次々と...

2016年01月24日 | 日記
今日は全国的に雪のようですが、熊本市内もご多分に洩れず「あたり一面の雪景色」です。昔は年に数度はこんな日があったのですが、温暖化で最近はめったに雪にお目にかかれないので、銀世界の美しさに酔い痴れていますが、まあしかし大変。ちょっと車で近所まで行ったら帰りには車が雪を被っていました。玄関から車まで歩くのも神経を使います。雪国の人たちには笑われそうですが。
こんな天候なので、予定されていた夜の合唱の練習が中止になりました。今日は完全オフになるかも、と思ったのですが、先日入門された男性がこの雪の中をレッスンに来られました(「妻の出産予定日が近いのでひょっとしたらお休みするかもしれません」と仰っていたのですが、まだ生まれないそうです)。このSさん、うちの近くの高校の倫理の先生だそうで、「気が合いそう」と思われたのか(笑)、別のところでもう数年もヴォイストレーニングを続けているのに、うちにも来られるようになりました。ファルセットでかなり高音域まで出ますが、実声は素敵なバリトンです。さすがに呑み込みが早く、すぐに良い歌が歌えそうな感じです。
それにしても、このところ新しい生徒さんが急に増えました。10月に4人、11月に2人、12月に1人、1月にも2人。この4か月で何と9人!年齢、性別、動機はさまざまで、音大を出た方がお1人、元音楽教師の方がお1人、歌うのが好きなので上手になりたい、という若者が2人、「音痴をなおしたい」という年配の方が2人(どちらも「自称音痴」で、数回のレッスンで「音痴」はほぼなおりました)、もっと声が出せるようになりたい、という方が2人、そして今日のSさん。年末の数か月間はコンクールや発表会や入試のために一時的にレッスンに来ていた中高生も5人ほどいました。こんなに立て続けにいろんな方が入門されるのは初めてです。
初心者のレッスンは、どんな言葉で説明すればわかってもらえるか、どんなメソッドを使うと効果的か、いろいろ工夫するのでこちらの勉強になります。最近再認識したのは、初心者やアマチュアの方は予想以上に声帯を閉じたり引っ張ったりする力が弱いということです(無論個人差はありますが)。声がひっくり返る方が多いのです。その場合、ピアノを両手で持ち上げながら声を出して頂くと、下半身にしっかり力がこもり、声が割れなくなります。それから、殆どの方が呼気のスピードと強さが足りないので、トランペットのマウスピースは必須アイテムです。あと、口の奥が開きにくい人は、薄手のハンカチを棒状にして口角に引っ掛けて上あごを持ち上げたり、指で軟口蓋をマッサージして挙げたり、あくびや高笑いで口蓋垂を挙げたり、いろいろやってみて、その人に一番合うやり方を見つけます。息が後ろから上へ抜けるようにするのが私の最初の仕事です。下顎の力を抜くのもそれと同じぐらい大事。下顎を軽く左右に動かすことが難しい方がとても多いです。リップロールや舌のストレッチを念入りにやります。
皆さん、数回で見違えるほど(聴き違えるほど(?))声が変わります。ご自分を音痴だと思っている方も、丁寧に呼吸の練習や下顎の力を抜く練習をしているうちに正しい音程が取れるようになります。初心者のレッスンは本当に毎回がドラマティックです。
さて、今週は大学が最終の授業と試験期間に入ります。あと一頑張り、試験問題の作成に精出すとしましょう。

チャリティコンサート(2)

