ドレスの意味

2013年04月27日 | 日記
世の中はゴールデン・ウィークですが、私は普段と全く変わりません。大学の授業もあるし(最近は大学が世知辛くなってきて、半期15回の授業回数を確保するためハッピーマンデーは休まないことになっているのです)、連休中もレッスンやドイツ語講座や合唱団の練習はあるし、リサイタルの準備も進めなくては。連休中に招待状や案内状の送付と、プログラムとプログラムノートの印刷までできたらいいなと思っています。肝心の練習も、連休中にできる限り暗譜してしまいたいと思います。
今回のプログラムを通しで歌ってみると、やはり後半の中東欧ものは「重いなあ」と実感します。アンコールにも重い曲を選んでしまったので、ひょっとしたら腰が抜けてしまうのではなかろうか(比喩ではありません)、とちょっと心配。よくよくエネルギー配分を計算して歌わなければ。そうだ、衣装も考えなくては。
衣装と言えば、少し前に面白いご意見を聞きました。月1回の句会でいつも隣の席に座る若い男性から「声楽家の人って、どうして演奏会でいつもきれいな衣装を着るんですか?」と訊かれたのです。どうして、って言われても...(笑)。「演奏会ではドレスを着るのが普通よ」と言うと、「だって、お客さんは歌を聴きに来るんでしょ?衣装は関係ないんじゃないですか?声楽家の人ってきれいなドレスが好きなんですか?」と。何と答えたらいいのか困っていると、師匠格の年輩の男性が「音楽会では視覚的要素は本質的なものではない、と言いたいの?」と彼に訊いてくれました。「いえ、まあ、あの、僕はいつも不思議に思っていたんです。何できれいな衣装を着る必要があるのかなあと。フィギュアスケートなんかでもきれいな衣装を着てますよね」と、話がフィギュアスケートに転んで行きました。スケートは視覚的要素がすべてなので音楽会の場合とは話が違うと思うのですが、ひょっとしたら彼は「スピンやステップやジャンプの技術を競うのに何故きれいな衣装が必要なのか」と思ったのかもしれません。
彼の問いは、真正面から考えるとちょっとした難題ですね。私は普段全くおしゃれをしない人間なので、たとえシンプルなドレスでもともかくドレスを着て化粧をすれば、ステージに登場した時点でお客様がドレス(というか、普段と違う私)に幻惑されて、歌に多少のキズがあってもあまり気にならないのではないか、というまことに不埒な考えでドレスを着ておりますが(笑)。コンサートはトータルで楽しむものだから、衣装とかお花とか照明などの視覚的要素や、プログラムなどの知的要素も大切なのだ、ということでしょうか。終演後にどこかで食事をする、バスでなくタクシーで帰る、などコンサートとは直接関係のないことまで含んで楽しまれる方もいらっしゃるでしょうし。私が思いつく答えはこれぐらいしかありませんが、何か他に彼を納得させられるような答えをお持ちの方がいらしたらどうぞ教えて下さい。

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2 コメント

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Unknown (CHIKA)
2013-04-29 22:12:32
人前で歌うを歌うのを聴いていただくという行為は明らかに非日常です。しかも、お金もお支払いいただくのです。つまり「晴れの舞台」なのです。だから、普段着ではいけないのです。だからドレスを着るのです。って思ったのですが・・・納得していただけそうかな?
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Unknown (吉田)
2013-04-29 22:29:10
CHIKAさま、ありがとう。ハレとケという観点から再考察を試みたいと思います。
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