セミナー&同窓会

2017年09月25日 | 日記
9月23日、秋の発声セミナーが無事終わりました。毎度おなじみのレクチャー&エクササイズ、合唱、茶話会の3本立てで、20名ほどの方がご参加下さいました。お集まりくださった皆様に心より感謝申し上げます。
ベースの部分は毎回同じですが、ほんの少し新しいことを加えたり、従来のやり方をちょっとだけ変えたりして、マンネリにならないよう気を付けています。リピーターさんも多いので、何か新しい発見をして頂けるようにと願いつつ。
今回の合唱曲は「O Holy Night」です。英語と日本語で仕上げました。男性の参加者が少ないので、バスが1人、テノールが2人にアルトが数名、ソプラノがどっさり、というかなりアンバランスな編成になりましたが、それでもとても素敵な合唱になりました。
茶話会の質疑応答では、初めてご参加下さった70代の女性から、地声やミックスヴォイスについてのご質問がありました。ポップス系の方は中高音域も地声で歌うのだと仰っていましたが、女性の声帯は構造上、地声で高音は出せないので、実際にはミックスヴォイスになっているか、太い声帯の方の場合は頭声でも地声やミックスヴォイスに近い音色になるので、地声だと錯覚しているかだと思います。また、地声は声帯全体が振動するので声帯にかかる負担が大きく、呼気をしっかり飛ばさないと、息が声帯周辺にまとわりついて声がれや結節やポリープの原因になります。呼気を強くするには下半身の筋力、特に瞬発力が必要です。喉が強い人は喉声になっていても自覚が薄いので、第三者の耳で判断してもらわないといけません。発声に関しては100%教師の責任、とはW先生の持論ですが、本当にそう思いますね。
充実した3時間の後、中学校の大同窓会に出席するため会場へ直行しました。セミナー会場から車で5分という至近距離です。懇親会に先立ち、「音楽の力」と題する講演がありました。講師は、ご夫婦ともに親しくさせて頂いているSさん(ご主人の方)です。私たちの2学年上でした。中学校の理科教師という本職の傍ら、信じられないほど大掛かりでクオリティの高い音楽イヴェントを悉く大成功させてきた方です。熊本ではこの方のお名前を知らない業界人はいないでしょう。熊本地震1年後に熊本の復活を祈って開催されたマーラーの「復活」の演奏会の話がメインでしたが、このプロジェクトの一部始終をよく知っていた(そして演奏会も聴きに行った)私も、改めて映像を見ると胸にこみ上げてくるものがありました。皆さんとても感動された様子。それに、さすがに学校の先生はお話が上手です。こんな先輩が身近にいることを誇りに思いました。
その後の懇親会では、オープニングで有志による「ハレルヤ」の合唱をしました。指揮は私たちが在校当時の音楽の先生、伴奏は私の同級生(中高大と同じ学校だった)Kさんです。ハレルヤの前に、かつての校内合唱コンクールで1年生の課題曲だった「モルダウの流れ」も。合唱って本当にいいものですね。この中学校に行っていなければ、私はおそらく音楽の道には進まなかっただろうなと毎年思います。そして、担任だった美術の先生が熊本県の文化功労賞を受賞されたので、そのお祝いのセレモニーもありました。私たちの学年も有志でお祝いをすることにしていたので、愛知県からかけつけてくれたクラスメイトとKさんと私の3人で先生の席に伺い、東京在住のクラスメイトたちが選んで買ってあらかじめうちに送ってくれていた品物を、メッセージとともにお渡ししました。先生はとても喜んで下さって、一緒に記念写真も撮りました。先生の嬉しそうなお顔を見て私たちもハッピーな気分に。
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまいます。音楽に満ち溢れた秋の一日でした。


