ご案内

2016年02月19日 | 日記
あまり音楽に関係のないご案内をいくつか。
明日2月20日(土)の午後と21日(日)の午前中、熊本大学黒髪北キャンパス内のくすの木会館レセプションルームで、「赤ちゃんポストを再考する」というテーマで国際シンポジウムが開催されます。どなたでも無料で参加できます(事前申し込みも不要です)。初日の明日はドイツ連邦家族省の係官とカトリック女性福祉機関の支部長さん、お2人のドイツ人女性の講演と、慈恵病院の蓮田院長のお話です。私もドイツ人ゲストスピーカーの通訳として同席します。午後1時半から。
2日目の21日は、日本人研究者4名とこのシンポジウムの主宰者のお話、そして全体討議です。午前9時30分から。この問題をめぐる日独の現状や課題が浮き彫りになりそうです。
同じく2月21日の午後1時30分から、熊本市現代美術館のアートロフトで熊本大学主催の「暗室カフェ」というけったいな(笑)イヴェントがあります。デジカメではないフィルムカメラの初心者向けで、お話を聞いたりフィルムを現像をしたりするようです。なぜか人類学の先生と写真家の方がゲストスピーカーらしい。汚れてもよい恰好で来て下さい、とのこと。これも入場無料、定員20名、関心のある方は熊本大学研究推進ユニットへご連絡ください。
来週の土曜日の2月27日には熊本市国際交流会館ホールで「ドイツの外国人政策に学ぶ」というセミナーがあります。熊本市と熊本市国際交流振興事業団の主催です。在日ドイツ総領事が「ドイツの移民政策」というテーマで基調講演を行い、その後「外国人とともに暮らす社会を考える」というテーマでパネルディスカッションが行われます。午後1時半から。これも入場無料ですが、定員180名ということで会館に事前申し込みが必要なようです。
俳句仲間からのご案内ですが、この2月27日には熊本県民交流会館パレア7階で、詩人で俳人の高橋睦郎さんによる朗読とお話の会があるそうです。こちらは会費3,000円とのこと。ご希望の方は私にご一報下さい。
声楽のブログらしからぬご案内の数々ですが、ご寛恕下さい。

イタリア式、ドイツ式(?)

