W先生からお習いしたメソッドの中には、従来の医学的知見を覆すような、あるいは西欧近代の生理学や解剖学の枠組みでは説明できないような経験知から導き出されたものも数々あります。その一つが骨伝導です。以前は、骨は響かないと言われていたそうですが、現在では骨も響くということは常識になりつつあるそうです。
今日、Hさんが県外から久し振りにレッスンに見えました。Hさんのように遠方にお住まいでなかなかレッスンに来られない方は、いろいろな疑問や悩みを持ってレッスンに来られますが、今日Hさんは「下半身を使って声を出す、ということが体感的によくわからない」、「息が続かない」という2つの疑問を持ってこられました。前者の疑問の対する一つのアプローチが「骨伝導」です。Hさんの発声を聴いていると、高音域になるにつれて響きが薄くなっていきます。そこで、片足を上げてどすんと踏み込むと同時に声を出す練習を何度かやっているうちに足の骨が響いてきました。これは本人にもはっきり変化がわかるので、家で練習する時も比較的わかりやすい方法です。下半身を使うもう一つのアプローチは、高音を出す時に膝を軽く曲げ、足の指を使って内転筋を緊張させながら瞬間的に重心を少し後ろへ移動させる方法です。股関節を動かすことまでは今日はできませんでしたが、足腰を使うことと発声が少しつながったようでした。Hさんは私の声と同じような感じの軽めのソプラノです。こういうタイプは響きが薄くなりやすいので、骨伝導や足の使い方に常に留意する必要があります。
少し休憩した後、Caro mio benを教材としてブレスを長くする練習をしました。「息が続かない」のは呼気筋で息を押し出すからです。下行音型で声と一緒に息が下がると、胸も下がってきて吸気筋がゆるみます。どんな音型でも息は常に上へ上へ。そう意識すると、胸が拡がった状態が自然にキープできます。Hさんも最初は息が上へ下へと動いていましたが、少し意識するとフレーズが一息で歌えるようになりました。
「座って歌う時はどうすればいいのですか?」というご質問もありました。「座ったまま立ちあがろうとすると足の裏や腿の裏が緊張しますよね、その状態で歌うんです」とお答えしました。そうすれば自然と上体も開きます。脇腹の肋骨と骨盤の間に拳をつっこみ、そこを拡げるようにして歌うと、上体がより一層開きます。これをやってみるとHさんの声が歴然と変わりました。
何かつかめた、という晴れ晴れとした顔でお帰りになるHさんを見送りながら、私も充実感に浸りました。身体が解放されると声も顔つきも生き生きとしてきます。その変化を間近で見る喜びは私の役得です。
今日、Hさんが県外から久し振りにレッスンに見えました。Hさんのように遠方にお住まいでなかなかレッスンに来られない方は、いろいろな疑問や悩みを持ってレッスンに来られますが、今日Hさんは「下半身を使って声を出す、ということが体感的によくわからない」、「息が続かない」という2つの疑問を持ってこられました。前者の疑問の対する一つのアプローチが「骨伝導」です。Hさんの発声を聴いていると、高音域になるにつれて響きが薄くなっていきます。そこで、片足を上げてどすんと踏み込むと同時に声を出す練習を何度かやっているうちに足の骨が響いてきました。これは本人にもはっきり変化がわかるので、家で練習する時も比較的わかりやすい方法です。下半身を使うもう一つのアプローチは、高音を出す時に膝を軽く曲げ、足の指を使って内転筋を緊張させながら瞬間的に重心を少し後ろへ移動させる方法です。股関節を動かすことまでは今日はできませんでしたが、足腰を使うことと発声が少しつながったようでした。Hさんは私の声と同じような感じの軽めのソプラノです。こういうタイプは響きが薄くなりやすいので、骨伝導や足の使い方に常に留意する必要があります。
少し休憩した後、Caro mio benを教材としてブレスを長くする練習をしました。「息が続かない」のは呼気筋で息を押し出すからです。下行音型で声と一緒に息が下がると、胸も下がってきて吸気筋がゆるみます。どんな音型でも息は常に上へ上へ。そう意識すると、胸が拡がった状態が自然にキープできます。Hさんも最初は息が上へ下へと動いていましたが、少し意識するとフレーズが一息で歌えるようになりました。
「座って歌う時はどうすればいいのですか?」というご質問もありました。「座ったまま立ちあがろうとすると足の裏や腿の裏が緊張しますよね、その状態で歌うんです」とお答えしました。そうすれば自然と上体も開きます。脇腹の肋骨と骨盤の間に拳をつっこみ、そこを拡げるようにして歌うと、上体がより一層開きます。これをやってみるとHさんの声が歴然と変わりました。
何かつかめた、という晴れ晴れとした顔でお帰りになるHさんを見送りながら、私も充実感に浸りました。身体が解放されると声も顔つきも生き生きとしてきます。その変化を間近で見る喜びは私の役得です。
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