シルヴィアに寄す

2012年02月29日 | 日記
「シルヴィアに寄す」はシューベルトの有節歌曲です。とってもシンプルな曲ですが、うきうきするようなリズムと晴れやかな曲想が魅力的で、一度はステージで歌ってみたいと思いながらまだ叶わずにいます(シンプルな曲を舞台に乗せるのは勇気が要るので)。今日、そら豆さんがレッスンにこの曲を持ってこられました。「広い野原が褒めたたえているシルヴィアとは誰?彼女が近づくのを見れば美しく優しい。天の恩寵としるしは、万物が彼女に従うことを証している。彼女は美しくて善良なのか?その魅力は可愛い子どものように人をさわやかにする。愛の神が彼女の目に向かって急ぐと、彼は目が見えるようになり、甘美な安らぎの中にとどまる。だからシルヴィアの名を鳴り響かせよ、優しいシルヴィアの誉れを歌え、歌人よ。彼女は、大地が与え得るどんな魅力をも凌駕する。彼女に花環を、そして弦の響きを!」こんな手放しの賛美を奉られるシルヴィアってどんなに素敵な女性なんでしょうね。歌詞を見ればこれは男性が歌う歌なのでしょうが、女性が歌う方が合うような気がします。とても心弾む歌です。リートのお好きな方は是非歌ってみて下さい。

野の花

2012年02月28日 | 日記
3月4日に林田戦太郎先生の歌を歌うことになった経緯について数日前のブログに書きましたが、今日は林田先生とご一緒に、ギターで伴奏して下さるH先生のお宅にお邪魔して伴奏合わせの練習をしました。「花野の虹」という曲をH先生のギター伴奏で、そして「故郷は花満ちて」という曲をH先生のギターと林田先生のマンドリンの伴奏で歌います。ギターやマンドリンの伴奏で歌うのは今回が初めてなので、ちょっとわくわくしました。
「花野の虹」には3つの花の名前が出てきます。ツクシマツモトとハナシノブ、そしてゆうすげです。ツクシマツモトとハナシノブは日本中でも阿蘇だけにしか咲かない花だそうですが、ネットで検索してみると、赤いツクシマツモト、薄紫のハナシノブ、黄色のゆうすげ、どれも野の花らしく素朴な美しさを持った素敵な花です。野の花は野に咲いてこそ美しいのですね。「花野の虹」は題名通り爽やかで広々とした印象の曲です。そしてこの曲は、手前味噌ですが私の声にとても合っているように思います。私の声はかなり軽めなので、こういう曲を歌うと歌も声も生きる(と思う)のです。自分の声に合う歌に巡り会うことは、歌うたい冥利に尽きる喜びです。

私はジャスミンの花

2012年02月27日 | 日記
このタイトルは何だ?と思われた方も多いでしょう。4月30日のリサイタルで歌うヴィヴァルディの曲の題名です。
何を隠そう、私はジャスミンの花が大好きなのです。大学時代、住まいの近くに鉢植えの花や観葉植物をたくさん扱っている種苗店があったのですが、ある日そのお店でジャスミンの鉢植えを見つけ、その甘い香りと小さな白い花の清楚さにすっかり魅せられてしまいました。私はジャスミンやスズランのように白くて小さくて香り高い花にはメロメロなのです。以来、ジャスミンの花鉢を見かけると必ず買ってしまいます。
花の歌もたくさんありますね。花好きのせいか、花の歌もみんな好きです。シューマンの「バラよバラよ」、「ジャスミンの茂み」、「まつゆきそう」は私の好きな3大花の歌。シューマンには「ミルテの花」という歌曲集もあります。ドイツ歌曲には「野ばら」、「いぬさふらん」、「あおい」、「蓮の花」、「すみれ」等々、花の名前が題名についている曲が結構ありますが、一番多いのはやはりバラですね。
さて、標題の「私はジャスミンの花」という曲は、バロック時代のイタリア人作曲家ヴィヴァルディの歌劇「ポントの女王アルシルダ」の中で歌われるソプラノのアリアです。恋に対して大変臆病な若い女性が、親友から恋とはどういうものかを散々聞かされた後で、「私は小川のほとりで若草の陰に隠れてひっそりと咲いているジャスミンの花なの。私の楽しみは若草たちとおしゃべるをすること。白い花の上を蜂が飛んでもちっとも怖くなんかないわ」と歌います。
高校生か大学生の頃、(誰だったか忘れましたが)有名な外国人ソプラノ歌手が歌うこの曲を聴いてとても印象に残りました。一昨年だったか、この曲をYさんがレッスンに持って来られた時は本当に懐かしく、改めて「いい曲だなあ」と思い、今回のリサイタルのプログラムに入れることにしました。
好きな曲を歌うのは無上の喜びです。「好き」と「嫌いではない」の間には大きな差があります。昨年のリサイタルのプログラミングをしている時、大好きな「まつゆきそう」を選んで伴奏合わせに持っていったら、1フレーズ歌っただけで伴奏者のM先生から「これは大丈夫ね」と言われました。「「好きな歌」はどう転んでも必ず「良い」のよね」と言われ、へえ~、聴く人には私がこの曲を好きだってことがわかるんだ、と新鮮な驚きを覚えたものでした。一生のうちに1曲でも多く「好きな歌」に出会いたいものですね。