セミナー案内

2017年09月18日 | 日記
台風一過、皆様ご無事でしょうか。
父の退院に向けて、我が家のプチリフォームがようやく一段落しました。グランドピアノのないリビングに独りで居ると、この部屋はこんなに広かったんだなあと再認識。一方で、二重サッシにして壁を厚くした小部屋にグランドピアノを入れると、この部屋はこんなに狭いんだなあ、とびっくり(笑)。リビングはベランダ側の一面がガラス窓なので、外が見えて解放感がありますが、このレッスン室は美しき独房です(爆)。壁面いっぱいの本棚に楽譜や本がぎっしり詰まり(これでも大処分を断行して約半分にまで減らしたのですが)圧迫感がハンパないので、さらにあと半分にまで減らさねばと思っています。
8月以来、家の中をかき回すのにかまけていましたが、9月23日(祝)の「秋の発声セミナー」が迫ってきました。場所はいつものレンタルスペース&サロンDOLCEで、午後1時半から第1部「レクチャー&エクササイズ」、2時半から合唱、3時半から質疑応答(ティータイム)の3部構成です。合唱は、12月23日のクリスマス会で歌う「O Holy Night」を英語と日本語で歌います。各部1,000円。ご参加を希望される方はどうぞご連絡下さい。
セミナーを開催するたびに新しい出会いがあります。楽しみです。また、この日は中学校の大同窓会があるので、セミナーが終わり次第直行しようと思っています。幸い会場はすぐ近くです。恒例のハレルヤの合唱がお目当てですが、今年は、担任だった美術の先生が県の芸術功労賞を受賞されたので、お祝いの品をお贈りしようと皆で相談しているところです。この先生は「魔王」というあだ名があったほどコワイ先生でしたが、私は虚弱体質だったため、とても気を遣って頂きました。また、大学卒業後にこの母校に非常勤講師として赴任した時も副校長として在任しておられ、その後9年間ご一緒し、先生が定年退職される年に私も退任しました。不思議とご縁のある先生です。
この2ヵ月で人生の棚卸をしたような気分になっていますが、今月末からはまた大学も始まります。気分一新、生まれ変わった気持ちで(?)生き直したいと思います(笑)。どうぞよろしく。

夏の終わり

2017年09月14日 | 日記
父の手術以来、なんだかんだとバタバタした今年の夏でしたが、気が付けばもう9月半ば。ブログもなかなか更新できないでいるうちに、小さなことがいろいろありました。
まず、新しい生徒さんが数名入門されました。皆さん「目からウロコが落ちました!」と喜んで下さって、私もとても嬉しいです。
それから、くみさんの忘れ形見のエリカちゃんが小学校に入学したというメールが来ました。相変わらずハニー夫妻がエリカちゃんを孫のように可愛がって下さっていて、写真がたくさん添付されていました。エリカちゃんの希望で、入学祝にお友達やハニー夫妻、パパやおばさんと一緒にみんなで日本食レストランに行って食事をしたそうです。降り注ぐ愛情を受けてすくすくと成長するエリカちゃんの様子が手に取るように感じられて、本当に嬉しいお便りでした。
一方、我が家では父の退院に向けて家の模様替えをすることになり、今まで物置状態だった北側の小部屋に遮音断熱工事を施してリビングのピアノを移し、レッスン室にすることにしました。工事の段取りに2週間ぐらいかかりましたが、先週末から着工、明日には一応終了の予定です。そのさなか、父が転院することに。そして私は所用で東京へ。人と会う約束があり、無事に用を済ませたあと、アレクサンダー・テクニークのレッスンに行きました。以前から一度体験してみたいと思っていたボディ・ワークです。これは実に不思議なメソッドで、先生が私の身体にそっと触れてスーッと引っ張ると、体がびよーんと伸びる感じがするのですね。そして、意識の向け方をちょっと変えることで体の動きが変わるのを感じました。私の場合は背骨の内側を意識してまっすぐに保つよう言われ、これまで少し背中が反っていたことに気付きました。そして、首は顎の後ろ側まであるので、首の長さを感じること。首を伸ばそうとするのではなく、長さを感じるだけでよいとのこと。しかしそれだけで歩き方や所作が変わってくるのです。なーるほど。
夜はまた人と会い、翌日はW先生のお宅へ。85歳になられたW先生は、4月から施設に入るご予定だったのですが、結局独り暮らしを続けていらっしゃいます。体調は十分とは言えないようでしたが、何とか暮らしを維持していらっしゃる感じです。物忘れがひどくなった、と嘆かれていましたが、気持ちはしっかりしていらっしゃるだけに、記憶がおぼつかなくなったのがとてもお辛いようでした。でもレッスンはぼちぼち続けていらっしゃるそうで、「一人でいると頭がぼーっとして、ずっと寝起きみたいな感じなんだけど、レッスンするとしゃんとするのよね」と仰っていました。今回は、レッスンの仕方を教えて頂こうと、うちの生徒さんたち(高校生たちプラス数名)の演奏録画を持って行って聴いて頂いたのですが、高校生たちに関しては「呼気が遅い。息が後ろへ回っていないから体の背面が使えていない。声が口から前に出ている」と仰いました。やっぱりね。「みんないい声ねえ。でも胴体の全面3分の1ぐらいしか使えていないわ。みんなもっと良くなるわよ」と仰って下さいました。ポイントをまとめてみます。

