パラドックスその2

2012年11月29日 | 日記
リサイタルまであと1週間を切り、暗譜作業もそろそろ7合目までたどり着いたかな、という感じです。と言っても暗譜だけのために使える時間はないので、専ら運転中やお風呂の中などのスキマ時間を使っているのですが。
もうひとつ、スキマ時間を使ってやっているのがプログラムとプログラム・ノートの印刷。これも結構細かくて面倒くさい作業ではあるのですが、それが妙に楽しくて(笑)、プリントアウトして二つ折りにしてホチキス留めするという3工程をこの一週間ほどかけてちまちまとやっています。内職みたいなものですかね。単純作業なので気分転換になってなかなか良いものですが、難点は肩が凝ることです。このところ寒くなってきたせいもあり、体がみしみししています。明日は整体に行く予定。
さて、もともとせわしない生活をしている上にイヴェント続きの今シーズン、毎日が飛ぶように過ぎて行くだろうと思っていたのですが、あにはからんやその逆で、一日一日がかなり密度濃くゆっくりと流れて行きます。不思議なものですね。あれ、まだ11月なのね、という感じです。時間の感じ方もパラドキシカルなのかもしれません。まあ、その11月も明日で終わりではありますが。
12月は1日に老健施設の職員合唱団の小さなステージがあり、2日はパレアで発声セミナーです。レッスンもわりとびっしり詰まっているし、4日のリサイタルまで分刻みのスケジュールが続きます。日常のルーティン的な忙しさに非日常的な忙しさが重なると、いやでも時間の過ごし方に意識的になります。日頃いかに無意識的に過ごしているかということの反証かもしれません。茶道のお手前ではありませんが、手順を一つ間違えると先へ進めないので、すべての行動が有機的につながるようによく考えて動かなくてはならない。ずっとこういう生活が続くのはちょっと御免こうむりたいですが、たまはこういう時があってもいいかもしれません。
こんなふうに書くと、寸分の隙もない毎日だと思われそうですが、そんなことはありません。少なくとも寝る時間と食べる時間、賄いの時間はちゃんと確保しています。寝ることと食べることは生活の基本。これをおろそかにしては歌は歌えませんからね。本番までペースを崩さずに乗り切りたいと思います。

パラドックス

2012年11月27日 | 日記
今日レッスンにみえた年輩の男性、最初は歌が大好きな奥様に引きずられて音痴矯正のためにおいでになったのですが、声を出す快感に目覚めてしまった今では、ご多忙でレッスンに来られなくなった奥様の分まで(というわけでもないでしょうが)、遠路はるばる嬉々としてレッスンにおみえになります。お仕事で熊本を離れられることも多く、体調の関係で数カ月お休みということも何度かありましたが、人間、好きなことは苦にならないのですね、朝の散歩の時に誰も居ない場所で発声練習をするのが習慣になったとおっしゃっていました。ご自宅でも舌や唇のストレッチを毎日なさるそうです。
この方はもうかなりの年輩なので、発声に使う筋肉が固まってしまっていたのですが、レッスンを続けるうちに少しずつ音域が拡がってきました。子ども用の易しいソルフェージュの教本を部分的に使っていますが、最初はハ長調の曲をヘ長調かト長調にしないと音が合わなかったのが、徐々に低い方が出るようになってきて、今ではハ長調のままで歌えるようになりました。音域が下の方に拡大したのです。しかし高い方の音域は、筋肉をかなり使うからでしょうか、なかなか難しいようでした。
今日も、高い音域が出て来た時に一生懸命胸を拡げて顎を突き出すようにして声を出していらっしゃるので、「高い音に行く時、ちょっと膝をゆるめて、空気の椅子に座るような気持ちでかがんでみて下さい。」と言ったらピタッと高い音が決まりました。「高い声を出したい時は重心を下げて身体を下に持っていくんです。上へ行きたい時は下へ行く。パラドックスですね」と言うと、感に堪えないような調子で「なるほどねえ。まさしくパラドックスですね。心の世界と同じです」とおっしゃいました。この方、ご職業は心理カウンセラーなのです。
声も心も目に見えないので、コントロールが難しいという点では似ているかもしれません。音大の頃、レッスンでよく「押してダメなら引いてみな」と言われたものです。よい発声には脱力が大事で、リキんではいけないという意味ですが、そうは言っても必要な緊張までゆるめてしまっては出る声も出ないので、どこを緊張させ、どこを抜くのかがわからずに苦労したものです。レッスンとは本来、成功体験を積み重ねて正しいフォームを体に記憶させることなのですが、間違ったことと正しいことを交互にやってしまうのでなかなか身体に定着しないのが悩みの種です。
正しいフォームが定着しない原因の一つはこの「パラドックス」ですね。私たちは大きい声や高い声を出そうとすると無意識に上半身がリキむのです。それをできるだけ意識化して、ゆるめる、下げる、という方向に身体を持っていく。しかし下半身にはかなりの緊張があります。逆に中低音域では上半身を開こう開こうとする方がいいです胸郭を開いて声を出す。そして高音域に行くに従って重心を下げて行く。口の奥を開け、身体全体を外側へと開くのは音域に拘わらず一貫しています。
このパラドックスを得心すると、自分で練習していてもある程度身体をコントロールできるようになります。発声にはイメージや意識もとても大切ですね。

