震災からの復旧を果たし、復興へ

　あの日、震度6強の地震と津波の襲来を受けた仙台市若林区の粟野さん一家、海沿いの畑で両親と収穫作業と苗植えの最中でした。大きな揺れに一度は家に戻ったものの散乱した家具の片づけに手間取る妻をみて、二人の幼児を連れ畑に戻りました。
　作業を再開した直後、松林の向こうから黒い大きな波が押し寄せてくるのを見、トラックに子どもを乗せ速攻で逃げ帰りました。九死に一生を得たと、今も思い出す度、背筋が凍るそうです。
　あれから二年目の春を迎えようとしています。仙台の街並みは賑わいを取り戻し年の瀬を飾るイルミネーションも輝いていました。が、波に浚われた海岸沿いは居住も制限され、田畑もその多くが失われたままです。
　幸いにも粟野さんのところでは堤防一つ隔てた家屋敷と一部の畑が被災を免れ、復旧していく大きな基盤となりました。　一時は農業を続けていくか悩んでいましたが、地域ぐるみで組合を結成し、国の補助金事業を二度、受けることができました。
　苦しみの極にあるとき、全有連の会員の方々から寄せられた励ましと応援のメッセージと一年に亘り続けられた生活支援金も大きな支えになりました。
　一度目の補助事業で大型機械の導入と、昨秋には大型ハウスの建設もなり、復旧を果たしたという思いでいます。被災当初は大工のアルバイトで生計の足しを得ていました。今は農業専業にもどり地道に前進しています。