夏の合宿

2015年08月31日 | 日記
1泊2日の「メサイア」合宿から帰ってきました。今年は例年ほど残暑が厳しくないので、阿蘇も熊本市内も日中の気温はあまり変わりませんが、日が落ちるとさすがに山里らしく秋の気配でした。今回は熊本市内での大きな音楽イヴェントと日程が重なっていたため参加できないメンバーが多く、いつも合宿についてくる甥姪も流行性結膜炎で残念ながら同行できませんでしたが、それでも総勢10名、和気藹々と楽しい時間を過ごしました。
M先生の練習のポイントは「体に敏感になること」と言ってもいいかもしれません。先生ご自身の体験と知見に基づき、ストレッチにかける時間をいつもできるだけ十分に取られます。足先から始まり、全身の筋肉をくまなくほぐしてから発声練習に入るので、声と体の連動をしっかり感じながら歌えるようになります。これはとても大切なことですね。発声は純然たる身体技能ですから、水泳や自転車乗りのような一種の条件反射として身に付ける必要がありますが、コツコツやれば誰でも必ず身に付きます。運動神経も鈍く筋力も無かった私でも、繰り返しやっているうちにだんだん身に付いてきましたから。
今回は、来年1月の大掛かりなチャリティコンサートと、その前の12月に行われる恒例の小さなクリスマスチャリティコンサートの曲目を練習しました。クリスマスの讃美歌、ア・カペラの教会合唱曲、そしてメサイア。人数が少ない分、一人一人のニーズに合わせてきめ細かい練習ができました。
2日目の午後にいったん解散して、M先生とIさんと私だけ残ってリサイタルの練習をしました。アンコール曲や二重唱曲を中心に2時間ほど練習をして下山。市内では雨天順延になっていた花火大会が開催され、我が家からばっちり見えました。この花火大会は以前にもこの付近で開催されていましたが、諸般の事情で場所が変わったり一旦中止になったりした後久し振りに復活したもので、何というか、とても優雅な感じの花火になっていました。
明日から9月。もう秋ですね。

秋の発声セミナー

2015年08月28日 | 日記
10月12日(月・祝)の午後、「秋の発声セミナー」を開講することにしました。前回取り組んだバッハの合唱曲を仕上げます。前回の反省を踏まえ、今回は3部構成とします。最初の1時間はレクチャー&エクササイズ、次の1時間は合唱、そして最後の1時間は茶話会形式のディスカッション(質疑応答)。質疑応答と言ってもあまり堅苦しくなく、10~15分ずつ各テーブルを回って懇談するという形です。参加費は各部1,000円。リサイタルの時に受付にチラシを置きたいと思います。教材の「Jesus bleibet meine Freude」は今年のクリスマス会の合唱曲にする予定です。そろそろクリスマス会が視野に入ってきました。リサイタルが終わったら、気分を一新して12月に向かうこととしましょう。
そうそう、昨日の地方紙にリサイタルの告知記事が出ました。取材当初は夕刊に掲載されるという話だったのですが、朝刊に空きスペースができたそうで、結構大きな記事でした。担当は若い記者さんでしたが、確かにそんな話もしたよなあ、というようなことが端的な言葉でわかりやすくまとめてありました。「歌詞の宗教性が強く、祈りや喜びに満ちているところにひかれました」、「歌詞が描く喜びと歌える喜びを重ね合わせて歌いたい」と吉田は語った、と書かれています(笑)。いかにも私が言いそうな台詞ではあります(爆)。自分がもともと文学寄りの人間で、歌詞に対する共感が歌う原動力になっていることを再認識しました。ドイツ歌曲のテキストの精神性の高さは、声楽諸ジャンルの中でも群を抜いています。それらのすべてが喜びや祈りの表現というわけではありませんが、少なくとも深い内省や俯瞰的なまなざしに貫かれていることは確かです。歌だけでなく、ドイツ音楽は全般的に精神的な深みを感じさせますよね。スペシャルゲストのN氏によるバッハのシャコンヌも際立って「深さ」を感じさせる曲です。ああ、すごく楽しみ!!
来年1月のチャリティコンサートに向けて明日からメサイア合宿です。阿蘇に一泊します。こちらも楽しみです。

