▼生きているといい事があります。おいしいものを食べる、美しい風景にふれる、家族や友人との語らい。音楽や絵画などのアートも生きている喜びを倍化させます。
語り合う中で心を一つにできたときなど、ほんとうにうれしいものです。30年近く、有機農産物の産直をしてきて、それだから得られた出会いがたくさんありました。
▼有機農業の世界は独自の理念をもった農業人が多くそれらの人たちの活動や発言、著書に心を動かされました。最近知り合った「のらくら農場」の萩原さんもその一人。
先月号の「土の声」に寄稿していただいた萩原さんの知見にも同じ思いを重ねることができ、新たな喜びを感じました。
▼「力点とらせん」という観点がそれで、世の中を動かす力点は自給農ではなく、人を雇用できる農業に置く、それが社会を変える力になる。
「らせん」は一見同じことを繰り返しているようだが明らかに結果は違うという発見です。
これは若き日に触れたヘーゲルの弁証法的発展の法則、力点の考察はE・フロムの社会心理学の分析に通じるものでした。
久々に忘れていた学問への思いをまた新たにすることができ心にぽっと灯りがつきました。