出版

2020年01月18日 | 日記

 3年越しの取り組みになりましたが、この度九州大学出版会から『生と死をめぐるディスクール』という学術エッセイ集が刊行されました。9人の著者による合作で、全体は大きく3部構成になっています。その第2部、「生命倫理の諸相-「現場」からの視点―」の中の1章を担当させて頂き、初めて自分の文章が1冊の本の一部として掲載されました。私の章のタイトルは「日本人のスピリチュアリティ―生と死をめぐる日本的ケアの源流―」です。
 この本の帯には「いま、生と死に向き合う」というキャッチコピーに続き、「生きる意味とは何か。人はなぜ死ぬのか。古今東西の死生観と生命倫理の現場から、生と死という普遍的問題を考える。」と書いてありますが、実は私、このキャッチコピーそのままに、小学生の頃から「生きる意味とは」とか「死とは何か」といった根源的な問いをしっかりと心に抱え込んで生きていました。そういう点ではかなり早熟な子供でしたね。中学生になって歌に熱中するようになると、「うまく歌えるようになりたい」という具体的な目標に救われて、生死という深刻な問いは後景に退きましたが、それでもやはりこの問題は心から去らず、30代以降の人生を迷走する遠因となりました。50代も半ばを過ぎてこの問いに再び真っ向から向かい合うことになったのも不思議な巡り合わせです。
 このエッセイ集、行政医師や紛争解決学の先生の報告もあり、哲学や文学畑からの寄稿もあり、なかなか読みごたえがあります。全体から見ると、どうも私の文章だけ腰が浮いているのが気になりますが(なぜなら、拙文は「現場」からの視点という看板から外れた、フィールドも典拠も持たない文字通りの「エッセイ」なので)、私にとってはおそらく最初で最後の著書となると思います。音楽とは全然関係ない話ばかりではありますが、ご関心がおありでしたらご一読下さい。

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