充実の3日間

2015年03月28日 | 日記
一昨日、M先生とご一緒にヴァイオリニストのN氏宅にお伺いし、9月のリサイタルで共演するヘンデルの「9つのドイツアリア」からの4曲の合わせの練習をしました。前日の夜「東京はひどく寒いよ」とメールが来たので厚手のコートを着て行ったのですが、雨女の私にしては珍しく今回はポカポカ陽気でした。羽田からM先生のお宅の近くまで電車で移動し、M先生にピックアップして頂いて、M先生の運転でN氏宅へ。2年前に被災地コンサートでご一緒して以来の再会です。最初にM先生とN氏のジョイントコンサートの打ち合わせや練習があり、その後3人での合わせをしましたが、N氏のお宅のピアノはハンブルク製スタインウェイ。長年ドイツの一流オケでコンサートマスターを務められたN氏の見事なヴァイオリンとM先生のピアノのアンサンブルに私の歌が加わるのは文字通りの蛇足なのですが、私のリサイタルの練習なのですから仕方ありません(笑)。テンポや掛け合いのタイミング、装飾の確認をしながら4曲を数回ずつ合わせ、カデンツの入れ方など音楽的なアドヴァイスを頂きました。ヴァイオリンの周波数はソプラノと相性が良いので、どんどん声がラクになっていき(技術的には不十分なところが多々ありましたが)、とても楽しい気持ちになれる練習でした。本番ではM先生はピアノでなくチェンバロで伴奏して下さいます。積年の夢であったバロックのアンサンブルがいよいよ実現すると思うと嬉しくてたまりません。
練習後、気さくなお人柄のN氏は、M先生と私のためにお手ずからコーヒーを淹れ、ケーキを出して下さいました。私のケーキの包装を剥いて下さるM先生に「Mさんのケーキはこっちだよ」と仰るN氏に「吉田さんのを剥いてあげてるんですよ、私は母ですから(笑)」と応じられるお2人の漫才のような会話に笑い転げ、「9月の熊本って、暑いの?」と訊かれて「それはもう、想像を絶する暑さです。盆地ですから夕方はベタ凪ぎですし」と答える私に、M先生も「そうそう、Nさん、熊本のセミの鳴き声を聞いたら驚きますよ。道路工事みたいなすごい音ですから」と仰るので、さらに私が「熊本ではセミも熱中症で木からボトボト落ちて来るんですよ」と言うと、N氏は信じられないというように笑われました(念のため申し上げますが事実です。熊本の読者の皆様はおわかりですよね)。N氏が「本番までにもう一度ぐらい東京に出て来れるようだったら、また合わせようよ」と言って下さいました。
N氏のお宅を辞去し、夜は、つい数日前にM先生の住むK市に引っ越してきたばかりの友人Aちゃん一家とM先生をお引き合わせするために、K市内のファミリーレストランで皆で一緒に夕食をしました。AちゃんとM先生は出身地が近く、気質もよく似たところがあります。M先生から被災地の現状などの話を聞き、Aちゃんにも心に深く感じるものがあったようです。これからAちゃん一家とM先生の良いお付き合いが続くよう祈りつつご一家と別れました。
さて、翌日はM先生がお休みを取って私を富士山に連れて行って下さいました。私、富士山に行くのはこれが初めてです。この日も快晴でさらに暖かくなり、道すがら雪を被った富士山が青空に映えて絶景でした。M先生にとって富士山はご自分の庭のようなものだそうで(笑)、時間を見つけてはドライブされているそうですが、確かにここはパワースポットだなと思わせる空気。富士山を目の前に眺められる露天風呂に入り、首相御用達(!)のお店で和牛100%のハンバーガーをご馳走になりました。何と贅沢な休日でしょう。普段あまり休みが取れず、たまの休みには家でゴロゴロするしか能がない私にとっては夢のような1日でした。私のためにわざわざ1日空けてこんな時間を作って下さったM先生に感謝感謝です。
夜の便で熊本へ帰り、一夜明けた今日は県境近くのY町の老人クラブの総会にお招きを頂いて1時間の講演をしてきました。ここでは一昨年、この地域の病院長の講話と、その病院の理学療法士の方による健康増進エクササイズと組み合わせて高齢者向けのヴォイストレーニングをさせて頂いたのですが、それが好評だったらしく、今回は病院を通じて私一人にオファーが来たのです。M先生のご友人のUさんご夫妻が送迎を買って出て下さったので、ご厚意に甘えさせて頂きました。会場に着いてみると400人ほどの高齢者の方たちが集まっておられました。開会は10時なのに、皆さん既に8時ごろからご参集だそうで、そのお元気なこと。「歌って、健康!」という講題(先方からのご指定です)で、パワーポイントを使って、エクササイズも適宜組み込んで1時間ほどお話しをしました。パソコン操作を手伝って下さった病院職員の女性が「とても面白かったです。皆さん本当によく集中して、声もよく出ていましたね」と仰って下さいましたが、山里の高齢者は足腰が丈夫なのでしょう、呼吸の練習も、姿勢を保つ練習も、舌や唇のストレッチも、時々ヴォイトレに呼ばれて行く小中学校の生徒さんたちよりはるかに上手で、しかも熱心です。老人パワーはすごいものですね。
終了後、Uさんご夫妻と昼食をご一緒し、回り道をして雄大な山並みの中をドライブしながら帰って来ました。ちょっと足を伸ばせば豊かな自然に簡単に触れることのできるところに住んでいるなんて、考えてみたら幸せなことですよね。これからはこういう時間をもっと大切にしようと思ったことでした。