朗読

2015年08月23日 | 日記
リサイタルで最初に歌う「9つのドイツ・アリア」の3曲に訳詞の朗読を入れることになり、テレビ局のアナウンサーをしているSさんにお願いしました。Sさんは大学生の頃1年間ドイツに留学した経験があり、アマチュアのヴィオラ弾きでもあります。音楽がわかり、ドイツ語ができ、容姿端麗。「訛りがなくて、若くてきれいな女性に頼んでね」というM先生のご要望にぴったりの方です(笑)。実は彼女は学生時代に私のドイツ語のクラスを履修していて、旧知の間柄です。突然の依頼に「詩の朗読にすごく興味があって、やってみたいと思っていたんです」と二つ返事で快諾してくれたので、M先生にお引き合わせして読み合わせをしました。M先生は「クラシックのコンサートでは朗読にマイクは使いません」と仰るので、Sさんにも生声で朗読をして頂くことになりました。普段はマイクを通して喋る仕事をしているSさん、歌の発声と同じ筋トレの仕方を伝授して頂くと突然変異のように朗々とした声が響き、「目からウロコです!」とびっくりしていました。
今日も一緒に練習しましたが、「あれから毎日スクワットをしています」と言うだけあって、ちゃんと体を使った声が出るようになっていました。朗読も歌と同じで、口の奥が開き、下あごの力が抜けていないと声が響きません。軟口蓋のマッサージやリップロールを教えると、さらによく響く声になりました。また、読み上げている途中で感情がこもってくると体が前のめりになり、息モレしていたので、しっかり表現したい部分ほど重心を後ろへ持って行くようにしてもらうと、すぐにムラのない響きで最後まで読み切れるようになりました。若い人の飲み込みの速さには圧倒される思いです。
直前にもう一度練習したい、というので、本番2日前にうちへ来て頂くことにしました。歌も勉強したい気持ちがあるようなので、今度はワインコルクやトランペットのマウスピースを使って本式の声楽発声をやってみようかと思います。S先生が先日「若い人は3段跳びするからね」と仰っていましたが、Sさんぐらい熱心で勘が良ければ、きっと今回が初めてとは思えないような朗読をしてくれることでしょう。楽しみです。

