高校生たち

2019年10月18日 | 日記
以前にもこのタイトルを使ったことがあるような気がしますが...
高校以来の友人の仲介で、うちの比較的近くにあるM高校合唱部のコーラス部に月2回ヴォイストレーニングをしてほしいと依頼を受け、今日が初めての練習日でした。実は、合唱団のヴォイトレを継続的に依頼されたのは初めてです。単発や数回のレッスンはよくありますが、物事は何でも継続しないと成果が検証できないので、私にとっても貴重な学びの機会になりそうです。
私立の高校なので、(小さいけれど)きちんとしたホールが校舎の中にあり、コーラス部の練習はそこでやっていました。男子1名を含む9名の部員です(男子はアルトパートを歌っていました)。部活の時間をフルに使って、レクチャーからエクササイズ、合唱曲の練習までてんこ盛りの110分でした。今までもトレーナーの先生が来られていたそうで、さすがに理解が速いです。呼吸や共鳴のしくみもおぼろげにはわかっているようで、レクチャーに対する反応が良く、エクササイズも臆せず積極的に取り組んでくれました。
合唱のヴォイトレで気を付けなくてはいけないと思うのは、「今習ったばかりの発声の技術のすべてを、すぐに歌に生かそうとしないこと」です。発声から歌へのハードルは案外高いので、橋渡しの仕方も難しいのです。今回も、最後にア・カペラの曲を部分的に歌ってもらったところ、難しく考えすぎているような歌になっていたので、「今日やったことは全部忘れて、もう一回歌ってみて」と言ったら、今度はすごく伸びやかで、練習の冒頭に聴かせてもらったのとは全然違う声になりました。その中にいくつかの課題が浮き彫りになり、これからそれらをひとつずつ取り組んでいけば良い、ということが見えてきました。
合唱はいいですね。私はソロより合唱の方が好きです。ハモる喜びは何にも替え難い、といつも思います。

校内合唱コンクール

2019年10月18日 | 日記
今日は、かつての職場でもあったわが母校の合唱コンクールの日でした。午後の授業を休講にして、中3の姪の保護者として会場の県立劇場コンサートホールへ足を運びました(保護者と来賓しか入れないクローズドなのです)。入り口で昔の教え子に声をかけられ、ホール内では恩師I先生にお会いしました。休憩中には大学の同僚でもある校長先生にもばったり。毎年この場では懐かしい方々に遭遇します。
今年は1年生が割と上手でした。毎年、2年生がちょっと不発で3年生になると堂に入ってくる、というのが常で、今年もご多分に漏れずその展開でしたが、今年は何だか全体的に少し粗雑というか、練れていない印象が残りました。生徒たちはきっと一生懸命取り組んだと思うのですが、おそらく準備時間が足りなかったのでしょう。
感じたことその1.毎年思いますが、自由曲にいつも結構難しい曲を選んできます。チャレンジ精神は大切ですが、音楽的に説得力のある仕上がりにすることがもっと大切。身の丈との兼ね合いが難しいところですね。
その2.音取りがきちんとできていないクラスが散見されました。曲が難しいのかもしれませんが、課題曲や全員合唱曲、ソロパートでさえ音が取れていないクラスがあり、これはかなり気になりました。
その3.2年生の課題曲が、長年の「グローリア」(モーツァルト作曲とされていますが、贋作です)から「山のいぶき」に変わりました。これは正解だったと思います。「グローリア」はいつもロングトーンで音程がぶら下がるのが気になっていましたから。ついでに1年生の「マイバラード」も変えてほしいなあ。
その4.演奏マナーや聴くマナーが立派でした。保護者席も静かでした。これは毎年感心します。
その5.私は卒業生でもあり、旧職員でもあるので特に感じるのかもしれませんが、発声や音楽づくりのレベルがとても気になります。生徒たちにはもっと潜在力があるはず。もっと高い所を目指せるはずです。今年、この学校のコーラス部は、創設以来初めてNコン県大会で予選落ちしました。ショックです。今日もコンクールの後でコーラス部の演奏がありましたが、ステージに乗っているのは16人!正規の部員は11人しかいないと聞きました。かつての栄光の時期とは比ぶべくもありません。演奏は立派だったので少し安心しましたが、とにかく部員を増やさないと話にならん、とI先生が慨嘆しておられました。
姪のクラスは、今や古典的名曲となった「ひとつの朝」を自由曲に選んで頑張りました。残念ながら入賞は逃しましたが、昔、初めてこの曲を聴いた時の感動が蘇ってきました。私が中2の時のNコン高校部門の課題曲がこの「ひとつの朝」で、市民会館ホールでD高校が歌ったこの曲を聴いて衝撃を受け、先輩と「今年の高校の課題曲、いいですね~~~!」と言い合ったことを鮮明に覚えています。その時のD高校の自由曲「おぼこ祝い唄」も鮮烈でした。この感動が遠因となって、やがて私自身もこの高校に進学、コーラス部に入って歌に明け暮れたのでした。
来年からはもう、この合唱コンクールを聴きに来られなくなります。弟の5人の子供たちの4番目までがこの学校に進学してくれたお陰で、これまでずっと保護者として会場に入れたのですが、5人目はまだ小4、この学校を受験するかどうかもわかりません。思えば随分長いご縁でした。感謝と一抹の寂しさ、そしてコーラス部の行く末を案じる気持ちが綯い交ぜになって、帰途の胸中は少し複雑でした。