2016年01月16日 | 日記
これまでの経緯を総括、と思ったものの、準備段階で生じた様々な事柄をほぼ忘却していることに気が付きました(-_-;)年のせいですかね...準備期間中に困ったのは、熊本の合唱メンバーの方たちからさまざまな提案や質問が寄せられても、具体的な指示や解答をお示しする権限が私には無いという点です。私がM先生に頼まれたのは、ホールおよびマネジャーとの打ち合わせ、カルテットのNさんと舞台監督のKさんへの連絡、チラシ・チケット・プログラムの作成、の3点で、どれもメールや電話で直接に指示を頂くので何の迷いもなくできたのですが、それらをこなすだけでも結構な時間とエネルギーが必要なので、それ以外のことをM先生にお尋ねするタイミングを見計らうのは大変でした。M先生がおいでになれない(はず)という緊急事態下で皆が「自分も何か手伝わなければ」と思って下さり、「前日と当日のカルテットの送迎は引き受けます」、「募金袋・募金箱は私が作ります」と申し出て下さったりして大変助かりましたが、連鎖的に「しなければならない(であろう)こと」、「確かめておきたいこと」があれこれと頭に浮かぶのでしょう、あれはどうしましょうか、これはどうなりますか、これはこうしたらどうでしょうか、の類のお尋ねや提案が多く、また合唱の練習や前日・当日の動きに関しては不安が先に立つのでしょう、3日前の練習の時は高揚を通り越して一種のパニック状態でした。M先生が「地元の人は責任感から皆がリーダーシップをとろうとするからまとまらないの。だから当日の設営も前日の合唱の練習も、全部東京から来る人たちに任せてね」と仰った言葉は全く正鵠を射ていました。私も知らず知らずのうちに気持ちの余裕をなくしていたのでしょう、いろいろ訊かれても「気が付いた方が臨機応変に対処して下さい」と答えるのが精一杯でした。それだけに前日サプライズでM先生が熊本に現われた時は、お体を案ずる反面「ああ助かった!」と心底ほっとしました。
M先生の采配の下、万事がするすると流れるように進み、合唱もきちんと仕上がり、良い気が流れて本番に向けて集中が高まり、結果全てが最高の盛り上がりを見せて一大イヴェントが無事終わりました。
コンサート成功の裏で、つくづくとM先生のカリスマ性を痛感した今回の顛末でした。

チャリティコンサート(1)