1.鼻の脇を締め、足の裏に力を入れて、息を足から上へ流す。足の裏から声が出る感じ。
2.口を閉じて、ハミングで上へ抜く。
3.鼻の裏の響きと下半身。マ行、ナ行で練習する。
4.肺に入った空気を足の裏までもっていくようにする(体を開くようにして、息を目の後ろから下に引っ張る)。その息を、後ろを通って上げる(前を通ると喉頭蓋が閉まる)。
5.耳の後ろの乳突洞に響かせる。少し鼻声っぽくなる(鼻の奥が響く)。後ろが開くと背面が響く。
6.体の真ん中を意識して。
7.口の後ろをしっかり開ける。上の奥歯を後頭骨までもっていく感じ。背中を感じる。下あごは楽に。笑った時のように上あごを上げる。
8.背中と下腹を広げる。
9.足の下の泥を横へ押しやるように拡げるつもりで。その時、目の裏を拡げる。
10.上と下のバランスを取る。高い音域ほど下半身が必要。
11・下行音型の時に息が下がるのは、足腰が弱いから。足の裏に力を入れて息を上げる。

録画の中に4月のリサイタルの記録が残っていたので、ちょっと聴いて頂いたら、「え、これ、本当にあなたの声?すごく若い(未熟な)人の声みたい」と言われました。やっぱりね。「そうなんです。この2週間前のモーツァルト協会のコンサートの時は自分なりにある程度歌えた気がしたんですけど、リサイタルではすごく不全感が残って。」と言うと、「何かあったの?」と言われました。いえ、特別なことは何もなかったのですが。ちょっと声を出してごらんなさい、ということで発声してみてわかりました。発音の位置が違っていたのです。扁桃腺の外側あたり(つまり、かなり後ろ)で母音を発音してみたら後ろが開き、背骨が響きました。「それそれ。それがあなたの声よ」ということで、つまり私は軟口蓋の一番高いところに当てていたのですが、もっと奥のもっと外側に当てないと乳突洞に響かないのですね。わかった!
やっとモヤモヤから解放され、帰ってきて早速レッスンに取り入れてみると、生徒さんたちの声が格段に変わりました。当たり前のことですが、自分ができていないと人には教えられませんね。今回はそれを痛感しました。
W先生は、体力的に外出が難しくなっています。来年は免許も返納すると仰っていましたので、ますます人に会う機会が制限されるでしょう。でも、人に会うことは老化防止に必須なのだと聞いたことがあります。それに、先生には一日も長くレッスンを続けて頂きたいですから、私もできるだけ、できれば毎月でも先生のお顔を見に行きたいと思ったことでした。