リサイタル終了

2019年10月06日 | 日記
「詩歌と歌曲の夕べ」と銘打ったリサイタルが無事終わりました。
200人を超えるお客様にご来聴頂き、裏方スタッフの献身的な支えを頂いて開催できたリサイタルでした。特に客席の雰囲気が素晴らしかった!そして、4人の共演者の方々には本当にお世話になりました。ひれ伏してもまだ足りない気持ちです。
詩歌の朗読と歌曲演奏を組み合わせたコンサートを構想したのは昨年だったと思います。でもその時は、ただ思い付いたというだけで明確なビジョンはなく、とりあえず知人の詩人N先生にオファーを出し、ご承諾を頂いてから具体的なことを少しずつ考えていきました。朗読にも伴奏がほしいと思い、ハープがいいと思いついて友人にハーピストを紹介してもらい、朗読をして下さる方を演劇畑の知人に紹介してもらい、せっかくハーピストに共演して頂くなら、ハープのソロも入れたいし、歌もハープ伴奏で歌ってみたい、という感じで少しずつ具体化していき、内容が固まったのは夏前ぐらいだったでしょうか。N先生も朗読したいと仰るので朗読者を2人にし、それから全員での顔合わせに始まり、ハーピストと曲の相談、朗読者とハープの合わせ練習を順次進め、一方では歌う曲の数を少し減らすことにして曲を厳選し、プログラミングを決め、対訳や解説文などの準備にかかりました。十分な時間の余裕をもって始めたつもりでしたが、関わる人が多いので思ったよりも時間がかかることが多く、大学の後期の授業も始まって、最後の2週間は胸突き八丁でした。
夏休み中は歌の練習もだいぶ頑張ったのですが、1人で練習しているとだんだんわからなくなってきます。夏休み中に一度、施設に入所されているW先生のお見舞いに行った時、話の流れで発声のことを伺ったのが良い刺激になりました。何より、選んだ曲がすべて今の自分にとって共感の深い曲であったことが、練習のモチベーションを保てた大きな要因でした。ただ、最後の1週間は忙しさのあまり感情がフリーズしてしまい、どの曲を歌っても心が動かない、という危機的状況に。M先生との伴奏合わせでは、何度も「心が先、声が後よ!」と言われ(つまり、声だけで歌おうとしていることを指摘され)、どうしたらよいのかわからずパニックになりました。前日に本番のホールで3時間ほど伴奏合わせの練習をした時は、こんな歌を明日のステージに乗せられるのか、という状態。「今日はマッサージか鍼灸に行って体をほぐした方がいいよ」と言われ、夜に近くの温泉施設に行ってマッサージをお願いしました。これが大ヒット。女性のマッサージ師さんが、うつぶせに寝た私の背中に軽く触れるや否や「これは...」と絶句され、そして実に上手に丁寧に深部までほぐして下さいました。私の体はあまり上等の筋肉ではないらしく、その筋肉を一生懸命使おうとして体がねじれまくっていたようです。マッサージされながら、歌うときにどこが引っ張りきれていなかったのかよくわかりました。そして今日。午後からのリハーサルに備えて家でゆっくりと体と声を調整しました。リハでM先生から「昨日と全然違うよ、すごく良い!」と言われ、ほっと一安心。本番では歌詞やフレーズが飛んだりする事故も何度か起きましたが、とにかく最後まで「心が先、声が後」を肝に銘じて歌いました。今回は歌と詩の朗読のハイブリッドなので、ハープの心癒される音と朗読の雰囲気に助けられました。特にアンコール2曲目、出演者全員がステージに出て「庭の千草」を演奏した時の親密さ、一体感は感動的でした。終演後ロビーに出ると、たくさんのお客様から声をかけられました。皆さんとても喜んで下さっていて、嬉しかったです。
いろいろありましたが、すべて今後の課題としたいと思います。ご来聴下さった皆様に心より感謝申し上げます。有難うございました。