マジック

2015年11月28日 | 日記
もう一度あの感動のレッスンを受けたい――「歌う女将さん」ことNさんのたってのご希望により、御年83歳のW先生が久し振りに熊本にお越し下さり、Nさんの旅館に滞在して、3泊4日の日程で何と延べ22人ものレッスンを敢行して下さいました。
当初は10月のNさんのコンサートの前においで下さる予定だったのですが、風邪をひかれ、ご自宅でのレッスンもずっとお休みされたそうで、1ヶ月遅れで来て下さることになりました。ところが1週間前に「また風邪をひいちゃったのよ。今度は絶対行きたいと思っていたけど無理かも...」とお電話がありました。ご高齢なので何かあっては大変ですし、やっぱり無理かなあと残念に思ったのですが、先生のご来訪を心待ちにしているNさんたちのことを思うと諦めきれず、「声を聴いて頂いてポイントをアドヴァイスして頂くだけで充分ですから、どうぞご無理のない範囲でレッスンしてあげて下さい」とお願いすると、「それでよければ、何とか1週間でなおして行かせて頂くわ」と仰って下さいました。
Nさんのところで私が月1回レッスンさせて頂いている生徒さんたちの殆どは、まだW先生にお会いしたことがありません。それで、ご来訪の日程を私が毎月行かせて頂いている最終水曜日に合わせ、今月のレッスンをそのままW先生のレッスンに振り替える形にしました。熊本市内の生徒さんの中でまだW先生にお会いしたことのない方たちもこの機会に是非ということになり、何と4日間のご滞在中に延べ22人もの方のレッスンをして下さったのです。到着された日の夕方に1人、2日目は朝10時から夜9時半まで11名、3日目は9名、最終日に1人。いやはや、病み上がりのお体には殺人的な日程でした(-_-;)
実はNさんのお宅でも、今月に入ってから同居のお義母様が入院されたり退院されたり、初孫さんが生まれたり、地域の大きなお祭りのお振る舞いがあったりで随分バタバタされたようです。しかしW先生がおいでになった3日間は天の配剤のようにお客様も少なく、レッスンに集中しやすい状況が整っていました。W先生にしても、Nさんの旅館に連泊して旅館のホールでレッスンするというのは楽だったようです。
私は今回はお世話係に徹し、航空券の手配や会計、そしてレッスンの付添いをさせて頂きました。お蔭様で、皆さんの声が魔法にかかったようにあっという間に変わっていくさまをつぶさに観察することができました。これがどれほどためになったことか!日頃「ひょっとしてこのやり方は間違っているんじゃないか」、「もっと的確なやり方があるんじゃないか」、「これでは生徒さんの本当の声を引き出せていないんじゃないか」と迷ったり悩んだりしていたことに、たくさんの有益なヒントを頂くことができました。生徒さんたちも感激の面持ちで、「スゴイ!の一言でした」、「本当に有難うございました」、「レッスン受けられてよかったです」と喜びいっぱいで帰っていかれました。受講された生徒さんのコーラス仲間の方たちなど何人かの方が聴講にみえましたが、その方たちも「すごく勉強になりました」と感激していらっしゃいました。
W先生はW先生で、「アマチュアでこんなに良い声の方がたくさんいるなんて、熊本はちょっと特殊なところみたいね、皆さん素直で癖がなくて素晴らしいわ。うちに来てる音大出の生徒さんたちより良いぐらいよ」と驚いておられます。確かに熊本は昔から声楽や合唱が盛んだし、声の良い人が多いという印象は私も持っていますが、そういう人は持ち声の良さに頼ってしまって発声の大切さになかなか気付けないという一面もあり、良し悪しだなあと思うこともしばしばです。しかしうちの生徒さんたちは、声を持っている方も(良い意味で)あまりそのことに自覚がなく、発声第一という私の方針に素直についてきて下さる方ばかりなので、下ごしらえがある程度できているという意味ではW先生もわりと教えやすかったかもしれません。
ともかく、Nさんはじめ皆さんにとって貴重な経験となった素晴らしい時間でした。この成果を12月23日のクリスマス会で披露して頂けるのが今から楽しみです。
付記 2日目にレッスンをうけられた薬剤師の方の紹介で、最終日に熊本市内のとある病院で診察を受けられたW先生、レントゲンを撮ったら肺に白濁があったとのこと。肺炎だったのだそうです(-_-;)もうなおっているそうですが、「道理で、しつこい風邪だと思ったわ」と仰りながら、咳の原因がわかって少し安心されたようでした。

