春のセミナー構想

2015年01月29日 | 日記
少し先の話ですが、3月21日(土・祝)の午後に、これまでとは形を変えて発声セミナーを開催しようと思います。
昨年暮れのクリスマス会の後、今後どういう形でセミナーを運営していこうかとアシスタントのSさんと話し合ったのですが、ウェルパルでの健康発声セミナーが10回目という節目を越えたこと、個人レッスンの生徒さんがどんどん増えていること、クリスマス会の合唱が素晴らしかったことなどを考え合わせ、また、最近特に合唱をしている方の入門が多いこともあり、「発声セミナー 合唱編」というのをやってみてはどうかという話になりました。その時はまだ気持ちもはっきりしませんでしたが、だんだんイメージが固まってきました。
まず、昨年のクリスマス会が例年になく大人数だったことから、今年は本荘のレンタルコンサートサロン「ドルチェ」に場所を移すことにしたのが始まりです。ここはとても素敵な会場ですが、中心部から少し離れていて、大通りにも面していないので、場所がちょっとわかりにくいのです。そこで、ここで年度末の茶話会を催して生徒さんたちに場所を覚えて頂こうと考えました。
そして、せっかく生徒さんたちに集まって頂くなら、少々気の早い話ですが、今年のクリスマス会に向けて合唱の練習ができたらいいなと思いつき、せっかく合唱の練習をするならレクチャーも加えてセミナー風にすれば、クリスマス会を聴きに来られたご家族やお友達にも参加して頂けるし、ブログやホームページやフェイスブックで告知すれば読者の方にもご参加頂けるな、と思ったわけです。そう思って会場に問い合わせたら、運よく3月21日にお借りできることになりました。そこで、仮の名称ですが、リニューアル・カリオペくまもと発声セミナー合唱編。曲目はバッハの「主よ、人の望みの喜びよ」にしたいと思います。この曲はゆっくりしたテンポでワンフレーズ4小節ずつが細切れにつながっていく曲で、和声もシンプルなので、その場で初めて練習するのに向いています。セミナー終了後に茶話会。セミナーだけ、あるいは茶話会だけの参加もOKです。
もう少し日程が近づいたら改めて告知しますが、ご参加希望の方はどうぞ遠慮なくお申込み下さい。また、ご意見やご要望をお寄せ頂ければ検討します。どうぞよろしく。

セミナー風ヴォイトレ

2015年01月21日 | 日記
県北のゴスペルグループから連続3回のヴォイストレーニングのご依頼を頂き、昨日がその第1回目でした。このグループは毎週1回、隣県からの参加者も含め(県境の地域なので)、8人ぐらいのメンバーが相集って夜8時から10時まで練習しているのだそうです。メンバーのうち数名が私の発声セミナーを受講されたことがあり、そのご縁で今回のオファーを頂きました。
いつものセミナーのように配布資料を作っていこうかとも思ったのですが、今回は敢えて資料は作らず、口頭での説明と実習という形を取ることにしました。まず「普通の声」でお1人ずつ自己紹介をして頂き、次に「芝居がかった声」で、つまり舞台上から客席に向かって喋るつもりで、もう一度お1人ずつ自己紹介をして頂きました。すると歴然と声が違います。姿勢も違います。「どこを変えましたか?」とお尋ねすると「わかりません」と言われるので、皆さんは口の奥をさっきより開けて喋ったんですよ、今の喋り方は自然と裏声になっていたでしょう?と言うと「ホントだ!」。ワインコルクをお配りして口の奥が開く感覚を覚えて頂いたり、顎関節周辺の凝り固まりをほぐしたり、指で軟口蓋をマッサージしたり口の中に拳を突っ込んだり、手鏡を見ながら口蓋垂の後ろを開けたり、口の奥を開けるためのいろいろな練習をしました。次に呼吸の練習。胸を軽く張ったまま、閉じた前歯の間から強く息を吐き、吐き切ったら体の緊張を緩めます。その時動くのが横隔膜です。息を吐く時は横隔膜が上がっていき、吐き切って体を緩めると横隔膜が下がるという仕組みを説明し、横隔膜がゆっくり上がっていくよう下半身の筋肉を使うというブレスコントロールの練習をしました。
休憩をはさみ、声帯の位置の確認、声帯の開閉と喉頭蓋の開閉の練習をした後、「口蓋垂の後ろを開けて息の筒を作り、呼気圧をかけて呼気を蝶形骨まで飛ばしながら声を出す」練習をしました。いい声が出ていますが、日本人は下あごが硬いので声が下あごで止まってしまう、という話をして、brbrbrbr...とリップロールをしてお腹まわりを使うことを確認、それを緩めずに母音発声に移行する練習をしました。皆さん「喉がラクです」と仰います。
ここまでで既に90分ほど経過。帰りのJRの時間を気にしながらも、ちょっとだけ歌に応用してみようと思い、「天使にラブソングを」の中の有名なゴスペルソング「Heil holy Queen」を使って英語の発音の練習をしました。「h」の発音は上あごの前から後ろへと息を滑らせ、母音は軟口蓋で発音し、二重母音は2つ目の母音を1つ目よりもっと後ろで発音します。ワンセンテンスを発音練習してから音を付けて歌ってもらうと、びっくりするほど素晴らしいハーモニーが響き渡りました。うわあ!
もっとこの響きを聴きたい!と思いましたが時間切れ。次回、来月のレッスンが楽しみです。