お詫びと感謝

2015年03月25日 | 日記
先日の発声セミナーで、やってしまいました(-_-;)ブログ更新した後気づいたのですが、何と私、最初のラジオ体操からバッハの合唱曲の仕上げまで90分のつもりで2時間ぶっ通しでやったらしい(-_-;)その時は全然気づかず、時計を見ながら「今日は3時半までだから...」と思い込んで時間配分をしていたのです。いくら熱に浮かされていたとは言え(笑)こうも目算を間違えるとは...大学の授業が1コマ90分ですから、90分は大体これぐらいという感覚はあるはずなのですが、ひょっとしたらかなり重症だったのかもしれません(風邪が(もしくは/および)健忘症が)。そう思ってセミナーの内容を振り返ってみると、配慮の足りなかったことがいろいろと浮かび上がってきて、しばらく凹んでいました。翌日以降レッスンにお見えになった方たちには直接お詫びを申し上げ、皆さん温かく「先生の熱血ぶりに感心しました」、「時間が伸びてるな、とは思いましたが、その分トクしたと思いましたよ」などと言って下さったので少し救われた気分になりましたが、後の予定がおありだった方にはご迷惑をおかけしてしまいました。お詫び申し上げます。
そして、これまでずっとアシスタントを務めて下さったsさんの存在の有難さに改めて気づかされました。今回はYさんに受付をお願いして急場を凌ぎましたが(Yさん、お世話様になりました)、これまでいつもsさんが会場との折衝から受付、タイムキーパー、会計、参加者の方たちのお世話まで一手に請け負って下さっていたお蔭で、私は心おきなくセミナーに集中できていたのだと。sさんは既に発声セミナーの「顔」で、今回も「あれ、今日はsさんは?」と何人もの方から訊かれました。sさん、今更ながらいつも本当に有難う。早く良くなってね!
さて、その後のレッスンではセミナーに参加された方たちの発声が一段とよくなっています。やはり、こうして時々基本に立ち返ることは大切なんですね。今回、参加者のほとんどが合唱経験者(中には指導者の方も)でしたから、これからの練習に何がしかお役に立てば嬉しいです。
さて、明日は東京行きです。ヴァイオリニストのN氏のお宅で、M先生と3人で9月のリサイタルの練習をすることになっています。帰ってきたらご報告したいと思います。

