラントの句座(1月10-13日、プリー)

2019-01-23 19:01:00 | 私の作品(掌短編・エッセイ・俳句)
1月10日

冬潮や地響き立てて炸裂し

海鳴りや瀑布のごと咆哮す

白々と西海光り冬残照

海風にショールはためき帆のごとし

夕靄に曇る視界をひた歩き

五里霧中人生旅も夢ごとし

海沿いに歩く瞑想意識して

海上を旋回するや鳶烏(とびからす)

夕波やしぶきまみれの黒翼(くろつばさ)

冬木立澄んださえずりピーヒョロロ

花木陰鳥のさえずり澄み響き

夕靄に海人霞み街の灯も

月出でぬもの寂しきは冬の宵

カーゴート我が物顔に浜疾駆

冬波やすれすれ寄せて飛びのきて

冬海の白陽(しろび)に照らされ寒々し

からすみやミーディアムで白ワイン

からすみや軽くあぶって網焼きに

ヴィパサーナ仏陀教えし原瞑想

藍空に金のお皿の受け月や

冬宵に銀の円盤三日月や

1月12日

月白や中天高く刃(は)きらりと

ヒンドゥ寺ライトアップの七変化

神隠しどこに行ってた黒猫や

黒猫やとうに死んだと思いきや

ソファ下真黒き猫のひら過ぎり

黒猫や神出鬼没ミステリー

テリトリーもひとつどこにうちよりいい

1月13日

枕上の妄想楽し眠られず

椰子陰に火花散りまく翠光(すいこう)や

只座して耳を澄まして息の音(ね)を

三日月や薄眉ごとし淡々と

ベンガルの海は霞みて薄翡翠

白波の穏やかに寄せ冬凪や

海沿いの洋館庭に花鳥や

朝寝する吾の鼓膜に大音響

ありがたき神の讃歌も只騒音

異教徒にヒンドゥ聖歌雑音や


<熾=もゆる>
コメント
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