新年初舞台

2015年01月18日 | 日記
熊本市の姉妹都市であるハイデルベルクとの交流の報告会「ハイデルベルク・デー」が昨日開催されました。「熊本・ハイデルベルク友の会」という組織が熊本日独協会とセットになっているので、日独協会の合唱団である我が団は例年オープニングに歌わせて頂いています。毎年これが新年の初舞台です。
昨日歌ったのは、まず最初にテーマソングの「野ばら」、次にドイツ民謡の「この山光る」と「あの谷の下では」、そしてシューベルトの「菩提樹」とジルヒャーの「ローレライ」、最後に「歓喜に寄す」のサビの部分をお客様と一緒に。どれも日本でもドイツでもよく知られた曲です(若い人を除く(笑))。
昨日は副団長兼音楽監督補佐のIさんが体調不良で歌えず、強力メンバーが欠けて「人任せにできない」という緊張感の漲るアルトは、気合の入った声でしっかり歌ってくれました。その緊張感が他のパートにも伝播したのか、はたまた「我々は本番に強い」というジンクス(←思い込み)のお蔭か、いつもの如く「本番が一番良い」出来で、会場からは「アンコール!」の声がかかるほど。皆大いに満足して15分間のステージを終えました。
この合唱団、団員の減少で一時は存亡の危機だったのですが、昨年メンバーが急増し、それに伴い平均年齢も少し若返り、新しい風が吹いて先の見通しが少し明るくなってきました。私は自分自身がもともと合唱が好きで、最初はメンバーとしてこの合唱団に入ったので、団員さんたちと気脈の通じるところがあります。そのせいでしょうか、合唱指揮者としては未熟な私を皆さんが立てて下さって、批判的なことを言う人が一人もいないのです。それがどれほど有難く幸せなことか、本番を終えるたびにしみじみと実感します。私の指揮をひたと見て(これは本番の時だけですが(笑))、私のサインをしっかり受け止めて一生懸命表現して下さる。たくさんの拍手を頂き、聴衆の皆様や団員さんたちとともに充足感に包まれる時が、私の一番幸せな時間です。ソロのリサイタルでも、お客様との一体感の中で退場する時が一番幸せで、こういう喜びを何度も味わえるこの仕事は何と良い仕事だろうと思うのです。美術や文学は、音楽と違って形あるものとして残るのでうらやましいと思う時もありますが、考えてみたら、表現者(作者)が作品化するのと受け手が感動するのが同時ではない、時間的に共有できないのですね。ですから、受け手の方が深い感動の中で時空を超えて作者との一体感を感じる、ということはあり得ても、作者が鑑賞者や読者と一体感を感じることはできません。その点、演奏は「今この時、この場」を演奏者と聴衆が共有することで成り立つのですから、感動や喜びも重層的でより豊かである、と言うと牽強付会でしょうか。
ともかく、はるばるハイデルベルクから友の会会長夫妻がご臨席下さった今年のハイデルベルク・デー、演奏後の交流発表も内容のある素晴らしいもので、その後の懇親会も実に和やかで楽しい時間となり、今年一年の幸先の良いスタートを切ることができました。