あいぽーと文化祭

2012年11月25日 | 日記
先ほどテレビのローカルニュースでもちょっと流れていましたが、今日はあいぽーと文化祭でした。日頃あいぽーとで「健康発声セミナー」をさせて頂いているので、その御礼の意味で、カリオペくまもとも今日は「無料発声体験コーナー」のブースを設けて頂きました。
朝10時からオープニングアクト。会場にくまモンやひごまるがやってきました。子どもたちは喜んだことでしょう。その後、出展している各団体のブースに人が流れてきます。発声体験コーナーの場所はメイン会場ではありませんでしたが、両隣にトランポリンやちょんかけごま、廃材アートなど子どもが喜びそうなイヴェントが仕掛けてあったので人の流れができて、途切れなくいろんな方がやってきます。スタンプラリーがあったので半数以上は「スタンプを下さい」という方でしたが、中には発声に興味を持って、質問をされたり、声を出してみて「なるほど」とおっしゃる方も。スタンプだけ押しに来た方にも「ここは発声のコーナーなので、一声出して行って下さい。」とお願いしました。ノリの良い方は「あ~~」と胸を張りながら声を出して下さいますが、「いえいえ、私は...」と逃げ出してしまう方や、壁に貼ってある横隔膜や声帯の図解を指差して「ここがどうなるんですか?」と質問に転じて、説明を聞いて「勉強になりました。」と言ってそのまま去っていく方や、「発声って何ですか?」、「声を出すことですよ。」、「声ですか?」、「そうです、声を出すことを発声って言うんです。」、「ふーん、声ねえ...声を出すのが発声ですか。それじゃ。」と去っていく方も(笑)。興味深げにいろいろお話し下さる方も、「学校の先生の声はよく通りますもんね。」、「民謡の先生もお腹に力ば入れて歌いよんなはるですもんね。おんなじですな。」、「私は声の汚かとですたい。きれいな声にするにはどがんすっとよかですか?」、「裏声て何ですか?」などとおっしゃっていました。「大きい声」と「よく通る声」を混同していたり、お腹に力を入れるという言い方が未だに金科玉条になっていたりするのが現実なのですね。普段開催しているセミナーには、当然ながら発声に関心の無い人は参加されないので、今日のように全く通りすがりの人たちと発声の話をする機会はあまりありません。ヴォイス・トレーニングに対する一般の方の認識がわかって勉強になりました。初めての方には「息を歯の間からスーッと音を立てながら吐いて下さい」と言っても、吐くのではなく吸ってしまう方が多いのです。胸を軽く張ったままこれをやるのはさらに難しいようで、四苦八苦していらっしゃいました。伸びをしながら「あ~」と声を出すのも難しいようです。要するに、声を出す時は呼気筋で息を前に押し出すのが常態になっていて、吸気筋を使いながら声を出すコツがつかめないのですね。やったことがないのだから当然かもしれません。吸気筋を使って声を出す、これが声楽発声の基本中の基本なんだと改めて思いました。
来週の日曜日は「パレアdeぱれあ」参加行事として発声セミナーをします。パレア10階音楽室Pで13:00からと14:30からの2回、同じ内容で初心者向けのセミナーです。参加費は一般1,000円、学生500円。読者の皆様もお時間がありましたらどうぞご参加下さい。