2016年01月13日 | 日記
更新が遅くなって、コンサート報告をお待ち下さっていた読者の皆様をお待たせしてしまいました(-_-;)
1月11日の東北支援チャリティコンサート、お蔭様をもちまして無事盛会の裡に終わりました。一時はどうなることかと思いましたが、たくさんのお客様にご来場頂き、「素晴らしかった!」、「感動、感動、感動でした」、「もっともっとたくさんの方に声をかければよかった」、「熊本でこんなに素晴らしい演奏が聴けるなんて!」、「M先生の熱いお心に涙しました」等々、ここに書き切れないほどの賛辞を頂きました。募金もたくさん頂き、仮設住宅のお年寄りの作られた手芸品もほぼ売り切れ、アンケートにも30名以上もの方が「合唱の練習に参加して一緒に歌いたい」と書いて下さいました。演奏会終了直後からずっとメールや電話でご感想が寄せられています。チケット販売や宣伝・広報にご尽力下さった多くの方々、ご来場下さった皆様をはじめ、スペシャル・カルテットの皆様、大船渡から、釜石から、東京や埼玉から、対馬から、天草から、福岡から、ハレルヤを歌うために馳せ参じて来られたホープネットワークの皆さん、現地の様子を伝えるためにご多忙を押しておいで下さったK元教育長、M先生の代わりに見事なピアノを弾いて下さった東京のIさん、裏方を仕切るためにご夫婦で東京からおいで下さった舞台監督ご夫妻、多くの方の真心の結集で東北の未来を後押しする小さな一歩を印すことができました。このような形で東北支援に関われたことを出演者一同本当に有難く思いましたし、ご来場のお客様も皆さんそのように仰って下さいました。
今回の何より大きなサプライズは、前日のリハーサルにM先生が突如現われたことです。杖を突きながらの危なっかしいお姿でしたが、主幹の登場で3日前の練習の時とは雰囲気が一変。歌の練習もしっかりでき、プログラムにアンケートや募金袋を挟み込む作業も人海戦術であっという間に終わりました。遠来の皆様ともお近づきになり、和やかな雰囲気が醸し出されました。
当日は東京から来たメンバーが朝9時からロビーに被災地の写真をパネル展示したり、手芸品を並べたりといった設営をして下さいました。その後皆で合唱の練習。そして舞台でのリハーサル。あっという間に午前中の時間が過ぎ、いよいよ開演。客席はたくさんのお客様で埋まっています。よかった!
第1部はスペシャル・カルテットによる1時間の演奏でした。親しみやすい名曲をわかりやすい軽妙なトークを交えながら見事に演奏して下さり、会場の空気が喜びと感動の波動で満たされるのが舞台袖にまで伝わってきました。
第2部はK元教育長のお話でスタート。現地の方にしか語れないお話ばかりです。現地の方たちの思いがお客様の心に深く沁み込んでいくのがわかりました。そして、M先生がお弾きになるはずだった、M先生編曲の「春の小川」変奏曲のピアノ独奏。これは被災地支援に通われるようになった南国生まれのM先生が、初めて東北の早春を目の当たりにされた時の感動をピアノ曲にされたものです。この曲をM先生の演奏で初めて聴いた時の鳥肌の立つような感激は忘れられません。雪解けの水のせせらぎのようなイントロと同時に、北国の凛とした清澄な空気がその場にありありと再現されたのです。今回弾いて下さった東京のIさんのピアノも、それはそれは素晴らしい演奏でした。
そして次が私たちの出番です。M先生によるメンバー紹介、東北から来られた方たちにはマイクを回して一言ずつコメントを頂きました。皆さん、これまでの支援への謝意と、この場で一緒に歌える喜びを述べられました。M先生のスピーチも、まさにM先生にしか語れない、限りない愛と深い喜びと感謝、そして祈りに満ちたもので、その清らかで力強いエネルギーに触発され、私たちの合唱も本番が最高の出来でした。フィナーレの「ハレルヤ」は、会場のお客様にも舞台に上がって頂いて一緒に歌って頂きましたが、舞台上だけでなく、客席のお客様とも心ひとつになり、そこにあるのは巨大な一つのハートという感じがして、歌いながら胸が熱くなりました。
こうして大きな感動とともに終わったチャリティコンサートでしたが、振り返ればここに至るまでの数ヶ月は随分と大変でした。イヴェントの企画運営には有形無形の無数で多様な仕事があり、どれも経験者や業界人でなければわからないことばかりです。今回のように多数の方が関わる大規模なイヴェントの場合は特に、全体像を俯瞰できる人が一切を仕切る必要があります。それができるのはM先生だけなので、とにかく1から10まですべてM先生の指示を仰ぎながら、皆でできる限りのお手伝いをさせて頂きました。一番働いたのはおそらくM先生を日頃からサポートしておられるUさんご夫妻でしょう。本当に献身的に動き回られ、そのお姿には頭の下がる思いでした。私も頑張りましたが、何しろただでさえ忙しい身なのでなかなか思うように動けません。Uさんのお宅とコンサート会場が共に私の自宅と職場の間にあったのは実に幸いなことでした。通勤や帰宅の途中に立ち寄って手続きや打ち合わせができ、どれほど助かったかわかりません。これぞ天の配剤!
今後のためにも、当日までの経緯を総括しておかないといけませんね。それでは、続きはまた次回。