2016年02月14日 | 日記
先日、若い男性の生徒さんから「アクート、って何ですか?」と質問されました。これは声楽の世界でよく使われる一種のテクニカルタームで、イタリア語ですが、私は長年ドイツ系の先生についていたからでしょうか、実際に自分のレッスンで聞いたことはありません。しかし以前、友人がイタリア系の先生についていて喉を壊したことがあって、彼女曰く「アクート、アクート!」と言われ続けているうちに声が出なくなった、とのこと。「アクートって何?」と訊いたら「開ける、っていう意味よ」と言っていました。しかしそれだけでは生徒さんに説明できないので、ネットで検索してみるといろいろな説明が出ていますね。中には動画つきで実際に声を出して説明してあるサイトもありました。大変立派な男性の声です。PCで聴くので本当の声がどうなのかよくわかりませんが、何というか「声がよく鳴っている」とでも言うのでしょうか、野外劇場などでフルヴォイスで歌う時にはこういう声が必要なのかな、という印象を受けました。
もう少し自分でも納得のいく見解を得たいと思い、W先生に新年のご挨拶がてらお電話をして「アクート」についてお尋ねしてみました。するとW先生も「私はドイツ系の先生だったからよくわからないけど、「開ける」ということじゃないの?」と仰ったので、「○○さんはアクートって言われ続けて声が出なくなったと言ってましたけど」とお話すると、ああ、そうなの、とちょっと思い当たられたようで、「たぶん「開けて」と言われて下咽頭腔を開けちゃったんでしょうね」と仰いました。充分な頭部共鳴を得るためには上咽頭腔をしっかり開けなければならないのに、「開けて」と言われて下の方を開けてしまい、舌根も下げ過ぎ、高速で上へ飛ばすべき呼気が落ちてしまい、声帯まで開いてしまって喉を傷めるというパターンに陥りやすいのだ、と。
W先生のもとには、喉を壊したり声が出なくなったりした方がこれまでたくさん来られて、その方たちを皆素晴らしい声に蘇らせて来られたのですが、前の先生のところで「喉を鍛えるのは空手の訓練と同じ原理だ」と言われた、という方もいらっしゃるそうです。一度潰して再生させる、という感じのようですが、この方法論はベル・カントの2つの流派のうちの一つらしく、その流派の発声が日本中を席巻した時代があったそうです。W先生は「イタリア人みたいに強靭な喉を持っている人はこの方法ですごく立派な声になるんだけど、日本人の場合は声楽家としての寿命が短いの。そしてソプラノの人は高音が出なくなっちゃうのよ」と仰っていました。この発声が合う、合わないは多分にDNA的な問題なのかもしれません。私の知人にも、イタリアでこの流派の発声を身に付けて帰国し、活躍している人がいて、機会あるたびに演奏を聴いていますが、数年前、何となく声の輝きが衰えてきたように思えて「このまま歌ってて大丈夫かな」と心配になったことがあります。人気があって引っ張りだこなので休養が取れず、ケアが十分できないのかもしれませんが。
もう一つ感じるのは、この発声の方はイタリアものを歌われるととても声が映えるのですが、第九のようなドイツものや宗教曲では音色が一人だけ違って他のソリストから浮いてしまう、ということです。昔からよくドイツ式発声とイタリア式発声という区別が言われてきましたが、ドイツやウィーンの音大ではドイツものだけでなくイタリアやフランスのものも勉強もしますが、イタリアでは原則としてイタリアものしかやらないみたいですね。オペラ発祥の地としての誇りなのでしょうか。
W先生のお弟子さんに、師事していたイタリア系の高名な先生がお亡くなりになった後でW先生に入門した方があり、その方がイタリア人の公開レッスンを受講されるのにW先生も同行されたことがあるそうです。W先生のもとで発声の勉強をしっかりやり直している最中だったそうですが、そのイタリア人講師にとても褒められて、他の受講生よりもかなり長い時間レッスンして下さったそうです。W先生の生徒さんはオペラをやっている方が多いのですが、ロシアものやフランスものをやっている方もあり、その方たちがいろんな国の先生の公開レッスンを受講されるので、よくついて行って聴講されたそうですが、「どの国の先生も皆、うちの生徒を褒めて下さるのよ。今はもうイタリア式とかドイツ式とか○○式という垣根はなくなっているんじゃないのかしら」と仰っていました。発声の方向性も時代によって変わるのだと。パンチの効いた輝かしい声がもてはやされた時代もあったけれど、今は世界的に響きの美しさや肌触りの柔らかさ、声の肌理の濃やかさが求められる時代なのかもしれません。図らずも(?)どんな人でもできる普遍性のある発声法がこの要求を満たしているというのも、ひょっとしたら必然的なことかもしれません。

セミナー

2016年02月02日 | 日記
2月になりました。明日は節分、明後日は立春。日脚も少しずつ伸びてきて、もうすぐ春ですね。
さて、3月21日の午後に春の発声セミナーを開催します。場所は昨年と同じ熊本市中央区本荘のDOLCEです。今回は「レクチャー&エクササイズ」、「みんなで歌おう~斉唱・輪唱・合唱~」、「体験レッスン・公開レッスン」の3本立ての予定。詳細はまたご案内します。どうぞ奮ってご参加下さい。
昨日からM先生が熊本においでになっています。先ほどチャリティコンサートの最終的な事務処理がようやく終わりました。これでようやく一区切りです。と言ってもM先生のことですから、もう次のコンサートのイメージがしっかり出来上がっていることでしょう。明日のメサイアの練習が楽しみのような、怖いような(笑)。
今日は私は久し振りにピアノのレッスンを受けました。バッハの平均律とショパンの幻想即興曲、30年以上前に弾いた曲です。私は昔から(声楽科の学生には珍しく?)ピアノがとても好きでした。それなのにどんなに練習してもなかなか上手になれず、大学の副科ピアノの授業の他に個人レッスンにも通っていたのですが、ちっとも弾けた気がしませんでした。ですから、M先生の合理的で要領簡潔なレッスンを受けると、今からでも少しは上達できそうな気がして嬉しくなるのです。「歌は好きなんですが音痴なんです」とか、「ずっと歌を続けてきましたが思うように歌えないんです。このままでは死ぬに死ねません」などと仰ってうちに入門された生徒さんが、レッスンが終わると「人生が明るくなりました!」と言って嬉しそうにお帰りになる気持ち、私のピアノと同じだなあと思います。
ともかく、大学の試験期間もあと少しで終わりですし、いろいろなことが少しずつ一区切りついて、肩の荷を一つずつおろして行っているようなこの数日です。明日は盛大に豆まきをすることにしましょう。