脚力

2015年08月18日 | 日記
2月の東京文化会館でのコンサート以来、W先生が足を骨折なさったり体調がすぐれなかったり、お疲れが出たような状況だと伺っていて、気になりながらもずっとご無沙汰していましたが、ようやく今日、久し振りにお伺いできました。「歳をとっちゃったからね~」と体のそこかしこに故障が出ることを嘆かれていましたが、今日はすこぶるお元気そうにお見受けして一安心。リサイタルの曲を一通り聴いて頂くことになっていましたが、「私、宗教曲は疎いのよね」と仰っていたので、エマ・カークビーの歌うヘンデルの「9つのドイツアリア」のCDを持って行ってご一緒に聴きました。カークビーは比較的太い声帯なのに、メリスマの効いた曲を軽々と歌っているのに驚かれ、「でも、あなたの声はカークビーよりはオジェに近いわよね」と仰いました(オジェのCDは今ちょうど貸出中なので持参できませんでしたが)。そして「2月の発表会の時のあなたの歌、とっても良かったんだけど、ちょっと上ずる感じがあったのよね、あれは足の力が足りないせいだと思うわ」と仰いました。上ずり癖は私の長年の悩みなのですが、足と言われると思い当たる節があります。実は最近、女性専用のフィットネスクラブに通い始めたのですが、最初の体力測定で片足スクワットをした時、右足だと30秒に9回できたのに、左足は1回しかできなかったのです。歌っていても、体力の要るフレーズに差し掛かると体重が自然と右にかかってくるのが自分でもわかります(生まれつき骨盤の左側がわずかに亜脱臼しているのと、両脚ともにアキレス腱が短いのでしゃがむことができず、それも脚力に影響している、と以前整体の先生に言われたことがあります)。今日は最初に、腰掛けて足をしっかり使いながら低い声で短いハミングをする練習をしましたが、これは割とうまくいきました。次に「トドの声」という新しい発声法(笑)。口蓋垂を思いっきり引き上げておいて、内転筋から直接目の裏へつなぐ感じで、鼻声のような呻き声のような、ちょっと言葉では説明しにくい声を出します。声が喉に止まらないように、一気に目の裏まで飛ばすのです。これができると息が速く回るようになると仰っていましたが、これは足をすごく使わないとうまくいきません。脚力が呼気の強さ、高さの決め手なのですね。
その後「9つのドイツアリア」を歌ってみました。高い音程への跳躍の時は胸骨を少し下げると、上後鋸筋が拡がって息が後ろから回り、高音が突出しないできれいなレガートができると仰いました。やってみるとなるほどです。また、細かい音符はブツブツ切れて聴こえやすいので、一度母音だけで歌ってみてレガートの感じをつかむこと、また、細かい音符をあまりカチャカチャした感じで歌われると聴いていてだんだん退屈してくるので、(宗教曲だからあまりロマンティックな表現はできないにしても)少しはアゴーギクやデュナーミクをつけて歌詞の意味を表現してもいいのではないか、とアドヴァイスを頂きました。また、下行音型の時に息を下げないこと、フレーズの頭や跳躍の時に「準備」をすること、即ち、前もって「脚に力を入れ、口蓋垂を上げ、目の後ろを開けておく」こと、等を教えて頂きました。確かにそれで随分歌いやすくなります。息を上げるにしても回すにしても、基本中の基本である「口の奥をしっかり開けること」が必須条件なので、毎日軟口蓋をマッサージしてね、と仰いました。さる高名な日本人ソプラノの方も、日本語を喋っていると上あごが落ちてきて口の奥が狭くなるので、毎日口の中に手を突っ込んで口の奥を開けているのだそうです。
総括。今日一番言われたことは「脚!」です。歌っている途中で何度も「脚よ、脚!」と言われ、足先や内転筋にぐっと力を入れると、その都度声がスッと抜けてレガートも高音もクリアできました。脚力強化のため、フィットネスクラブ通いに精出すとしましょう。

リフレッシュ

2015年08月14日 | 日記
昨日は父の誕生日でした。父は山と温泉が好きなので、父と小学生の姪と5歳の甥と私の4人でSLあそぼーいに乗って阿蘇へ小旅行をしました。お盆の時期だけあって子供が遊べる車両にはちびっこでいっぱい。父と私は車窓の風景を満喫し、甥と姪は子どもコーナーで楽しく遊び、阿蘇駅に着いたら駅のすぐ隣の道の駅でお弁当を食べた後、徒歩3分のところにある鄙びた温泉でのんびり過ごしました。薄曇りの阿蘇は涼しく、露天風呂は緑の滴るような景色で、身も心もすっかりリフレッシュ。お客さんは数えるほどしかいなかったので、ゆっくり休憩できました。
帰りはパノラマ席が取れたので一段と良い眺めで、心地よい疲れにうとうとしているうちに到着。弟が駅まで迎えに来てくれて、弟の家で皆でハッピーバースデーを歌って今朝焼いたシフォンケーキを皆で食べ、一休みして近くのうどん屋さんへ全員で繰り出しました。うちの父は外食や店屋物が好きでないので、私が食事の支度から解放されるのは家族の誕生日と盆正月だけです。仕事が完全オフで且つ食事も作らなくてよいとは、何とラクなんでしょう(笑)!
拙宅では夜は声が出せないので、弟の家に戻って歌の練習をさせてもらいました。ヘンデルの曲は自然の美しさと神の創造の御業をたたえる歌ですが、阿蘇の緑に浸ってきたせいかイメージが鮮明になっていて、とても気分よく歌えました。M先生がよく「自然の中で遊ばないと音楽のスケールが小さくなる」と仰る意味がわかる気がします。
プチ非日常、すごくリフレッシュできました。飛行機や新幹線や車の旅は妙に疲れが残るのですが、SL列車ぐらいのスピードでこれぐらいの近距離だとそれほど体にも響かないようです。今度はSL人吉に乗ってみたいと思ったことでした。