忘れ形見

2016年01月06日 | 日記
一昨日、ドイツから長文のメールが届きました。亡き久美さんの養女のエリカちゃんを実の孫のように慈しんで下さっているシュナイダー夫妻からです。エリカちゃんの写真が沢山添付されていました。昨年の4月に同じく長文のメールとエリカちゃんの写真を送って頂いて以来で、エリカちゃんの成長ぶりや日常の様子が詳しく記されており、お仕事で留守がちのパパに代わって、それこそ目に入れても痛くないほどの可愛がりようが彷彿とする文面でした
エリカちゃんが幼稚園でどんなに人気者か、お誕生日やクリスマスにどんなプレゼントをもらい、どんなお祝いをしてもらったか、夏休みをどんなふうに過ごしたか、そうしたこまごまとしたことが綴られています。幼稚園の先生や検診でお世話になったお医者さんから「心身ともにパーフェクトな発達ぶり」と太鼓判を押されたそうで、プールで泳いだり、補助輪付きの自転車を乗り回したりするのが好きで、今は数を数えたり文字を書いたりすることに興味があり、おしゃれが大好きで整理整頓も上手にできる、と書いてあります。そして、歌が素晴らしくうまくて、もう100曲ぐらいレパートリーがあるとのこと。「Kumiがどんなに喜ぶことか」というくだりには思わず涙が出ました。
シュナイダー夫人は非常に愛情深い方ですが、決して溺愛型ではありません。元幼稚園の先生だっただけあって、子供の心がよくわかる方です。エリカちゃんへの接し方を見ていても、心身ともに「今この子に必要なこと」を見極める眼力と実践力には感服しました。今回のメールにも、こんな一節がありました。
「ある日エリカが、十字架をたくさんちりばめた絵を描きました。これはなあに?と訊くと、エリカは「私はママがどこにいるか知らないの。」と答えました。それで私たちは、次の週末にエリカを連れてハーゲンの「安息の森」(久美さんが眠っている墓地)に行きました。行く前に私はエリカに、子供にもわかるようにママのことを話してやりました。その日はとても良いお天気で、私たちは森の中のたくさんの小道、たくさんの木々の間を通り抜けて歩きました。エリカは、ママはこんなに素敵な木の下に眠っていること、たくさんの人たちと一緒にいることを知ってとても喜びました。」
この文章にも思わず落涙しました。シュナイダー夫妻は、エリカちゃんがママのことを忘れないよう、久美さんの写真を大きく引き伸ばして自宅のリビングに掛けて下さっているそうです。そこまでして下さる徹底した無償の愛に、ただただ圧倒される思いです。
シュナイダー夫妻に深く感謝しつつ、近況とともに「いつかドイツか日本で、あるいは世界のどこかで、エリカちゃんと一緒にメサイアを歌える日が来ることを願っています」とお返事をしたためました。

Frohes neues Jahr!

2016年01月02日 | 日記
明けましておめでとうございます。年頭にあたり、皆様のご健康と本年のますますのご活躍を念じ上げます。
暖かいお正月ですね。皆様いかがお過ごしでしょうか。私は、今年は羽根つきをしました(笑)。弟一家と父と私で出水神社に参拝しようと水前寺公園に出かけたのですが、何ともすごい長蛇の列で、これでは優に一時間以上は並ばないとお参りできそうにありません。あきらめて公園内を散策していると、羽子板と羽根を無料で貸し出しているコーナーがあって、芝生で老若男女が羽根つきに興じています。すわ我が家もと弟が3組の羽子板と羽根を借りてきて、一族9人全員がいろんな組み合わせで30分ほど楽しみました。6歳の甥がなかなか器用です。元テニス部の弟夫婦、元バスケ部の父も昔取った杵柄でまあまあさまになっています。小中高の甥姪たちはみんな体育会系なので手慣れたもの。初めての羽根つきを楽しんだようです。私も小学校の頃(一応)バドミントンクラブでしたので(笑)、まあ何とか。いったん帰宅して、今度は皆で父の里に年始の挨拶に行き、夕方には辞去しましたが、羽根つきのせいか眠くてたまらず、久し振りに早寝をしました。
クラシック音楽に誰も関心を示さない我が家では(-_-;)年末年始のクラシック番組を家でゆっくり見たり聴いたりすることはほとんどないのですが、31日のN響の第九は(3楽章の終わりから4楽章だけですが)父が早寝してくれたので一人で聴きました。パーヴォ・ヤルヴィの清冽な指揮、粒ぞろいのソリスト達、気合の入った合唱は感動的でしたね。特に合唱は、このステージで歌えることに心からの喜びと誇りを持って、片時も気をそらさずに指揮者に集中している様子が伝わってきて、かつての自分たちの姿が重なって感涙が込み上げました。ソリストも素晴らしかった!ラストでは思わずブラヴォーと叫んで拍手をしてしまいました。最後に舞台に出て来られた合唱指導の永井先生は、私が音大生の時も合唱の授業でお世話になりました。あれから30年、今も現役ということは、あの頃の永井先生はまだ30代だったのですね。
さて、今年の私の抱負は「ワークライフバランス」です。一年中風邪をひいていた昨年を省みて、オーバーワークを極力コントロールしていきたいと思います。心身ともに健康でないと良いレッスンもできないことをもっと自覚しないといけませんね。頼りないレスナーですが、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。