春の発声セミナー

2015年03月21日 | 日記
「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったものですが、今日は全国に先駆けて熊本で桜が咲いたそうですね。ポカポカ陽気だった今日の午後、リニューアル・発声セミナー(合唱編)を開催しました。お日柄が良かったのか(?)何と44名もの方がご参加下さり、これはおそらくうちのセミナーの新記録です。中学生から70代まで老若男女相集い、充実の時間となりました。
実は昨日、いつもセミナーでアシスタントを務めて下さっているSさんが怪我をして入院・手術のため参加できないというメールが来て吃驚仰天。私も今週初めから関節痛、熱、頭痛、喉の腫れという典型的な風邪の症状に見舞われており、なるべく外出を控えて大事を取ってはいたものの、完全には治り切らないまま今日を迎えてしまいました。Sさんも不在となると、これはもう気合で乗り切るしかありません(?)。幸い大学も春休み中で時間的に多少の余裕がありましたし、今回は熊本市外から(中には県外からも)のご参加申し込みも多かったので、遠路はるばる来た甲斐があったと思って頂けるよう1ヶ月ほど前から十分に時間をかけて準備をしてきましたので、多少体調が不十分でも何とかなるでしょう。私の足りないところは参加者の皆様に助けて頂こうと腹を括りました。
さて、今回はレクチャー&エクササイズに加え合唱曲を1曲その場で仕上げるという実験的なセミナーでした。この人数だとお一人ずつ自己紹介して頂く時間的余裕はないので、最初に、今日の伴奏者を務めてくれるUさんの生ピアノでラジオ体操第1。参加者の中からお2人の方に前に出てお手本を示して頂き、参加者全員が前後左右の人とぶつかりそうになりながら体をほぐし、これで少しはアイスブレイキングになったかな。その後は着席して頂いて、パワーポイントを使いながら呼吸、発声、共鳴の順に「エクササイズ→レクチャー」の流れで1時間ほど座学をし、いよいよ合唱です。バッハの有名な「主よ、人の望みの喜びよ」をドイツ語で歌います。これは今年のクリスマス会で歌う予定の曲です。この曲は4小節おきに間奏が入り、リズムも基本的にタテに割り切れているので音取りがしやすいのです。ドイツ語で歌うのは一般の方には大変でしょうが、発音の練習がそのまま発声の確認になるという意味で敢えて原語にしました。パワーポイントでワンフレーズずつドイツ語にカタカナの振り仮名のついたスライドをお見せし、母音だけで歌ってみて、次に子音をつけるという方法で練習しました。全パートを全員で歌った後、各自のパートを歌って頂きます。ソプラノ21名、アルト7名、テノール2名、バス6名というアンバランスな組成なので(笑)、パートごとに並ぶのをやめて、座学でランダムに座った配置のままでご自分のパートを歌って頂きました。
約30分の練習で無事最後まで仕上がり、通しで1回歌って終了。休憩無しのノンストップで90分、この陽気で部屋の温度はどんどん上がるし、ドイツ語だし、初めての曲だし、皆さんきっと大変だったと思いますが、とても素敵な響きでした。クリスマス会が楽しみです。
この後別室で1時間ほどの茶話会をしました。半数ぐらいの方が残って下さり、ケーキとサンドイッチと楽しいお喋りで疲れを癒して頂き、5時前に終了。
終わって帰宅してから、アンケートを用意するのをすっかり忘れていたことに気づきました。いつもセミナーの後はアンケート用紙を配布してご感想やご意見をお寄せ頂き、ホームページでご紹介するようにしているのです。今回はリニューアルセミナーだったので、きっといろいろなご感想をお寄せ下さったでしょうに、うっかりしていました。
ご参加下さった皆様、大変お疲れ様でした。よろしかったらアンケート代わりにコメントを一言頂けないでしょうか。次回の参考にさせて頂くとともにホームページにも掲載したいと思います。