伴奏合わせ

2015年01月13日 | 日記
昨日、日帰りで東京のW先生宅に伴奏合わせに行ってきました。2月2日の発表会で歌う曲目が変更になったのに伴い、W先生が直々に宗教曲がお得意な男性ピアニストに伴奏をお願いして下さったのです。有名音楽大学を首席卒業された優秀な方だと伺って、どんな方だろうとおっかなびっくりだったのですが、カリカリしたところの全く無い、物腰の柔らかな方でした。某有名合唱団が熊本公演をした時に伴奏者として来熊されたことがあるとのこと。その時の共演合唱団が私の母校のOG合唱団だったそうで、そんな話で最初から打ち解けた気分になれました。
さて、肝心の歌は...昨年暮れに歌ったばかりのメサイアのアリアですが、あの時は体力的に限界ギリギリで、体は正直にその時の状態を記憶しているはずですから、ここであの時の歌い方が発声的に妥当だったのかどうかがわかります。W先生に聴いて頂くと、「いいじゃない!よく歌えてるわよ。様式感もあるし、ブレスもよく続いているわねー」と言って下さってホッとしました。「私は宗教曲はわからないから、カークビーに言われたことや熊本で指揮者の先生に言われたことを教えてちょうだい。それに沿って発声的にみていくから」と仰ったので、宗教曲はノン・ヴィブラートで歌うこと、英語の発音をドイツ語的に硬くしないこと、上ずり癖に気を付けること、という3つの課題をお伝えしました。このうち上ずり癖は、「あなたの場合、ロングトーンで伸ばしている時に声の当たりが硬口蓋の方にスライドしてくるのが原因みたいよ」と仰いました。硬口蓋に当てることは必ずしも間違ってはいないのだそうですが、私の場合はもっと後ろに持って行く方が良いとのこと。声の当たりが硬口蓋の方へズレてきているなんて全く無意識だったので、言われて驚きましたが、少し意識してみるとピタッと音程が安定しました。
あとは、全体として響きは悪くないけれど、もう少し声にきらめきがほしいと言われ、伴奏者のMさんに「ごめんなさいね、うちのレッスンは動物園みたいでしょ」と笑って仰りながら腹話術的発声をやって見せて下さいました。私はこれが苦手で、どうしても息が下あごにひっかかってしまいます。特にイの母音で声が後ろに回りきれずに喉が痛くなってしまうのですが、「耳の後ろを意識して、蝶形骨の下端をもっと外側に開いて、口蓋垂を上へうんと高く引き上げておいてから口の奥を横広にして、声を後ろへ持って行ってから息を縦方向に送る」と、文字で書くと実にややこしいことを教えて下さいました。口蓋垂がなかなか完全に上がり切らないのを悪戦苦闘しながら、口の中に指を突っ込んで軟口蓋を挙げたり、W先生に背後から上あごを持ち上げて頂いたり、あれこれやっているうちに「そう、それ!」と言われる声が出始めました。自分でも「ああ、これか!」と体で納得できる声です。ただ、どうしてできたのかがわかりません(笑)。うちの生徒さんたちも「今ここではわかりましたが、家に帰ったら多分できません」とよく言われますが、発声とはそういうものなのです。でもW先生は「大丈夫よ!」といつも優しく励まして下さいます。呼気のスピードをもっと速くして、目の裏から真後ろ3メートルぐらいのところまで後ろへ引っ張るようにと言われ、「こんな感じ」という感覚だけは掴んで帰ってきました。何回か歌ううちにMさんの伴奏もピタッと合うようになり、阿吽の呼吸で絶妙の掛け合いができるようになりました。宗教曲に慣れていらっしゃるだけあって、こちらが何も言わなくてもフェルマータやブレスのタイミングを見事に合わせて下さいます。さすがです。
W先生、お元気そうに見えましたが、年末から高熱を出されたり、家の中で転んで足を擦りむいて化膿したりと大変だったそうです。それでもいつもの通り懇切丁寧に一生懸命レッスンして下さり、恐縮しながらも大満足で帰途につきました。この感じを本番までできるだけキープして、あと3週間、体調管理に心して過ごしたいと思います。

お願い

2015年01月06日 | 日記
昨日M先生とリサイタルの打ち合わせをした折、被災地で再び生活物資が不足していると伺いました。震災直後は各地から衣類をはじめ様々な物資の寄付があって、被災者の方たちはそれで当座を凌いてこられたのですが、あれから4年近くが経ち、それらの衣類も傷んできているそうです。今被災地の仮設住宅に残っていらっしゃるのは買い物難民のお年寄りが主なので、これから一番寒い時期に向かう今、不安に思っておられるのではないかと気がかりです。自分ではなかなか被災地に足を運ぶことができませんが、M先生が2月の第3週に車で被災地に行かれるので、その時に持って行って頂けるよう、必要な物を集めてM先生宅に送りたいと思っています。熊本市内あるいは近郊の皆様、靴、服、コート、下着(新品)、洗剤、ラップ、ティッシュペーパーなどの日用品で、押入れや抽斗の奥に眠っている頂き物などがある方は私宛に供出して頂ければ幸いです。できれば100円か200円、送料の一部をご寄付頂ければなお助かります。熊本以外の読者の皆様には、被災地の方々への心(祈り)運びをお願いします。
今回は応援依頼のブログとなりました。どうぞよろしくお願い致します。