一昨日のヴォイトレ講習会で男性の参加者から「裏声」についてご質問があったことを書きましたが、男声に関して他にお伺いしたいこともあったので、今日はW先生にお電話しました。講習会で男性の方が「男声合唱は基本的に頭声で歌う。頭声と裏声は別のもの」とおっしゃったので私もちょっと混乱したのでしたが、W先生は大略以下のようにご説明下さいました。
まず、W先生の実感では、男声は女声より1オクターブ低いだけでチェンジ(地声から裏声への切り替わりの場所)はほぼ同じで、そのあたりの通過の仕方(ミックスヴォイスの使い方や地声と裏声の割合など)はほぼ同じと考えてよいとのこと。ただ、女性の場合は話し声と歌声とでは声帯の使い方が違うのに対し、男性は同じなのだそう。つまり、女性は歌声を出そうとすると声帯の縁だけを使った発声に切り替わるが、男性は話し声も歌声も声帯全部を使っているそうです(これを通常「地声」と言うのです)。但し、歌う場合は地声であっても口蓋垂を挙げて口の奥を広くし、息を上へ抜かないといけない(そうしないと声が割れて汚い響きになってしまう)のです。そのフォームで出す声は、地声であっても息が頭に抜けているので、それを「頭声」と言われているのではないか、とおっしゃいました。なるほど、納得です。
それでは男性の裏声(ファルセット)はと言えば、これは左右の声帯の合わせ目を閉じる力(圧力)を加減して、なるべく縁だけを振動させるようにして出すのだそう(女生の裏声も同じです)。そう言えば、ヴァイオリンで1オクターブ高い音を出したい時、弦を押さえる左手の指の強さをゆるめ、弓にかける圧力も軽くして弾きますが、あれと原理的には同じですね。しかしその場合も、呼気流はあくまでも高く速く声帯を抜けて頭の方に行かなくてはいけません。声帯のあたりに息が溜まってはいけない、というのはどんな場合でも変わらない鉄則です。そして、ファルセットの音域になったら上あごをさらに上へ挙げ、あたかもギアチェンジをするように頭部共鳴腔への道を確保しないといけないそうです。これも女声の場合と全く同じですねえ。私も、ソプラノでありながらなかなか高い音が出なくで困っていたのですが、上あごの挙がり方(挙げる時の角度)の微妙な違いを体得してからラクに出るようになったのです。
そして、チェンジヴォイス(パッサージョと言います)付近の声の切り替えの練習は、高い音域から低い方へとスライドさせながら練習する方がわかりやすいそうです。
他にもいろいろ、小一時間ばかりお話して電話を切りました。お陰様で頭の中が随分整理されました。W先生とお話しするといつも、最も基本的な認識に立ち返ることができ、見通しがよくなる気がします。発声について何でもお尋ねしたり相談したりできる先生が居て下さることがどんなに有り難いことか、今日も改めて感じました。来月のヴォイトレ講習会では男声の方にも納得して頂けるようにお話できそうです。
まず、W先生の実感では、男声は女声より1オクターブ低いだけでチェンジ(地声から裏声への切り替わりの場所)はほぼ同じで、そのあたりの通過の仕方(ミックスヴォイスの使い方や地声と裏声の割合など)はほぼ同じと考えてよいとのこと。ただ、女性の場合は話し声と歌声とでは声帯の使い方が違うのに対し、男性は同じなのだそう。つまり、女性は歌声を出そうとすると声帯の縁だけを使った発声に切り替わるが、男性は話し声も歌声も声帯全部を使っているそうです(これを通常「地声」と言うのです)。但し、歌う場合は地声であっても口蓋垂を挙げて口の奥を広くし、息を上へ抜かないといけない(そうしないと声が割れて汚い響きになってしまう)のです。そのフォームで出す声は、地声であっても息が頭に抜けているので、それを「頭声」と言われているのではないか、とおっしゃいました。なるほど、納得です。
それでは男性の裏声(ファルセット)はと言えば、これは左右の声帯の合わせ目を閉じる力(圧力)を加減して、なるべく縁だけを振動させるようにして出すのだそう(女生の裏声も同じです)。そう言えば、ヴァイオリンで1オクターブ高い音を出したい時、弦を押さえる左手の指の強さをゆるめ、弓にかける圧力も軽くして弾きますが、あれと原理的には同じですね。しかしその場合も、呼気流はあくまでも高く速く声帯を抜けて頭の方に行かなくてはいけません。声帯のあたりに息が溜まってはいけない、というのはどんな場合でも変わらない鉄則です。そして、ファルセットの音域になったら上あごをさらに上へ挙げ、あたかもギアチェンジをするように頭部共鳴腔への道を確保しないといけないそうです。これも女声の場合と全く同じですねえ。私も、ソプラノでありながらなかなか高い音が出なくで困っていたのですが、上あごの挙がり方(挙げる時の角度)の微妙な違いを体得してからラクに出るようになったのです。
そして、チェンジヴォイス(パッサージョと言います)付近の声の切り替えの練習は、高い音域から低い方へとスライドさせながら練習する方がわかりやすいそうです。
他にもいろいろ、小一時間ばかりお話して電話を切りました。お陰様で頭の中が随分整理されました。W先生とお話しするといつも、最も基本的な認識に立ち返ることができ、見通しがよくなる気がします。発声について何でもお尋ねしたり相談したりできる先生が居て下さることがどんなに有り難いことか、今日も改めて感じました。来月のヴォイトレ講習会では男声の方にも納得して頂けるようにお話できそうです。