出張レッスン

2012年02月26日 | 日記
以前、ピアノを教えていた頃は出張レッスンが主でしたが、現在は、外部会場でのセミナーや合唱団の指導などは別として、原則としてレッスンは我が家で行っているので、出稽古はほんのわずかになりました。そのわずかな出稽古の一つが、ほぼ毎月1回のペースで通っている県外の小さな教会の聖歌隊のヴォイトレです。生徒さんは牧師夫妻と若い女性信者さん2名の合計4名。小さな教会ですが会堂は天井が高く、4人のレッスンにはスペースも十分です。ここのレッスンがとてもやりやすいのは、一つはこの空間的な余裕です。寝転んでのストレッチや壁を使うストレッチもゆったりとできるし、声が上に抜けた時の空間の響きがとても豊かで美しく、よい声のイメージがつかみやすいのが何よりの利点です。しかし、それにも増して素晴らしいのは、ここの生徒さんたちの心の態度とでも言いましょうか、言葉ではちょっと表現しきれない心映えです。何と言えばいいのでしょうね、まず、とにかく無心にこちらの言うことを受け止められます。私の教え方がまずくて、何度も何度も繰り返し同じことをさせてしまうような時でも少しも態度が変わりません。あくまでまっすぐに私について来ようとされます。それでいて悲壮感や貪欲さは微塵もなく、いつも明るく謙虚。欲がない、という言葉はお稽古ごとでは必ずしも良い意味には使われませんが、この方たちの欲のなさは世間一般の価値観をあっさりひっくり返ってしまうほど超俗的です。私はこの方たちから「無心」という言葉の実質を教えて頂いているような気がします。
今日のレッスンでは、寝転んで横隔膜を鍛えるストレッチと、壁を使って肩甲骨まわりをほぐすストレッチを入念にしました。そして発声とコンコーネ50番を一緒にやった後、一人ずつイタリア歌曲のレッスンをしました。女性は3人とも透明感のある素直な声で、ちょっとした指示でどんどん声が変わっていきます。とても素敵なイタリア歌曲になりました。黒一点の牧師先生もはったりのない声で、なかなかの美声です。以前この教会の聖歌隊のメンバーだった方が里帰りされてこの4人の声を聴き、上達ぶりに驚かれたとか。それもむべなるかなと思います。
今日もみのりあるレッスンができ、満ち足りた気持ちで帰途につきました。来月も楽しみです。

今日も本番

2012年02月25日 | 日記
今朝は背中と腰のバリバリ感で目が覚めました。リサイタルだと翌朝起き上がるのに一苦労しますが、今日はそこまでではありませんでした。肩の荷が一つ降りた気楽さの中でお二人の方のレッスンをして、本日のメインイヴェントは、私が指揮をしている老健施設の職員合唱団が「いのちの歌」をご披露する「ヴォランティア交流会」です。ここのメンバーは、会議やシフトの関係で月に2回の練習になかなか全員そろうことができません。この曲を歌うのは今日が2回目、という人もいて、「ここのダル・セーニョはどこへ戻るのか」とか「アルトはどこを歌うのか」などの確認作業が出演直前までかかりました。本来は混声3部の楽譜を女声2部で歌っているので、歌う箇所がつぎはぎになるのです。
この合唱団の出番と言えば老健の秋祭りや文化祭、職員の忘年会などで、いつも相当にガヤガヤしている中での本番なのですが、今日は聴衆の皆様が静かにしっかりと耳を傾けて下さったので、「こんなにちゃんと聴いてもらえる本番は初めてでしたね」と皆さん口々におっしゃっていました。会場が広い割に合唱団の人数が少なかったのでマイクが必要だったのですが、担当者もそこまで気が回らなかったようで、会場の隅までは声が届かなかったかもしれません。でも、皆この歌の歌詞に感動しながら歌っていたので、その気持ちは伝わったと思います。
昨日、今日と続けて本番を終えて思うのは、歌詞に対する共感の大切さです。最低限でも詩の内容を自分なりに咀嚼し、自分の言葉で「こういう歌です」と説明できなくてはいけませんね。高校時代、コーラス部でコンクールに出た時、先生から「コンクールはのど自慢じゃないからね」と言われたことがありました。美声を競う場ではない、という意味でおっしゃったのですが、もう少し踏み込んで言えば「自分はなぜこの場に立っているのか」、「この歌で何を伝えたいのか」をちゃんとわかっていなくてはいけない、ということだったと思います。当時の自分がその真意を正しく汲み取っていたとは思われませんが、とても大切なことを教えて下さったのだなと今にして思います。
さて、次の本番は3月25日の「オハイエくまもと」です。いやいや、その前に3月4日がありました。イルカの会(みなみのかぜの母体)の歌合戦の審査員に呼ばれていて、ついでに私にも何か歌ってほしいというオファーが一昨日あったのです。マンドリニストで作曲家の林田戦太郎先生と2人で審査をする関係で、林田先生の作品をギター伴奏で1曲、ギターとマンドリンの伴奏で1曲、計2曲を歌わせて頂くことになり、一昨日楽譜を頂いたのでした。明日は県外に出張レッスンですが、往復の道中に譜読みをしなければ。今年は本番続きの春であります。