春休み

2015年03月15日 | 日記
今年は3月に入っても寒い日が多く、本格的な春が待ち遠しいですね。
さて、春は別れの季節ですが、このところ私の周りでは訃報が多く、何通も弔電を打ちました。加えて3月は震災忌でもあり、このところ国内外で信じ難く陰惨な事件も続発しています。哀悼の念が募る毎日です。
また、大学院時代の主査の先生がこの3月でご退官で、昨日はその記念祝賀会でした。社会人学生の指導はいろいろな意味で負担の大きい仕事だと思うのですが、30代半ばを過ぎてからの学究という私の無謀な挑戦を全面的に支援し、導いて下さった大恩人です。青息吐息で学位を頂いてからもう10年も経つのかと思うと、感慨無量でした。
今朝も今朝とて、その大学院時代に親しくしていた友人から久し振りに電話があり、何事かと思ったら「東京に引っ越すので、借りていたCDを返したい」とのこと。彼女は諸事情から随分長いこと苦学していましたが、修士の頃に結婚し、仕事も続けながら2人の子を生し、ご主人の仕事の関係で県外に引っ越し、ここしばらくご無沙汰でしたが、大学院生の頃はよくうちへ遊びに来ていたし、上のお子さんが3歳ぐらいの頃、しばらくピアノを教えたこともありました。今日は朝から合唱団の練習日だったので、練習会場まで来てもらってCDを受け取りましたが、聞いてみると引っ越し先はM先生のお宅のあるK市だそう。折よく私も来週伴奏合わせでK市に行くので、その時彼女をM先生に彼女を引き合わせようと考えました。考えてみると、彼女とM先生は似たところがたくさんあります。山育ちで、自主自立の気性に富んでいて、フットワークが軽く、外国人の友達がたくさんいて、英語と中国語ができて...きっと気が合うだろうと思います。
かように、春は出会いの季節でもあります。今週の土曜日はいよいよ発声セミナー。また新たな出会いが楽しみです。ご参加ご希望でエントリーがまだの方、どうぞご一報下さい。お待ちしています。

お笑いを一席

2015年03月07日 | 日記
笑うと免疫力がアップして健康増進に役立つ、という話はよく知られていますが、声高らかに笑うことは声楽発声にも大変役立ちます。横隔膜をものすごく使うので呼気が高く飛ぶし、上あごも引き上げられるし、喉頭蓋もカパッと開くし、つまり瞬時に理想的なフォームができあがるのです。それで、最近はレッスンの中で必ず、ウエスト(肋骨と骨盤の間)に拳を突っ込んで、その拳を弾き飛ばすようにしながら声を出して笑って頂くようにしています。
ところで、同僚の先生がしばらくご一家で海外に滞在されることになり、今日は送別会がありました。宴たけなわの頃、私のそばに座っていた男性が何かの拍子に後ろへのけぞったところ、背もたれのない椅子だったため、上体が床と水平に伸び(?)、周りの人たちが「アアッ」と声を上げたその刹那、彼は何と倒れた上体をグーッと起こして事なきを得たのです。ものすごい腹筋力!!そのスローモーションのようなパフォーマンスのあまりの見事さ(というか、喜劇性)が私の笑いのツボを直撃し、10分ほど笑いが止まりませんでした。あまり笑い続けたのでお腹がよじれ、耳の後ろが痛くなり、涙がボロボロこぼれ、苦しくてたまりません。間違ってワライタケを食べたらさぞ苦しかろうなどとバカな考えが頭をよぎりましたが、ともかく、笑いは全身運動だと改めて痛感した次第。そのまま歌の練習をすればきっとよい声が出たことでしょう(笑)。
このところ、笑えることが立て続けにありました。先週の金曜日の夜、とある会合の後「今日は随分人が少ないですね、土曜日なのに」と言う私に、或る方が「あの~、今日は全国的に金曜日なんですが」と仰ったのが可笑しくて、笑いが止まりませんでした。数日前には友人から、国際線の機内食の配膳時に「beef or chiken?」と訊かれて「bird!」と答えた日本人の話を聞き、それだけでも十分に可笑しいのですが、連想ゲームよろしく、友人の結婚披露宴で聞いた新郎の暴露話を思い出してしまいました。友人のご主人も機内食の配膳の時に「beef or fish?」と訊かれ、なぜか「chiken!」と答えた、というのです(笑)。
こういう罪のない笑い話で思い切り笑い転げると、ストレスをかなり発散できます。それに、レッスンで「笑って下さい!」と言われてもなかなか本気では笑えないものですが、こういう話を思い出すとしっかり笑えます。皆様もお試しを(笑)。