睡眠

2012年11月23日 | 日記
合唱団の演奏会が終わり、枕を高くして眠れるようになったからでしょうか、身も心も随分軽くなりました。昨日のような騒ぎがあっても(笑)、ちょっと人と会ったり、何か別のことをしたりするとイライラもきれいさっぱりなくなってしまいます。リサイタルの準備も佳境に入ってきましたが、自分ごとは万事自分のペースで思い通りにやれるので、何のストレスもありません。今日は祝日にも拘わらず大学の授業があり、朝1限からの出講でしたが、帰宅後もそれほど疲れを感じず、夕方からの個人レッスンとグループレッスンを気持ちよく終えることができました。
これはおそらく睡眠の質が関係していると思います。同じ時間眠っても、午前零時より前に就寝すればそれより後に床に入るよりも質の良い眠りになる、と聞いたことがありますが、先週まではどんなに早くても午前1時前には就寝できず、昼寝をしてもなかなかスッキリしませんでした。先日上京して整体治療を受けた時、「この体の状態から見ると、眠りは浅いはずです」と言われましたが、今になってそれを実感します。調子が悪い時はそれと気づかず、よくなってから「今までは調子が悪かったんだな」と気づく、というのは間抜けな話ですが、良くも悪くも鈍感な私は昔から、限界を超えてしまって初めて無理していたことに気づく、という「ゆでガエルの悲(喜)劇」を繰り返してきました。性格ってなかなか変わらないものですね。
それはともかく、質の良い睡眠が取れている時は筋力が安定しています。歌う時も重心の移動がスムーズなので声が安定します。今日のレッスンで、重心を下げて少し後ろへかけ、砂場に立っているように足首から下を床にめり込ませる感じで声を出す練習をしましたが、これは筋肉に弾力性がないとうまくできません。私はアキレス腱が少し短く、おそらくそのせいで足首が硬いのですが、今日は足首のストレッチが普段より効果が上がって、この重心の移動がスムーズなのが自分でわかりました。
歌は体が楽器と言いますが、本当にその通りです。楽器のメンテナンスと同様、体のメンテナンスがいかに大事かを痛感します。よい発声にとって睡眠は大切な要素です。必要な睡眠時間には個人差があるでしょうが、睡眠の質を上げることに少し気を配ると、予想以上に声に良い影響が出てくるようです。よい睡眠を取っていると免疫力もアップするそうですし。ヤミクモに練習するよりも「寝るのも練習のうち」と考える方がはるかに合理的ですね。皆様も、どうぞよい睡眠を。

パニック

2012年11月21日 | 日記
昨日、電話の回線をKDDIからNTTに変更するため、技術者の方が工事に来られました。インターネットのプロバイダ契約もセットでお願いしていたのですが、技術者の方は電話の回線だけ切り替えて、インターネットはこのマニュアルを見ながらご自分で設定して下さい、と言い残して帰っていかれました。そこで早速設定に取りかかりましたが、マニュアル通りに操作していくと、なぜか途中で先へ進まなくなりました。何度やっても同じところでフリーズ状態になるのです。そこで、何かわからないことがあったらここへ電話して下さい、と言われた番号に電話してみましたが、これが全然つながららないのです。40分もかけ続け、いい加減くたびれてしまいました。諦めて外出し、帰宅したら技術者の方が忘れ物を取りに来られたので、これ幸いと設定をお願いしたのですか、やはりダメでした。今朝、改めてKDDIとNTTに電話して尋ねてみましたが、要領を得ません。新しいユーザー名とパスワードを郵便で送るので一週間ほど待って下さい、とのこと。結局何が何だかさっぱりわからないままです。
おまけに、所用で県外に電話をかけたら、00で始まる番号にはかけられません、というアナウンス。かけた相手の番号は00ではないのに、です。その場合は設定をしなおして下さい、とアナウンスしていましたが、設定しなおして下さい、ってどういうこと!?
とまあ、こういう顛末で、昨夜からパニック状態です。今日はスマホから投稿していますが、このスマホがまた曲者でして(笑)。
本日のブログは通信機器狂騒曲でした(笑)。悪しからず。