身辺多事

2015年11月16日 | 日記
今月5日のことです。来年1月11日に予定されている東北支援チャリティコンサートに向けて、各方面に後援を依頼したり、出演者の皆さんのポートレートやプロフィールを編集したり、デザイナーの友人にチラシのデザインをお願いしたり、どたばたしながらやっとチラシの原稿を印刷屋さんに入稿した翌日、何とこのコンサートの主幹であるM先生が圧迫骨折でご入院という緊急事態が発生しました。M先生から関係者に「コンサートはとりあえず延期」という連絡が回りましたが、コンサート会場の担当者の方に尋ねたところ、「上司と相談しましたが、過去にこのような場合に延期を認めた例がないので、残念ながらできません」とのこと。また、本番まで3ヶ月を切っているので前納した会場使用料も返納できないとのこと。「ともかくこの1回をスタートすることでたくさんの人が助かる」という、被災地支援に向けるM先生の熱い思いも相俟って、M先生の指揮なしでもできるようカルテットを主体とした演奏会にプログラミングを修正して決行することになりました。
さあ、それからが大変。M先生との連絡はメールのみ(病室から電話ができないので)。カルテットのメンバーのうちお2人は既に他のお仕事を入れてしまわれた後だったので、第1ヴァイオリンのN先生が急遽別の方に依頼して下さいました。これまたスペシャルなお2人で、カルテット名もそのものずばり「スペシャル・カルテット」!N先生からお2人のプロフィールとポートレート、演奏候補曲のリストがメールで送られてきました。後援元にも事情を説明してもう一度後援取り直し(これはUさんが主に担当して下さいました)。曲目が最終的に絞り込まれるまで、N先生、M先生、私の3者の間で何度メールが交わされたことか。その間にデザイナーさんに差し替え分の写真やプロフィールを送り、M先生にレイアウトを見て頂くために、デザイナーさんが東京のIさんという方に添付ファイルで原稿を送り、それをプリントアウトしてIさんがM先生のところへ届けて下さり、それを見て修正加筆の指示がメールで私のところへ。それを編集してデザイナーさんへ送るとまたすぐに「東京からピアニストが行くことになったのでプロフィールの追加を」、「舞台監督も行きますのでプロフィールの追加を」とメールが入り、それをまたデザイナーさんに送る。すかさず(?)M先生から「舞台監督から写真が送ってきたので入れて下さい」というメール。とうとうデザイナーさんが悲鳴を上げ、「文字の大きさを変えたり情報を追加したりという作業は、全体のレイアウトに影響するのですごく手間暇がかかるのです。そこにさらに追加修正が来るとその前の作業が無駄になるので、修正は最終的なものを一括して送って下さい」とメールがきました。全くもっともなことで、デザイナーさんにはただひたすら申し訳ないの一言です。その間にもN先生から「チェリストの航空券はab席という楽器と一緒に座れる席を取ってほしい」というメール。ネットで検索しましたが、どうもab席の予約は旅行社か空港に行かないとできないらしい(-_-;)さすがに手が回りかねて友人Iさんに頼むと、Iさんがすぐに対応してくれて航空券は無事手配できました。めでたし。
M先生もご不自由な体勢で長文のメールを打つのは相当お体に響いたと思いますが、何とか良いコンサートをというほとばしるような思いがいつも文章の端々に滲み出ています。しかし時間や体力的な制限があるので、切れ切れにしかメールできなかったり、情報が錯綜したりするのもやむを得ません。それに私も仕事や他の用があるのですぐに編集や返信、連絡ができません。その上パソコンのご機嫌が悪く、トラブル頻発。そんなこんなで疲労困憊し、ついに体調に異変をきたしました。このところずっと胃腸の調子がイマイチだったのですが、それに加えて咳と嗄声(-_-;)土曜日、日曜日は仕事や所用をできる限りキャンセルして休養しましたが、いきつけの漢方薬局では、薬剤師さんが脈診しながら「これはまた随分...よくこんなになるまでほっときましたね(-_-;)」と言われる始末です(苦笑)。
ともかく、何とか最終的な修正依頼まで漕ぎ着けたので、あとは誤字脱字の確認と入稿(これがまた一苦労なのですが)。大幅に遅れましたが、今週中か、遅くとも来週初めまでにはチラシができるでしょう。
さて、本格的にチケットを売るのはこれからです。たくさんのお客様に来て頂いて、東北支援の輪をできる限り拡大したいと思います。皆様、何卒ご協力をよろしくお願い致します。チラシができたらアップしますね。汗と涙の結晶です(笑)。

国際交流

2015年11月08日 | 日記
熊本市の姉妹都市であるドイツのハイデルベルクから訪問団がやってきました。今週は夏日が続くほどの好天に恵まれ、着付けや温泉宿への宿泊、武蔵ゆかりの霊厳洞訪問など、熊本での様々な体験プログラムを楽しくこなされたようです。
木曜日の夜には街中の居酒屋で訪問団の皆さんと熊本日独協会有志との懇親会が催され、掘り炬燵を挟んで、文字通り膝突き合わせての語らいの時間を持ちました。ドイツ側と熊本側の人数がちょうど同数だったので、席次もうまく組めて和やかに草の根交流ができました。こういう席では必ず歌が飛び出し、座が一気に盛り上がるのですが、今回は熊本側の合唱団員たちが愛唱歌集を携えて参加したので一層盛り上がりました。
そして昨夜は、市長も列席して公式の夕食会がありました。訪問団の入場を拍手で迎え、我が合唱団の「乾杯の歌」と「野ばら」でオープニング。市長やハイデルベルク側の代表者、熊本日独協会会長の挨拶があって会食と歓談の時間となり、その半ばで合唱団による20分ほどの演奏をお聴き頂きました。これは9月に完成した「ドイツ愛唱歌集」のお披露目の機会でもあったので、演奏に先立って市長や訪問団団長に歌集の贈呈も行われ、我が合唱団の団長が日本語とドイツ語でMCを入れながら、昔懐かしいドイツ民謡や日本の唱歌、ドイツの芸術歌曲など9曲を披露、訪問団からお2人の男性がデュエットを披露して下さるサプライズもあり、最後は出席者全員で「歓喜の歌」を歌いました、その後さらに、ハイデルベルク熊本友の会の会長が「焼酎」、「くまモン」などの日本語を織り込んで歌詞をリライトした「熊本の歌」(原曲は「バーデン州の歌」)を高らかに歌い上げ、大いに盛り上がって夕食会は終了しました。
ハイデルベルクと熊本市は訪問団の行き来をして友好を深めていますが、その時に歌があると本当に盛り上がります。明治以来日本がたくさんのドイツの歌を学校教育に取り入れたことが、今日に至って友好交流の一助となるなんて、本当に素敵なことですね。
今日はグロッキーです(-_-;)